人間動作を記録・編集・再現可能な汎用ロボットアーム (GP

記者発表時配布 参考資料
人間動作を記録・編集・再現可能な汎用ロボットアーム (GP-Arm)を開発
~フォグ AI を活用した最先端ヒューマノイド~
Ⅰ.研究背景 ~物に触れられない従来のロボットたち~
少子高齢化が深刻化すると、本来ならば生産的活動に貢献すべき若年層が福祉介護に従事す
る結果となり、社会の持続的発展が望めなくなる。したがって、人間のように力加減を調節し
多様な作業を柔軟にこなす技術や、人手や手間暇のかかる身体的行為を人工的に実現する装置
が希求されている。しかしながら、従来のロボットは位置制御に基づく高剛性サーボの制御が
なされており、接触対象物を破壊する危険性がある。このように現在のロボットは我々の生活
を支援するに足る柔軟性と多機能性の獲得には至っていない。
Ⅱ(1).本装置のポイント ~世界最高水準の力触覚が実現する動作の記録・編集・再現~
- 世界初の高精度力触覚伝送機能(特許取得済み)を搭載
- 世界最高水準の把持対象物への適応性能を実現
- 柔軟性と多機能性を兼ね備えた動作を生成
- 人間の動作を記録、編集、再現することができ、人間の代替として活用可能
- 動作情報の編集(高速化や切り貼り、逆再生)により、人間以上の作業効率/性能を発揮
- 力センサレスであり、費用、耐故障性、耐ノイズ性、サイズの面で優位
Ⅱ(2).キーワード
 力触覚による次世代 IoT(=IoA)の実現
人間の動作や触れているモノの情報を数値データとして取得することが可能である。これ
らのデータを、蓄積・解析し、GP-Arm にダウンロードすることで、いつでもどこでも好き
なときに好きな動作を思い通りに生成できる。本技術は、IoT が得意とするセンシングに留
まることなく、能動的な動作をも成し遂げ、“Internet of Actions”の世界を切り拓く。

高い環境適応性を実現する超高速フォグ AI
ロボットと人やモノとの接触は瞬時的な物理現象である。したがって、接触情報を上位ク
ラウドに送信し、判断を待っているようでは手遅れとなり、対象物を破壊してしまう。これ
を解決するのが世界最高水準の力触覚技術を搭載した超高速のフォグ AI である。作業現場
に存在する知能(Local Intelligence)であり、接触状況を瞬時に把握、対応し、高い環境適応
性を実現する。

独自開発した高性能ワンボードコア
本 GP-Arm の基盤となるのは、我々が独自に開発した高性能ワンボードコアである。上述
した世界最高水準の力触覚技術を内蔵しており、超高速フォグ AI として働き、人間のよう
な柔軟かつ力強い運動を実現する。
Ⅲ.本装置が起こすブレークスルー
- 行為が空間を越える:遠隔操作により、現場にいなくとも安全な作業を実行可能
- 行為の見える化:人間の動作を数値情報としてデータ化をすることが可能
- 行為の超人化:記録した動作情報を拡大/縮小/高速化することで人間を超える能力を発揮
- 行為のコンテンツ化:人間の動作をコンテンツとして保存、編集、再実行することが可能
- 対象の見える化:接触対象物の物理特性情報(剛性・粘性・慣性)を取得可能
Ⅳ.研究内容・成果
大西らは世界で初めて鮮明な力触覚伝送に成功し、身体機能を人工的に再構築する方法を明
らかにしてきた。本成果は、これら技術を援用することで世界に先駆けて開発に成功した、人
間の動作の記録・編集・再現が可能な汎用人工上肢(GP-Arm)に関するものである。本 GPArm は、ロボットが苦手としてきた力加減を自由自在に制御し、人間同様に柔軟でかつ力強
い、環境適用性の高い動作を生成することが可能である。
Ⅴ.今後の展開
人間の代替として産業、家庭、福祉介護、医療、農業など、人手や手間暇のかかる分野の自
動化、省力化、そして人間と協調した作業での活用が期待される。さらに、記録した動作情報
を編集することで人間以上の力作業、微細作業、高速作業が可能であり、高い作業効率/能力を
発揮する。
力触覚技術を、広範な産業分野に、速やかにかつ、遍く普及させることが我々の使命であ
る。その目的のため、本発表では世界最高水準の力触覚技術を組み込んだ高性能ワンボードコ
アの開発および、これを搭載した、人間動作の記録・編集・再現が可能な世界初の汎用ロボッ
トアーム GP-Arm の開発についてご紹介した。
一方で、現在、応用ソリューションの開発を促進するため、産業機器分野、ロボット分野、
自動車分野、建設機械分野、農業分野、測定機器分野、医療分野、介護分野、健康機器分野、
航空宇宙分野など先進的な企業との共同研究開発を推進中である。うち3社は Proof of Concept
レベルの開発をすでに終了し、製品化の段階に来ている。
また、企業を相手に、産業界における本技術の拡大の役割を担うベンチャー企業の立ち上げ
に向け準備を進めている。
Ⅵ.システムの仕様
- 重
量:
- 寸 法 ( 屈 曲 時 ):
- モータ回転角分解能 :
- 可 動 関 節 数:
- 肘可動角(伸展方向) :
- 肘可動角(屈曲方向) :
- 制
御
周
期:
- 可搬質量(伸展時定格):
- 握 力 ( 定 格 ):
9.5 kg
420 mm× 200 mm×270 mm
0.00028°(324000 P/R の 4 逓倍)
計 7 自由度(指先 3、手首 1、肘 1、肩 2)
90°
68°
200 μs
2.4 kg
816 g
<出展情報>
- CEATEC JAPAN 2016
http://haptics-c.keio.ac.jp/article/ceatec2016
- Japan Robot Week 2016
http://biz.nikkan.co.jp/eve/s-robot/list.html
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<関連する知的財産>
-“Position/Force Control Device,” 米国特許, No: US7672741 B2, 2010.03.
-“位置・力制御,” 国内特許, 第 4696307 号, 2011.03.
[研究内容についてのお問い合わせ先]
慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 助教 野崎 貴裕(のざき たかひろ)
TEL:045-566-1823 E-mail: [email protected]
[研究メンバー]
- 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科野崎研究室
野崎貴裕(助教)
- ハプティクス研究センター
所長:大西公平(教授)
、副所長:永島晃(特任教授)
飯田亘、斉藤佑貴、福島聡、溝口貴弘、兪浩洋、富塚大輔
[謝辞]
本研究の一部は日本学術振興会科学研究費補助金(課題番号 16H06079 若手研究(A)
)によって
行われたことを記すと共に、関係者各位に謝意を表す。
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図1
図2
開発に成功した GP-Arm
ボトルを掴みワインをグラスに注ぐ様子
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