ノバルティスの LCZ696、左室駆出率の低下した心不全患者さんで健康

ノバルティス ファーマ株式会社
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http://www.novartis.co.jp
MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIAS • MEDIENMITTEILUNG
2016 年 10 月 7 日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が 2016 年 9 月 19 日(現地時間)に発表したものを日
本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については
英語が優先されます。英語版は http://www.novartis.com をご参照ください。
ノバルティスの LCZ696、左室駆出率の低下した心不全患者さんで健康関連
の生活の質の相対スコアが高いことを新たな解析で示す
•
PARADIGM-HF 試験の新たな事後解析から、心不全による入院のあった患者
さんで、LCZ696 を投与された患者さんの方が ACE 阻害薬のエナラプリルを
投与された患者さんと比較して健康関連の生活の質(HRQL)の相対スコア
が高いことが示された 1
•
別の事後解析では、全対象患者集団において、HRQL スコアの低下が心血管
死または心不全による入院を含む予後悪化リスクの上昇に関連することが示
された 2
•
これらの解析結果により、LCZ696 のさらなる臨床的ベネフィットが示され
ると共に、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者さんの治療が急務で
あることが確認された
2016年9月19日、スイス・バーゼル発 – 新たな事後解析の結果、LCZ696を投与され
た患者さんでは、ACE阻害薬のエナラプリルを投与された患者さんと比較して心不
全入院に伴う健康関連の生活の質(HRQL)のスコア低下が約50%抑制されること
が示されました1。全患者集団を対象に実施した別の事後解析では、HRQLスコアの
低下は、心血管死および心不全による入院のリスク上昇と関連することが示されま
した2。これらの結果は、心不全における過去最大規模の臨床試験である
PARADIGM-HF試験データに基づいており3、オーランドで開催される米国心不全学
会(HFSA)の第20回年次学会総会で発表されました。
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の准内科医でハーバード・メディカル・スクー
ルの医学部内科准教授のエルドリン F ルイス医学博士・公衆衛生学修士(Eldrin F.
Lewis, MD, MPH, Associate Physician at Brigham and Women’s Hospital and
Associate Professor of Medicine, Harvard Medical School)は次のように述べていま
す。「心不全による入院は、患者さんの生活の質を著しく低下させ予後悪化を招く
おそれがあります。心不全の管理では、入院につながり得る症状をより良く管理す
ることによって、この低下を抑えることに注力しなければなりません。新たな解析
結果は、LCZ696が心不全入院によるHRQLへの影響を軽減するのに役立ち、本剤が
最適なHFrEF治療の一端を担うという強い証拠を示しています」
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PARADIGM-HF試験ではいずれの投与群においても、心不全による入院後にHRQL
の低下が認められました1。1つ目の解析では、LCZ696を投与された患者さんでは、
エナラプリルを投与された患者さんと比較して、心不全入院に伴うHRQLの低下が
有意に抑制されたことが示されました1。
• PARADIGM-HF試験では、6,981名の患者さんがランダム化時と投与8カ月目に
Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire(KCCQ)によるHRQL評価を完了
し、この間心不全により入院した患者さんは305名でした1。
• 心不全により入院した患者さんのうち、LCZ696を投与された患者さんではエナ
ラプリルを投与された患者さんと比較してHRQLの低下が約半分に抑制されま
した(KCCQ Clinical Summary Score(KCCQ-CSS)の低下は、LCZ696群とエ
ナラプリル群でそれぞれ5.11ポイントおよび10.77ポイント、p=0.003)1。
PARADIGM-HF試験では、KCCQの評価をランダム化時、4カ月目、8カ月目、およ
び1年目に実施しました1。KCCQは心不全患者さんの自己記入式HRQL評価尺度で、
KCCQのClinical Summary Scoreは0~100のスコアで表され、スコアが高いほど心不
全に伴う症状と身体的制限が少ないことを示します4。PARADIGM-HFの全対象患者
集団では、LCZ696を投与された患者さんの方がエナラプリルを投与された患者さん
と 比較 して、 KCCQ のClinical Summary Scoreに よっ て評価 した 投与8 カ 月目 の
HRQLの低下が抑制されました(低下はLCZ696群とエナラプリル群でそれぞれ2.99
ポイントおよび4.63ポイント、群間差の最小二乗平均1.64、95% CI 0.63~2.65、
p=0.001)4。
2つ目の事後解析では、全対象患者集団におけるHRQLと予後との関連性を検討し、
治療4カ月後の臨床的に意義のあるHRQLスコアの悪化(KCCQのClinical Summary
Scoreが5ポイント以上低下することと定義)により、心血管死または心不全による
入院を含む予後悪化リスクが上昇することが示されました2。
• 7,155名の患者さんがランダム化時および治療4カ月目のKCCQ評価を完了しま
した2。
• 4カ月目のHRQL低下(KCCQのClinical Summary Scoreが5ポイント以上低下す
ることと定義)がみられた患者さんでは、その後の心血管死リスクが24%高く
(p=0.009)、心不全による入院リスクが28%高くなりました(p=0.004)2。
ノバルティスの開発部門統括責任者兼チーフメディカルオフィサーであるヴァサン
ト ・ ナ ラ シ ン ハ ン ( Vasant Narasimhan ) は 次 の よ う に 述 べ て い ま す 。
「PARADIGM-HF試験では、LCZ696がHFrEF患者さんの心血管死および心不全に
よる入院のリスクを有意に低下させることが既に示されています。今回の新たな事
後解析結果は、心不全に伴う生活の質への深刻な影響をLCZ696が低減させるととも
に、衰弱した状態の患者さんの転帰を本剤が改善させる可能性をさらに強固なもの
にしています」
心不全について
心不全とは、生命を脅かす消耗性の病態で、世界で6千万人以上が罹患し5、65歳以
上の入院の主な原因となっています6,7。心不全患者の約半数がHFrEF患者です8。駆
出率の低下とは、心臓が十分な力で収縮できないために送り出す血液が減少するこ
とを意味しています9。心不全の医療経済上の負担は大きくかつ増え続けており、世
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界経済に対する現在のコストは、直接費用と間接費用で毎年1,080億ドルを占めてい
ます6,10。
なお、このたびノバルティスは、心不全疾患領域で過去最大となるグローバル臨床
プログラム「FortiHFy」について発表しました。「FortiHFy」は、40以上の実施中
または計画中の臨床試験で構成されており、LCZ696による症状軽減、有効性、
QOL改善、実臨床に基づくエビデンスについての数々の更なるデータを創出し、心
不全についての理解を深められるようデザインされています。
LCZ696について
LCZ696は1日2回投与する薬剤で、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減します。
LCZ696は、心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(NPシステム、ナトリウム利
尿ペプチドシステム)を促進すると同時に、過剰に活性化したレニン・アンジオテ
ンシン・アルドステロン系(RAAS)による有害な影響を抑制することで作用します
11,12。他の心不全治療薬は、過剰に活性化したRAASによる有害な影響を抑制するに
とどまります13。LCZ696は、新規化合物であるネプリライシン阻害薬サクビトリル、
およびアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)であるバルサルタンを含有していま
す11。
欧州では、LCZ696は、左室駆出率が低下した症候性慢性心不全の成人患者を適応と
しています。米国では、LCZ696は、収縮不全を伴う心不全(NYHAクラスII~IV)
の治療を適応としています11。LCZ696は、エナラプリルと比較して心血管死と心不
全による入院リスクを減少させ、全死亡リスクを低下させることも示されています。
LCZ696は通常、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはARBに替えて、他
の心不全治療薬と併用投与します。承認された適応症は、各国により異なる場合が
あります。
なお、現在日本では日本人の慢性心不全患者さんを対象としたLCZ696の第III相臨床
試験を実施中です。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、
その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリ
スクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳
細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けております Form20-F
をご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケ
ア(眼科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医
薬品など、幅広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の 2015
年の売上高は 494 億米ドル、研究開発費は 89 億米ドル(減損・償却費用を除くと
87 億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約 118,000
人の社員を擁しており、世界 180 カ国以上で製品が使われています。詳細はホーム
ページをご覧ください。http://www.novartis.com
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参考文献
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Quality of Life and Death and HF Hospitalization in PARADIGM-HF. J Card Fail (2016), doi:
http://dx.doi.org/10.1016/j.cardfail.2016.06.293.
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以上