平成 28 年 9 月 12 日 No.551 法定相続情報証明制度の新設について 不動産の所有者に相続が発生した場合には、相続登記を行い不動産の名義変更を行うことが必要です。しかし、これを行わな い場合でも罰則などは設けられていないため、亡くなった方の名義のままの不動産が多く存在しています。このことは、いわゆ る所有者不明土地問題や空き家問題を生じさせる大きな要因の一つであるとされており、政府としても相続登記の促進に取り組 むこととしています。 不動産や金融資産の相続手続に際しては、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係書類等一式をすべて揃え、これら をその他必要書類とともに登記所や金融機関にそれぞれ提出し手続をしなければならず、煩雑で手間がかかります。 そこで、法務省では、相続手続全般の利便性を向上させるため、来年度から「法定相続情報証明制度」 (仮称)を新設すること としています。 【法定相続情報証明制度の概要】 ☆下記の書類を提出します。 ①被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等 ②法定相続情報を記載した書面 ☆登記官が内容を確認し、証明文付の法定相続情報の写し(注:右記参 照。ただし、現在検討中の案。 )を交付します。 (解説図及び法定相続情報の雛形 いずれも法務省民事局・報道資料より) 【法定相続情報証明制度の利点】 相続人にとって、同じ戸籍関係書類等一式を登記所や金融機関などの色々な窓口へ何度も揃えて出し直す必要がなくなるため、 相続登記の申請やその他の相続手続が簡便となるとされています。 実際に被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類は、本籍地の異動や婚姻などがあれば転籍前と転籍後の戸籍謄 本が必要となります。また、戸籍の内容に変更がなくても、戸籍法の改正により、戸籍が新たに編製されている場合には改製原 戸籍が必要となり、一般的に一人の被相続人に対して複数の戸籍謄本を入手する必要が生じます。 これらを複数部数入手しようと思うと、手間や費用が掛かりますが、法定相続情報証明制度が新設されれば、一式の戸籍謄本 を入手すれば、同時に複数の機関の相続手続を進めることができ、相続人の負担は軽減されることが期待されます。 《主な戸籍の改製》 ①昭和 32 年改製 昭和 23 年の戸籍法の改正により、それまでの家制度に基づく戸主を中心とした家単位の戸籍から、現在のように夫婦単位で 戸籍を編製するように改製されました。 ②平成 6 年改製 平成 6 年に戸籍のコンピューター化が認められ、市町村ごとに導入時期は異なるものの、それまでの手書きの戸籍が改製さ れ、縦書きでコンピューター化されたもの、さらには現在のように横書きでコンピューター化されたものに改製されています。 (担当:胡子 遼)
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