Webにおけるナショナリズムの表出と社会情報学

ワークショ ップ [WS1]
Webにおけるナショナリズムの表出と社会情報学
趣旨
20 世 紀 終 盤 以 降 の 国 際 的 な「 ナ シ ョ ナ リ ズ ム 」の 高 揚 は ,複 雑 な 問 題 と し て 多 分 野の
研究者の注目を集めて続けています。理論化を目指して学際的な検討が続けられていま
すが,まだ議論の不十分な重要論点も多いのが現状です。ナショナリズムの実践におけ
る Web 利 用 は そ の 一 つ と 言 え る で し ょ う 。群 馬 大 学 社 会 情 報 学 部 の 共 同 研 究 プ ロ ジ ェク
ト「 Web に お け る ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 表 出 に 関 す る 研 究」
( 群 馬 大 学:伊 藤 賢 一 ,岩 井 淳 ,
柿 本 敏 克 ,河 島 基 弘 , 高 山 利 弘 ,平 田 知 久 ,山 内 春 光 ,Thinking 「 O」 主 催:大 澤 真 幸 )
では,この論点について探索的な検討を行ってきました。社会情報学会の後援を受け,
このテーマの公開シンポジウムを開催するなどの活動も行ってきました。本ワークショ
ップではこの経緯を踏まえつつ,さらに幅広く「ナショナリズムと情報」の問題を検討
し た い と 考 え ま す 。 Web の み で な く , 広 く 情 報 の 観 点 か ら ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 諸 現 象 を議
論し,社会情報学のあり方についても考えたいと思います。
登壇者
伊藤賢一(群馬大学)
平田知久(群馬大学)
岩井 淳(群馬大学)
ワークショ ップ [WS2]
コミュニティ放送の「基幹放送」制度化に伴う諸問題
草の根の声を伝える持続可能なラジオのために
趣旨
東 日 本 大 震 災 後 、5 年 間 、被 災 地 を 支 え て き た 臨 時 災 害 局 は 、多 く が 閉 局 し 、現 在 残っ
ている局も、このままではコミュニティ放送への移行は難しいのではないかと危惧され
て い る 。と く に 2011 年 以 後 、基 幹 放 送 の 枠 組 み に 入 っ た コ ミ ュ ニ テ ィ 放 送 は 、防 災・減
災への期待も高く、自治体から経済的な支援を受けなければ、過剰な負担を負うことに
なった。
一 方 、1995 年 の 阪 神 淡 路 大 震 災 後 、被 災 し た 神 戸 市 長 田 区 の 在 住 外 国 人 た ち の た め に
多 言 語 ラ ジ オ 放 送 を 始 め 、 翌 年 コ ミ ュ ニ テ ィ 放 送 と な っ た FM わ ぃ わ ぃ も 、 こ れ ま で 21
年間、地域のマイノリティの人々の社会的包摂を目指して放送を続けてきた。途中、非
営利法人化し多様な財源を調達してきたが、経済的な自立の困難や、基幹放送転換に伴
う 防 災・減 災 へ の 過 酷 な 期 待・負 担 か ら 、本 年 3 月 31 日 、総 務 省 に 放 送 免 許 を 返 納 し た。
コ ミ ュ ニ テ ィ 放 送 に 移 行 で き な い 臨 時 災 害 局 と FM わ ぃ わ ぃ の 免 許 返 納 は 、 基 幹 放送
の問題点が顕著になった事例といえる。
本 ワ ー ク シ ョ ッ プ で は 、郡 山市 で 臨 時 災 害 局 を 継 続 し て い る 富 岡 町 の お だ が い さ ま FM
の運営担当者である吉田恵子さんを報告者としてお招きし、放送を必要としている地域
であるにも関わらず、コミュニティ放送が開局できない状況について語っていただく。
北 海 道 に は 20 局 を 超 え る コ ミ ュ ニ テ ィ 放 送 局 が 存 在 し 、北 郷 裕 美 さ ん は 彼 ら か ら の ヒ
アリングを元に、地域に欠かせない公共性を備えている局の実情を調査してきた。北郷
さ ん や 地 元 局 の 人 々 に も 参 加 い た だ き、
「 基 幹 放 送 」と し て の コ ミ ュ ニ テ ィ 放 送 の あ り 方
を探りたい。
司会
松浦さと子(京都大学地域研究統合情報センター)
報告者
吉 田 恵 子 ( 社 会 福 祉 法 人 富 岡 町 社 会 福 祉 協 議 会 事 務 局 次 長 ・ お だ が い さ ま FM)
コメンテー タ
北郷裕美(大正大学)
ワークショ ップ [WS3]
ビッグデータの社会的意味―災害時の活用を中心として
趣旨
近 年 ビ ッ グ デ ー タ を 活 用 し 膨 大 か つ 多 面 的 な 情 報 を 駆 使 す る こ と に よ り、
「 人 」の 行 動
等を把握するデータ環境は劇的に変化している状況にある。そしてその中核の一つとな
っているのが緊急時、災害時の利活用である。だが、東日本大震災を経てビッグデータ
の 重 要 性 は 喧 伝 さ れ 、 技 術 的 な 開 発 は 進 め ら れ て い る よ う に 見 え る も の の 、住 民 の 避 難
や 救 助 ・ 支 援 な ど に お い て、 具 体 的 に ど の よ う に 活 用 が 可 能 か に つ い て の 検 討 は ほ と ん
ど進んでいない。
例えば、今年発生した熊本地震においては、知見もあり、電気・通信の状況は東日本
大震災とは比較にならないほどよく、5 年前の東日本大震災当時と比べ莫大なデータの
蓄積・交換が行いえたにも関わらず、被災状況の把握、復興など減災にビッグデータや
情報技術が活用できたとはいえない。
この数年間で災害時のビッグデータの活用が実現できなかったのは、技術的障壁のみ
ならず、社会的障壁が多く存在する一方、それらへの検討が不足していたからである。
本ワークショップでは、震災時の利活用を中心にすえ、現在のビッグデータの利活用と
しての開発の方向性である解析手法、即時性、可視化などに着目し、今後のビッグデー
タ の 活 用 状 況 を 見 据 え 、と く に ビ ッ グ デ ー タ を 活 用 す る 際 の 障 壁 な ど に つ い て 検 討 す る。
司会
関谷直也
報告者
河井大介(東京大学大学院情報学環)
関 谷 直 也 ( 東 京 大 学 大 学 院 情 報 学 環 総 合 防 災 情 報 研 究 セ ン タ ー)
秦
康範(山梨大学工学部)
阿部博史(日本放送協会)
討論者
藤代裕之(法政大学社会学部)
ワークショ ップ [WS4]
メディア研究の方法論:
パフォーマンス、労働、リメディエイション
趣旨
本ワークショップではニュー/オールドメディアをめぐる問題系を多角的に考察する。
近 藤 は 映 画 文 化 に お け る レ コ ー ド / VHS の Residual( 残 余 的 ) な 特 性 、 仁 井 田 は 映 画 館
における舞台上演映像のライブ性、難波(純)はポストヒューマン概念を軸とした映像
文化の言説史、難波(阿)は情動労働と主体概念の変遷、野澤はメディアミックスにお
ける声優の労働と交感性に注目し、先端的なメディア研究の方法論について検討する。
キーワード
オールドメディア、ニューメディア、情動、メディオロジー、オーディエンス
発表者
近藤和都(東京大学)
仁井田千絵(早稲田大学)
難波純也(東京大学)
難 波 阿 丹 ( 上 智 大 学 )( 司 会 )
野 澤 俊 介 ( 東 京 大 学 )( コ メ ン テ ー タ ー )
ワークショップ [WS5]
「社会情報学におけるキャス・サンスティーン再考」
1. 企 画 趣 旨
法学者キャス・サンスティーンのもたらした業績は多岐の分野にわたっている。特に情報学との関
連 の 深 い Republic.com( 2001;2007)や Infotopia( 2006)の よ う な 著 作 だ け で な く ,リ バ タ リ ア ン・パ
ターナリズムや選択アーキテクトの発想も意思決定にまつわる情報の取り扱い方について論じている
と言えるし,リスクと予防原則に関わる研究も,入手できる情報が限られた状況下における意思決定
を扱っており,社会情報学との関連は深い。しかし同時に,サンスティーンの知見の受け止められ方
は様々であり,未整理のままであるともいえる。法哲学や憲法学,行政法学,民主主義論などの幅広
い 分 野 で 学 術 的 貢 献 を 残 し , ま た オ バ マ 政 権 に お い て 情 報 ・ 規 制 問 題 局 ( Office of Information and
Regulatory Affairs, OIRA) の ト ッ プ を 務 め る ( 2009 年 ~ 2012 年 ) な ど 社 会 実 践 上 の 貢 献 も 大 き く , 理
論的にも実学的にもサンスティーンから学ぶべきことは多いと思われる。
しかし,論点が多岐にわたること,また啓蒙書を含め非常に多作な研究者でありながらも邦訳され
ている文献は相対的に少ないという事情も重なり,日本の学術界にとっても,また政策担当者等の実
務家らにとっても,サンスティーンのもたらした知見の重要性や位置付けは充分に咀嚼し自分たちに
とっての知的資産として活かしきれていないのではないか。本ワークショップはこのような問題意識
に立ち,各報告者よりサンスティーンがもたらした論点をそれぞれの視点から解題を行う。
2. プ ロ グ ラ ム と タ イ ム ス ケ ジ ュ ー ル
00:00-00:05
コーディネーターから趣旨説明
高原基彰(関西学院大学)
00:05-00:25
報 告 1「 日 本 の 経 営 実 践 に お け る nudge」
00:25-00:45
報 告 2「 最 近 の 公 共 政 策 に お け る nudge の 導 入 と そ の ガ バ ナ ン ス に 関 す る 考 察 」
尾田 基(東北学院大学)
亮介(東京工業大学)
00:45-01:05
報 告 3「 熟 議 民 主 主 義 か ら ア ー キ テ ク チ ャ の 設 計 へ 」
01:05-01:30
コーディネーターからの質問と報告者からの応答
01:30-01:55
自由討議
01:55-02:00
まとめ
コーディネーターより
成原 慧(東京大学)
西田