研修理念 募集人数 研修の概要と特徴

研修理念
子どもの心の診療に対するニーズが高まっているなか,当センターでは開院以来,小児
科と精神科の双方の知識と技術を総合して,胎児期から青年期の子どもの全てのこころの
問題に対して,発達の問題,親子関係の問題,思春期の問題,病気の子どもと家族の心理
的問題などに多角的・包括的にアプローチできる人材を育成することを目標に研修を行っ
ています.
そのために,先人たちが積み重ねた,子どもや家族の発達理論,精神病理に関する理論,
診断理論,治療理論などの知識を習得するとともに,精神状態面接,親や家族からの情報
収集,それに基づく見立てと治療の組み立てが行える技術の基礎を学ぶことに力を入れて
います.その基礎の上に,個々の研修を受ける方のニーズに合わせて,より深い研修を行
ったり,研究を行ったりすることも支援しています.
募集人数
フェロー
2~3 名を募集しています.原則 3 年間ですが,期間については相談に応じま
す.週 4 日勤務で 1 日は研修日です.勤務時間帯等については相談に応じます.当直はあ
りません.労働条件等につきましては人事課にお問い合わせください.
研修の概要と特徴
診療対象児の年齢別に,乳幼児メンタルヘルス診療科,児童期メンタルヘルス診療科,
思春期メンタルヘルス診療科の3つに分かれています.各診療科を 3,4 ヶ月のサイクル
でローテートして幅広い知識・経験,診療技術を学びます.
フェローと指導医の間で適切な評価とフィードバックを常に行い,患者と医療者双方にと
って,安全・確実で効果的なチーム医療の実践と研修プログラムの作成・改善に常に取り
組みます.
外来診療では,最初は陪席の時間をしっかり取り,シミュレーションによる学習を行い
ます.徐々に単独で外来を担当していきます.
病棟診療では,上級医と連携して,コンサルテーション・リエゾン診療を学びます.
フェロー年間スケジュールの例
一年次:各診療科をローテートします
二年次以降:自分の興味のある診療科で重点的に患者さんを受け持って診療に当たります.
二年目以降は,研究所や臨床研究センターとコラボして,研究活動に参加することも可能
です.
あるフェローの研修の実際
1 年次
2 年次~
4~7 月
8~11 月
12~3 月
児童期メンタルヘル
乳幼児メンタルヘルス
思春期メンタルヘルス
ス診療科
診療科
診療科
児童期メンタルヘル
児童期メンタルヘルス
児童期メンタルヘルス
ス診療科(+研究所
診 療 科 (+研 究 所で の 研
診療科(+研究所での研
での研究活動)
究活動)
究活動)
フェロー週間スケジュール
1 年次
早朝
月
火
部内ミー
抄読会
水
木
金
ティング
午前
外来陪席
回診
外来陪席
外勤
病棟
午後
病棟
外来診療
外来診療
外勤
外来陪席
月
火
水
木
金
部内ミー
抄読会
2 年次以降
早朝
ティング
午前
初診
回診
研究
研修日
病棟
午後
病棟
外来診療
外来診療
研修日
外来
定期カンファレンス
月
火
水
木
乳幼児
周産期
児童期
思春期
金
心理
緩和ケア
カンファ
レス
こどもサ
ポート
心理
リハビリ
心理社会
的ケアカ
ンファレ
ンス
その他,上級医によるクルズスや症例検討会を行っています.
各診療科の診療内容・特色,目標
1.乳幼児メンタルヘルス診療科
診療内容・特色
妊娠期から就学前までの母子のこころの問題に対応しています.周産期の診療では,メ
ンタルヘルス不調の妊産褥婦・特定妊婦に対する支援,治療を行っています.乳幼児期の
診療では,自閉スペクトラム症など発達障害の児童の発達の評価や育児相談,また養育不
全のリスクのある家庭の相談を行っています.
フェローの目標:
メンタルヘルス不調の母親や養育不全の家庭の評価方法や子どもや家族の支援及び地域連
携の仕方の習得を目標としています.乳幼児の診療では,発達の評価ができるように,特
に自閉スペクトラム症幼児の行動観察の仕方や診断技術の習得を目標としています.
2.児童メンタルヘルス診療科
診療内容・特色
外来にて,発達障害や心身症の学童を対象とした診察や指導方法について勉強していた
だきます.また薬物療法,心理療法の適応や治療の進め方についても学びます.特色のひ
とつに,学校や療育施設など外部の関係機関との連携の仕方を学びます.
フェローの目標:①発達障害の適確な診断と鑑別診断ができる,②診断や病態を深く理解
するための心理検査について理解している,③適切な薬物療法ができる,④適切な心理療
法を処方することができる,⑤学校や療育機関に対して適切なアドバイスができることを
目標に指導しています.
3.思春期メンタルヘルス診療科
診療内容・特色
主に12歳以上の高校卒業までの思春期・青年期の適応障害(不登校など),身体症状症
(心身症)の診療,情緒障害,発達障害(2次障害含む)などの診療を行っています.ま
た,コンサルテーション・リエゾン,緩和ケアなど,身体疾患をもつ子どもと家族の心理
社会的ケアを多職種で行っています.
フェローの目標:
① 乳幼児期,児童期の発達過程を踏まえた思春期特有の精神的アセスメントスキルを身
につけ,鑑別診断を行います.
② 身体疾患をもつ子どもと家族の包括的アセスメントならびに心理社会的支援方法を学
び,多職種と連携し実行できることを目指します.
③ 身体症状症(心身症)などのケースに対し認知行動療法の手法を用いた介入方法を学
び,実践につなげる知識を習得します.
学会活動等へのサポート
・学会への参加は,経費にて国内学会は 2 回まで,国際学会は 1 回の補助があります.
(ただし,筆頭演者の場合に限ります)
・論文執筆サポートをします.
・研究所や臨床研究センターでの研究を奨励しています.