サステイナビリティデータブック2016 【工場CO 2 ゼロ

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環境への取り組み| Challenge 3 工場 CO₂ ゼロチャレンジ
工場 CO₂ ゼロチャレンジ
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基本的な考え方
クルマは走行時に CO₂ を排出するだけでなく、製造時にも
ギーの利用効率を向上させることでも、排出 CO₂ を削減でき
CO₂ が排出されます。そのため、気候変動を抑えるための CO₂
ます。 さらに、エネルギーを使わない「からくり」を導入する
抑制は、クルマを製造する工場のチャレンジ目標にもなりま
など、ありとあらゆる手段で CO₂ を減らします。
す。工場の CO₂ 排出ゼロは、製造技術の改善と利用エネルギー
変更の 2 本柱で取り組みます。
使用エネルギー側の取り組みとしては、太陽光や風力発電な
ど再生エネルギーの利用、水素エネルギーの活用で、CO₂ を削
まず、製造技術としては、製造工程のシンプル化、スリム化
減していきます。
により工程や時間を短縮し CO₂ を削減します。また、エネル
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生産活動における CO₂ 排出量の低減
生産活動における CO₂ 排出量の低減活動を継続
トヨタ自動車(TMC)の CO₂ 排出量の低減は、生産拠点と、
新工場・ラインの立ち上げ時には革新技術を導入し、CO₂ 排出
オフィスなどの非生産拠点を合わせた目標を設定して取り組ん
量の低減を推進しています。STM(タイ)および GTE(中国)
でいます。
の新ラインにおいて、ラインのシンプルスリム化を図り、また
2015 年度は、蒸気レスの推進や省エネ活動を実施したこ
既存工場においても、蒸気レス化やエアーレス化に継続的に
とにより、CO₂ 年間排出量は 115 万トン(1990 年度比 45%
取り組んでいます。結果、2015 年度の CO₂ 年間排出量は 757
減)
、生産台数当たりの CO₂ 排出量は 0.408 トン / 台(2001 年
万トン(前年度比 2.8%減)、生産台数当たりの CO₂ 排出量は、
度比 44% 減)となりました。
0.744 トン / 台(前年度比 1.2%減)となりました。
グローバルについては、5カ年プランの目標達成に向けて、
TMC 使用エネルギー別熱量構成比率
A重油 2.3%
灯油 0.2%
LPG 0.02%
電力 68.5%
都市ガス 29.0%
軽油 0.02%
077 Sustainability Data Book 2016 環境への取り組み
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環境への取り組み| Challenge 3 工場 CO₂ ゼロチャレンジ
TMCCO₂ 排出量(エネルギー起源)と
生産台数当たりの CO₂ 排出量の推移
CO₂総量(万トン)
220
200
211
194
グローバルCO₂排出量(エネルギー起源)と生産台数当たりの
CO₂排出量の推移(工場・オフィスなど固定発生源)
生産台数当たりのCO₂排出量(トン/台)
CO₂総量(万トン)
非生産部門のCO₂排出量
900
1.5
生産部門のCO₂排出量
800
180
700
160
140
0.731
120
116
120
118
1
115
400
80
0.5
60
’90
’01
’12
’13
’14
779
757
アジア、豪州、
中近東、
南アフリカ、
中南米
2
1.174
300
北米
1
0.770 0.757 0.753 0.744
欧州
中国
日本
(除くTMC)
TMC
0.5
100
20
0
784
1.5
200
0.415 0.414 0.413 0.408
40
759
600
500
100
701
生産台数当たりのCO₂排出量(トン/台)
0
’15 (年度)
0
’01
’12
’13
0
’15 (年度)
’14
注1:非生産拠点で1990年度の排出量を把握できない場合は、それ以降で把握できた
最も古いデータを使用しました。
注2:CO₂排出量は、2011年度までは、生産部門、非生産部門(バイオ・緑化研究所、
福利厚生施設を除く)
を対象としていました。2012年度からは、非生産部門に
バイオ緑化研究所を追加しました。
注3:CO₂換算係数は、1990年度の経団連係数を使用しています。
注1:TMCおよび国内外連結会社など 121社
国内 : P97 1~5グループ対象会社〔孫会社を含む(豊田通商を除く)〕
海外 : P97 生産および生販一体会社
注2:2001年度の排出量を把握できない拠点は、それ以降で把握できた最も古いデータを使用しました。
注3:CO₂換算係数は、GHGプロトコルを使用して算定しました。
注4:過去の数値に誤りがあったため訂正しました。
換算係数についてはウェブサイトをご覧ください。
換算係数についてはウェブサイトをご覧ください。
Web
Web
http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/environment/
data/conversionfactor.pdf
http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/environment/
data/conversionfactor.pdf
再生可能エネルギーの利用促進
2008 年 3 月、堤工場に定格出力 2,000kW(戸建住宅 500 軒分相当)の太陽光発電システムを導入しています。2015 年度は
1,737MWh の電力を発電しました。
コラム
上郷工場 国内外車両エンジン製造過程における CO₂ 排出量低減活動
従来、生産で使用するエアーと蒸気は、工場中央で集
を洗浄するため、水切りエアーのノズル形状や配置を最
中管理し、各生産ラインに送られていました。そのため、
適化し、個別ブロワ化することによりエアーの使用量を
休憩時間や休日のような非生産時には、送気ロスなどが
削減しました。
発生していました。
蒸気については、各建屋出入口の熱風カーテン方式を
そこでエアーについては中央の集中大型コンプレッ
止め、遮風シートの設置やシャッターの開閉タイミング
サーを廃止し、小型のコンプレッサーを必要な設備の横に
を調整することにより、屋内の温度低下が防止でき、蒸
設置することで(インライン化)
、生産と連動した送気ロス
気の使用量を大幅に減らすことができました。
の少ない圧縮エアーを使用することが可能となりました。
また、機械加工したエンジン部品に付着している切粉
これらの改善活動により CO₂ 排出量を、年間約 4,500
トン低減することができました。
エアーコンプレッサーのインライン化
ブロワ化
従来
従来
大型集中コンプレッサー
(連続運転、送気ロス発生)
大型集中コンプレッサー
今回の改善
小型インラインコンプレッサー
(生産連動、送気ロスミニマム)
CO₂ 低減効果
〈エアー低減効果〉 〈蒸気低減効果〉
(%)
100
コンプレッサー
廃止
高圧流量小
生産ライン
(加工)
生産ライン
(加工)
生産ライン
(組付)
生産ライン
(組付)
今回の改善
75
50
50
25
25
改善後
078 Sustainability Data Book 2016 環境への取り組み
0
-71%
改善前
低圧高流量
改善後
個別小型コンプレッサー
改善前
他の建屋へ送気
(%)
100
75
0
ブロワ
-38%
環境への取り組み| Challenge 3 工場 CO₂ ゼロチャレンジ
エコ・ファクトリー活動を 5 工場で実施
新工場建設・生産能力の増強などのプロジェクトを対象に、
エコ・ファクトリー活動
その地域で No.1 の工場を目指す、環境対策を確実に織り込む
インド
ネシア
GTE
TMCAP
企画
設備仕様監査
[ 2015 年度の進捗 ]
タイ、中国の 5 工場でエコ・ファクトリー活動を行いました。
現物監査
コンプライアンス、
2016
リスク評価
2016
パフォーマンス評価
(CO₂、VOC等)
2017
2017
:能増P/J( 2013年度~)
:~2014年度実施済み
コラム
GTMC
第3工場
確実に織り込む活動です。
TFTM
新工場
物」でチェックし、不具合がある場合には是正し、環境対策を
中国
ブラジル
TDB
新エンジン
計画、トライ、操業の各段階で、環境配慮の織り込みを「現地現
タイ
STM
第2工場
TMMIN
新エンジン
エコ ・ ファクトリー活動を継続しています。これは、企画・設備
2016
:2015年度実施済み工場
数字のみ:今後の実施予定年度
地元埋立処分場から得られたグリーン電力を利用した生産
有機物が微生物によって分解されるとガスが発生し
ランドフィルガスを利用した発電システム
ます。なかでも、ゴミの埋立処分場から発生するもの
を、ランドフィルガスと呼び、セルロース由来のバイ
オ燃料として認められています。
「アバロン」
「カムリ」などを生産する TMMK(米国・
ケンタッキー州ジョージタウン市)では、地元の埋立
処分場から発生するランドフィルガスを利用して発電
埋立処分場
した電力を利用しています。このプロジェクトは、ケ
ンタッキー州で廃棄物の運搬および処分サービスを
行っている Waste Services of the Bluegrass との
協働によるもので、ランドフィルガスをエネルギー
に変える、この地域では初のビジネスモデルです。
TMMK から 6.5 マイル離れた埋立処分場から地下送
地下送電線
電線を引き、2015 年 11 月に稼働を始めました。試算
では、米国平均消費量に換算すると約 800 世帯分に
相当する毎時 1MW の電力を生成し、クルマ 1 万台の
生産量に相当する電力を発電します。ゆくゆくは毎時
工場
10MW の電力を生成するものと見込んでいます。さ
らに、埋立処分時の温室効果ガス排出量は、90% 削減
することができます。
環境戦略部長のケビン・バットの声
このランドフィルガスの生成方法は、当社のカーボ
ンフットプリントを減らすための今後 35 年間の取り
組み姿勢を示すものです。小さな一歩ですが、偉大な
一歩だと思っています。
079 Sustainability Data Book 2016 環境への取り組み