【51】生化学分析装置JCA-BM6050を用いた異常反応を検出する

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生化学分析装置 JCA-BM6050 を用いた異常反応を検出するシステムの試み
◎香月 万葉 1)、新開 幸夫 1)、松延 冨与子 1)、岸川 恭子 1)、阿部 美智 1)
地方独立行政法人 佐賀県医療センター好生館 1)
【はじめに】
【結果】
単一クローン性高ガンマグロブリン血症は、
今回、分散値設定を行ったことで、すべての患
生化学免疫検査に干渉し、異常な反応を示すこ
者検体について分析器上で、反応波形のチェッ
とがある。今回、私たちは、IgG κ 型 M 蛋白が
クが可能で、分散異常として、リアルタイムに
Fe の測定に影響を及ぼした症例を経験した。こ
異常反応を検出することができるようになった。
れを基に、異常な波形を検出できる異常検出パ
ラメータを設定し、運用を開始したので報告す
【考察】
る。
M 蛋白による測定値への影響は、他の項目でも起
【症例】71 歳男性。大動脈瘤手術後のフォロー
こりうることであり、これを大量のルーチン業
アップで、汎血球減少の程度が強くなり、精査
務の中から見つけだすことは、きわめて困難で
目的で血液内科紹介となった患者です。貧血の
ある。しかし、異常反応を発見した際は、試薬
精査目的で行われた検査の中で、血清 Fe の結果
や分析器メーカと協力し、異常反応を検出する
が-51μg/dL と極端値を示した。反応曲線を確
仕組みをつくり、改善していくことが、正確な
認したところ、第一試薬添加後、主波長、副波
検査データをより迅速に臨床に報告することに
長ともに大きく変化する異常反応が認められた。
つながると考える。また、他の施設とも情報の
また、この症例では、希釈直線性は良好で、5 倍
共有を図り、より精度の高い検査を求め研鑽し
希釈では、6μg/dL、10 倍希釈では、3μg/d
ていきたい。
L となり、血清 Fe は、30μg/dL と報告を行っ
佐賀県医療センター好生館 0952-24-2171
た。
【方法】
測定機器:JCA-BM6050(日本電子(株)) 測定試薬:クイックオートネオ Fe(シノテスト)
日本電子㈱の生化学自動分析装置 JCA-BM6050 は、
波形チェック機能の一つで、試薬区間波形をチ
ェックする許容値分散チェック機能を有してお
り、この機能を使用するため、主波長・副波長
の各試薬区間における分散値を過去 1 か月の平
均値をもとに算出し、分散値設定の閾値を決定
し、異常検出パラメータの設定を行った。