国家戦略特区における国家戦略民間都市再生事業に対する課税の特例

平成 29 年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)
(内閣府
制
税
度
地方創生推進事務局)
名
国家戦略特区における国家戦略民間都市再生事業に対する課税の特例
措置の延長
目
所得税、法人税、登録免許税
国家戦略民間都市再生事業に対する課税の特例措置の適用期限を2年間(平
成 31 年3月 31 日まで)延長する。
要
望
の
内
容
≪現行制度の概要≫
国家戦略特別区域法第 25 条第1項に規定する国家戦略民間都市再生事業を定
めた区域計画について内閣総理大臣の認定を受けたことにより、当該事業の実
施主体に対して都市再生特別措置法第 21 条第1項の民間都市再生事業計画の認
定があったとみなされた場合には、租税特別措置法に基づき課税の特例を適用
できる制度。
1.割増償却
【 償却率 】30%(5年間)※特定都市再生緊急整備地域内は 50%
【対象設備】整備される建物及び附属設備
【取得期限】平成 29 年3月 31 日
【 要 件 】・地上 10 階以上又は延べ面積 50,000 ㎡以上の耐火建築物
・公共施設用地面積 30%以上又は都市居住者等利便増進施設整
備費が 10 億円以上であること。
2.登免税軽減税率
【軽減税率】0.4% ⇒ 0.35% ※特定都市再生緊急整備地域内は 0.2%
【対象設備】建築した建築物(建物の保存登記)
【認定期限】平成 29 年3月 31 日
【 要 件 】・認定後3年間(一定の場合は5年)以内に建築し、1年以内
に登記を受けること
・割増償却の要件を満たすこと
≪関係条文≫
所得税 :租税特別措置法 第 14 条の 2、令第 7 条の 2、規則第 6 条の 2
法人税 :租税特別措置法 第 47 条の 2、令第 29 条の 5、規則第 20 条の 21
(連結法人:租税特別措置法 第 68 条の 35、令第 39 条の 64、規則第 22 条の 42)
登録免許税:租税特別措置法 第 83 条、令第 43 条の 2、規則第 31 条の4
平年度の減収見込額
10-1
―
百万円
百万円)
(制度自体の減収額)
(
―
(改 正 増 減 収 額)
(
― 百万円)
政策目的
大胆な規制・制度改革を通して経済社会の構造改革を重点的に推進すること
により、産業の国際競争力の強化とともに、国際的な経済活動の拠点の形成を
図り、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とす
る。
⑵ 施策の必要性
日本再興戦略 2016 において、国家戦略特区については、平成 29 年度末まで
の2年間を「集中改革強化期間」として、残された「岩盤規制」の突破口を開
くなど、新たな目標を設定することにより、民間の能力が十分に発揮できる世
界で一番ビジネスのしやすい環境を整備し、経済成長につなげることとしてい
る。
その具体的方策の1つに「世界と戦える国際都市の形成、国際イノベーショ
ン拠点の整備」を図るため、東京圏における国際都市機能の更なる向上を目指
し、「グローバル・ビジネス・100」として、都市再生特別措置法の特例などを
活用する「都市再生プロジェクト」の合計数について、今後 2 年間で 100 事業
とするという施策を掲げており、本税制の特例措置により、その早期実現を図
る必要がある。
新設・拡充又は延長を必要とする理由
⑴
今
政策体系
における
政策目的の
位置付け
回
の
政 策 の
達成目標
政策4
施策⑤
地方創生の推進
国家戦略特区の推進
国家戦略特別区域法の下、規制改革等の施策を総合的かつ集
中的に推進し、産業の国際競争力の強化、国際的な経済活動の
拠点形成を促進することにより、国民経済の発展及び国民生活
の向上に寄与することを目的とする。
要
望
合
に
理
性
関
連
す
る
事
項
租税特別措
置の適用又 2年間
は延長期間
国家戦略特区の「第二ステージ」を加速的に推進するため、
同上の期間 来年度末までの2年間を「集中改革強化期間」として、引き続
中 の 達 成 き規制改革メニューの創設や新規事業数の増加に取り組むこと
目
標 により、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備し、経済成
長につなげる。
国家戦略特区については、平成25年12月に成立した国家戦略
特別区域法に基づき、昨年度末までの2年間を集中取組期間と
し、いわゆる岩盤規制全般について突破口を開いてきた。
これまでに国家戦略特区により実現した規制改革事項は、全
国的措置等を含め50以上となっており、永年にわたり実現でき
なかった規制改革を実現してきた。
また、平成26年5月、昨年8月、本年1月と3次にわたり指
政策目標の 定してきた10の区域において、合計175もの事業が、それぞれ50
達 成 状 況 回、22回開催した国家戦略特別区域会議及び国家戦略特別区域
諮問会議を通じ内閣総理大臣により認定され、現在、目に見え
る形で迅速に進展している。
さらに、集中取組期間の集大成として、本年3月には、
「『日本再興戦略』改訂 2015」に盛り込んだ規制改革事項に加
え、区域会議及び全国から募集した提案をもとに、医療、観
光、農業などの分野に係る新たな規制改革事項等を定めた国家
戦略特別区域法改正案を、国会に提出し、同年5月に成立した
10-2
ところ。(9 月 1 日施行)
要 望 の
措 置 の
適用見込み
有 効
性
要望の措置
の効果見込
み(手段とし
ての有効性)
平成 29 年度:1件
平成 30 年度:1件
(適用事業者の範囲)
認定区域計画に定められた国家戦略民間都市再生事業の実施主
体
日本再興戦略 2016 において、国家戦略特区については、平成
29 年度末までの2年間を「集中改革強化期間」として、残され
た「岩盤規制」の突破口を開くなど「新たな目標」を設定して
おり、その具体的方策の1つに「世界と戦える国際都市の形
成、国際イノベーション拠点の整備」を図るため、東京圏にお
ける国際都市機能の更なる向上を目指し、「グローバル・ビジ
ネス・100」として、都市再生特別措置法の特例などを活用する
「都市再生プロジェクト」の合計数について、今後 2 年間で 100
事業とする施策を掲げ、早期実現を目指すこととしている。
本税制は、ワンストップ化による都市再生特別措置法の特例
を活用した優良な民間都市開発事業の円滑かつ迅速な実施を促
すためのインセンティブとして効果的な制度であり、国家戦略
特区の政策目標の達成に寄与することが期待でき、有効性が認
められる。
①特別償却又は法人税額の特別控除制度
認定区域計画に定められた特定事業の実施主体が、特区にお
いて機械等を取得した場合、特別償却又は税額控除。
②研究開発税制の特例
上記①の特別償却の適用を受ける特定中核事業の用に供され
た開発研究用資産について、特別償却(50%)に加え、その減
価償却費の 20%を税額控除。
相 当
性
当該要望項
目以外の税
制上の支援
措
置
③固定資産税の課税標準の特例
認定区域計画に定められた特定中核事業(医療分野における
一定の研究開発に関する事業)の実施主体が、特区内において
取得した当該研究開発の用に供する一定の設備に係る固定資産
税について、課税標準を3年間2分の1とする。
④所得控除
特区内の設立5年未満の法人で、専ら特定事業を営むこと等
の要件を満たすものとして国家戦略特区担当大臣の指定を受け
た者について、その事業による所得の 20%を課税所得から控
除。(医療、国際、農業、一定の IoT 等に限定)
⑤エンジェル税制の適用
一定の事業を行う株式会社により発行される株式を個人が取
得した場合、総所得から一定額を控除。
⑥土地長期譲渡所得の軽減税率の特例
認定区域計画に定められた特定事業(公益的施設等を整備す
る事業)の用に供するため、土地等を譲渡した場合、譲渡所得
の軽減税率を適用。
10-3
予算上の
措置等の
要求内容
及び金額
国家戦略特区支援利子補給金
平成 28 年度予算額 194 百万円
平成 29 年度要求額 209 百万円
これまでの租税特別措置の適用実績と効果に関連する事項
利子補給金は、新たな成長分野を切り開く先駆的な研究開発
上記の予算
や革新的な事業を行うベンチャー企業又は中小企業を支援する
上の措置等
もの。一方、要望項目は、民間都市開発事業に必要なコストを
と要望項目
低減することで当該事業の採算性を向上させ、事業実施を決断
との関係
するインセンティブを与えるもの。
国家戦略特区においては、国際的な経済活動の拠点を形成し、世界
で一番ビジネスのしやすい環境を作ることを目的としており、本要望
の措置は、認定区域計画に定められた国家戦略民間都市再生事業の実
施主体に対して適用されるもので、当該目的に資する優良な民間都市
開発事業の実施を促進するものである。
当該目的の実現を強力に推進するためにも、ワンストップ化による
都市再生特別措置法の特例等と合わせて、引き続き本要望措置を講じ
要望の措置 ることが必要である。
の妥当性
なお、措置の内容としては、過度な減免を求めるものではなく、必
要最小限にとどまっている。
現在のところ、認定区域計画に定められた国家戦略民間都市再生事
業は1件だけではあるが、日本再興戦略 2016 で都市再生特別措置法の
特例などを活用する「都市再生プロジェクト」の合計数を今後2年間
で100事業とする施策を掲げており、かかる取組を積極的に推進す
ることが必要であることから、実施主体に対するインセンティブとし
て引き続き措置する必要がある。
(適用件数)
所得税
平成 26 年度:0 件(-)
平成 27 年度:0 件(1 件)
法人税
平成 26 年度:0 件(-)
平成 27 年度:0 件(1 件)
登録免許税
平成 26 年度:0 件(-)
平成 27 年度:0 件(1 件)
租税特別
措 置 の
適用実績
(減収額)
所得税
平成 26 年度:0 百万円(-)
平成 27 年度:0 百万円(-)
法人税
平成 26 年度:0 百万円(-)
平成 27 年度:0 百万円(-)
登録免許税
平成 26 年度:0 百万円(-)
平成 27 年度:0 百万円(-)
※(-)は前回要望時に見込みを算出していないもの
(適用事業者の範囲)
認定区域計画に定められた国家戦略民間都市再生事業の実施主
体
10-4
租特透明化
法に基づく
適用実態
調査結果
租税特別措
置の適用に
よる効果
(手段として
の有効性)
前回要望時
の達成目標
前回要望時
からの達成
度及び目標
に達してい
ない場合の
理
由
これまでの
要 望 経 緯
―
本税制は、ワンストップ化による都市再生特別措置法の特例
を活用した優良な民間都市開発事業の円滑かつ迅速な実施を促
すためのインセンティブとして効果的な制度。引き続き、特例
措置を講じることによって、日本再興戦略 2016 における国家戦
略特区の具体的施策のひとつである「グローバル・ビジネス・
100」の早期実現を図ることができる。
2020 年までに、世界のビジネス環境ランキングで日本が現在
の先進国 15 位から 3 位以内に入ること、世界の都市総合ランキ
ングで東京が現在の 4 位から 3 位以内に入ることを目指して大
胆な事業環境整備を進める。
2015 年 10 月に公表された世界銀行のビジネス環境ランキング
における日本の順位は 24 位、同じく世界の都市総合力ランキン
グにおける東京の順位は 4 位となっており、現時点で目標達成
に至っていない。
目標は、国家戦略特区全体の取組みとして 2020 年までに達成
すべきものであり、引き続き目標達成に向けた取組を強化する
ことが必要。
平成 26 年度
平成 27 年度
創設
適用期限の 2 年延長
10-5