慢性心不全患者を対象とした vericiguat の第 III 相臨床

バイエル薬品株式会社
News Release
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本資料は 9 月 28 日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、報道関係者各位へ
参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を
優先します。原文は www.press.bayer.com をご参照ください。
慢性心不全患者を対象とした vericiguat の第 III 相臨床試験を開始
ベルリン、2016 年 9 月 28 日―ドイツ・バイエルは本日、バイエルの提携先である MSD 社が主導する左
室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者を対象とした vericiguat の第 III 相臨床試験である
VICTORIA 試験に最初の患者が登録されたことを発表しました。vericiguat はバイエルが発見し、慢性心
不全(CHF)患者で評価するものとしては初の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬です。vericiguat
の開発と販売は、sGC モジュレーター領域におけるバイエルと MSD(米国とカナダではメルク社)との全
世界での戦略的業務提携の一環です。
心不全(HF)は体内に十分な血液を送り出す心臓のポンプ機能の進行性低下を特徴とする重篤な衰弱
状態をもたらす疾患です。HF の世界疾病負担は増加し続けており、死亡率は依然高いままです。実際、
HF の死亡率は一部の癌より高く、急性の HF イベントによる入院後、1 年以内に 17%から 45%の患者さ
んが亡くなっています。
「利用可能な治療選択肢があるにもかかわらず、HFrEF 患者の予後は依然として不良であるため、私達
には新しい治療選択肢が必要です。VICTORIA 試験は、HFrEF 駆出率が低下した慢性 HF の悪化がみ
られる患者を対象とし、標準的治療に vericiguat を上乗せした CHF 治療が心血管機能を改善し、心血管
死または HF による入院リスクを低下させるかを評価することを目的としています」と Canadian VIGOUR
Centre の創設理事長でありアルバータ大学のディスティングイッシュトプロフェッサーでもある、本試験の
運営委員会の議長のポール・W・アームストロング医学博士は述べています。
ドイツ・バイエル社の医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで開発責任者のヨルグ・メラー博士は、
「現在、世界で 5 人に 1 人が生涯において、HF を発症すると言われています。新規化合物である
vericiguat を用いて、バイエルと MSD はこの分野における新たな研究への取り組みを進めています。私
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たちは CHF 患者を対象とした初の sGC 刺激薬として vericiguat を評価することを楽しみにしています」と
述べています。
「特に HFrEF の悪化がみられる患者に対して、疾患進行を遅延し標準的治療を向上させる新しい治療法
が早急に必要とされています。第 III 相臨床試験である VICTORIA 試験では、vericiguat がこのようなリス
クが高い集団において CHF 治療の今後に役立つかを判断する一助となるでしょう」と米メルク社研究開
発本部心血管領域バイスプレジデントのダン・ブルームフィールド医学博士は述べています。
VICTORIA 試験では、HF による入院後の、あるいは外来で利尿薬の静脈内投与を受けた HFrEF 患者
を対象とし、標準的治療に 10mg を上限とし vericiguat の 1 日 1 回投与を上乗せした vericiguat 群と、プ
ラセボ群(現在の標準的治療)とを比較し、有効性および安全性を検討します。有効性の主要評価項目
は、複合エンドポイント(心血管死または HF による入院)の初回発現までの時間としました。VICTORIA
試験では、39 カ国、530 施設の患者約 4,900 名の登録を予定しており、試験期間は 39 ヵ月を予定してい
ます VICTORIA 試験は、アルバータ大学の Canadian VIGOUR Centre(CVC)および Duke Clinical
Research Institute(DCRI)との共同で行われます。
第 III 相臨床試験である VICTORIA 試験のデザインは、フロリダ州オーランドにある米国心臓協会(AHA)
の 2015 年度年次学術集会で発表され、米国心臓協会ジャーナル(JAMA)に公表された、HFrEF 患者
456 名における SOCRATES-REDUCED 第 II 相臨床試験から得た結果に基づくものです。
心不全について
心不全の有病率は、主に心筋梗塞による死亡率の低下および世界人口の高齢化により過去数十年間に
わたって上昇の一途をたどっています。駆出率によって分類した場合、HF は主に 2 種類の病型に区別
することができ、それぞれが HF 患者の約 50%を占めています。1 つは、HFrEF であり、収縮期に心臓が
酸素豊富な血液を十分に送り出すことができない点が特徴です。HFrEF は、特に冠動脈疾患など、多く
の心血管疾患で共通する終末的な病態です。発症すると、HFrEF は、心臓の構造や機能に悪影響を及
ぼすさまざまな経路の活性化を通じて進行します。現在、HFrEF に対する最も効果的な薬物療法は、HF
において発現するレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系およびアドレナリン交感神経系の過剰活性
化を標的としています。しかしながら、最新の治療選択肢を用いた場合でも、有病率および死亡率は依然
として高く、急性代償不全や HF による入院の既往がある場合にはさらに上昇します。心不全のもう 1 つ
の病型は、拡張不全として知られる収縮能が保持された心不全(HFpEF)であり、心臓の硬化を特徴とし、
心臓の充満異常や圧力上昇に至ります。HFpEF を適応として承認された治療薬は現在のところありませ
ん。
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vericiguat について
vericiguat(BAY 1021189 / MK-1242)は、1 日 1 回経口投与する開発中の可溶性グアニル酸シクラーゼ
(sGC)刺激薬です。sGC は血管および心臓の両方の機能にとって重要ですが、全身血管障害および冠
動脈障害を引き起こす一酸化窒素(NO)障害により、心不全患者では十分に刺激されません。sGC 経路
は心不全の治療における潜在的治療標的として現在検討が進められており、vericiguat はこの適応で開
発中のものとしては初の sGC 刺激薬となります。
バイエルと MSD の全世界における提携
2014 年 10 月より、sGC モジュレーター領域における MSD(米国とカナダではメルク社)との世界規模の
戦略的提携により、この領域をリードする 2 社が協力することとなりました。両社はこの試験研究中のクラス
の化合物と、それが持つ患者さんの利益に向けた可能性を十分に活用する意志を表明します。本提携の
一環として、vericiguat の計画はバイエルと MSD とで共同開発されます。第 III 相 VICTORIA 試験は
MSD の主導で実施されますが、vericiguat の開発と製品化において、両社は対等のパートナーであり出
資者です。vericiguat について、MSD は米国内での商権をもち、バイエルはそれ以外の全世界での商権
を有します。
バイエルについて
Bayer: Science For A Better Life
バイエルは、ヘルスケアと農業関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。「Science For A Better Life」と
いうミッションのもと、バイエルはその製品とサービスを通じて、人々のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に貢献すると同時に、
技術革新、成長、およびより高い収益力を通して企業価値を創造することも目指しています。また、バイエルは、持続可能な発展
に対して、そして良き企業市民として社会と倫理の双方で責任を果たすために、これからも努力を続けます。グループ全体の売
上高は 463 億ユーロ、従業員数は約 117,000 人(2015 年)。設備投資額は 26 億ユーロ、研究開発費は 43 億ユーロです。この
数字は、コベストロ社として株式市場に 2015 年 10 月 6 日に上場した高機能ポリマー材料の事業を含んでいます。詳細は
www.bayer.com.をご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2016 年 9 月 29 日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking
Statements) が含まれています。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の
動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社の Web サイト上
(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更
新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。
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