モルディブ (236KB、2016年1月)

モルディブ医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新の専門的
アドバイスを受けるようにしてください。
最新更新履歴: 2015 年 8 月更新
1.赴任前の準備
(1)予防接種
首都マーレ市内の医療機関で各予防接種が可能であるが、必ずしもストックが安
定しているとは限らないので、可能な限り、A 型肝炎ワクチン、B 型肝炎ワクチン、破
傷風ワクチン、腸チフスワクチンなどの予防接種をしたうえで赴任することを勧める。
(2)その他の準備
眼鏡店には高価だがコンタクトレンズ(使い捨てもあり)を取り扱う店もある。歯科は
IGM 病院、ADK 病院などにある。治療レベルは他の途上国と比べると技術が高い方
といえるが、特に親知らずなどは日本で治療を済ませておく方が安心である。
2.医療事情
(1)医療機関事情
日本語のできる医師がいる病院はいないので、英語または現地語(ディベヒ語)で
の診察となる。邦人を含む外国人が良く利用する病院は AMDC クリニック、ADK 病
院などの私立の医療機関である。この他にも診療所は数多く存在する。ADK 病院な
どの総合病院では、離島からの緊急移送患者を受け入れる体制があり、リゾートとし
て利用している島からの患者受け入れも行っている。病院は清潔に管理されている
が、混雑しており、数時間待たされる。さらに検査機器の故障も多々みられる。ADK
病院の医師、看護師は外国人(フィリピン人、スリランカ人など)が多い。入院病棟は
常に予約でいっぱいなので、よほどの緊急ではない限り、予約の順番待ちが必要と
なる。首都以外には 5 つの地域に国立地方総合病院、4 つのアトール(環礁)にアトー
ル病院、39 の離島にヘルスセンターがある。通常の診療、一次医療に利用できるが、
専門的な治療はマーレに上京することを勧める。アトール病院には 1 名程度の医師
が勤務しており、ヘルスセンターには医療スタッフが常勤している。夜間はオンコール
体制で医師の診療を受ける。
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【私立病院】
■A.D.K 病院
Sosun Magu, Male, 20040, Maldives
TEL:(+960)331-3553 (救急も同じ)
FAX:(+960)331-3554
Email:[email protected]
WEB:http://www.adkhospital.mv
診療時間:24 時間(ただし、金曜日は専門医による診察はできない)
年中無休。入院可。救急可。専門医受診は要予約。邦人、外国人の利用が多い。
診療科目:内科、外科、循環器科、産婦人科、皮膚・性病科、整形外科、眼科、
泌尿器科、歯科、耳鼻咽喉科、神経内科、小児科、放射線科、リハビ
リ
テーション科、 がんクリニック、麻酔科
*CT、MRI、病理学検査室あり。
■A.M.D.C クリニック(Azmi-Naeem Medical & Diagnostic Centre Pvt. Ltd)
M. Misuru-ruvaage, Shariuvarudhee, PO Box:20116
Malé, 20253, Maldives
TEL:(+960)3325979
FAX:(+960)3325978
Email:[email protected]
URL:http://amdc.com.mv
診療時間:8:30~22:30(金曜日は休診)
入院不可。救急可。専門医の診療は要予約(電話で可)。予防接種や健康診断
も可能。当日の英字新聞(Haveeru)やホームページより当日の専門医の診察を
確認できる。
診療科:内科、小児科、整形外科、産婦人科、皮膚科、泌尿器科、 検査室、
レントゲン室あり。超音波検査可能。
■I.G.M 病院(Indira Gandhi Memorial Hospital(IGMH))
Kanbaa Aisa Rani Higun, Male, 20402, Maldives
TEL:(+960)333-5335, 救急:(+960)331-6647
FAX (+960)331-6640
Email:[email protected]
URL:http://www.igmh.gov.mv/
診察時間:9:00~13:30, 14:00~18:30(金曜日は救急のみ)
入院可。救急可。診察前日に要予約。当病院はモルディブ人は医療費が無料だが、
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レジデンスビザを持っていても、外国人は有料である。
(2)緊急時の対応と措置
マーレ市内の総合病院は救急病院として機能している。ただし、市内の道路は道
幅も狭いうえ、渋滞がひどく、救急搬送には時間を要する。
救急車:102
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
持病がある場合は、本邦主治医より英文の医療情報(病名、薬の成分名と薬品名)
を持参することを勧める。家庭用の市販薬で使いなれたものはがあれば携行すると
良い。
(2)現地で調達できる医薬品
一般的な医薬品、風邪薬、胃腸薬、痛み止め、目薬、傷薬、虫刺され用の薬、抗生
物質、各種軟膏、塗布薬などがあるが、インド製、パキスタン製の医薬品が多い。す
べてが輸入品なので一般的に値段は高い。駆虫剤は比較的種類が充実している。
(3)現地で調達できる衛生用品
生理用品、包帯、ガーゼ、避妊具など。
(4)薬局
病院内、および病院周辺に薬局があり、どこの薬局も比較的清潔に保たれている。
日本語の通じる薬局はない。
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
通常分娩であっても、緊急時や異常時の対応についても医療レベルの観点から、
迅速な対応が期待できない為、日本での出産を勧める。
(2)出産後の対応
予防接種は個々にヘルスセンターなどに行って受ける必要があるが、ワクチンは
入手しづらい。
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(3)育児
育児用品店では粉ミルク、ベビーパウダー、ベビー石鹸・シャンプー、乳幼児用玩
具・衣類なども揃う。
5.手術
(1)現地で可能な手術
医療機関の医師は、ほとんどがインド人、フィリピン人、もしくはスリランカ人医師で
ある。看護師はフィリピン人、インド人が多い。ADK 病院や IGM 病院などの総合病院
は比較的設備は良好で、マイナーな手術であれば受けるはできるが、緊急を要しな
い場合は、近隣の医療先進国、または本邦での手術を勧める。
(2)手術設備の状況
該当情報なし。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
邦人がかかりやすい疾患は急性胃腸炎、風邪、皮膚疾患(日焼け、傷の細菌感染
による化膿、水虫、湿疹、アレルギー性皮膚炎)、膀胱炎・尿路感染症、デング熱など
がある。
(2)風土病、感染症
モルディブ特有の病気にサラセミア病(地中海貧血病)があるが、遺伝病であるた
め罹患することはない。デング熱、腸チフスはしばしば発生が見られる。特にデング
熱は近年在留邦人の発症例が増加しているため防蚊対策が必要である。狂犬病に
ついては、宗教上(イスラム教)四肢動物に触れることを禁じられている為、ペットとし
て犬を飼育したり、町中に野犬も存在しない(麻薬探知犬のみ)為、犬による動物咬
傷はない。そのような背景から医療機関で狂犬病ワクチンをストックしていない為、万
が一、犬以外の哺乳類(猫やこうもり)による咬傷が会った場合はスリランカなど、狂
犬病ワクチンを接種できる近隣諸国で接種することになる。赴任する際は曝露前接
種を完了させてから赴任するか、猫などの動物にむやみに触れない注意が必要であ
る。
(3)有害動物、病害虫
気温が高く湿気が多いため、蚊、ハエ、アリ、ゴキブリ、ネズミが多く発生する。駆除
方法としては、薬品を購入して散布するか駆除会社に依頼する。
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7.保健衛生
(1)飲料水
首都では水道水も飲用できるが、上水道配管の不備による汚水混入が懸念される
ため、十分に沸騰させた水道水かボトルウォーターの飲用を勧める。離島ではボトル
ウォーターを飲用するか雨水を十分に濾過して沸騰させてから飲用する事を勧める。
(2)濾過器の入手
浄水器・脱塩装置等は現地でも購入可能である。
(3)その他の留意点
飲食店で出される水については、ボトルウォーターか水道水か不明な場合が多い
ので注意する。2014 年淡水化施設(海水から飲料水を生成する施設)の火災があり、
首都マーレが一時断水となったため、万が一のために数日分の飲料水、備蓄をして
おくことを勧める。首都マーレ市内は世界でもトップレベルの人口密集度であり、狭い
島内に住宅や建物が密集しているうえ、道路脇にオートバイが駐車している為、車輌
や人の通行を妨げている。島内の道路は道幅も狭く、自動車以上にオートバイが多く
走行しているので、歩行時や建物から道に出る際はオートバイとの接触に十分注事
が必要である。宗教や生活習慣の違いからストレスを溜め込みやすいうえ、狭い島内
で生活している為、ストレス発散のできるような映画館、娯楽施設がない。宗教上の
理由で入手に制限がある食材や嗜好品がある(レストランや店舗で酒類の販売禁止)
為、日頃より十分な休息をとり、趣味などでストレスを発散に努めることを勧める。ま
た、離島の住民島では野菜の入手が困難な為、食生活への工夫が必要となってく
る。
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