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加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群
LOH 症候群は「加齢男性性腺機能低下症候群」の略で、男性ホルモン(テストステロ
ン)の低下が原因として引き起こされるさまざまな諸症状を総称して呼称された疾患名
です。LOH 症候群は、うつ、性機能低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、内
臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化、HDL の低下、コレステロール値と LDL の上昇
に寄与し、メタボリック症候群のリスクファクターになります。また心血管疾患、糖尿
病、呼吸器疾患のリスクを高めます。LOH症候群には大うつ病の患者が含まれること
が多いとされています。テストステロンが低いと、活力と性機能が損なわれ、日常生活
に大きな影響を与えることとなります。
LOH 症候群の主な症状
1.
早朝勃起の減少や勃起不全(ED)・・・生殖器への影響
2.
イライラ、不安感、憂うつ、性交欲の減少・・・脳への影響
3.
不眠、疲労感、無気力感が続く・・・脳への影響
4.
ひどい発汗・・・皮膚・脳への影響
5.
筋肉量の減少・・・筋肉への影響
6.
骨量の減少・・・骨への影響
7.
ヒゲの伸びが遅くなる・・・体毛への影響
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男性更年期の原因は?
加齢による多様な体の変化やストレスが、男性更年期障害の要因になると考えられてい
ます。 男性ホルモンの分泌量は 20 代中頃をピークに 30 代前半頃から減少します。で
すので、更年期(40 代後半~50 代前半)、熟年期(50 代中頃~60 代前半)、老年期
(60 代中頃以降)と呼ばれる年代が LOH で症候群になりやすい年代です。
最近は、30 代の方でも LOH 症候群の罹患数は増加する傾向にあります。30 代中頃~
40 代前半の男性は、社会的なストレスに晒される機会が非常に多くあります。男性ホル
モンを含め多くのホルモンにおいて、その生成・分泌がストレスの影響を受けやすいと
いう特徴を持っています。若い人ほどストレスの影響が強く、強いストレスに晒され続
けることによって男性ホルモンの生成や分泌が妨げられます。ストレスに晒される状態
が日常的に続くことによって 30 代の方であっても LOH 症候群を発症してしまうので
す。
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LOH 症候群の症状
男 性 更年 期 障 害 で 世 界 的 に 施 行 さ れ て い る 問 診 票 で す 。 A M S ス コ ア と い い ま
す 。 自己 問 診 チ ェ ッ クの 結 果 で 、 L O H 症 候 群 が 疑 わ れ る 時 に は 、 男 性 の 更 年
期 障 害の 精 査 加 療 を お す す め し ま す 。 AMS ス コ ア ( 問 診 票 ) は 、 そ れ ぞ れ の 症
状 に 関し て 、 5 段 階 で チ ェ ッ ク し て い き ま す 。 そ し て 、 最 後 に 、 チ ェ ッ ク し た
点 数 を合 計 し ま す 。
な
い
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肉体的・精神的健康状態の低下を感じる
自覚症状がある
関節痛や筋肉痛がある
腰痛、関節痛、手足の痛み、背中全体の痛み
など
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軽
度
中
程
度
極
め
重
て
度
重
度
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汗をよくかく
思いがけない/突然発汗する、緊張していな
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寝付けない、しばしば目が醒める、早く目が
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睡眠の欲求が強く、しばしば疲労感がある
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いのに、のぼせたりする
睡眠障害がある
さめ、疲れを感じる、睡眠不足、眠れない
怒りっぽく、イライラする
小さなことですぐカッとなる、不機嫌になる
神経過敏である
緊張感がある、落ち着かない、そわそわする
不安・心配しやすい
パニックになりやすい
身体的疲労感・活力不足である
能力全般の低下、活動の低下、余暇活動への
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興味の低下、無気力、達成感がない、何かを
するのに、ムリに奮い立たせないとできない
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筋力が低下してきた
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落ち込む、物悲しい、泣きそうな感じ、意欲
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自分のピークは過ぎたと感じる
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弱くなってきたと感じる
憂うつ気味である
減退、気分の浮き沈み、無力感
燃え尽きたと感じる、どん底状態にあると感
じる
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あごひげの伸びが遅くなってきた
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性的活動、頻度が低下した
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朝だちの回数が減少した
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性欲や性的衝動が減少した
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合計点によって、LOH症候群の疑いのあるレベルを判断します。

26点以下→LOH症候群の疑いはない

27点から36点→軽度のLOH症候群の疑いがある

37点から49点→中程度のLOH症候群の疑いがある

50点以上→重度のLOH症候群の疑いがある
こ の AMS ス コ ア は 、 あ く ま で も 自 己 問 診 チ ェ ッ ク シ ー ト で す の で 、 こ の
AMSスコアだけで、LOH症候群であると決めつけることはできませ
ん。あくまでもLOH症候群を判断する材料の一つとなります。実際に
は、男性ホルモンの分泌量の血液検査などとともに総合的に判断されま
す。
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LOH 症候群の治療
1. 漢方薬:
2. 抗うつ薬、抗不安薬
3. ホルモン補充療法
エナルモンデポー(男性ホルモンの注射薬)
まず 250mg を 3 週間に 1 回筋肉注射をします。2 回目注射後 7 日後にフリーテ
ストステロンを測定して、フリーテストステロンが改善していることを確認しま
す。その後は、症状にあわせ、通院加療していただきます。
グローミンテストステロン
外用薬で、注射にて男性ホルモンを投与し症状が改善した方や遠方で注射に通院
できない方に使用します。塗るだけですので、痛みもなく自宅で治療が可能で
す。
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LOH 症候群の治療が対象とならない患者さん
すでに以下の疾患、症状をもっている患者さんは、注入する男性ホルモンが悪影
響をもたらす可能性が高くなるため、男性ホルモン補充療法による治療は行えま
せん。
LOH 症候群の補充療法が行えない疾患・症状
・前立腺がん
・中程度以上の前立腺肥大症
・乳がん
・肝機能障害(重度)
・腎機能障害(重度)
・重度の高血圧
・多血症
・うっ血性心不全
・睡眠時無呼吸症候群
LOH 症候群の治療で効果がない場合。
当院では心療内科的アプローチで、患者さんの気持ちに寄り添った治療を施行し
ていきます。必要に応じ、精神科医にご紹介することもありますが、患者さんが
希望されない場合または、担当医師が精神科医の診察が必要と判断しない場合
は、当方で診察継続させていただきます。
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