Global Manufacturing Outlook 2016 グローバル製造業の展望 KPMG

Global Manufacturing Outlook 2016
グローバル製造業の展望
2016
日本の製造業の現状―
KPMG GMO 2016調査結果分析
KPMGジャパン
はじめに
製造業は今、他社との差別化を図り世界市場での確固たる競争力を強化するため、
新たな成長機会を積極的に模索しているといえます。
「グローバル製造業の展望 2016 」
(GMO)は、 KPMGインターナショナルの依頼のも
と、フォーブスが世界各地の航空宇宙・防衛、 自動車、コングロマリット、 医療機
器、工学・工業製品、金属業界のシニアエグゼクティブを対象に実施した調査をもと
に構成されています。
本レポートでは、このGMO 調査の結果をさらに深掘りし、日本の製造業を取り巻く
環境から、本調査から見えてくる日本の製造業の現状と課題、またその解決の方向
性について解説しています。
松下 修
ディール・アドバイザリー パートナー
製造セクターヘッド
KPMGジャパン
内田 久
パートナー
マネジメントコンサルティング
製造セクターリーダー
KPMGジャパン
2
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01
日本の製造業を
取り巻く環境
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グローバル化
日本の製造業を
取り巻く環境 1
日本から中国・ ASEAN への中間財の輸出、
中国・ ASEANで組み立てられた最終製品の EU ・ NAFTA への輸出が
特に伸長していることから、生産分業が進んでいることが読み取れる。
2000 年の貿易額(単位: 10 億ドル)
東アジア
800 . 7
67 . 1
169 . 8
58 . 0
47 . 0
27 . 1
42 . 6
86 . 3
53 . 0
163 . 9
66 . 7
1 , 391 . 3
216 . 9
96 . 8
178 . 7
99 . 9
162 . 2
85 . 2
384 . 8
137 . 7
NAFTA
262 . 1
256 . 3
ASEAN
189 . 4
129 . 4
EU
211 . 9
77 . 1
85 . 1
181 . 3
117 . 7
39 . 9
90 . 0
111 . 7
111 . 8
中国
ASEAN
50 . 3
82 . 4
日本
156 . 9
2 , 373 . 6
69 . 4
82 . 1
44 . 2
中国
東アジア
日本
56 . 1
2013 年の貿易額(単位: 10 億ドル)
635 . 8
3 , 210 . 7
140 . 7
523 . 1
NAFTA
EU
341 . 2
464 . 0
1029 . 3
凡例(中間財割合)
70 ~ 100 %
60 ~ 70 %
50 ~ 60 %
40 ~ 50 %
30 ~ 40 %
0 ~ 30 %
4
中間財
割合が高い
最終製品
割合が高い
Note: 矢印の大きさは貿易額、色彩は中間財シェアを示す
出典 : 「通商白書 2015 」
(経済産業省)
(http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku 2015 / 2015 honbun_p/pdf/ 2015 _ 03 - 01 - 01 .pdf)を加工して作成
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日本の製造業を
取り巻く環境 1
グローバル化
国際分業の流れに乗り遅れないために、
国内の製造業企業の海外進出が進行している。
海外で現地生産を行う企業の割合と現地生産比率
(%)
80
70
65 . 9
63 . 2
60 . 4
60
67 . 3
67 . 1
67 . 1
67 . 6
71 . 6
69 . 8
67 . 7
53 . 0
50
40
30
20
15 . 2
8.1
10
17 . 3
17 . 3
17 . 4
17 . 1
17 . 9
17 . 2
20 . 6
22 . 3
11 . 1
0
96
00
05
06
07
08
09
海外で現地生産を行う企業数の割合
10
11
12
13
(年度)
海外における現地生産比率
出典 :「産業連関表」
(総務省)
(http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/ 2015 /honbun_pdf/pdf/honbun 01 _ 02 _ 03 .pdf)を加工して作成
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5
グローバル化
日本の製造業を
取り巻く環境 1
日本企業は既に、アジアでの製販網を形成済み。
今後はグローバルで運用する需給基盤がより重要となっている。
日系製造業アジア現地法人の現地売上・仕入比率(2014 年)
多くの産業が中央付近に分布しており、現地国内でサプライチェーンを展
開しつつも、現地内で閉じてはいないことを示している。
(%)
日系製造業アジア現地法人の現地売上・仕入比率の推移
機械産業は現地調達率が上昇傾向。日系サプライヤーが進出し、地場企
業からの部材供給も拡大していると考えられる。
(%)
100
100
繊維
非鉄金属
80
生産用機械 業務用機械
60
その他
製造業
情報通信機械
40
鉄鋼
化学
輸送機械
80
金属製品
はん用機械
食料品
木材紙パルプ
電気機械
20
総 売 上 額に 占 め る 現 地 比 率
総 売 上 額に 占 め る 現 地 比 率
石油・石炭
輸送機械
60
電気機械
40
20
2000 年 → 2005 年 → 2010 年の推移
窯業・土石
0
0
20
40
60
総仕入額に占める現地比率
6
一般・精密機械
80
100( % )
0
0
20
40
60
総仕入額に占める現地比率
80
100( % )
Note :仕入は、原材料、部品、半製品等の仕入、円の大きさは、現地調達額+現地販売額を表す
出典 : 「海外事業活動基本調査」
(経済産業省)
(http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/result/result_45 .html)を加工して作成
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日本の製造業を
取り巻く環境 2
ライフサイクル
過去 10 年でプロダクトライフサイクルの短期化が進行する中で、
日本企業は自らの意思決定が遅い結果として、世界の競合に対して後れを取っている可能性がある。
過去 10 年でライフサイクルの短期化を感じる企業
電気機械
日本企業が感じている自らの課題
意思決定のスピード
34 . 7
化学工業
仕事の進め方の効率
10
20
19 . 3
成果を正当に評価する制度
17 . 3
経営理念・バリューの浸透
17 . 0
ダイバーシティ
(多様性)
を重視した採用
15 . 7
社員のビジネススキル教育
16 . 3
0
20 . 0
個人の力を活かす最適な人材配置
18 . 2
輸送用機械
20 . 7
人材の入替えの柔軟性
21 . 7
鉄鋼業
24 . 7
投資すべきポイントの見極め
25 . 8
一般機械
26 . 7
新しいチャレンジに対する積極性
26 . 2
金属製品
32 . 0
優秀な人材の積極的な登用
26 . 9
その他
33 . 7
権限と責任の所在の明確さ
30 . 2
非鉄金属
57 . 3
30
40( % )
12 . 7
その他
3.0
0
10
20
30
40
50
60
Note: 半年以上の海外赴任経験がある20 代~ 30 代のビジネスパーソン300 人への複数回答のアンケート調査結果
出典 :「ものづくり白書 2013 」
(経済産業省)
(http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/ 2016 /honbun_pdf/pdf/honbun 01 _ 03 _ 01 .pdf 、
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/ 2016 /honbun_pdf/pdf/honbun 01 _ 03 _ 08 .pdf)を加工して作成
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70( % )
7
日本の製造業を
取り巻く環境 2
ライフサイクル
海外企業が、ライフサイクルの短期化に対応しやすい、機能特化したビジネスモデルにより競合優勢を見出す一方、
日本企業は自前主義による垂直統合モデルに固執する企業が散見される。
設計開発
デバイス製造
プロダクト生産
垂直統合企業
ファブレス企業
クアルコム
(ロジックIC )
ザイリンクス
( FPGA )
エヌビディア
(画像処理用 LSI )
AMD
( CPU 、 GPU )
8
ファウンドリー企業
ファウンドリー企業
TSMC
(デジタル、半導体 等)
UMC
(半導体)
GLOBALFOUNDRIES
(半導体)
EMS 企業
ホンハイ
(デル、 Apple 等)
フレクストロニクス
(ゼロックス、 HP 等)
ジェイビルサーキット
( GM 等)
セレスティカ
(マイクロソフト 等)
出典 : KPMG 分析
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02
日本の製造業の
現状
-KPMG GMO調査結果分析
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日本の
製造業の現状
研究開発費(R&D)投資対象
日本企業は、海外企業と同様に、先端技術を重要な投資対象とみなしている。
Q
次の製造技術のうち、
今後 12 ~ 24ヵ月に多額の R&D 投資を予定しているのはどれですか?
グローバル
日本
N= 360
%
積層造形( 3 Dプリンティング)
ロボット工学
人工知能/
コグニティブ・コンピューティング
31
35
32
39
30
%
積層造形( 3 Dプリンティング)
21
6
18
11
ロボット工学
12
人工知能/
コグニティブ・コンピューティング
32
35
29
3
35
32
26
6
29
3
33
43
19
5
先端材料科学
材料接合技術
33
44
19
4
材料接合技術
投資するかもしれない
32
9
先端材料科学
必ず投資する
41
25
25
34
N= 34
既に投資済みのため、今後の投資は予定していない
41
29
26
38
26
6
現時点で投資する予定はない
10
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研究開発費(R&D)投資意欲
日本の
製造業の現状
さらに、日本企業は海外企業と比較して、より研究開発に投資する意思を示している。
Q
あなたの会社が過去 2 年間にR&D /イノベーションに費やしたのは収益の大体何%でしたか? 今後 2 年間は収益の何%を費やす予定ですか?
グローバル
日本
N= 360
%
N= 34
%
38%
32%
28% 28%
28%
21%
21
19
17%
29%
21%
17%
14
24%
18%
12
9
9
6
4
4
1
0-1%
2-3%
4-5%
6 - 10 %
10 % 以上
分からない
過去 2 年間
3
0
0-1%
今後 2 年間
2-3%
4-5%
6 - 10 %
10 % 以上
分からない
11
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自前主義からの脱却
日本の
製造業の現状
また、日本企業は技術獲得の方法として、外部リソースを重視しており、自前主義からの脱却の萌芽が見られる。
Q
先端技術の追求にあたり、 1 つもしくはそれ以上のサード・パーティー(例:戦略的パートナーシップ/アライアンス/ JV など)と
提携を結ぶ可能性はどの程度ですか?
グローバル
日本
N= 360
%
N= 34
47
%
50%
23
18
18
15%
12
8
6
2
可能性は
高い
多少の
可能性は
ある
どちらでも
ない
あまり
可能性は
ない
可能性は
全くない
2
分からない
0
可能性は
高い
多少の
可能性は
ある
どちらでも
ない
あまり
可能性は
ない
可能性は
全くない
分からない
12
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日本の
製造業の現状
パートナーシップの可能性
日本企業は、形式にこだわり他企業とのインフォーマルな取組みをためらう傾向にあるため、
新たなビジネスチャンスを逃している可能性がある。
Q
あなたの会社は成長に関する優先課題に対処するため、次の手段をどの程度用いる予定ですか?
グローバル
日本
N= 360
N= 34
%
他企業の合併・買収
18
39
40
%
他企業の合併・買収
3
32
53
15
0
他企業との公式な協業関係の締結
(例:ジョイント・ベンチャー、
戦略的アライアンス)
22
36
39
他企業との公式な協業関係の締結
(例:ジョイント・ベンチャー、
戦略的アライアンス)
3
32
50
15 3
2
他企業との非公式な協業
44 %
他企業との非公式な協業
16
39
29 %
47
24
0
有機的投資( R&D の拡大を含む)
1
61
34
4
有機的投資( R&D の拡大を含む)
74
24
3
0
主として用いる予定である
ある程度用いる予定である
全く予定していない
分からない
13
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日本の
製造業の現状
成長を阻むリスク
日本企業は、外部環境の激しい変化に対応し成長するためには、組織のリーダーの能力が最も重要だと考える一方で、
その能力の有無を最も大きなリスクとしても捉えている。
日本企業は意思決定のスピードがグローバルより遅く、柔軟性に欠ける傾向が見受けられる。
Q
成長政策を進める上で、今後 12 ~ 24ヵ月間における組織にとってのリスクは何だと捉えていますか?
グローバル
日本
N= 360
%
今後5年間の明確なビジョンの欠如
新規参入企業によるセクターの混乱
変化を促進し得る
組織のリーダーの能力
必要な人材を獲得・
維持する力の欠如
27
34
29
54
46
55
%
18
今後5年間の明確なビジョンの欠如
19
新規参入企業によるセクターの混乱
必要な人材を獲得・
維持する力の欠如
15
37
47
16
サプライチェーンの配送不備
ブランドに影響を及ぼす問題
38
48
15
ブランドに影響を及ぼす問題
規制の不確実性
35
27
エネルギーコストの大幅な増加
39
景気低迷
36
46
53
47
46
重大なリスク
32
26
変化を促進し得る
組織のリーダーの能力
20
サプライチェーンの配送不備
資金不足
14
42
39
N= 34
19
資金不足
20
規制の不確実性
景気低迷
18
多少のリスク
50
47%
32
41
21%
26
62
41
41
35
26
41
24
18
24
32%
26
エネルギーコストの大幅な増加
14
50
18
44
21
59
15
41
47
12
18
29
リスクではない
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日本の
製造業の現状
成長を阻むリスク
日本企業は、グローバル企業と比べて将来のビジョンの欠如、優秀な人材の確保、ブランド毀損等にリスクを強く感じている。
また、経済の減速リスクについては、グローバルでは大きなリスクと捉えている一方で、
日本は他の項目と同程度のリスク感度である。
Q
さらにそれらのうち、最も重大なリスクは何だと捉えていますか?
グローバル
N= 360
日本
%
景気低迷
22%
新規参入企業による業界の混乱
13
変化を促進し得る組織のリーダーの能力
11
サプライチェーンの配送不備
11
エネルギーコストの大幅な増加
10
資金不足
8
N= 34
%
景気低迷
12%
新規参入企業による業界の混乱
9
変化を促進し得る組織のリーダーの能力
9
サプライチェーンの配送不備
15
エネルギーコストの大幅な増加
12
資金不足
6
今後 5 年間の明確なビジョンの欠如
7%
今後 5 年間の明確なビジョンの欠如
12%
必要な人材を獲得・維持する力の欠如
7%
必要な人材を獲得・維持する力の欠如
12%
規制の不確実性
ブランドに影響を及ぼす問題
7
4%
規制の不確実性
ブランドに影響を及ぼす問題
3
12%
15
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日本の
製造業の現状
成長へ向けた準備
震災を含めた、地政学的リスクに直面し、為替等の対応施策として海外進出、
また現地化を実践している日本企業は、成長のための人材、プロセス、テクノロジー、サプライチェーンマネジメントについて
積極的に準備を進めている。
Q
サプライチェーンマネジメントにおける人材、プロセス、テクノロジーについて考えた時、
あなたの企業は成長へ向けた準備ができていると思いますか?
グローバル
日本
N= 360
%
N= 34
%
62%
52
22
21
21
9%
できている
ほぼ
できている
部分的に
できている
3
2
できているとは
言えない
分からない
できている
6
ほぼ
できている
部分的に
できている
できているとは
言えない
3
分からない
16
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日本の
製造業の現状
可視性の維持
成長のため、またリスク軽減の観点から、日本企業は、 Tier 1 、 Tier 2レベルの可視化について高いレベルを維持している。
ただし、サプライチェーンの可視化は難易度が高いため、より完成された可視化レベルに到達できるかが今後の課題である。
Q
サプライヤーおよびロジスティクス・パートナーの供給・物流能力に関する情報の可視性はどの程度ですか?
N= 360
可視性がない-Tier1サプライヤーに対する可視性がほとんどまたは全くない
5
グローバル
部分的な可視性がある-( Tier 1サプライヤーに対する限定的な可視性はあるが、
Tier 2およびその下請けのサプライヤーに対する可視性は全くない)
38
高い可視性がある-( Tier 1サプライヤーと、一部のTier 2サプライヤーに対する可視性がある)
39%
完全な可視性がある-( Tier 1 、 Tier 2およびその下請けのサプライヤーに対する可視性がある)
13%
分からない
4
%
N= 34
可視性がない-Tier1サプライヤーに対する可視性がほとんどまたは全くない
3
日本
部分的な可視性がある-( Tier 1サプライヤーに対する限定的な可視性はあるが、
Tier 2およびその下請けのサプライヤーに対する可視性は全くない)
21
高い可視性がある-( Tier 1サプライヤーと、一部のTier 2サプライヤーに対する可視性がある)
53%
完全な可視性がある-( Tier 1 、 Tier 2およびその下請けのサプライヤーに対する可視性がある)
分からない
21%
3
%
17
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日本の
製造業の現状
サプライチェーンにおける優先課題
日本企業のサプライチェーンのリスクに対する問題意識の高さと可視化レベルの高さは、
サプライチェーンの分析やサプライチェーンを実現するネットワークに対する施策の優先順位の高さに表れている。
Q
次の業務上の課題のうち、今後 12 ~ 24ヵ月間に最も優先順位が高いものはどれですか?
グローバル
日本
N= 360
%
%
提供コスト
32
提供コスト
企業戦略との整合性
32
企業戦略との整合性
サプライチェーン分析
32
サプライチェーン分析
41%
ネットワークの設計
41%
ネットワークの設計
28
SKU の合理化
27
サプライチェーンのセグメント化
統合されたビジネスプラン
18
N= 34
26
24
29
26
SKU の合理化
サプライチェーンのセグメント化
統合されたビジネスプラン
18
12
32
注:回答者は上位 2つの選択肢を選択
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日本の
製造業の現状
サプライチェーンとテクノロジー投資
日本企業は、統合された事業計画、サプライチェーンの分析、 IoT 等、多くの領域で投資意欲は旺盛だが、
旧来から重要と考えられている需要予測の高度化やコストダウンに直接的に効果のある調達システムの投資に、
より多くの関心と投資意欲を持っている。
Q
今後 12 ~ 24ヵ月間に、次のシステムまたはテクノロジーのいずれかに投資する予定はありますか?
グローバル
日本
N= 360
%
統合されたビジネスプラン
全社的業績管理
サプライチェーン分析
14
30
22
SKU 管理
16
調達から支払いまでの自動化
16
需要の把握
モノのインターネット
( IoT )
33
21
29
24
32
34
38
42
21
39
26
16
N= 34
%
統合されたビジネスプラン
全社的業績管理
28
17
サプライチェーン分析
33
14
SKU 管理
24
18
調達から支払いまでの自動化
15
需要の把握
26
36
26
13
モノのインターネット
( IoT )
世界的な需要の管理
21
32
32
16
世界的な需要の管理
調達システム
21
29
36
15
調達システム
16
38
32
15
18
34
35
13
サプライチェーン・パートナーとの
オンライン・コラボレーションツール
顧客対応テクノロジー
必ず投資する
投資するかもしれない
サプライチェーン・パートナーとの
オンライン・コラボレーションツール
顧客対応テクノロジー
既に投資済みのため、今後の投資は予定していない
24%
41%
12
35
21%
6
24
38%
26% 21%
15% 44%
15
24
21
21
26
32
21
26
41
32
32% 18%
12
18
29
32
3
29
41
32
12
32
12
29
41
44
15
21
26
26
現時点で投資する予定はない
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12
18
19
日本の
製造業の現状
サプライチェーンとテクノロジー投資
日本企業はデジタルツールとして、データ分析、クラウド、モバイルプラットフォーム、アプリ開発等を重要だと考えている。
海外の投資動向と比べてモバイルプラットフォームの投資意欲が高いことが見受けられる。
Q
今後 12 ~ 24ヵ月間のサプライチェーン管理におけるデジタルツールの活用について、最も優先順位が高いものは何ですか?
グローバル
日本
N= 360
%
データアナリティクス
37%
クラウド
31%
モバイルプラットフォーム、アプリ開発、
また、それらのツールが
サプライチェーンに与える影響
19
ソーシャルネットワーキング/
コラボレーションプラットフォーム、
また、それらがサプライチェーンに与える影響
分からない
10
3
N= 34
%
データアナリティクス
29%
クラウド
29%
モバイルプラットフォーム、アプリ開発、
また、それらのツールが
サプライチェーンに与える影響
32%
ソーシャルネットワーキング/
コラボレーションプラットフォーム、
また、それらがサプライチェーンに与える影響
分からない
9
0
20
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03
国別見通し
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国別見通し
日本
Japan
岡本 准
ストラテジーグループ パートナー
KPMG ジャパン
エレクトロニクス製品製造に関する日本の世界的な競争力は、中国・
る動きがあり、製造機能においては、マスカスタマイゼーションを想
器受託製造サービス(EMS)企業の台頭により、少しずつ削がれ始め
ンティングによる付 加 製 造(additive manufacturing)へ 移 行する動
台湾・韓国をはじめとする東アジアに本拠地を置く低コストの電子機
ています。彼らはコスト競争力と製造技術のキャッチアップ力により、
日本の総合エレクトロニクス企業との競争に勝利しており、今や日本
の総合エレクトロニクス企業は、事業の選択と集中をせざるを得ない
状況に追い込まれているといえます。
一部の企業にとってこれが意味するところは、 1つの明確なポイント・
ソリューションに対する取組みを強化し、ハードウェア単体販売からソ
フトウェア・サービスを一体的に提供するビジネスモデルへの転換に
より、より価値のあるエンドツーエンドのソリューションを創造するこ
とであり、また一方で別の企業にとっては、先端技術を活かした高付
加価値領域に特化するため、既存の能力やテクノロジーの活用に焦
点を当てることであるといえます。
どちらのビジネスモデルを取るにせよ、日本の製造業は情報通信技術
定し、従来型の除去製造(subtractive manufacturing)から3 Dプリ
きが見られます。
高 付 加 価 値 製 品の生 産に重 点を置きたいと考えているメーカーは、
熱/力/光といった制御が難しい「擦り合わせ」が効く要素技術に強み
のある設計・製造領域への集中を進め、
「 組合わせ」が効く組立て工程
の標準化を進める過程では、ジョイント・ベンチャーやM&A の動きが
出てくることも考えられます。
これまで日本のメーカーが保守的なアプローチを取ってきたことを考
えれば、多くのメーカーが、これからは成長目標を積極的に追求して
いくと述べていることは意外ではありません。日本の製造業は、世界
市場での競争力を保つために、自らのビジネスモデルを大きく転換す
べく積極的に取り組んでいるといえます。
(ICT)への投資を加速させる必要があるという意識が高まっており、
本サーベイ調査に回答した日本企業の約 4 分の1 が、今後 2 年間で収
益の 10 % 以上をR&D に費やすと答えていることは明るい兆しといえま
す。 2015 年に発足した「インダストリアル・バリューチェーン・イニシ
アティブ(IVI)」は、日本のメーカーがドイツのインダストリー 4 . 0 等を
はじめとする同様の取組みに対抗する動きであり、世界的な競争力立
て直しの後押しになると見られます。
さらに日本のメーカーは、イノベーションに対するアプローチを修正
しつつあります。 R&D 機能においては、これまで国内拠点中心であっ
た企業が、海外の現地ニーズに対応すべく、積極的に海外にシフトす
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国別見通し
中国
China
中国は投資集約的な輸出主導型の成長モデルから、消費とイノベー
ションに牽引された成長モデルへと移行しつつあります。
そしてその結果、中国では「ツートラック(二重路線)」経済が発展しつ
つあります。
1つ目のトラックは鉄鋼、造船、工業製品といった中国の伝統的なセ
Alex Shum
Audit Partner and Industrial
Manufacturing leader
KPMG in China
Daniel Chan
Audit Partner
KPMG in China
い重要な市場です。イノベーションや新しいテクノロジーへの投資を
もたらすことができる外国人投資家は、中国に力強い成長機会を見
出すでしょう。しかし、中国メーカー自身はバリューチェーンの川上へ
の移動や海外拠点の拡大に意欲的であり、そこから、競争だけでなく
コラボレーションの機会も生まれています。
クターで構成され、これらのセクターに属する企業は今や、需要の低
迷や大幅な過剰生産能力問題などいくつもの課題に直面しています。
2つ目のトラックは 1つ目よりも成 長スピードが速く、 主 に消 費 者や
サービスに焦点を当てたセクターおよび企業で構成されており、イノ
ベーションやテクノロジーに牽引されたセクターや企業もここに含ま
れます。結果として、医療機器その他の高機能製品を扱うメーカーな
ど、より先進的でイノベーションに富んだ企業は目覚ましい成長を遂
げており、 2016 年もこの勢いを維持すると見られます。
それと同時に、中国は第 13 次五ヵ年計画で外国直接投資(ODI)に焦
点を当てています。これにより、海外進出に熱心な中国の製造セク
ターと外国企業との間で、競争が激化することが予想されます。
成長を目指すメーカーにとって、中国は依然、無視することのできな
―自社の成長戦略を「非常に積極的」と答えた回答者の割合は、世界全体では 18 % だったのに対し、中国では 28 % だった
― 31 % が今後 2 年間で収益の 10 % 以上をR&D に費やすと答えた
― 56 % が M&A は成長戦略を推進するのに役立つと考えている
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国別見通し
ドイツ
Germany
Harald von Heynitz
Head of Industrial
Manufacturing
KPMG in Germany
これまでもそうだったように、ドイツにとって、黒字成長を実現する最
一方で、ドイツのメーカーは自動化の導入も積極的に行っています。
国はこれまでと比べてやや心許ないように思われます。中国の景気減
効率性の改善も理由の 1つです。そのため、製造現場の労働者がロ
も確実な道は輸出の拡大です。しかし現在、ドイツの主要貿易相手
速を理由に、重機メーカーをはじめとするドイツのメーカーの貿易に
は混乱が生じています。また他の欧州諸国における景気の不透明感
国内の労働者が要求する賃金水準が高いことが大きな原因ですが、
ボットに取って代 わられ、アルゴリズムに基 づいて意 思 決 定 を行う
ケースが増えてきている今、デジタル化を進めることが求められるで
を背景に、投資は減速傾向を辿っています。そして、ドイツの輸出財
しょう。簡単に言えば、ドイツのメーカーが自動化やロボット工学に
製品との熾烈な競争に晒されつつあります。
うのであれ ば、デジタル化への投資も必要になる可能性が高いので
併よりも有機的投資を通じた成長を選好し、新規市場への参入よりも
世界を揺るがすような大きな出来事が起きないと仮定した場合、ドイ
は世界の至る所で(多くの場合、よりコストの低い)中国およびアジア
その結果、ドイツのメーカーはこれまでよりもやや慎重さを強め、合
コストの抑制と競争力の強化に重点を置いています。
ドイツのメーカーが注力すべきなのはデジタル化です。ドイツのメー
カーは「インダストリー 4 . 0」という言葉を使い始めた先駆け的存在で
あり、ほとんどのメーカーは、デジタル化が将来の成長と競争優位の
鍵を握ることを認識しているように見えます。しかし、ドイツにおける
対する投資を(財務面でも、競争力という面でも)フル活用したいと思
す。
ツのメーカーは、今後 1 年間、輸出市場と海外拠点の拡大に再び焦
点を当てることになるでしょう。これらに対する投資と、デジタル化へ
の重点的な取組みとを組み合わせることができれ ば、新しい市場で
有利な立場に立つことができると思われます。
デジタル化への取組みは遅々として進んでいないのが実情です。大手
メーカーの大半は、競合他社か顧客からの圧力を受けて本格的に取
り組まざるを得なくなるまで、デジタル化というテーマを不必要に弄ぶ
だけで満足しているように見えます。
―ドイツの回答者の 53 % が、自社の成長に最も影響を及ぼすのは経済成長見通しだと答えた
― 45 % が成長という課題を実現するためにロボット工学に投資すると回答した
― 40 % がサプライチェーンに関する最優先課題は提供コストを理解することだと答えた
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国別見通し
インド
India
他市場がつまずいたり、減速したりする中で、インドは世界の経済成
長における希望の星として浮上しています。世界のメーカーは、もは
やインドを無視することはできません。
その理由の1つは、国内消費が増加を続けていることにあります。次
第に豊かさを増す消費者や力強い経済成長に支えられ、インドの国内
S.V. Sukumar
Partner, Management Consulting,
Head of Strategy & Operations practice
KPMG in India
資要件や製造規制の簡略化を進めれ ば、投資は今後加速していくと
見られます。
しかしながら、世界的サプライチェーンの一角としての重要性が高ま
り、サプライチェーンへの統合が進んでいく中で、インドのメーカー
は、他市場の経済的ショックや混乱と無縁ではいられないことを認識
市場は世界最大の市場の 1つとなりました。また政府が道路、鉄道、
し始めています。したがって、インドのメーカー(およびインドの製造
は成長の一途をたどると思われます。
社が抱えているリスクを見直し、適切に管理する必要があります。
港湾などのインフラに対する投資を拡大していることから、国内市場
さらに、インド自体が、地域内のより小規模な(とはいえ成長途上にあ
る)市場や、より大規模な(しかしコスト効率があまり良くないか、安
定性に劣る)新興国市場に販売する際の貴重なハブであることも一因
工場に依存する外国企業)が持続的な成長を実現するためには、自
世界中のメーカーが深い不透明感に対処しようとしている中、インド
は強力で信頼できる相手として台頭しつつあります。
です。つまりメーカーは、インドをこの地域における低コストの製造セ
ンターと、極めて重要な消費者市場の両方として捉えているのです。
首相が提唱した「メイク・イン・インディア」キャンペーンは想定よりや
や遅れているものの、そのメッセージが多国籍メーカーの最高経営責
任者(CEO)の耳に届いていることは明らかです。まだ完全には多額
の資金投資につながっていないものの、これまでに発表・締結された
覚書(MoU)の数は期待がもてる水準です。インド政府が外国人の投
―インドの回答者の 76 % が、自社の成長見通しに自信があると答えた
― 62 % が新製品を立ち上げるために多額の投資を行うと答えた
― 68 % が自社のサプライチェーンは成長に有利な状態にあると考えている
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国別見通し
米国
United States
米国のメーカーは、自社が熾烈な競争が繰り広げられる世界市場で
事業を営んでいることを自覚しています。東からは新しい競争相手や
破壊者が次々と現れ、その一方で、新しいテクノロジーによって製品
のライフサイクルはますます短くなりつつあります。
Brian Heckler
Global Lead Partner for Johnson Controls and
US National Sector Leader, Industrial Manufacturing
KPMG in the US
する(そうすることで、より確実で安定した収益源が得られる)方向に
シフトすることが可能になります。
コネクテッド製品がメーカーの顧客により多くの価値をもたらすことは
間違いありません。しかし重要なのは誰がそれを最初に実現するかだ
また多くのメーカーは、こうした現実を熟慮して製造オペレーションを
けではなく、機械をどれだけ「スマートに」できるかという点です。米
ンの管理に引き続き力を入れています。
せ、その過程で大きな競争優位を手に入れるための豊かな土壌があ
最適化し、次第に複雑さを増し、相互依存性を強めるバリューチェー
おそらく目下、米国で最もエキサイティングで興味深いテーマは、テ
クノロジーがいかに急速に米国の製造環境を変えつつあるかという点
でしょう。 3 Dプリンティング、ナノテクノロジー、先端材料科学、そし
て(次第にではありますが)
「コネクテッド製品」の台頭は、どれもメー
カーが製品を設計、生産、販売する方法を一変させつつあります。
米国の回答者の 63 % が、モノのインターネット(IoT)に関連したテク
国には、データや分析、コグニティブ・コンピューティングを一体化さ
ります。
1980 年代のデジタルの興隆以来、米国の製造セクターがこれほどエ
キサイティングだったことはありません。とはいえ、米国のメーカーが
これらの進化やテクノロジーを最大限に活用するためには、まず自身
の処理・分析能力を高め、価値提案を見直す必要があります。
ノロジーに投資する計画だと回答していることから、今後数年間は既
存のビジネスモデルや経営モデルに大幅な変更が加えられることにな
るでしょう。メーカーは、常にネットワークに接続されたスマートな新
製品によって循環型製品ライフサイクルの管理戦略を立てることが可
能になり、そして多くの場合、製品の販売だけでなくサービスも提供
―米国の回答者の 34 % が、既存事業を守ることが最大の優先課題だと答えた
― 81 % がイノベーションを加速するために他社と協力すると答えた
― 63 % が IoT に投資すると答えた
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国別見通し
英国
United Kingdom
英国メーカーが経済の混乱を懸念していることに不思議はありません。
過去1年間、欧州連合(EU)経済は強い逆風に見舞われており、また英
国のEU離脱を巡る国民投票を前に、企業役員が様子見の姿勢を取って
いることから、EUを離脱した場合の影響に対する懸念が国内投資と海外
投資の両方に影を落とすおそれがあります。
原油価格の低迷が予想以上に長期化し、また有利な為替レートがある程
度の経済成長を支えたものの、それが永遠に続くわけではありません。
一方、コモディティの投入価格は今後も不安定に推移する可能性があり、
メーカーは、収益性への影響を管理するにはどうすればよいかを理解し
なければなりません。
主要新興国市場であるインド、中国、ブラジルの景気減速が続くという見
通しも、これらの市場と深く関わっているメーカーを悩ませています。
有機的成長の実現が難しいことを理由に、多くの英国メーカーが、粗利
益と販売管理費という両方の観点からコストに焦点を当てているのは正し
い判断と言えるでしょう。しかし産業用モノのインターネットをはじめ、テ
クノロジーの進化を活用するにはビジネスモデルの見直しを進める必要
がありますが、純利益だけに重点を置いていたのではそれは不可能です。
自動車セクターを含め、多くのメーカーはもう何年もビジネスモデルをほ
とんど変えないでいたものの、ここへ来てパラダイムシフトに直面してい
ます。新しいコネクテッド・テクノロジーを取り入れ、活用し、カスタマ
Stephen Cooper
Partner, Head of Industrial
Manufacturing and Automotive
KPMG in the UK
イズされた製品機能を提供し、サービスの機会を増やすにはどうすれば
よいのか。それとも、より簡単な
「金属加工の会社」のままでいるのか。
一部のメーカーにとっては、明らかに、イノベーションとR&D投資の大幅
な変更が答えとなるでしょう。英国には常に優れた生産設計とデザイン能
力という豊かな遺産がありました。多くのメーカーが、これらのスキルを
活かし、例えば自動運転車やコネクテッドカーなどのR&Dを通じて、新
たな競争優位を得たいと考えていることは明白です。
別のメーカーにとっては、顧客需要のリアルタイム更新を重視し、サプ
ライチェーン全体に対する深い可視性に支えられた需要主導型サプライ
チェーンに移行することが、変化と歩調を合わせていくことに役立つと思
われます。
英国はいつの時代も強力で、イノベーションに富み、強靭な製造立国で
した。しかし今や、岐路に立たされています。英国はどのような製造業
のセンター・オブ・エクセレンスになりたいのでしょうか。私は、革新的
なテクノロジーとサイバーセキュリティに関する確かな理解に支えられた
デザイン能力とイノベーションにこそ未来があると考えています。しかし
それには民間投資と公共投資の両方が必要であり、英国の製造セクター
が次の世代も繁栄していくためには、適切なスキルの構築に何よりも力
を入れる必要があります。
―英国の回答者の 61 % が、自社の成長という課題に最も影響を与えるのは経済成長だと答えた
― 44 % がコストとパフォーマンスを非常に重視していると回答した
―同じく44 % が今後 2 年間に収益の 6 % 以上をR&D に投じると答えた
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04
KPMGに
できること
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KPMGに
できること
KPMG 製造セクター
KPMG の製造セクター・ネットワークは、世界各国のKPMGメンバーファームを拠点として、
製造業界に特化した経験と知識を有するプロフェッショナルで構成されています。
KPMG のサービスは、製造業界のクライアントの皆さまが直面する、
以下のような主要問題や市場の優先課題に対処することができるよう支援することに重点を置いています。
成長に関するテーマ
・企業の構造改革、ビジネスモデル
の変革
・高成長市場戦略
・市場への参入と業務拡大
・M&Aおよびトランザクション
サービス
・コーポレート・ファイナンス、
バリュエーション
・プライベート・エクイティへの投資
コストおよび競争力に
関するテーマ
・サプライチェーン、流通に関する
ソリューション
・調達に関する変革
リスク、ガバナンス、
規制に関するテーマ
・全社的リスク管理
・経営管理の高度化
・業務効率の改善
・ガバナンス、報告、規制関連
サービス
・社内業務改善とソーシングに関す
るアドバイザリー
・債務に関する助言および証券化
・財務の変革
・R&D の管理戦略
・IT に関するアドバイザリー・
ソリューション
・グローバル税務および移転価格
サービス
・サステナビリティ
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KPMGに
できること
エレクトロニクス企業の構造改革
支援事例①
KPMG FAS 1による、エレクトロニクス企業の構造改革に対する全面的な支援事例です。
俯瞰的立場にあるコーポレートと客観的立場にあるKPMG FASとの混成チームで、構造改革計画を策定しました。
Phase 1(2ヵ月)
計画策定と
実行支援の
プロセス
プロセスの
要諦
役割
分担
抜本的構造改革計画の策定
再生実行
基盤の構築
幅広いバックグランドのメンバーが専門性を相互作用させることにより、
俯瞰的な視点で客観性の高い施策を策定すること
クライアント(コーポレート部門)
実行計画遂行に
伴う成果創出
実行計画の遂行
対象事業部が主導することにより当事者としてのモメンタムを醸成しつつ、
外部専門家が知見を適宜入れることにより適切な方向性を担保すること
対象事業部
KPMG FAS
KPMG FAS
対象事業部
構造改革や財務に関する外部
知見やフレームワークの提供を担当
各イニシアチブの運営と全体管理を
主導することを担当
PMO への知見提供と、各
イニシアチブへの助言を担当
多様なコーポレートメンバーから
なる専任チームを組成
事業再生に加え、戦略や財務に
専門性を有すメンバーによって構成
リーダーに事業本部長、各イニシアチブの
トップを部長が担う形で構成
構造改革に携わった
メンバーにより構成
事業
事業部
No.2
本社
副社長
リーダー
戦略
業務
本社
企画部
本社
企画部
本社
監査部
事業本部長
相互
作用
戦略/業務
エキスパート
財務
財務
本社
財務部
PM
報告
事業部
会計士
全体統括
製造業/戦略
エキスパート
戦略/業務
戦略/業務
エキスパート
リーダー
本部長・
NO.2 の
強い
コミットを
提示
執行役
事業本部長
イニシアチブ A
XX BU
部長
イニシアチブ B
YY BU
部長
PMO
事業
企画担当部
イニシアチブ C
コーポレート
ZZ BU
部長
・・・
サポート
推進方法
対象企業に関する
インプットとアウトプット評価を担当
適宜相互共有
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構造改革の実行
改革プランの
運営体制
初期設計
抜本的構造改革
プランの策定
事業課題の特定
責任者
体制
Phase 2(6ヵ月)
全体統括/PM
再生/戦略
エキスパート
財務
会計士
戦略/業務
戦略/業務
エキスパート
本社 企画部
1 :KPMG ジャパンを構成するプロフェッショナルファームの1つ
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KPMGに
できること
エレクトロニクス企業の構造改革
支援事例①
インタビューと定量分析を中心に本質的課題の特定を行い、
対象会社ケイパビリティと外部リソース活用度を踏まえて課題解決の抜本策を検討しました。
対象企業の構造改革の検討枠組み
何が課題か?
(事業課題の特定)
あるべき姿
・事業部目標と
現状の差異
・経営陣の考え
・コーポレートの
考えに基づく議論
関係者の問題認識
・責任者と製造部
門と販売部門の
問題認識
・問題事象と原因
の構造化
どうやって解決するか?
(構造改革計画の策定)
経営指標の実態
・事業部門の収益
性
・競合ベンチマーク
による目安となる
競争力
・ベンチマークに
よる、あるべき
水準
リソース有効性
・事業部門の
制約条件
・外部リソース
の活用可能性
打ち手
・課題解決の
効果
・課題解決の
シナリオ化
課題解決の実効性をどう高めるか?
(改革の運営体制初期設計)
事業部実行体制
・イニシアチブ
の立上げ要否
・責任者と担当
者のアサイン
コーポレートの
モニタリング体制
・管理基盤の
構築(KPI /
時期等)
・差異発生時の
対処
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KPMGに
できること
製造メーカー
支援事例②
KPMGコンサルティング2による、経営管理業務の高度化、
経営管理組織の高度化、決算業務の効率化の支援事例です。
背景
・高度化
事業環境の変化に対応した経営
判断ができていない
・スピード化
市場から要請されている決算早
期化
・効率化
グループ会社含めての経理業務
の煩雑さ
目的
・経営管理の組織の強化
・経営判断情報の最適化
・経理業務の効率化
対策
・新経営管理組織の役割、体制、
機能の構築
・新経営管理指標の構築
・月次管理会計の構築
・実行責任と数値責任の明確化
・決算期間の短縮
2 :KPMG ジャパンを構成するプロフェッショナルファームの1つ
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できること
製造メーカー
支援事例②
システム開発プロジェクトの管理レベル向上を支援しました。
背景
・効率化
限られた IT 予算
・スピード化
事業環境の早い変化
・柔軟性
事業環境の激しい変化
目的
・システム開発納期順守率向上
・システム開発品質向上
・システム開発経営課題解決支援
対策
・ベンダーマネジメント強化
・プロジェクト管理強化
・コミュニケーション強化
・IT 部門のビジネス理解強化
・IT 部門の最新技術の収集強化
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For more information
本調査のフルレポートは、
こちらよりダウンロードいただけます。
www.kpmg.com/jp/gmo-survey
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KPMG 発行の関連レポートのご案内
グローバル CEO 調査 2016
変革するのは今しかない 2016 年 9 月 English/Japanese
KPMG は世界のCEO 約 1 , 300 人(うち、日本のCEO は 103 人)を対象に調査を行いました。本
冊子は、変化のスピードが目まぐるしい現代において、 CEO が直面している重要課題と今後 3 年
間の成長戦略について紹介しています。日本語版では、日本の CEO の回答結果から見えた日本
企業の特徴についても解説しています。
KPMG グローバル・オートモーティブ・エグゼクティブ・サーベイ
製品中心の世界からサービス重視のデジタル空間へ 2016 年 3 月 English/Japanese
「 KPMG グローバル・オートモーティブ・エグゼクティブ・サーベイ2016 」は、世界の自動車業
界の現状と将来の展望を分析することを目的に、 KPMG が毎年行っている調査です。 17 回目と
なる本調査では、従来の4 倍となる、世界 38 ヵ国の主要自動車関連企業のエグゼクティブ800 名
に加え、世界の消費者 2 , 100 名以上を対象にアンケートを行い、自動車関連業界の現状と動向
をまとめました。
クロックスピード・ジレンマ
自動車の技術革新が意味すること 2016 年 4 月 English/Japanese
過去 100 年にわたり、自動車業界はイノベーションの最前線に立ち続け、強力な技術基盤を構
築してきました。大量生産に始まり、自動変速機、さらにその先へと、自動車は道路を走るマシ
ンと精巧なコンピュータの驚くべき融合体へと進化してきました。本レポートでは、ますますイノ
ベーションが加速している現在、自動車業界が変革に対応するため、いかに革新しなければな
らないかを検討しています。
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© 2016 KPMG AZSA LLC, a limited liability audit corporation incorporated under the Japanese Certified Public Accountants Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity.All rights reserved.
Contacts
松下 修
ディール・アドバイザリー パートナー
製造セクターヘッド
株式会社KPMG FAS
KPMGジャパン
T: 03-3548-5399
E: [email protected]
内田 久
パートナー
マネジメントコンサルティング 製造セクターリーダー
KPMGコンサルティング株式会社
KPMGジャパン
T: 03-3548-5111
E: [email protected]
岡本 准
ストラテジーグループ パートナー
株式会社KPMG FAS
KPMGジャパン
T: 03-3548-5385
E: [email protected]
本調査は、KPMGインターナショナルが2016年6月に発行した“KPMG’s Global Manufacturing Outlook 2016 Country Perspectives”を翻訳したものに、日本企業に関するデータを付加してまとめたものです。
翻訳と英語原文間に齟齬がある場合は、当該英語原文が優先す
るものとします。
ここに記載されている情報はあくまで一般的なものであり、特定の個人や組織が置かれている状況に対応するものではありません。
私たちは、的確な情報をタイムリーに提供するよう努めておりますが、情報を受け取られた時点及びそれ以降においての正確さは保証の限りでは
ありません。
何らかの行動を取られる場合は、
ここにある情報のみを根拠とせず、
プロフェッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断ください。
© 2016 KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. Member firms of the KPMG network of independent firms are affiliated with KPMG International. KPMG International provides no client services. No member firm
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