光とデータマイニングで何が見えるか?

光とデータマイニングで何が見えるか?
Visualization of invisible qualities using fluorescence fingerprint and data mining
蔦 瑞樹
TSUTA, Mizuki
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門
Food Research Institute, National Agriculture and Food Research Organization
1.
蛍光指紋による「見える化」
光と物質の間には様々な相互作用が生じる。例えば、葉が緑色に見えるのは色素が
光を「吸収」するからであり、夕焼けが赤いのは青い光が空気中の分子で「散乱」さ
れるからである。本講演では、こうした相互作用の中でも蛍光、特に蛍光指紋に焦点
を当てる。
蛍光とは、Y シャツにブラックライトを照射すると青白く光るように、対象にある色
(波長)の光を照射した時に、それが吸収されて別の波長の光が発せられる現象であ
る。蛍光指紋は試料に照射する光(励起光)の波長, 試料から発せられる蛍光の波長, そ
してその蛍光強度の3軸からなる3次元データである. 得られる等高線状のデータは、
各物質に固有の形状パターンを示し, 一般的な蛍光分析に比べ情報量が多いという特
徴がある. 試料にどの波長が吸収され、どの波長の光が発せられるかを、網羅的に調べ
ることができるため、農産物、食品、飲料等様々な対象の品質を「見る」のに有効な
手法といえる。しかし、紫外・近赤外領域の人間の目には「見えない」情報を含むこ
と、また調査する励起・蛍光波長の組み合わせが膨大で「一見しただけ」では情報を
把握しきれないことから、次に紹介するデータマイニングと組み合わせて活用するこ
とが多い。
2.
データマイニングによる「見える化」
近年の分析装置の高度化とコンピューターの処理能力向上により、様々な現場で膨
大な量のデータが取得されるようになってきた。得られたデータは行方向がサンプル、
列方向が特徴量(蛍光指紋で言えば波長条件)に対応する巨大なスプレッドシート、
すなわち数値の羅列として得られることが多い。しかし、人間には 4 次元以上のデー
タ(特徴量が 4 つ以上)を知覚することはできないため、何らかの方法でデータを知
覚可能な形に変換する必要がある。そこで用いられるのが主成分分析、partial least
squares (PLS) 回帰分析といったデータマイニング手法であり、これらを用いるとサ
ンプル間の差異(
「行」間の違い)やその要因となる特徴量(重要な「列」
)を見つけ
ることが可能となる。
3.
応用事例
講演では、蛍光指紋とデータマイニングを組み合わせた下記のような事例を紹介す
る予定である。
・泡盛新酒・古酒の識別
・モモ果汁のラジカル消去活性能推定
・牛肉表面における生菌数の推定