ミャンマー:新エネルギー計画では水力を重点とする

ミャンマー:新エネルギー計画では水力を重点とする
2016 年 9 月 23 日掲載
9 月 12 日付けの地元報道によると、ミャンマーは長期電力戦略を見直しており、従前の電源構成計画に
あった、環境問題がある石炭に代わり、水力発電の比率を引き上げ、海外からの投資を引き付ける。
ミャンマー新政府は、最優先事項の一つに、雇用の創出を打ち出した。国民の半数には電気がなく、大
都市でも停電が発生する。しかし、環境問題がある石炭火力発電所に戻ることは困難であるとした。
電力・エネルギー省によると、ミャンマーの当初計画では、石炭比率を今後 10 年間で、現状 3%を第 3
位にまで増加させるものであった。水力発電は 63%を 38%へ削減するものであった。
エネルギー省の水力発電・再生可能エネルギー計画部長は、多くの人々は石炭火力発電所には消極的で
あり、石炭火力発電所プロジェクトは実行出来ないとした。また、新計画では、水力発電が最大(2030-2031
年度までに比率 50~55%)となり、石炭の比率低下分は、液化天然ガス(LNG)の輸入にて補われるとした。
前政府の時代、主な 9 省(エネルギー、産業、鉱業を含む)は、エネルギー戦略の基本計画案に基づき、
精密な調査を行い、49 箇所の水力発電所プロジェクトを承認していた。ミャンマーは、今、この 49 プロ
ジェクトの完成時期、追加の需要量、資金の確保面を見直している。2011 年に終わった 49 年間の軍政後、
前例のない経済復興の元となる発電能力の増強と、約 8%の経済成長率の維持が求められている。
エネルギー省水力発電部門担当者は、水力発電所プロジェクトでは、ミャンマーが Myitsone 大規模ダ
ムプロジェクトを 2011 年に環境問題にて取り消したので、
中国の銀行からは融資を受けられないとした。
国際金融公社(the International Finance Corporation : IFC)の責任者は、世界銀行(World Bank)の民間
分野への支援部門である IFC は、石炭プロジェクトへの融資は、環境問題があり、積極的ではないとした。
現在、ミャンマーは、電力消費量が世界で最も少ない国の一つである。2013 年度の平均使用電力量は
164 kWh/人であり、世界銀行によると、この数字は世界でも 11 番目に低い。
(石炭開発部 辻
誠)
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