「定期購入が条件」である旨が 分かりにくい健康食品

国民生活センター 相談情報部
「定期購入が条件」
である旨が
分かりにくい健康食品の通信販売業者
「お試し」
「1回だけ」のつもりでインターネットで健康食品
を注文したところ、実際は定期購入契約であり、事業者に
解約を申し出たところ拒否されたという事例を紹介する。
結果概要
相談内容
そうしん
インターネット上で
「痩身と美容に効果あり」
「初回お試し価格 500 円」という健康食品の広告
消費者がホームページや SNS 等で
「健康に良
い」
「ダイエット効果あり」等とうたう広告を見
を見てスマートフォンから注文した。ところが、
て、
「お試し」
「1回だけ」
のつもりで健康食品を
商品と同封の請求書に
「定期購入で2回目以降
通常価格より安い価格で購入したところ、実際
は1箱 4,000 円。5回以上継続しないと解約で
は定期購入契約だったというトラブルが増加傾
きない」と書かれていた。
向にある。
購入時には分からず、飲むと体調が悪くなる
国民生活センターでは、本件の健康食品の通
ため、2回目以降は不要と事業者に申し出たが
信販売業者に対して、
次のような対応を求めた。
「定期購入と記載しているので解約には応じな
①定期購入が条件であることや、定期購入期間
い」と解約を拒否された。サイトを確認すると、
内の解約は受け付けないことはホームページ
画面の下のほうに小さな文字で他の表示に紛れ
上に記載されているものの、文字が小さいな
て「定期購入」と書かれていた。
ど分かりにくいので、分かりやすい表示にす
また、事業者から
「単品扱いとする方法もある。
ること。
その場合、通常価格 5,000 円での購入になる」と
②解約や問い合わせなどは電話でのみ受け付け
言われたが、500 円だから試そうと思っただけ
ているが、電話が非常につながりにくい状況
なので納得できない。
にあり、その間に新たな商品が届いているケー
交渉している間に2回目の商品が届いた。
スもあるため、ホームページでの解約フォー
ムの導入や、メールでの受け付けなどの対応
(40 歳代 女性 給与生活者)
をとること。
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③本件相談者のように、健康食品を摂取したこ
が条件なので今すぐ解約はできない」などと拒
とによる体調不良を理由として解約を希望す
否されるケースが多い。広告上では定期購入期
る消費者に対しても
「定期購入が条件」
として
間内の解約は受け付けないことが記載されてい
いるが、柔軟な対応をとること。
るものの、小さい文字で表示されている場合や
その後、事業者より、
その旨が注文画面とは別のページに記載されて
・当該事業者および関連事業者の全商品につい
いる場合がある。
て、
「定期購入である旨の表示をより明確にす
消費者が
「定期購入にした覚えはない」
等と事
る」
「その旨を消費者が確認したうえで注文で
業者に解約を申し出る際、初回価格
(100 円、
きるよう、チェックボックスを導入する」
など
500 円など)のみを支払ってやめたいと思って
広告表示・注文画面の変更を行う。
いても、通常価格 ( 商品によって 3,000 円から
・電話は引き続きつながりにくい状況にあるこ
10,000円ほど)を請求されるケースが目立つが、
とから、メールやファクスで連絡があれば折り
その旨の記載が広告上にないことがほとんどで
返し消費者に連絡することとしたほか、ホーム
ある。
ページ上に問い合わせフォームを設けた。
また、事業者に電話を何度かけても通話中で
・本件相談者を含め体調不良を理由とした解約
つながらないケースが多くみられる。消費者が
希望については、事実関係にかかわらず対応
メールで事業者に連絡しても、
「電話でのみ解
することとし、この場合、定期購入期間内で
約の申し出を受け付けている」としてメールで
あっても受け取った商品分のみの代金を請求
は対応されないケースもある。
する(未開封の商品については返品に応じる)
こととした。
契約先が海外の事業者であるケースもみられ、
このような場合、
「外国語対応なので意思疎通
との連絡があり、本件相談については終了する
ができない」
「メールで解約を申し出たが返信が
こととした。
ない」といったケース等があり、解約の申し出
が困難になる場合がある。
●商品注文前のチェックポイント
問題点
契約に当たっては、契約内容や解約条件につ
いての広告表示の有無、表示がある場合はその
●定期購入である旨や、解約はできない旨
内容を確認したうえで契約するかどうかを消費
の表示が分かりにくい
者は慎重に判断する必要がある。
本件事業者のほか、トラブルが多い各事業者
のホームページをみると
「お試し
(価格)
「初回
」
具体的には、
○円」
「送料のみ」といった表示は強調されてい
・定期購入が条件になっていないか
る一方、定期購入が条件であることは他の情報
・定期購入期間内に解約が可能か
より小さい文字で表示されていたり、注文画面
・解約の申し出先や方法
(電話やメール等)
とは別のページに表示されていたりする場合が
などについて、商品を注文する前に確認してお
ある。そのため、消費者は定期購入とは認識し
く必要がある。
ておらず1回限りの購入だと思っており、翌月
最近では
「スマートフォンで注文したため小
以降(2回目以降)
に商品が届いて初めて定期購
さい文字の表示はよく見えなかった」という事
入であると気づくケースが多い。
例もみられるので、スマートフォンからの注文
の際は特に注意が必要である。
事業者に解約を申し出たとしても
「定期購入
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