田中 宗 浩 - 佐賀大学 産学地域連携機構

農学部 生物環境科学科
TANAKA
資源循環生産学講座
MUNEHIRO
田中 宗 浩
教授
「IoT を駆使した適正な農業生産管理技術の構築」
[キーワード]
IoT,ビッグデータ,IT 農業,スマートやさい
“たのしく,かっこよく,稼げる農業”を佐賀から IT を使って実現する
研究紹介
◆研究概要
2015 年 8 月,佐賀大学,佐賀県,㈱オプティムは
「農業 IT 分野」における三者連携協定を締結しました.
目的は,「農業分野の第四次産業革命」と呼ばれるような
技術革新(特に IT 技術の活用)を創出することです.具
体的には,本学農学部(学術)が保有する学術的な知
見,佐賀県(行政)が保有する実用的な知見と現場ノウ
ハウ,㈱オプティム(産業)が保有する IoT テクノロジ
ーを融合させ,“ たのしく,かっこよく,稼げる農業 ”
を,我が県から発信することを目指しています.
(参考 URL:IT 農業三者連携協定,㈱オプティム)
https://www.optim.co.jp/it-industry/agriculture/case-study/tpa/
◆解決したい課題
現在,第一次産業は様々な課題を抱えています.特
に,「高齢化」・「担い手不足」・「技術伝承の難しさ」の問
題は,農業に限らず,多種多様な事業や業種においても
大きな課題です.必要とされる知識や技術は年々多様化
し,かつ急速に変化する反面,労働人口は減少を続けて
います.当研究室では,様々な IoT 技術の動員による解
決を目指し,以下の2段階プロセスによる研究を進めて
います.
①私達の活動記録,個人に集積されている知識や技術
を,誰もが追体験出来るように標準化しながら整理蓄
積する.
②整理蓄積した情報を活かした人材育成や地域創生の仕
組み作りを構築する.
これら技術の確立は,産業界に蓄積されている知見や
社会的な文化の継承を円滑に促し,結果,社会活動の効
率化を図れることが期待され,その意義は大きいものと
考えています.
◆IT 農業の実現を目指します.
我々が考える IT 農業の柱は,農業ビックデータの蓄積か
ら始まります.既に農学部圃場や県内の各試験センターや
協力農家を対象としたデータ化が開始されています.これ
に対応して,㈱オプティムより,害虫検知や農薬散布機能
を装備した農業専用マルチコプタ「アグリドローン」が発
表されました.また,同社は世界初となるドローン対応ビ
ックデータ解析プラットフォームを開発し,一部運用を開
始しています.これは Web 上で汎用的に稼働するプラッ
トフォームとして様々な IoT 端末とつながることができ,
先ずは農業,医療,建築分野のアプリケーション開発との
連携が進められています.農業分野では,空撮画像をベー
スに,農地利用状況,作物の生育診断,病害虫発生の発見
と場所の同定,作業履歴の自動記録など,これらの知見の
活用を可能とする予定です.またウェアラブルでは.農業
技術のリモート支援や作業ログの自動化と専門技術や知見
のリモートシェアリングを可能とするシステムの構築を目
指しています.
◆IoT 栽培管理を駆使した農産物
このような管理技術を導入して
栽培した農産物のことを「スマート
やさい」
(商標登録済)と命名しまし
た.佐賀県特産の高品質農産物とし
て市場開拓を進める計画です.現在
は,佐賀県特産のタマネギやイチ
ゴ,本学育種学研究室が開発した黒
大豆などを対象とした試験栽培を進めています.
今後,少しずつ品目を増やしながら,
「農家~流通販売~
消費者」の関係づくりの手助けをするプラットフォームと
して構築していくことを目指しています.
掲載情報 2016 年9月現在
農業関係者および
IoT 活用を検討する皆様へ
一言アピール
農業 IT に興味をお持ちの方,また,農業以外でも様々な分野で IoT の導入
は必須となっています.アイディアをお持ちの際はご相談ください.
産学・地域連携機構より
田中教授は,農業分野を手始めに第一次産業界全体が抱える課題の解決を目指しています.今
後,農業分野以外との連携は必然であり,アイディア次第で活用方法だけでなく,ビジネスモ
デルの新たな展開にも期待できます.IoT 活用をお考えの方は是非,お問合せください.
佐賀大学研究室訪問記
2016
佐賀大学
産学・地域連携機構
(佐賀県佐賀市本庄町1番地)
(お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課
TEL:0952-28-8416
E-mail:[email protected]