検診で発見された膵SPNの3症例 熊本県 東 亜紀,阪本 美紀

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検診で発見された膵 SPN の3症例
◎東 亜紀 1)、阪本 美紀 1)、大野 奈緒 1)、迫 宣之 1)
日本赤十字社 熊本健康管理センター 1)
【はじめに】
【考察】
Solid pseudopapillary neoplasm(SPN)は分化方向
腫瘍径が大きな典型例では SPN の特徴である
不明な上皮性腫瘍に分類され、若年女性に発
のう胞成分や石灰化像を伴うが、小腫瘍では
生する稀な腫瘍である。大部分は良性である
のう胞成分のない例や石灰化像のない例があ
が、悪性例の報告もある。多くは、厚い線維
ると思われた。SPN は稀な腫瘍ではあるが、
性被膜を有する球形腫瘍で、充実部分と出血
悪性例も報告されている事より、検診 US でも
壊死性ののう胞部分が共存するが、稀にのう
鑑別疾患として挙げる必要があると思われた。
胞部分のない例も報告されている。今回、当
センターの上腹部超音波検査にて3例の膵
SPN を経験したので報告する。
【症例】
症例1は 32 歳女性。半年前より左季肋部に腫
瘤を触知していた。US にて膵尾部に腫瘍径
98mm ・境界明瞭・凹凸不整の等エコー腫瘤を
認めた。内部にのう胞成分や石灰化像を認め
た。
症例2は 43 歳男性。自覚症状はなし。US に
て膵体部に腫瘍径 26mm ・境界明瞭・凹凸不
整の低エコー腫瘤を認めた。内部に石灰化像
を認めるが、のう胞成分は認められなかった。
症例3は 43 歳男性。自覚症状はなし。US に
て膵頭~体部に腫瘍径 14mm ・境界明瞭・凹
凸不整の低エコー腫瘤を認めた。内部にのう
胞成分を認めるが、石灰化像は認められなか
った。
3症例とも要精密検査の判定となり、精査機
関へ紹介となった。CT,MRI,EUS 等の精査の上、
外科的切除が施行され SPN と診断された。
【まとめ】
今回の症例は女性1例男性2例であった。
SPN の特徴である内部のう胞成分や石灰化像
を伴う典型的な症例と、伴わない非典型的な
症例があった。
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