北方 隆士氏に聞く - 不動産証券化協会

Special
●トップインタビュー
マリモ地方創生リート投資法人
マリモ・アセットマネジメント株式会社
代表取締役社長
北方 隆士氏に聞く
マリモ地方創生リート投資法人(証券コード:3470 )
が 、2016 年 7 月29 日 、東京証券取引所に上場し
ました。本投資法人は、地方に所在するレジデンスと商業施設を中心にポートフォリオを構築し、ホテルや
オフィス、駐車場にも投資する総合型リートです。
資産運用会社となる、マリモ・アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 北方隆士 氏にお話を伺い
ました。
―スポンサーであるマリモと、J リート上場までの
(インタビューは2016 年 9 月に実施 )
く促進するというシナジー効果が生まれ、都市の中心
経緯を教えてください。
部に各種機能を集約させたコンパクトシティ形成の一
マリモ地方創生リート投資法人のスポンサーである
翼を担うことも可能になると考えています。
株式会社マリモは、昭和 45 年に設立された設計事
マリモは、分譲マンション開発事業や市街地再開
務所をルーツに持つ企業です。平成 2 年に自社分譲
発事業といった事業の多くを地方都市で行ってきてお
マンションの開発を開始し、設計・企画・施工監理・販
り、地方を熟知した経験豊富なメンバーによる深い知
売など自社一貫体制にて、全国各地の地方主要都
見 、立地の評価など不動産の価値を見極める多彩な
市を中心に事業を展開してきました。北海道から九
ノウハウを有しているからこそ、厳選した収益不動産
州まで全国 40 都道府県において347 棟 22,090 戸の
を取得することができるものと考えています。日本全
分譲マンションの開発実績があり、全国約 40の金融
国に住む人々が自らの未来に希望を持ち、個性豊か
機関と取引をし、信頼を築いてきました。マリモは未
で潤いのある生活を送ることができる地方社会を創生
上場ながらも、会社設立以来 45 期連続黒字という実
していきたいと考えています。
績を誇っています。
また市街地再開発事業にも積極的に取り組んでお
り、全国で11 棟 795 戸の市街地再開発実績があり、
ください。
現在も8 棟 900 戸超の市街地再開発プロジェクトに取
マリモ地方創生リート投資法人は株式会社マリモ
り組んでいます。
今までの市街地再開発案件は、マリモがレジデン
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― 他のスポンサーの役割とサポート体制を教えて
の他に、不動産再生事業を手掛ける「 株式会社リビ
タ」もスポンサーとして迎えました。
ス部分の保留床を取得してきましたが、これからは商
株式会社リビタは、平成 17 年に設立され、現在は
業施設 、オフィス、ホテル等の保留床を本投資法人
京王電鉄株式会社の子会社であります。株式会社
が取得することによって、市街地再開発事業が滞りな
リビタは、リノベーション分譲事業 、コンサルティング
ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.33
トップインタビュー: マリモ地方創生リート投資法人
マリモ・アセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 北方 隆士氏に聞く
マリモ・アセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 北方隆士氏
事業、PM サブリース事業を軸に事業を展開していま
三重銀行とみちのく銀行は運用会社であるマリモ・ア
す。一定以上の築年数が経過した物件について、リ
セットマネジメント株式会社への出資も行っていただい
ノベーションを実施することで当該物件を再生する事
ています。地域に根付いた活動を展開する地域金
業を数多く手がけています。物件の立地特性や建物
融機関から、各地の物件情報の提供というサポートを
特性に応じて、ハードはもちろん使い方や暮らし方と
受けることができます。本投資法人の基本理念を共
いったソフト面を再生し、遊休不動産や収益性が低
感いただき、全国の地域金融機関から応援いただけ
下した物件の収益を最適化しています。
るよう、1 行でも多く参加行を増やしていきたいと考え
リビタは、全国各地の老朽化した遊休不動産(オ
ています。
フィスビル等 )
に対して、用途変更を伴うリノベーショ
ンを施し、宿泊施設、飲食店、シェアスペース、店舗
―投資法人の特徴をお聞かせください。
等で構成する「シェア型複合ホテル」へ再生するとい
マリモ地方創生リート投資法人は、基本理念であり
う、企画・プロデュースから運営事業までを手がける
ます「 地方の創生 」への貢献を実現するため、主と
新規事業も始動しました。
して地方に所在するレジデンス及び商業施設を中心
本投資法人がターゲットとする地方都市に存する
としたポートフォリオを構築し、ホテル、オフィス、駐車
既存ストックをリビタのノウハウによって蘇らせることに
場 、底地へ総合的に投資し、
「相対的に高い投資利
よって、本投資法人の外部成長のパイプラインになる
回り」かつ「安定的な収益 」の確保を目指します。
とともに、地域活性化に貢献できるものと考えていま
す。
またサポート会社として、地域金融機関である三重
銀行、みちのく銀行 、東京スター銀行 、中国銀行、関
西アーバン銀行の5 行に参画いただきました。特に、
本投資法人の特徴は、鑑定評価額 183.26 億円に
対して購入額161.70億円の「含み益率13.3% 」、
「鑑
定 NOI 利回り6.93% 」、
「平均稼働率 98.1% 」という
相対的に高い数値を実現できたところです。
また、本投資法人の組入資産は、地方の物件が
September-October 2016
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多いことから、建物の減価償却費が高くなる傾向にあ
ス8 棟( 名古屋市 、岡山市 、福岡市 )、新築のホテ
るため、減価償却費の30%に相当する金額を限度に
ル1 棟( 京都市 )、商業施設 1 棟( 熊本市 )
の合計
利益超過分配を実施する方針としています。
10 棟・約 100 億強の物件がパイプラインとして設定さ
財務面の特徴としては、マイナス金利導入の影響
れ、株式会社リビタからはシェア型複合ホテル2棟(金
もあり、金利条件がいいタイミングでもありましたので、
沢市 )
が設定され、マリモとの物件を含めると合計 12
借入金額の約半分を5 年と7 年の長期固定金利で
棟・約 120 億円以上のスポンサーパイプランを締結し
調達するなどし、安定性を重視した戦略をとっていま
ています。
す。長期かつ固定のポーションを高めることによって、
マリモは毎年 100 億円以上の収益不動産の購入
将来の金融資本市場の変動に左右されず、安定的
実績があり、引き続き本投資法人の投資基準に見合
に投資家様へ配当を行えるという背景があるからで
う収益不動産を購入する計画があります。さらにサ
す。
ポート会社である地域金融機関 5 行からの物件情報
の紹介なども活用し、3 年後 500 億円、5 年後 1,000
―今後の成長戦略をお聞かせください。
成長戦略として次のような方針を取っています。ス
ポンサーである株式会社マリモから、新築のレジデン
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ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.33
億円という資産規模の成長を目指していきたいと考え
ています。