心房細動抗凝固療法の疫学研究 (観察研究)について 平成 28 年 5 月 心臓は左右の心房と心室からなり、正常では心房からの規則正しい電気刺激が心室に伝わり、脈が 乱れることはありません。心房細動になると、心房が痙攣するように小刻みにふるえるため、心房か らの電気刺激が不規則に心室に伝わり、その結果、脈の乱れが生じます(バラバラになります)。心 房では血液の流れが澱むことで血栓ができやすくなり、その血栓が移動して脳の血管を閉塞すると脳 梗塞を引き起こします。心房細動による血栓で脳梗塞を起こす方は寝たきり~致死的になりやすく、 心房細動のある方はない方に比べて約5倍脳梗塞になりやすいとわれています。近年、この心原性脳 塞栓症による脳梗塞が増えてきています。 当市(町・村)の特定健診における心房細動の所見率は、2006 年日本循環器学会疫学調査と比較 しても高く、その中には、抗凝固療法を行っていない方もいます。これまでの抗凝固療法は、ワルフ ァリンによるものが主でしたが、より安全性、有効性の高い直接経口抗凝固薬(DOAC)が 2011 年 から使われるようになり、 『脳卒中治療ガイドライン 2015』においても、DOAC による抗凝固療法が 勧められています。 心原性脳塞栓症を予防することは短命県返上にも寄与することから、この度、弘前大学大学院 医学研究科循環器腎臓内科学講座と弘前市・平川市・藤崎町・板柳町・田舎館村の健康増進部局 が協力して、津軽地域における心房細動抗凝固療法の実態と合併している疾病を把握する以下の 研究を行うことと致しました。患者様の御理解と御協力を何卒よろしくお願い申し上げます。 <臨床研究課題名> DOAC 時代における心房細動抗凝固療法の変遷:津軽地域における国保データベースを用いた 観察研究 <研究の目的・方法> 当市(町・村)国保被保険者の方で、心房細動で治療している患者様を対象といたします。本 研究は、抗凝固薬やその他の薬の服薬状況、合併している疾病の状況などの記載がある国保レセ プトデータを用いて研究を行います。研究実施に係わるレセプトデータ類を取り扱う際は、患者 様のプライバシー保護に十分に配慮致します。さらに研究結果を公表する際も患者様を特定でき る情報は一切使用致しません。研究への参加辞退も可能ですが、すでに研究成果が公表されてい る場合もございますので、ご了承ください。 <研究機関・研究チーム> 弘前大学大学院医学研究科 循環器腎臓内科学講座 弘前市・平川市・藤崎町・板柳町・田舎館村の健康増進部局 <本研究に関する問い合わせ先> 本研究に関する個人情報の利用目的や苦情、質問、参加辞退等があれば下記へ御連絡下さい。 弘前大学大学院医学研究科 循環器腎臓内科学講座 准教授 富田 泰史 電話 0172-39-5057
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