1 南アフリカ医療情報 以下は必ずしも最新の医療事情では

南アフリカ医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2016 年 6 月
1.赴任前の準備
(1)予防接種
日本から直接入国する場合、入国時に予防接種の接種証明書の提示を求められ
るものはない。しかし、黄熱流行国に 12 時間以上滞在、もしくは経由した 1 歳以上の
入国者には、入国 10 日以前に接種した黄熱ワクチン接種証明書(Yellow Card)の提示
が求められる。
南アフリカに着任後、黄熱ワクチンの接種を受ける場合は、空港内や国内の予防
接種専門クリニックで接種を受ける事ができる。
(南アフリカ入国時に黄熱ワクチン接種証明書が必要な国のリスト)
http://www.flysaa.com/lv/en/planmytrip/TravelAdvisoryNews/YellowFever.html
(2)その他の準備
各種専門医の診療や処方を受けることが可能だが、その際、日本の医師からの紹
介状(Reference letter/英語)がある事が望ましい。日本で使用されている慢性疾患
治療薬はほとんど入手可能だが、商品名に違いがあるため、日本の医師からの紹介
状には成分名が明記されている必要がある。
眼鏡、コンタクトレンズは、眼科医の処方を受けて購入する。ソフトコンタクトが主流
で、使い捨てレンズ、保存、洗浄液等の購入もできる。
2.医療事情
(1)医療機関
首都や州都には、公立及び私立の病院や専門医のクリニックがある。
公立病院は医療保険に加入していない南ア国民が利用する事が多く、設備不足や
医師、看護師等の医療人材不足の現状があること、多くの国民が利用するため非常
に混雑していること等の理由から、日本人の受診に適切とは言えない。
一方で私立病院は、南アの 3 大メディカルチェーン系(Life、Medi-Care、Netcare)
が経営する大型総合病院が医療保険に加入している人や自費で支払い能力のある
人を対象に、高度の医療を提供している。
これらの医療機関は、費用は高額だが外国人の受診者も多く、施設や医療サービス
も非常に充実している。支払いは、クレジットカードの利用が可能である。
一般的な病気の場合、GP(General Practitioner/一般医)を受診して、必要に応じ
てそのGPから専門医を紹介してもらったり、検査室での検査内容の指示をしてもらっ
たりする。開業時間は一般に午前 8 時から午後 4 時半頃までである。
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緊急及び時間外の傷病の場合は、総合病院の 24 時間受け入れ可能な救急外来
(Emergency Room)を利用する。この場合、予約は不要。また、診療は緊急性の高
い人から優先されるため、待ち時間が長い場合もある。
南アの医療のレベルには地域差があり、首都及び大都市圏の私立病院では、第
三次医療までの欧米先進国に引けを取らない医療を受ける事ができる。しかし、地方
では第 2 次医療レベルまでしか期待できず、専門的な治療のためには首都圏の医療
施設に移送されることが多い。
日本人開業医は居ない。人種による医師の教育内容に差異は無いが、歴史的経緯
から、アパルトヘイト前に教育を受けた白人医師が、私立系病院に多く勤務しており、
公立病院には黒人系医師の割合が高い。
日本人がよく利用するプレトリア、ヨハネスブルグ周辺の医療機関は、次のとおり。
① Dr.Regard v.Wyk Clinic (GP クリニック)
Brooklyn Circle, Brooklyn House Suite 102.
TEL:012 460 0035
② Life/Little Company of Mary Hospital(総合病院 救急有)
50 George Storrar Drive, Groenkloof , Pretoria.
TEL:(+27)012 424 3600 (代表) ; (+27)012 460 4744 (救急)
③ Netcare/Unitas Hospital (総合病院 救急有)
Cliffton Av.Lyttelon, Centurion.
TEL:012-6778000
④Netcare/Pretoria East Hospital (総合病院 救急有)
Corner of Garsfontein & Netcare Roads, Moreleta Park
TEL:012 422 2300 (24 時間対応のレイプ外来有)
(2)緊急時の対応と措置
プレトリア市の公的救急車(電話:10177)が利用できる。
また、ADT(携帯:086-121-2501)など民間の警備会社も救急搬送サービスを行っ
ており、個人警備契約に救急搬送サービスが付加できるものもあり、加入時に確認す
るとよい。
また、プライベートの救急車サービスは次の通り。
ER24 Ambulance
TEL:084 124
Netcare 911 Ambulance
TEL:082 911
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
慢性疾患常用薬やアレルギー等で特殊な薬品を必要とする場合は、日本から持参
することを奨励するが、成分名を明確に書いた紹介状があれば、殆どの薬剤は GP
に処方してもらい現地で入手可能である。
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日常の使い慣れた家庭常備薬(風邪薬・解熱鎮痛剤・整腸剤・胃薬等)は、持参す
る事を勧める。
(2)現地で調達できる医薬品
日本の薬局で入手可能な風邪薬、胃腸薬、整腸剤、痛み止め、消毒薬、目薬、虫
さされ用薬、防虫スプレー、ビタミン剤、サプリメント等に相当するものは入手可能。
ただし、日本製品はない。
妊娠検査薬、ニコチンパット、化粧品や各種ローションなども豊富である。
(3)現地で調達できる衛生用品
生理用品、避妊具、包帯、ガーゼ、体温計、血圧計、体脂肪測定器、体重計、アイ
スノン(冷却剤)、温冷枕、コルセット、マスク、手袋、哺乳瓶など乳幼児用衛生器具等、
ほぼ何でも揃う。
(4)薬局
全国のショッピングセンターや商店街には、Parmacy/Apteek(薬局)がある。抗生
物質や特殊な治療薬は、医師の診断を受けた処方箋が必要だが、駐在している薬剤
師に、症状や用途を説明して相談し、適切な市販薬を紹介してもらうことが可能であ
る。営業時間は概ね午前 9 時から午後 5 時ごろだが、病院付属の 24 時間営業の店
もある。救急病院では、その外来で、基本的薬品を常備しているため、救急時は病院
で、直接購入することが可能である。
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
かかりつけの GP から、産婦人科医の紹介を受けて受診することになる。日本と同
様に、妊娠・出産・分娩後診察を一貫して担当する。南アでは、出産のための入院は
通常 2 泊 3 日で、万一母子に異常が起こった場合、各種専門医に転送され、その経
費も莫大となる。
南アでの病院施設や医療技術には問題がないと思われるが、言語や生活習慣の
違い、費用の問題などを考慮すると、日本での出産を強く推奨する。
(2)出産後の対応
母子の産後管理については、日本と同様に定期健診が実施される。
乳幼児対象の予防接種は、日本の子供の定期予防接種のワクチンを入手する事
は可能だが、南アフリカの方式で接種スケジュールが組まれるため、日本のそれより
も種類も頻度も多くなっている。外国人は、受診料及びワクチン料は有料である。
(3)育児
小児健診や予防接種は、日本と差異は無いが、日本の保健所サービスのような育
児支援や母子教育システムは無い。就学前教育施設(幼稚園)は私立で有料であ
る。
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5.手術
(1)現地で可能な手術
大都市圏では、第 3 次医療レベル(脳外科、心血管外科、臓器移植)の医療が、私
立系専門病院で実施されている。地方圏では、第 2 次医療レベル程度で、専門的手
術や重症例は大都市圏病院へ搬送することが多い。
(2)手術設備の状況
地方においても、私立総合病医院には基礎的な手術設備は整っている。首都圏の
病院では、最先端機器が使用されている。
(3)その他の留意点
日本の病院経営方法とは異なり、南アでは病院は建物全体、病棟、手術室などを
管理し、医師や薬局、検査室、レントゲン室等は、病院の建物内に場所を借りて開業
し、それぞれの責任で管理運営を行っている。そのため、病院を受診する場合、各所
で利用料金の精算を行う必要が有る。多くの私立医療機関での受診は高額で、現金
またはクレジットカードで支払うこととなる。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
西部は温帯の乾燥気候、南部は地中海性気候、東部は西岸海洋性気候、内陸部
はサバナ気候と環境差があるが、気候は年間を通じて晴天の日が多く、比較的温暖
である。海岸部以外は高地であるため、同緯度の他国に比べて、やや気温が低くな
る事もある。
首都プレトリアでは、10~3 月が一応夏季にあたり、最高気温は 30℃を越える反面、
地域によっては最低気温も 5℃以下に下がリ、夜は雷雨になることが多い。一方、6
~8 月がいわゆる冬にあたり、最低気温は 0℃近くに下がるが、最高気温は 25℃に
なることもあり、寒暖の差が大きい。この為、風邪や上気道感染症、咽頭炎などが多
い。インフルエンザも流行する事がある。消化器感染症は通年発生しているが、特に
地方の衛生環境の悪さに起因していることが多い。
南アでも、近年の食生活、生活習慣の変化により、全国的に生活習慣病が増加して
いるため、肥満、高血圧、糖尿病、脳心血管障害などの予防と早期治療が勧奨され
ている。
(2)風土病、感染症
マラリアは、他のアフリカ諸国と比べるとその発生数はわずかだが、ムプマランガ
州(クルーガー国立公園含む)、ツゲラ川以北のクワズール・ナタール州北東部など
の低地で、主に熱帯熱マラリアが発生している。10~5 月は、罹患リスクが高い時期
であり、流行地に出かける際は、防蚊対策(マラリア予防内服薬、防虫スプレー、長
袖、長ズボン、蚊取り線香など)が必要である。
ウィルス性肝炎(A 型)、エイズを含む性感染症は季節にかかわらず発生し、特に
HIV/AIDS は、近隣国の中でも高い罹患率を示している。
また、2002 年には 92 名の死亡患者を含む 15,782 名のコレラ患者が発生し、それ
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以降も散発的な発生が見られる。このほか、他、リフトバレー熱など東-南部アフリカ
地域の風土病も時に見られる。
近年、ハウテン州、クワズール・ナタール州、東ケープ州、西ケープ州で、多剤耐性
結核の増加が報告されているため、1 ヶ月以上続く咳、発熱、だるさを自覚した場合、
また、その様な症状を持つ職場の同僚や友人などが周囲にいる場合は、結核感染の
可能性も考慮し注意が必要である。
(3)有害動物、病害虫
狂犬病患者が国全体で毎年数名から数十名登録されているので、事前に予防接
種を受けておくこと、動物には触れない、近づかないといった注意が必要である。万
が一、咬まれた場合はすぐに傷口を洗い、医療機関で適切な治療を受けること。
また、マダニ刺症(African Tic bite Fever)はインフルエンザ様症状を呈する感染
症で、南アでは一般的な疾病。高熱、頭痛、リンパ節腫脹と刺し口周囲の発赤を認め
た場合これを疑い、速やかに適切な治療(抗生物質の投与)を受けることが必要であ
る。
7.保健衛生
(1)飲料水
南アフリカの水道水は、飲用可能であるとされている。しかし、貯水槽や水道管の
汚染、水道管破損や水圧低下による汚水の混入等の可能性は否定できない。その
ため、水道水を飲用にする場合は、最低、必ず煮沸(3~5 分程度)するか、ミネラル
ウォーターを飲用にすることを勧める。
(2)濾過器の入手
薬局で、購入可能である。
(3)その他の留意点
防犯も兼ねて車両移動が多いため、運動不足に陥りがちである。都市にはスポー
ツジム、ゴルフコース、テニスコート、サイクリング等、スポーツ施設は豊富にあるため、
運動の習慣を生活に取り入れると良い。
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