大学奨学金利子補給事業 ○背景・経過 現在、大学生の7~8割がなんらかの奨学金を受けています。そのほとんどは給付型ではなく 利子付の貸付型奨学金です。例えば貸与利率 0.89%の奨学金を月額 8 万円で4年間貸与を 受けたとすると、貸与総額は 384 万円ですが、返済総額は約 421 万円となります。多額の負 債を抱えて卒業する若者が、生活に困窮して家庭をもつ選択ができなかったり、生活に困窮 したまま子どもをもつことで、貧困が連鎖していくことが懸念されます。 このような現状から、奨学金の利子補給を行うことで、若者の経済的負担を軽減するとともに、 「多くの大学など教育機関が立地している」という本市の特性を生かし、若者の本市への流入 と定着を促進することを目的に、平成 27 年度に「大学奨学金利子補給事業」を創設しまし た。 ○概要 【給付額】 前年 10 月1日から当年9月 30 日までに返還した奨学金の利子相当額(上限 20,000 円) 【応募資格】(生活保護受給者を除く) ①奨学金の貸与を受けて大学院・大学・短期大学・専修学校専門課程を修了しており、返済 者は奨学金貸与を受けた本人である。 ②10 月 1 日時点で、茨木市に住民登録があり、かつ居住していて 40 歳未満である。 ③10 月1日時点で、奨学金の返済期間が9年以上残っている。 ④前年 10 月1日から当年9月 30 日までに奨学金を返還している。 ⑤申請時に、市税を滞納していない。 【その他】 応募者多数で予算額を超過した場合には、抽選を行います。 一度給付対象となった人は、10 年間受給する権利を有します。(ただし、毎年 10 月1日時点 で茨木市に住民登録があり、かつ居住しており、継続給付申請することが要件となる。) ○活用した制度 平成 27 年度は、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)を活用し て、事業を実施しました。 ○事業展開のスキーム(計画) すべての子どもの育ちと子育てを切れ目なく、社会全体で支えるための施策を示す茨木市次 世代育成支援行動計画(第3期:平成 27~31 年度)の中で、社会的支援が必要な子ども・家 庭の自立生活をめざす取組の一つとして「子どもの貧困対策」を掲げています。「未来はかえ られるプロジェクト」と題し、子どもの貧困に関して設定した指標の改善に向けて、関係各課が 教育や生活の支援のための事業を実施しています。「大学奨学金利子補給事業」はその取 組の中の一つです。 ○事業実績 <平成 27 年度予算額> 扶助費(非課税) @20,000× 50 人=1,000,000 円 補助金(課税) @20,000×100 人=2,000,000 円 合計 3,000,000 円 ※補助金不足分 177,000 円を流用対応 <平成 27 年度実績> 応募件数 申請案内発送件数 利子補給件数 利子補給金額 非課税 35 35 25 447,879 円 課税 204 166 120 2,176,282 円 合計 239 201 145 2,624,161 円 ○事業効果 申請時にアンケートを実施した結果、145 人中 144 人から回答を得ました。「このまま本市に 住み続けたい」と回答した人が 135 人、「本事業が茨木市に住む(住み続ける)インセンティブ になると思う」と回答した人は 125 人おり、自由意見の中でも本事業は好評でした。 平成 28 年3月までに、3人が転出しましたが、職場研修による市外転出も含まれており、研修 終了後の再転入の意向も聞いていることから、本事業の効果はあると考えています。 ○今後の展開・課題 いかに多くの若者に本事業を周知できるかが、課題です。若者に情報を届ける手法について 検討していきたいと考えています。 予算超過の場合には抽選で給付対象者を選んでいることから、給付対象とならなかったこと で本市に住み続けるインセンティブを失うことも懸念されます。 また継続給付者に加え、毎年新規給付者を募集するため、10 年後には 10 倍の受給者数とな ります。一度給付対象となれば、10 年間受給の権利を持つため、今後のデータ管理対策を 検討するとともに、再転入時には給付申請ができることを給付対象者にしっかりと周知してい きたいと考えています。 ○問い合わせ部課名 こども育成部こども政策課 連絡先 電話番号 072-620-1625(直通) メールアドレス [email protected]
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