基礎物理数学 第5回 偏微分 ー ポテンシャルと力 ー 前回課題の復習(問題2.12) 2変数の陰関数 x, y に f ( x, y) 0 の関係があるとき、 局所的には y は x の関数と考えられることが多い。 関数 y (x) が、 f ( x, ( x)) 0 を満たすとき、y (x) を f ( x, y) 0 で定義された 陰関数(implicit function)という。 特定の関係式に縛られる複数の変数の間に成り立つ関係を1 関数と見たもののことである。 陰関数について f x ( x, ( x)) ( x) f y( x, ( x)) すなわち f x ( x, y ) dy dx f y( x, y ) が成り立つ。 2 接線の方程式(陰関数) f ( x, y) 0 上の点 (a,b) における接線の方程式は、 f x ( a, b) y b ( x a) f y(a, b) と表わされる。 3 1変数関数の極大・極小 1変数関数 y f x の場合、 極大、極小を与える点 y f x x において、 dy 0 dx が成り立つが、これは必要条件では あるが十分条件でない。 図 5-1 その判定には2階微分 f x d 2 y dx 2 x 1変数関数の極値候補 が点 x において、 f x 0 f x 0 f x 0 ならば極小値、 ならば極大値、 ならば変曲点となる。 4 2.3 2変数関数の極大・極小 2変数関数 z f x, y の場合、 極大、極小を与える点 ( x, y ) において、 f ( x, y ) f ( x, y ) 0 x y (2.19) (2.20) が成り立つが、これは必要条件では あるが十分条件でない。 その判定には極値を与える点 (a, b) において、下記の (a, b) z f x, y y x 図 5-2 2変数関数、グラフと極値点 の値で分類される。 (a, b) f xx (a, b) f yy (a, b) { f xy (a, b)} 2 5 (1) a,b 0 ならば f x, y は a,b において極値を持ち、さらに f xx a,b 0 f xx a,b 0 ならば極小値、 ならば極大値である。 (2) a,b 0 ならば極値を持たない。 (3) a,b 0 ならば判定不能。 6 Lagrange の未定係数法 g x, y 0 という拘束条件の下で、2変数数値関数 f x, y が、 極大値ないし極小値をとる点 x, y の満たす条件を求める方法。 Lagrange の未定係数法(極値を与える必要条件)とは、 点 x, y において、 を定数として、 f g 0 x x f g 0 y y (2.21) (2.22) の両式が成立する、というものである。 7 [例] 山の斜面が z 4 x 2 y 2 で与えられ、その斜面に x y 1 に沿う道がある。この道の最高点を求める。 2 2 z 4 x y 山の形状 は、 z f ( x, y ) 4 ( x y ) 2 2 4 (1) z=一定の等高線は、xy平面内で同心円 (2) z軸を含む平面内で放物線 を表わす。 拘束条件がなければ、 f f 2 x 0 , 2 y 0 x y であるから、点(x,y)=(0,0)で極値を与え、 f 0, 0 4 である。 x y 1 y 2 ( x ,2y ) ? x 2 図 5-3 拘束条件下での極値は? 8 (高校までのやり方) 拘束条件 g x, y x y 1 0 から y x 1 を f x, y に代入して、 z h x f x, x 1 4 x x 1 2x 2x 3 h x 2 2 2 dh 1 1 1 1 1 4 x 2 0 , x , y 1 , a,b , dx 2 2 2 2 2 また、 h( x) 4 0 であるから、 1 1 a,b , 2 2 は極大点であり、極大値は、 1 1 1 1 7 f , 4 2 2 2 2 2 2 2 である。 9 Lagrange の未定係数法 f g 2 x 1 0 1 x x x y 2x 1 0 , x y , 1 2 f g 2 y 1 0 y y 1 1 1 1 7 f , 4 2 2 2 2 2 2 2 g x, y x y 1 0 10 Lagrange未定係数法の別表記 被評価関数 f x, y 及び拘束条件関数 g x, y で3変数の新たな関数、 F x, y, f x, y g x, y を作る。この関数について、拘束条件なしで点 x, y, の極値候補点となるための必要条件の組は、 F x, y, x 0 F x, y, F 0 0 y 0 F x, y, である。 11 すなわち、 F f g f x, y g x, y 0 x x x x F f g f x, y g x, y 0 y y y y F f x, y g x, y g x, y 0 12 《3変数関数に1個の拘束条件のある場合》 3変数の数値関数 1個の拘束条件 f f ( x, y, z) g g ( x, y, z) 0 f g x x f g f g or y y f g z z (ただし、→-としている) 13 《3変数関数に2個の拘束条件のある場合》 f f ( x, y, z) 3変数の数値関数 拘束条件 { g1 g1 ( x, y, z ) 0 g 2 g 2 ( x, y , z ) 0 f g1 g 2 x x x f g1 g 2 f 1 g1 2 g 2 1 2 y y y f g1 g 2 z z z 14 《 Lagrange の未定係数法の一般表現》 n 次元空間の点 被評価関数 x1 x x n において z f x f x1 , ,xn m 個の拘束条件 g1 x1 , ,xn 0 G x 0 0 g x , ,x n m 1 15 極値をとるための必要条件は、集合 1 , ,m f x1 , ,xn g1 x1 , ,xn x1 x1 1 f x1 , ,xn g1 x1 , ,xn x x n n を用いて、 g m x1 , ,xn x1 m g m x1 , ,xn x n が成立することである。 16 テキスト 26,27ページ 17 18 2章の課題(テキスト問題)と関連分野 2.9, 2.11 2.9, 2.10 力学 量子力学、熱と波動.. (2年前期~) 2.4, 2.5, 2.6, 2.13, 2.15, 2.19, 2.20 熱力学、統計力学..(1年後期~) 19
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