仕様書 - 量子科学技術研究開発機構

原型炉炉心プラズマ解析のための
ディスラプション統合コードの整備と可視化
仕様書
平成 28 年 9 月
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
核融合エネルギー研究開発部門 六ヶ所核融合研究所
核融合炉システム研究開発部
プラズマ理論シミュレーショングループ
目次
1 一般仕様
1.1 件名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.2 目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.3 契約範囲・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.4 作業場所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.5 納期・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.6 納入場所及び納入条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.7 検収条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.8 瑕疵担保責任・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.9 提出資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.10 貸与品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.11 国際核融合エネルギー研究センター大型計算機の使用・・・・・・・・・
1.12 情報セキュリティーの確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.13 グリーン購入法の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.14 協議・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.15 その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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2. 技術仕様
2.1 作業概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.2 打ち合わせ・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.3 要求項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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添付資料
別添 -1 コンピュータプログラム作成等業務特約条項
別添 -2
産業財産権特約条項
別添 -3
添付資料「非線形電磁流体安定性解析コードMHDTMの整備項目」
1
1
一般仕様
1.1
件名
原型炉炉心プラズマ解析のためのディスラプション統合コードの整備と可視
化
1.2
目的
核融合原型炉においては安定な電気出力を実証するため、電磁流体力学的不
安定性などの原因による意図しない放電停止(ディスラプション)の頻度が低
い運転領域の設定や不安定性回避のための制御手法が必要とされるが、同時に、
装置設計の観点からはディスラプションが起こった場合に装置の健全性が保
たれるかどうかをシミュレーションによって検証する作業が不可欠である。国
立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下、「量研機構」という)プラ
ズマ理論シミュレーショングループでは、日欧共同の幅広いアプローチ活動の
一環として、計算機シミュレーションセンター設置の Helios 計算機を用い、デ
ィスラプション時の装置負荷を模擬するシミュレーションコードとしてディ
スラプション統合コードの研究開発を進めている。
本仕様では、ディスラプション統合コードに含まれる非線形 MHD 安定性解析
モジュール MHDTM および垂直位置移動現象解析モジュール ETA を用いて、
原型炉炉心プラズマにおける自由境界型の不安定性として、外部キンクモード
および垂直位置移動現象を解析するためのプログラム整備、データ作成作業、
および同コードのシミュレーションデータを用いた 3 次元可視化作業の項目を
記述する。
1.3
契約範囲
本件では 2.技術仕様が定める以下の作業を行うものとする。
1) 打ち合わせ
量研機構の担当者と打ち合わせを行い、作業手順を設定する。下記 2)-4)の
各作業項目完了ごとに経過報告のための打ち合わせを六ヶ所核融合研究所
にて実施する。
2) 外部キンク安定性解析のための MHDTM コードの改造作業
技術仕様および別添3に基づき、非線形安定性解析コード MHDTM に任意
の導体壁形状を考慮できるようにするため、埋め込み境界法を実装する改
造作業を実施し、作業内容および改造したプログラムによるテスト計算結
果を報告書に記載する。改造版のプログラムの動作検証のため、技術仕様・
2
別添3に記述する 2 種類のテスト問題を実施する。
3) 原型炉炉心プラズマの垂直位置移動現象の参照データ作成作業
技術仕様に基づき、垂直位置移動現象解析モジュール ETA に原型炉のジオ
メトリ情報を実装する作業を実施し、垂直位置移動現象のテスト計算を実
施する。テスト計算の結果としてプラズマ電流・プラズマ中心位置および
真空容器電流の時系列、ポロイダル磁束の 2 次元等高線を gnuplot 等の可視
化プログラムを用いて図示し、報告書に結果を記載する。
4) 自由境界不安定性の 3 次元可視化作業
垂直位置移動現象のシミュレーションデータを使用し、プラズマの形状・
位置・流束等の時系列データを真空容器壁・ダイバータ等のトカマク装置
を構成する構造物と合わせて 3 次元表示させる可視化作業を実施する。同
作業には 3 次元可視化のために必要となるデータの抽出・変換とそのため
の I/O ルーチンの整備を含むものとする。
可視化ソフトウェアには Paraview
を使用すること。Paraview を使用した物理量の表現方法に関しては量研機
構の担当者との協議の上、決定すること。
1.4
作業場所
本作業は受注者の環境を利用して実施し、契約成立以降、速やかに開始し、
納期内に全作業を終了するものとする。受注者はインターネットを介した利用
形態によって CSC 計算機を使用できる。
1.5
納期
平成 29 年 2 月 28 日(火)
1.6
納入場所及び納入条件
1) 納入場所
青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字表舘 2 番地 166
国立研究開発法人
量子科学技術研究開発機構
六ヶ所核融合研究所核融合炉システム研究開発部
プラズマ理論シミュレーショングループ
2) 部分使用
量研機構は、第 1 章第 7 項に定める検収前においても、必要がある場合に
は作成プログラムを受注者と協議のうえ使用することができる。
3
1.7
検収条件
報告書および納品されたプログラムと本仕様書との照合により合否の判定を
行う。1.6 に定める納入場所における検査の合格をもって、納入、引渡しとす
る。
1.8 瑕疵担保責任
検収後 1 年以内に設計、プログラミング上の瑕疵もしくは報告書の不備が発
見された場合,無償にて速やかにプログラムの修正、および報告書の修正を実
施するものとする。
1.9
提出資料
資料名
1) 1.3 が定める契約範囲において開発されたコ
ード一式
2) 作業報告書
3) 1)-2)を格納した CD-R 等メディア媒体
1.10
提出時
期
納入時
部数
納入時
納入時
1部
1式
1部
貸与品
本作業の実施にあたり、量研機構から以下のものを無償貸与する。
(1) ソフトウェア
非線形安定性解析コード MHDTM
1式
垂直位置移動現象解析コード ETA
1式
貸与品は、作業完了時に全て返却すること。
1.11
国際核融合エネルギー研究センター大型計算機の使用
受注者は本件作業を実施するにあたり、IFERC の大型並列計算機 Helios を、
無償で使用できる(最大 1 万コア時間程度)。計算機利用の形態としては、研
究室の端末を利用またはインターネットを介した利用に必要となる機材は受
注者が用意し、計算機の使用にあたっては IFERC-CSC 計算機の利用規則を遵
守するものとする。なお、Helios は平成 28 年 12 月 27 日に利用が停止されるた
め、Helios からのデータ移行等の作業は受注者の責任においてそれ以前に完了
するものとし、代替の計算資源は量研機構からは提供しない。
1.12
情報セキュリティーの確保
情報セキュリティーの確保については、別に定める『量研機構との取引にお
いて遵守すべき「情報セキュリティーの確保」に関する事項』のとおりとする。
4
1.13
グリーン購入法の推進
1) 本契約において,グリーン購入法(国等による環境物品等の調達等に関
する法律)に適用する環境物品(事務用品,OA 機器等)が発生する場合は,こ
れを採用するものとする。
2) 本仕様に定める提示資料(納入印刷物)については、グリーン購入法の基
本方針に定める「紙類」の基準を満たしたものであること。
1.14
協議
本仕様書に記載されている事項および本仕様書に記載のない事項について疑
義が生じた場合は,量研機構と協議のうえ,その決定に従うものとする。
1.15 その他
本契約の履行にあたっては、別添 1「コンピュータプログラム作成等業務特約
条項」及び別添 2「産業財産権特約条項」を遵守するものとする。
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2
技術仕様
2.1 作業概要
本技術仕様では、原型炉炉心プラズマ解析のためのディスラプション統合コード
の整備と可視化に関する項目を記載する。
本作業では、原型炉炉心プラズマにおいて外部導体壁が重要な役割を果たす不安
定性のうち、外部キンクモードと垂直位置移動現象(VDE)の解析を行うためのプログ
ラム整備、データ作成および可視化作業を実施する。
外部キンクモード解析には、非線形安定性解析モジュール MHDTM を用いる。別添
3にモジュールの概要を記述する。外部キンクモードの安定性には、プラズマに近接
した導体壁に流れる渦電流が重要な役割を果たすが、現在のコードでは外部導体壁は
計算領域境界と一致しており、原型炉の解析において、実装置形状に対応した壁位置
での計算が実施できない。本作業では構造格子を用いた流体コードで任意の境界形状
を取り込むための手法として、埋め込み境界法(Immersed Boundary Method)を新たに採
用し、同手法に基づくプログラムの改造作業を実施する。
VDE の解析には、プラズマをポロイダル断面の 2 次元で近似した垂直位置移動現象
解析モジュール ETA を用いる。同コードは任意形状の壁に加え、ブランケットモジ
ュールやダイバータ等の炉内機器も扱えるよう整備がなされている。本作業では、量
研機構から提供する原型炉のジオメトリデータを ETA コードに実装する作業を実施
し、実装したジオメトリデータを用い、原型炉における VDE の参照シミュレーショ
ンを1ケース実施する。
上記作業とあわせ、原型炉炉心プラズマの安定性解析結果を 3 次元で表示させるた
めの可視化作業を実施する。
2.2 打ち合わせ
本契約に関する打ち合わせは、量研機構六ヶ所核融合研究所にて行う。
打ち合わせは作業開始前および 1.3 契約範囲に定める各項目の作業終了後に実施す
るものとする。
2.3 要求項目
2.3.1 一般事項
プログラミングには fortran 言語(fortran90 以降の仕様)を用い、コードの並列化には
OpenMP および Message Passing Interface (MPI)を用いること。プログラム開発にあた
って必要が生じた場合には LAPACK, Scalapack などの数値計算ライブラリを用いても
よい。但し、使用するライブラリは Helios 計算機で利用できるものに限る。コードの
可視化、性能測定等に用いるソフトフェアについても Helios 計算機で実行できるもの
6
に限る。Helios 計算機の仕様および利用できるライブラリ、ソフトウェアの情報は量
研機構から提供する。
2.3.2 外部キンク安定性解析のための MHDTM コードの改造作業
別添3に示すように MHDTM コードは、構造格子を用いた 2 次精度中心差分法を円
柱 座 標 系 (R,Z, φ ) に 適 用 し た 空 間 離 散 化 を 行 っ て お り 、 時 間 発 展 は 4 次 精 度
Runge-Kutta 法で解く。現在のバージョンでは、電磁流体方程式の境界条件を決める
導体壁は構造格子と同形状、すなわちポロイダル断面において長方形型に設置されて
いるが、埋め込み境界法を用いることでこれを任意形状の壁構造に変形できるよう修
正を行う。埋め込み境界法の実装は R. Ghias, R. Mittal. & H. Dong, J. Comput. Phys. 225,
528 (2005)に従って行うものとする。
改造したプログラムを用いたテスト問題として、プラズマ表面の形状をコンフォー
マルに拡大した壁形状を用いて(1)2 次元緩和平衡計算、(2)線形外部キンク不安定性、
の 2 種類の計算を実施し、結果を報告書に記載する。(1)は 1 ケース、(2)は壁位置を変
えた 3 ケースの線形成長率の計算を実施するものとする。緩和平衡計算の手法は W.
Park, et al., Phys. Fluids 29, 1171 (1986)に従うものとし、計算結果に対して、1 次元圧力
分布および安全係数分布を出力するサブルーチンを整備し、初期入力データとして与
えられる圧力分布および安全係数分布との比較を報告書に記載すること。外部キンク
モードの計算結果は運動エネルギーの時間発展のグラフおよび不安定性の成長率の
数値を示すこと。
2.3.3 原型炉炉心プラズマの垂直位置移動現象の参照データ作成作業
垂直位置移動現象解析モジュール ETA に原型炉用のジオメトリ情報を実装し、指定
した入力パラメータを用いて VDE のシミュレーションを実施する。原型炉のジオメ
トリデータの作成に必要な情報は量研機構から提供する。実装するジオメトリデータ
は(1)コイル、(2)真空容器壁、(3)ブランケットモジュール、(4)導体シェルの 4 つとし、
量研機構から提供する初期平衡情報を用いて ETA コードのシミュレーションを 1 ケ
ース実施し、結果を報告書に記載する。テスト計算の結果として、プラズマ電流、プ
ラズマ中心位置および真空容器電流の時系列およびポロイダル磁束の 2 次元等高線を
gnuplot 等の可視化プログラムを用いて図示し、報告書に結果を記載する。
2.3.4 自由境界不安定性の 3 次元可視化作業
2.3.2 で作成した ETA コードのシミュレーションデータを用いて原型炉炉心プラズマ
の変形・移動をムービーとして 3 次元表示する機能を実装する。可視化ソフトウェア
には Paraview を用い、3 次元のプラズマの変形・移動と合わせ、トカマク装置のポロ
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イダル断面の 2 次元座標として指定されたコイル、真空容器、導体シェル、ブランケ
ットモジュール等を、軸対称性を仮定してトロイダル方向に 360 度回転させて構築し
た炉内構造物をあわせて表示させること。同作業には 3 次元可視化のために必要とな
るデータの抽出・変換とそのための I/O ルーチンの整備を含むものとする。Paraview
を使用した物理量の表現方法に関しては量研機構の担当者との打ち合わせの上、決定
するものとする。
2.3.5 報告書作成
作業報告書には、本仕様に基づき、受注者が実施した作業内容および動作試験、性
能測定、可視化結果に加え、プログラムのインストールマニュアルおよび使用手引き
を含める。1.9 が定める通り、報告書は紙媒体および CD-R 等のメディア媒体として提
出する。開発したコード一式と合わせて、可視化や性能試験、動作試験に使用したス
クリプト類も納入すること。
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別添 3
非線形電磁流体安定性解析コード MHDTM の整備項目
1
MHDTM コードの概要
(1) 基礎方程式
MHDTM は炉心プラズマの電磁流体不安定性を解析するため、電磁流体方程式
𝜕𝜌
= −∇ ⋅ (ρ𝐕),
𝜕𝑡
(1)
𝜕
ρ𝐕 = −∇ ⋅ (ρ𝐕𝐕) − ∇p + 𝐉 × 𝐁 + ν∇2 𝐕,
𝜕𝑡
(2)
𝜕𝑝
= −∇ ⋅ (p𝐕 − 𝜅∥ 𝐛(∇ ⋅ 𝐛)T) − (γ − 1)(p∇ ⋅ 𝐕 − 𝐕 ⋅ ν∇2 𝐕 − η𝐉 2 ),
𝜕𝑡
(3)
𝜕𝑩
= −∇ × 𝐄
𝜕𝑡
(4)
µ0 𝐉 = ∇ × 𝐁,
𝐄 = −𝐕 × 𝐁 + η𝐉,
(5)
(6)
を解く。ここで𝐛は磁力線方向の単位ベクトル、𝐕はプラズマの流速、ηはプラズマ抵
抗、ρはプラズマの質量密度、𝐄は MHD 近似に基づくプラズマ中の電場である。 式
(2-1)-(2-6)は円柱座標系(R,Z,φ)において、各方向を 2 次精度中心差分法、時間方向に
は 4 次精度の陽的 Runge-Kutta 法を用いた離散化を行っている。Helios 計算機にお
ける大規模並列化に対応するため、 (R, Z)方向は MPI によるプロセス並列、phi 方向
は Open MP によるスレッド並列を実装したハイブリッド並列を採用している。本作
業においては以上の基本仕様部分は変更しないこと。
(2) 解像度
本作業で実施する外部キンク不安定性のシミュレーションでは(R, Z, φ)の各方向に
256×256×32 の格子点を使用する。上記、解像度の計算は Helios 計算機において プ
ロセス並列数 256、スレッド並列数 8 のハイブリッド並列を用い、実行時間 12 時間
1
程度のジョブで実行される。
MHDTM コードの整備項目
2
(1)埋め込み境界法の整備
図1に MHDTM コードの計算領域を模式的に示す。MHDTM コードでは矩形の計算
ボックス内の物理量の変化を 2 次精度有限差分法に基づく構造格子を用いて解く。現
在のバージョンでは電磁流体方程式の境界条件をなす完全導体壁は計算領域境界と
一致させる必要があるため、図 1 の長方形型のみを使用することができる。プラズマ
と壁の距離は空間解像度との関係にも影響されるため、外部キンクモードなどの自由
境界モードの安定性解析において壁とプラズマの距離を変化させた計算を行う場合
には都合が悪い。
本作業では、埋め込み境界法[1]を用いて任意形状の導体壁を採用できるようにプロ
グラムの境界条件を変更する。埋め込み境界法の模式図を図2に示す。この場合、図
中の上下中央付近を横切る曲線が壁を表し、上側が壁内部、下側が壁外部を表し、壁
外部には流体が存在しないものとする。埋め込み境界法では、壁に隣接したステンシ
ルを Ghost point (GC)と呼び、Ghost point を壁に対して鏡像対象に反転させた点を
image point (IP)と呼ぶ。MHDTM コードでは、任意の壁形状を読み込み、Ghost point
および Image point を同定する機能が実装されているので、同機能を用い、式(1)-(6)
の電磁流体方程式の境界条件を任意の壁形状に適合させる作業を実施する。具体的に
は (1) Image point に対する物理量の内挿機能を文献[1]に従って実装する、(2)Image
point における物理量の内挿値を用いて、電磁流体方程式の完全導体壁境界条件を記
述する、の 2 点のプログラム変更を実施し、埋め込み境界法の実装を完了させる。
図1:MHDTM の計算領域の模式図
2
図 2: 埋め込み境界法の模式図(文献[1]より引用)
(2)テスト計算
埋め込み境界法の動作検証のためのテスト問題として、(1)2 次元緩和平衡計算、(2)
線形外部キンク不安定性、の 2 種類を解く。使用する入力データは量研機構から提供
する。線形外部キンク不安定性の計算には、特に支障がない限り、1(2)で示した標準
的な解像度を使用するものとし、線形安定性の解析を 3 ケース程度の異なる壁位置で
実施する。2 次元緩和平衡計算においては、電磁流体方程式(1)-(6)のうち、圧力方程
式(3)を以下の人口音波の伝搬式
𝜕𝑝
= B ⋅ ∇v𝑎
𝜕𝑡
𝜕v𝑎
= B ⋅ ∇p
𝜕𝑡
に置き換え、適当な時間ステップごとに流束ベクトルをゼロにキャンセルして、運動
エネルギーがゼロになるまで収束計算が行う。2 次元緩和平衡計算の詳細については
文献[2]に従うものとし、結果として 1 次元の圧力分布および安全係数分布を出力する
機能を実装する。解像度は(R,Z)方向にそれぞれ 256 メッシュを用いるものとする。
参考文献
[1] R. Ghias, R. Mittal, and H. Dong, “A sharp immersed boundary method for
compressible viscous flows,” Journal of Computational Physics 225, 528 (2007).
[2] W. Park, et al., “Threedimensional stellarator equilibrium as an Ohmic steady
state,” Physics of Fluids 29, 1171 (1986).
3