〔第48回旭川市旭山動物園児童動物画コンクール 審査員講評〕 今年も本コンクールに,旭川市内はもとより,道内からも数多くの応募作品が寄せられました。毎年歴史を重 ねる本コンクールからは,子どもたちの旭山動物園への関心の高さが感じられます。旭川市民である私としても, とてもうれしい限りです。 今回の作品審査は,去る9月6日に東旭川公民館で11名の審査員と,審査を支える職員の皆さんとで行われ ました。審査会場の床一面を埋め尽くす作品群。毎年,その光景に圧倒されてきましたが,今年も同様でした。 そして,ひとつひとつの作品から,動物たちの息づかい,躍動感,気質などが伝わってきました。子どもたちの 動物たちに対する「好き」 「かわいい」 「大きいな」 「かっこいい」 「怖い」など様々な思いも,至る所にあふれて いて,審査員も感動しながら作品を鑑賞していきました。そんな多くの魅力的な作品の中から78点の入賞・入 選作品を選定することは,本当に大変なことでした。 作品を審査するに当たり,特に次の3点を重視しながら,1点1点をじっくりと見ていきました。 ① 旭山動物園に来園し,動物を見たときの感動や思いが伝わってくる作品 ② 年齢に応じた表現方法や,学校で学んだ描画材料で工夫して描いている作品 ③ 動物の特徴をよく観察し,生命感や迫力,動物のもっている雰囲気などが表現されている作品 幼児の部では,動物に出会った時の純粋な驚きや楽しかった思い出が素直に表現されているものが多いと思い ました。また,描くことそのものを楽しみながら,自分なりに表現を見付けていることにすばらしさを感じまし た。この年代の子どもたちにとって,ものを見て描くという行為自体が大変なことではあります。しかし,作品 を見ていると,クレヨンなどで絵を描き始めたばかりの子どもたちが,見たことや感じたことを一生懸命思い出 しながら描いている姿が目に浮かび,とても心温まる思いがしました。 小学校低学年(1~3年)の部では,動物の姿をよりじっくりと観察して描こうとする姿勢の高まりを感じさ せる作品,また,生き生き,のびのびとした絵が多かったです。動物の表情や感じたことなどを,作品を見る人 に伝わるように工夫して描いた作品も多く見受けられました。それらは,子どもたちの健やかな成長の証でもあ ります。 小学校高学年(4~6年)の部では,動物の特徴,形や色などの捉え方がしっかりとしてきており,動物と真 剣に向き合い描いていることがよくわかる作品が数多くありました。表現方法や技法の工夫も多く,絵画は,時 として写真以上に伝えたいことを伝える力をもっているということに改めて気付かされ,私自身も審査を通して とても勉強になりました。 動物たちには,子どもたちの自分の内面に訴えかけたり心を動かしたりする不思議な力があります。動物たち をじっくり観察すると,その表情や姿などに新しい発見があります。そしてそんな動物たちと心豊かな子どもた ちだからこそ,見る人に思いが伝わる数多くの作品が生まれるのです。旭山動物園の動物たちには,子どもたち の思いに働きかける力があります。そのようなすばらしい場を,私たち旭川市民は持っているということを,誇 りにさえ思います。 これからも,本コンクールの益々の発展,そして旭山動物園が多くの人に愛されながら,子どもたちに夢や感 動を与え,健やかな成長を支えてくれる存在であることを心から願い,審査の講評とさせていただきます。 平成28年9月22日 旭川市立明星中学校 審査委員長 成田 慎司
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