2017年度ゼミナールI ゼミ番号 テーマ名称 29 日本社会運動史研究 I 担任者 ゲイル・カーティス・ アンダーソン 授業の概要 2 年生のゼミナールでは、3~4 年生のゼミナールにおいて、近現代日本における様々な社会 運動について検討していくための準備と基礎作りを行います。 社会運動は「新しい未来を創ろう」とする一般の人々による思想的かつ行動的な試みです。 このゼミナールではユニット毎にテーマを定めて多様な視点から戦後日本における社会問題に ついて検討していきます。ユニット I では、市民社会という概念並びに日本における市民社会 の展開について検討します。そのうえで、ユニット II 以降では戦後日本社会における具体的な 社会問題に目を向け、個々の事例から社会運動の構想やきっかけや展開を考察していきます。 具体的には、ユニット II で歴史記憶と平和、ユニット III で消費社会、ユニット IV で地域、 ユニット V でジェンダーに関する事例を取り上げ検討していきます。またこのセミナールでは、 クラス・ディスカッション、グループ発表、リサーチ・ペーパーの作成を通じて、基礎的なア カデミック・スキルを身に着けていきます。 授業の到達目標 1. 基礎的なアカデミック・スキル及び論文の作成・構成に関する知識と技能を習得する。 2. 戦後の日本社会における歴史意識の形成と変容についての概略を把握する。 3. 現代の日本そしてグローバルな視点から、多種多様な社会問題について分析する視点と方法 を習得する。 授業計画 春学期 0 授業概要とリサーチの仕方について 1. 授業の目的及び紹介 2. 文献の読み方・概要の作り方・検索の仕方及びレポートの構成 ユニット I: 日本市民社会論とその展開 3. 市民社会とはなにか 4. 5. 6. 7. 植村 邦彦 『市民社会とは何か-基本概念の系譜』平凡社、2010 年、序章。 戦後民主主義の構想 苅部 直 『丸山眞男―リベラリストの肖像』岩波新書、2006 年、第 4 章。 歴史記憶と日本における「市民」 小野寺 研太 『戦後日本の社会思想史 近代化と「市民社会」の変遷 』以文社、2015 年、第 2 章。 日本の市民社会:過去と現在 東條由紀彦 『「労働力」の成立と現代市民社会:近代日本の歴史認識 II 』ミネルヴァ 書房、2016 年、第 4 章。 市民社会とユートピア論 小野寺 研太 『戦後日本の社会思想史 近代化と「市民社会」の変遷 』以文社、2015 年、第 6 章。 8. グローバル化と市民社会 高柳影夫「グローバル市民社会の中の開発 NGO」『国際交流研究:国際交流学部紀要』 12 巻、2010 年 3 月、1-27 ページ。 ユニット II: 歴史記憶と市民社会 9. 歴史のパラドクスと心性 ジャック・ル ゴフ 『歴史と記憶』法政大学出版局、2011 年、第 4 章。 10. 歴史記憶とランダム・アクセス・メモリ:マルチメディア時代の歴史 テッサ・モーリス・スズキ『過去は死なないメディア・記憶・歴史』岩波現代文庫、 2014 年, 第 1 章及び第 6 章。 11. 戦後日本とドイツの歴史記憶について 熊谷 徹 『日本とドイツふたつの「戦後」』 集英社、2015 年、第 3 章。 12. 被爆の記憶と戦後日本 直野章子『原爆体験と戦後日本―記憶の形成と継承』岩波書店、2015 年、第 2 部。 13. 原水爆禁止運動の出発とその意味 宇吹 暁『ヒロシマ戦後史――被爆体験はどう受けとめられてきたか 』岩波書店、2014 年、第 4 章。 14. 学生による期末発表 15. 学生による期末発表 秋学期 1. 夏休みにおける研究成果の発表会 ユニット III: ポスト産業社会と消費問題 2. 3. 4. 5. 6. 7. 高度成長期における「一億総中流」の想像と現実 橋本健二『格差の戦後史』河出ブックス、2010 年、第 5 章。 1964 年の東京オリンピックと消費社会の登場 老川慶喜『東京オリンピックの社会経済史 』日本経済評論社、2009 年、第 1 章。 産業社会への不満と「ノスタルジア・ブーム」 石井 清輝 「消費される「故郷」の誕生 : 戦後日本のナショナリズムとノスタルジア」 『哲学』117 号、2007 年:125-156 頁。 消費者運動の展開 国民生活センター編『戦後消費者運動』大蔵省印刷局、1997 年、第一部、第 3 章 消費者運動と市民生協 斎藤 嘉璋『現代日本生協運動小史』コープ出版、2007 年、第 3 章及び第 4 章。 学生による中間発表 ユニット IV: 地域を拠点する社会運動 8. 9. 戦後初期の「地域史運動」 カーティス・アンダーソン・ゲイル「愛媛女性史サークル:歴史をつむぐ『普通のひ とびと』」栗原榊、吉見俊哉編『ひとびととの精神史』第2巻:1950 年代、岩波書店、 2015 年。 地域問題の展開と市民性の発揚 青井 和夫他編『市民性の変容と地域・社会問題―21 世紀の市民社会と共同性:国際化 と内面化』梓出版社、2003 年、第 3 部。 10. 町づくりと NPO 活動 袖井孝子 『「地方創生」へのまちづくり・ひとづくり 』ミネルヴァ書房、2016 年、 第 4 章。 ユニット V: 戦後の社会変動とジェンダー問題 11. 戦後社会における性別労働分業 横山 文野『戦後日本の女性政策』勁草書房、2002 年、第 1 章。 12. 女性運動とフェミニズム 鹿野正直『現代日本女性史―フェミニズムの軸として』有斐閣、2004 年、第 2 章。 13. フェミニズムの現在 鹿野正直『現代日本女性史―フェミニズムの軸として』有斐閣、2004 年、第 4 章。 14. 研究テーマの期末発表 15. 研究テーマの期末発表 教科書 教科書は使用しません。授業で必要な資料やプリントを配布します。 参考文献 授業の中で、リストを配布します。 成績評価方法(割合・評価基準) 授業への参加 20% 発表 30% リサーチ・ペーパー(約 5000 字)50% 備考・関連 URL
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