第196号

共創・共育・共感
尾鷲市教育長だより
2016.9.30.(金)
第196号
コミュニティ・スクールの展望
保護者や地域住民が学校運営に参画するコミュニティ・スクールが増えて
います。本市では尾鷲小学校が2年間の研究指定を終え、コミュニティ・スク
ー ルに 指 定 されて い ます。ま た、輪内中学校が平成29年度の本格的導入を目
指して、平成27年度から準備を進めています。
コミュニティ・スクールは、今から16年ほど前、当時の小渕恵三首相が
設 けた 教 育 改革国 民 会議の最 終報告「教育を変える17の提案 」(平 成12年 )
に新しいタイプの学校として提言されたことに始まります。
文 部科 学 省 の 調査に よると 、制度 発足直 後の 2005( 平成17)年度 は全国
で 17校 で し た が 、 そ の 後 は 徐 々 に 増 え 2011( 平 成 23) 年 度 に は 789校 に
なり まし た。そ して、2012(平成24)年度には1,183校と一挙に1,000校
を超え、2013(平成25)年度1,570校、2014(平成26)年度1,919校、
2015(平成27)年度には2,389校になり、2016(平成28)年度4月現在、
2,806校 (幼稚園 109、小学校1,819、中学校835、義務教育学校7、高等
学校25、特別支援学校11)になっています。
こ う した 背景に は 、2011(平成23)年3月 11日の東日本大震災の影響が
あります。震災で学校が住民の避難所として大きな役割を果たし、地域と学
校の 「 絆 」が改め て再認識され、「地 域とともに ある学 校」が見直 され、地域
と学校の連携を図る方策としてコミュニティ・スクールが評価されたことが、
増加の大きな要因と言えます。
文部科学省調査によると、コミュニティ・スクール導入の成果としては、
地域や保護者が学校に協力的になった、特色ある学校づくりが進んだ、地域
の教育力が上がった、地域が活性化した、児童生徒の学習意欲が高まった、
保護者や地域からの苦情が減った等のメリットが挙げられています。学校、
保護者、地域が連携して学校運営に参画する仕組みがうまく機能することで、
一体感のある「地域とともにある学校」づくりが進められているのです。
来年度の導入に向けて取組を進めている輪内中学校の平成27年度の主な
活動 を (「 輪内中 学校コ ミ ュニテ ィ・スクー ルの歩み」 から)紹介しますと、
7月28日
鈴鹿市稲生小学校訪問
8月
第1回委員会「防災と読書を後援事業として位置づける」
4日
8月24日
津市立三杉中学校訪問
8月27日「地域とともにある学校づくり」推進フォーラム愛知大会参加
9月
第1回主催事業「図書室兼パソコン室を使いやすくリフォーム」
10月
第2回主催事業「多目的室にひのき本棚6脚設置」
12月
4日「地域とともにある学校づくり」推進フォーラム東京大会参加
12月
9日
1月22日
第2回委員会
第3回主催事業
「コミュニティ・スクール導入促進事業における講演会」
講師:新谷さゆりさん(コミュニティ・スクールマイスター
岐阜県白川村教育委員会社会教育主事)
1月26日「地域とともにある学校づくり」推進フォーラム兵庫大会参加
3月
3月末
2日
第3回委員会(含む学校評価)
第1回後援事業終了
「図書貸出冊数を一人当たり年間5冊から6冊を達成」
図書 室貸出 冊 数
年間計247冊(一人当た り6冊
昨 年 度 5冊 )
先進地の取組に学びながら、輪内の特性を生かして今できることを工夫し
ながら、着々と準備が進められていることがわかります。さらに今年度は、
学校運営協議会に学校活性化部会と広報部会が設置され、景観整備活動とし
て学校グラウンド一帯の除草作業等を実施したり、各地区コミュニティ・セ
ンター掲示板等へポスターやコミスク通信の掲示も行っています。
コミュニティ・スクールに置かれる「学校運営協議会」は、保護者・地域
住民・教職員らで組織し、学校運営の基本方針を承認するほか、学校運営に
ついて校長または教育委員会に意見を述べたり、教職員の任用に関して意見
を述べることができるなど、法的な権限が与えられていますが、拡大ととも
にコミュニティ・スクールの理念も当初とはずいぶん変化してきています。
現在導入されているコミュニティ・スクールのほとんどは、学校運営協議
会の主な役割を学校のサポートと考え、保護者や地域住民らによる「学校応
援団」的な組織として位置づけて取り組んでいるのが現状です。今後、すべ
ての学校にコミュニティ・スクールを導入していく上で、学校運営協議会の
あり方等について、さらに検討していくことが求められています。