小野寺 : 平成28 水上 : 自殺対策に関する地方公共団体の や医療関係者、研究者など様々なバック 信谷 : そうです 少数精鋭の組織である当局は、まさにこ 本会議で成立 年の通常国会 取組には温度差があり、地域間格差が グラウンドを持った方々から意見が出さ ね。時間 が 限ら のチームワークが仕事の成否に大きく する瞬間に立 で は、第 2 部 広がっているとの指摘が議員からありま れました。こうした意見は非常に参考に れている中でも、 関わってくるんじゃないかな。 ち会ったとき 第1課で 立案 したので、こうした問題意識を踏まえ、地 なるとともに、これを改正案に反映させ 間違いのないも した法律案の 方における取組の実情等をいろいろ調 るための議論が相当行われたね。そう のを作らなけれ 重要なのは、各自がしっかりと調査検討 律案が成立す うち「 自殺 対 べました。 いえば、信谷さんは、消費者庁への出向 ばならず、そのた した上で、徹底的に議論することだと思 ることの重 み め に は、修正 の います。当局では、課長も若手職員も同 を感じました。 対象となる法律 じ土俵に立って議論をし、その結果、若 また、後日、新 案の内容も理解 手職員の意見が採用されたり、参考にさ 聞等で報道さ 策基本法の一 部を改正する 第 1 部副部長 小野寺 理 (平成4年入局) 法律案」が成立したね。 下野 : 自殺対策基本法は、平成18年に参 議院から提出されて成立した議員立法 下野:法律案の立案作業は、単に議員から の依頼内容をそのまま条文化するので 時にパブリックコメントにも携わったと 聞いたけど…… 信谷 彰 (平成20年入局) は、一つの法 第 5 部第 1 課 水上 優貴 (平成27年入局) はなく、その立法の「土台」となる立法 信谷 : そうなんです。消費者庁では、いわ 事実の把握が重要なんだよね。この「土 ゆる消費者裁判手続特例法の施行に向 しないといけませんので、一から勉強です。 れたりすることが、本当に多々あります。 れているのを見て、実際に世の中に影 台」がしっかりして初めて、依頼議員の けた政令案やガイドライン案等の立案 特に確定拠出年金法とか……頭が痛くな 各自の負担は軽くはありませんが、自由 響を与えるものを送り出す立場にいるの でしたね。平成10年以降、年間自殺者 要求に応え得る法律案ができるから、こ を担当しました。その際、パブリックコメ 数が3万人を上回る年が続いており、こ うした調査はとても大事だよね。 ントも実施したのですが、かなりの数の うした状況の下で、平成17年に参議院 第 2 部第 1 課 下野 : チームで仕事を進めていく上で特に 水上 : 今回の改正に限らず、実際の立案作 意見の集約に苦労したのを思い出します。 りそうでした。 小野寺:同時に複数の案件が動き、作業の 負担が大きくなるときもあるけど、それ 闊達に議論ができる環境というのは、実 は結構貴重なのではないかと思います。 小野寺 : 水上さんは、成立した法律案や可 だという、緊張感とやりがいを感じました。 小野寺 : 新しい制度を作るには大変なこと も多いけど、挑戦しがいのある仕事だと 厚生労働委員会において「自殺に関す 業においては、単なる文献の調査だけで もちろん、当局は議員の政策を法制面か ぞれの役割を十分に果たすことで乗り切 決された修正案に今回初めて携わった 思う。立法府を支える法律の専門家とし る総合対策の緊急かつ効果的な推進を はなく、関係者の意見を聴いたり、現場 ら補佐する組織であり、自ら政策を推し ることができるんだよね。 「職場のチー わけだけど、振り返ってみてどう? て、意欲的に学び、挑戦したいという熱 求める決議」が行われ、その翌年に参議 視察のための出張を行うなど、この「土台」 進めるという行政庁とは立場が異なるわ ムワークは大事」とはよく言われるけど、 院の議員立法として自殺対策基本法が の把握を丁寧に行っていると感じます。 けですが、様々な意見を前に、どのよう 学生時代は、立法事実というと、法律 に着地点を見いだすべきかについては、 の合憲性を判断する場面での話という 立場が異なっても腐心しましたね。 成立したという経緯があります。 水上 :自殺対策基本法が制定されて以降、 自殺対策は大きく前進し、平成24年に 認識でしたが、実際に法律案を立案す 小野寺 : 当局は、課が一つのチームとなっ はついに年間自殺者数が3万人を下回 る立場に立つと、そんな限定的な話では て、皆で知恵を出し合いながら最適解を るに至りました。しかし、昨年においても なく、法律の合理性を支える基礎的なも 見いだすという作業の繰り返しで、その なお約2万4千人が自殺で亡くなっており、 のとして真正面から取り組まねばならな 過程では「生みの苦しみ」というのもある また、児童・生徒を含む若年世代の自殺 いものなんだと実感しました。 けど、なんとか法律案の形に仕上がった も深刻な状況のままです。こうした状況 小野寺 : 目的や基本理念の規定について の中、昨年の参議院厚生労働委員会に も、内容を大幅に拡充したね。今回の改 さて、法律案の形に仕上がると、各党 おいて、 「自殺総合対策の更なる推進を 正の主眼は、 「地域レベルでの実践的な の党内手続に入るわけだけど、水上さん 求める決議」が行われ、 「誰も自殺に追 取組」による「いのち支える自殺対策」 にも何度も会議に陪席してもらったね。 ときは、何ともいえない達成感があるよね。 い込まれることのない社会」を実現する だけど、こうした考え方をどのように体系 水上 : 政党の会議に陪席するときは、今で ため、自殺対策基本法の改正等に取り 立てて条文に反映させるかは、なかなか も緊張してしまいます。予想される質問 組む決意が宣言されました。それらを受 難しかったんじゃないかな。 に備えて資料を作成したり、会議で思い けて、再び参議院の議員立法として自殺 信谷 : 今回のような法律では、依頼議員が もよらぬ質問を受けた後に至急調査した 対策基本法の改正案を立案することに 盛り込みたい政策や言葉といったものを、 り……会議の前後の作業もなかなか大 なったんですよね。 創意工夫を重ねながら条文にどう表現 変でした。 小野寺 : 改正案を作成する過程で、最も大 変だったのはどのあたりだった? 信谷 : 自殺対策計画の策定でしょうか。今 するのかが腕の見せ所であって、言葉に 対する敏感さや表現力が求められたよう に思います。 下野:改正案の成立が見通せるようになり、 少し落ち着くかなと思ったら、別の法律 案に対する修正案の立案依頼がいくつ 回の改正では、都道府県には都道府県 下野 : 改正案に も舞い込んできたね。いずれも、修正の 自殺対策計画、市町村には市町村自殺 つ いて広く国民 内容そのものはそれほど複雑ではなかっ 対策計画の策定をそれぞれ義務付ける の意見を聴きた たけど、例えば、施行期日を遅らせるに こととしましたが、地方分権の流れとの いという議員 の しても、他の条項に影響がないかどうか 兼ね合いで、地方公共団体に計画の策 意 向 で、改 正 案 等を確認する必要があり、さらに、修正 の原案について 案の立案は、その対象となる法律案の の 意見募集も行 採決の日程を見据えた、時間との勝負 わ れ、関係団体 になるので大変だよね。 定を義務付けることについて、政府や地 方公共団体も巻き込んで粘り強く調整 が行われたことを思い出します。 07 座談会 第 2 部第 1 課 下野 久欣 (平成15年入局) 水上 : 自殺対策基本法の改正案が衆議院 意のある人が入ってくれるとうれしいね。 ワ ー ク ラ イ フ バランス 伊庭 : 今朝は大雨だったから、自転車でお子さんたちを保育園に送って いくのは大変だったでしょう。 坂本 : いやほんと、雨の中の乗せ降ろしがしんどかった。しかも月曜の 朝は保育園の荷物が多いし。 第 1 部第 2 課 伊庭 みのり 伊庭 :そうだよね。うちは夫が送っていってくれたのだけど、やっぱり大 (平成16年入局) 変だったみたい。 第 3 部第 2 課 坂本 光 (平成16年入局) ところで、坂本さんはいつも仕事も育児も熱心に取り組んでいるけ 残業や早朝出勤が必要なときは、うちも妻に家事育児の負担をお願 ど、両立を実現できる秘けつを挙げるとしたら何かな? いせざるを得ないな。だからその分、妻が忙しいときはこちらが引き 坂本:うーん、真っ先に思い浮かぶのは、当局の仕事が、基本的に個人単 位で抱え込むのではなくチーム単位で動くので、急に休みを取らなけ ればならないときも相互のサポートやフォローがしやすいところかな。 受けたりして、長期的に見て負担が偏らないように心掛けているよ。 そういう伊庭さんも、旦那さんが忙しい中で立派に両立させている よね。 ほかにも、上司や同僚に御自身も共働きで育児中の方、あるいは 伊庭 : そんなそんな。局内の共働きの先輩パパ・ママさんから色々とア そういう状況に理解のある方が多くて、仕事を効率的に進めようとい ドバイスをいただいたおかげで、なんとかここまでやって来られたと う意識が局全体にあるのは大きいと思う。下の子の出産で妻が入院 いう感じだよ。ただ、限られた時間の中でいかに集中して効率よく仕 していた期間、上の子の保育園の送迎のために残業を免除してもら 事をするかを意識するのが大事と教わったので、それはいつも意識 えたのは本当に助かったよ。 しているかな。実はその視点を生かして家事もかなり効率化してるん 伊庭 : 私も子どもが熱を出したのですぐに迎えに来るよう保育園から呼 出しを受けて急に退庁させていただくこともあるけど、皆さん温かく 見守ってくださるのでありがたく思ってるんだ。 だけどね。 坂本 : 伊庭さんらしいね(笑)。お互いまだまだ子どもには手が掛かりそ うだけど、年次的にはこれから職務上の責任も大きくなっていくし、 とはいえ、日常の業務では、急ぎの案件なので残業して仕上げる日 若手職員がサポートを必要とするときには、今度は自分たちが手を差 や、朝早くからの政党の会議に出席するため早めに出勤する日もあ し伸べていかなくちゃね。 るよね。そういうとき私は夫に頼りっきりだけど、坂本さんはどうしてる? 坂本:確かにいつでも定時退庁や休暇取得ができる仕事ではないから、 伊庭 : そうだね、これからもみんなが働きやすいように協力し合ってい きたいね。 座談会/ワーク・ライフ・バランス 08
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