地球をデザインする会社 東光コンサルタンツの 技 術 短 信 PO-42 NO.131( 港 湾 ) ■「港湾技術基準の改定方針」について 現行港湾技術基準は、平成19年4月に全面改訂され、性能規定化や信頼性設計法が導入されました。 改訂後に発生した東日本大震災を教訓とした防災・防災技術の強化、社会資本の老朽化に対する維持管 理技術の強化、ICT等を利用した生産性革命の取組み、国際コンテナ戦略港湾政策やクルーズ進行をより強 化に推進するための技術的対応等、港湾技術基準に対する改訂のニーズが顕著化したことから、より合理的 な設計・施工・維持管理を可能とし、技術改革を促すことを目的として、平成30年度からの施行を目指して基 準の改定がなされています。以下に防災・減災対策強化における耐震及び耐波・耐津波設計での改訂方針 についてご紹介します。 国土交通省ホームページから抜粋加筆 □離島における津波避難施設の設計について ~機能確保を前提とした津波避難施設のコスト縮減検討事例~ 1.概 要 離島において計画される津波避難施設の構造形式を選定する評価方法として、避難施設としての機能確保を前提 条件とし、各種問題に対する検討を避難性・維持管理性・経済性を重視して行った業務についてご報告します。 本業務は、離島の港での津波対策として計画されている津波避難施設について、過年度業務で建築基準に則り決 定した断面を土木基準に従い、基本断面から見直すための修正設計を行ったものです。 2.施設検討時の問題点 本業務の実施上での課題と問題点は以下が挙げられました。 1)建築基準に則り設計された過年度の断面では工事予算を大きく超過するため、工事費縮減を図る必要がある。 2)過年度設計断面は、施設全面にスロープや階段が設置されており、どの場所からも避難可能な構造であるため、 本業務の検討においてもコスト縮減を図るとともに同等の機能を確保する必要がある。 3.問題に対する技術的提案 1) 構造形式について 津波避難施設としては建築基準に準拠した鋼製のデッキ式が主流でありましたが、東北地方における東日本大 震災を踏まえた地震・津波対策を参考とし、土木基準に準拠した傾斜堤構造形式を提案しました。 2) 要求性能について 過年度設計での“どの場所からも避難可能である”という性能規定を確保するため、傾斜堤の被覆工として階段 型ブロックの採用を提案しました。 4.技術的成果 構造形式は、東北地方における地震・津波対策事例や復旧マニュアル等の資料を収集・整理した結果、天端部が 道路や通路としての機能を有した堤防として傾斜堤構造が数多く採用されていることが確認されました。 そこで、デッキ式構造との避難性、利用性、施工性・構造性、維持管理性、景観性、経済性に対する比較 検討を行った結果、傾斜堤案が最も優位となりました。 また、対象箇所には過年度の災害で発生した土砂が仮置きされており、その土砂を流用することでさらに コスト縮減が図れ、全体工事費を予算に近い金額に抑えることもできました。 要求性能については、傾斜堤構造の被覆工とし て多く採用されているフラット型ブロックを階段型ブ ロックに変更することで、過年度設計と同様に全面 から避難可能な断面を設定することができました。 4.現時点での業務の技術的評価と今後の課題 本業務の実施においては、津波避難施設設計 としての一般的な基準や構造形式に囚われず、情 報や知見を幅広く収集して整理・分析・評価したこ とで、最適な構造形式が堤案でき、コスト縮減およ び避難性能の確保という所期の目的は達成できた 図-1 津波避難施設検討断面 ものと考えます。 今後も、各専門基準だけでは解決できない問題や課題を解決する上で、過去の「常識」やこれまでの「経験」に囚わ れないことが大切であるものと考えます。 株式会社 東光コンサルタンツ 営業担当: 〒170 -0014 東京都豊島区東池袋4丁目 41 番 24 号東池袋ビル 8 階 TEL: 03-5956 -5509 FAX: 03-5956 -5513 URL: http://www.tokoc.co.jp 担当: 本社 技術本部 笹木・山本 20160930
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