伊勢志摩サミットに共産党が異論 政教関係を正す会

伊勢志摩サミットに共産党が異論
R&R
No326
周知のように、サミットは、当初は「先進国首脳会議」と称され、一九七五年にフラン
ス・アメリカ・イギリス・ドイツ・日本・イタリーの六か国(G6)でスタートし、翌年
にカナダが加わり(G7)
、さらに部分的に参加してきたロシアも二〇〇三年から正式のメ
ンバーになりました(G8)
。
加入当初のロシアは経済が破綻状態で、とても「先進国」とは言えないため、「主要国首
脳会議」と位置づけられたのですが、そのロシアはウクライナに対する軍事干渉やクリミ
ア併合によって、他の国々から厳しく批判されて参加資格を停止されたため、二〇一四年
以降は再びG7に戻ってしまったというのがこれまでの概略の経緯。
サミットの開催地は参加国の持ち回りで、日本はG7時代の第五回・第十二回・第十九
回(いずれも東京)
・第二十六回(沖縄・名護市)とG8時代の第三十四回(北海道・洞爺
湖町)に続いて、来年、二〇一六年の第四十二回(三重・志摩市)で六回目になります。
回数が合わないと思われるかもしれませんが、第三十二回のサンクトペテルブルグに続
いて二〇一四年の第四十回はロシアのソチで開催する予定だったところ、クリミア問題に
起因するロシアの不参加によってG7となってしまったものの、休会とはせずに、急遽E
Uの本部があるベルギーのブリュッセルに開催地を変更して行われたことによります。
さて、この通称「伊勢志摩サミット」の開催に関し、地元の三重県議会の一般質問でこ
れを問題視する見解が出されました。去る九月二十四日の県議会で岡野恵美議員(共産党)
が「伊勢神宮は、戦前は、天皇を頂点とする国家権力と結びついた神社であり、日本の侵
略戦争に最大限に利用されてきた」との前提に立って、サミットの開催地に当地を選んだ
安倍首相の「日本の精神にふれていただくには、大変いい場所」との発言にクレームをつ
け、
「政教分離にふれる問題」だと主張したからです。
これに対して鈴木英敬知事は、
「三重県が有する歴史、伝統文化、産業などは、多くの部
分において、伊勢神宮を抜きにして語ることはできない」し、「観光業、食材や食文化の発
展などにおいても、伊勢神宮による三重県への寄与度は極めて高い」との基本認識を示し、
また「御用材などの高度のリサイクル、独創的な建築様式、調度品の技術伝承など、世界
に誇る持続可能性に関する仕組もあります」と指摘。
その上で、本サミットにおいて、
「各国首脳等に、日本や我が県に様々に恩恵をもたらし
てきた」伊勢神宮を訪れてもらい、
「凛とした空気にふれたり、日本の伝統文化や環境との
共生などを知っていただ」き、
「三重県のよさが発信されること」は「全くもって問題ない」
と明言、その論拠として「津地鎮祭訴訟」最高裁判決が提示した「目的効果基準」を忠実
に引用しました。
つけ加えるものはありません。共産党は予てから伊勢神宮に対する批判を繰り返してき
ましたが(R&R
No258、321参照)、今回も一般の支持は得られないでしょう。
(十月十五日)