2016 年 9 月 13 日 News Release 日本FP学会主催 第11回「日本FP学会賞 受賞論文」発表!! 最優秀論文賞 : 臼杵 政治氏 賃金に連動する公的年金に上乗せされる確定拠出年金の最適資産配分について 個人の資産設計や資産管理等ファイナンシャル・プランニングの理論的基盤となるパーソナルファイナンスの学 問的体系の確立を目指している日本FP学会(会長:貝塚 啓明)は、9月10日、神戸大学 六甲台第1キャンパスにて、 栄えある第11回「日本FP学会賞」(日本FP協会共催)を発表、受賞者を表彰いたしました。 今回、以下の論文が選ばれました。 ■最優秀論文賞 臼杵 政治氏(うすき まさはる/名古屋市立大学) 論文名:賃金に連動する公的年金に上乗せされる確定拠出年金の最適資産配分について ■日本FP学会奨励賞 小林 秀二氏(こばやし ひでじ/不動産金融工学研究所) 論文名:入退去ミクロ分析による不動産評価における将来予測の捉え方 ― 生存時間解析データによる家賃キャッシュ・フローの無条件確率遷移 - ■日本 FP 協会奨励賞 吉田 淳子氏(よしだ じゅんこ/東京都金融広報委員会) 論文名:特別支援学校における金融教育の事例報告 ~合理的配慮に基づいた教材の提案~ 「日本FP学会賞」は、パーソナルファイナンスに関する分野で独創的で優れた研究を表彰し、研究者・実務家・ 大学生への支援を通じて、当該研究の振興に資するとともに、将来に向けたパーソナルファイナンス研究の担い手の 育成を目的とするもので、今回は11回目となりました。 今回も応募の中から厳正な審査が行われ、最優秀論文賞が1点、日本FP学会奨励賞が1点、日本FP協会奨励賞が 1点となりました。 表彰式では、吉野 直行日本FP学会専務理事によって各賞受賞者への表彰状、研究奨励金の目録の授与が行わ れ、受賞者の皆様には会場からの暖かい拍手が送られました。 また、吉野 直行専務理事が各受賞論文の祝辞を述べ、伊藤 宏一日本FP学会理事が講評と次回への期待を 込めたコメントで締めくくりました。 今回の発表に係る、受賞論文要旨及び第12回「日本FP学会賞」の概要は次頁以降をご覧ください。 日本 FP 学会賞は、日本 FP 学会が主催し、日本 FP 協会は共催団体となっています。パーソナルファイナンスに関する8分野(ライ フプラン、金融資産運用設計、 リスクマネジメント、不動産、税務、法律、金融経済教育、その他)について、独創的で優れた研究 を表彰するもので、 「最優秀論文賞」、「優秀論文賞」のほか、研究者を奨励する「日本 FP 学会奨励賞」、実務家を奨励する 「日本 FP 協会奨励賞」、大学生を奨励する「学生奨励賞」を設けています。 ※日本FP学会は、平成12年3月、グローバリゼーションのもとにおけるパーソナルファイナンスの研究及びその教育・普及によって、 わが国の金融システムの安定・発展を図り、個人の資産管理に関する教育及び研究を行う人材の育成を目的として設立されました。 日本FP学会は、研究者と実務家との相互交流による実社会に対応した研究の水準アップにより、広い意味での日本人に適した個人の 資産設計、資産管理のノウハウが生活科学という学問的裏打ちをされることにより個人投資家・預金者の利益に資することを目指しています。 ◆本件取材に関する報道関係の方のお問合せ先 担当 日本FP協会 TEL 広報部広報課 金田・田和 03-5403-9739 ※ FAX 03-5403-9795 E-mail info@jafp.or.jp 、CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においては Financial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSB とのライセンス契約の下に、日本国内においては NPO 法人日本FP 協会が商標の使用を認めています。 特定非営利活動法人(NPO 法人) 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 <本部事務所>〒105-0001 東京都港区虎ノ門 4-1-28 虎ノ門タワーズオフィス5F TEL 03-5403-9700(代) FAX 03-5403-9701 <大阪事務所>〒530-0004 大阪府大阪市北区堂島浜1-4-19 マニュライフプレイス堂島5F TEL 06-6344-8063 FAX 06-6344-8065 1 受賞論文要旨 ■最優秀論文賞 賃金に連動する公的年金に上乗せされる確定拠出年金の最適資産配分について 臼杵 政治(うすき まさはる) 公的年金(厚生年金)の上乗せとして私的年金(確定拠出年金)に賃金の一定割合の掛け金を拠出する場合に、 引退時点(65 歳)の老後準備(総準備額)の分布に資産配分がどのような影響を与えるかをブートストラップ法によっ て明らかにした。その結果、第 1 に引退時期までに徐々に株式の割合を減らす戦略(グライドパス型)と金額加重平 均の配分割合を一致させた配分を固定する戦略との間に、分布の差はほとんどなかった。第 2 に私的年金資産だ けでは株式への配分が 12%で効用が最大となる保守的な投資家であっても、所得代替率50%の公的年金と合計で期 待効用を最大化する場合には、株式への配分が 42~54%に上昇した。これは①賃金に連動する公的年金資産のリ スクが小さいこと、②債券よりも株式の方が賃金との相関が低く、リスク分散効果が大きいこと、による。また、公的 年金の所得代替率が高いほど、私的年金の掛け金率が低いほど、確定拠出年金では株式への配分を増加させる べきである。第 3 に総所得代替率を目標にした場合には、総準備額を目標とする場合に比して、株式から賃金との 相関の高い債券に配分を振り替える戦略が有利になる。ただし、引退後の実質的な購買力を維持する上では、所得 代替率よりも総準備額を優先するべきである。 ■日本FP学会奨励賞 入退去ミクロ分析による不動産評価における将来予測の捉え方 ― 生存時間解析データによる家賃キャッシュ・フローの無条件確率遷移 - 小林 秀二(こばやし ひでじ) 従来の集計化された市場空室率や物件稼動率等を活用した方法からさらに詳細に分析するため、より基礎的なミ クロ・データを収集分析した上で、賃貸用不動産において入退去が確率的に繰り返されることをモデル化し、その結 果から将来キャッシュ・フローの見積りと価値評価に役立つ情報や知見を得ることを目的とする。まず、入退去の実 態を得るために、長期的な期間データで入居期間と空室期間の生存時間解析を行った。それによると、入居期間は 12カ月周期の退出増加の複雑な分布が見られ、空室期間は指数関数的に入居が決まっていく状況が得られた。こ れらのデータを使って、入退去が確率的に繰り返されるシミュレーションを行った。この結果、空室期間は入居期間 との関連性において稼動率とボラティリティに大きく影響することが確認され、そのメカニズムが可視化できた。 ■日本FP協会奨励賞 特別支援学校における金融教育の事例報告 ~合理的配慮に基づいた教材の提案~ 吉田 淳子(よしだ じゅんこ) 障害者差別解消法が平成 28 年 4 月より施行され、金融教育の分野においても「合理的配慮」が求められることと なった。知的障がいのある方の特徴は「分からない」と自ら言えないことで、分かりにくい教材であっても「分からな い」と意思表示されないため見過ごされる傾向がある。「合理的配慮」とは、そのような方に対しても踏み込んで分か りやすい教材を提供し、授業を行うことだ。教育現場の要請に応えるべく、ここに特別支援学校高等部における金融 教育の分野での実践事例を示した。今後、知的障がいのある方に対して金融情報をどのように発信していくか、社 会全体の課題となる。実は、特別支援学校における金融教育のあり方と、「分かりやすさ」を主眼とした金融情報の 提供は同じ方向を向いている。超高齢化で多様な社会に合った「分かりやすさ」を提供していくことが、ファイナンシ ャルプランナーの社会的役割であると考え、共通の意識を持って取り組みたい。 2 「第12回 日本FP学会賞」応募要項概要 ■目的 パーソナルファイナンスに関する分野で独創的で優れた研究を表彰し、研究者・実務家・大学生への支援を通じて、当該研究の振興に 資するとともに、将来に向けたパーソナルファイナンス研究の担い手の育成を目的とする。 ■組織 主催:日本 FP 学会 共催:日本 FP 協会 後援:日本経済新聞社、日本経済研究センター ■表彰(総額 110 万円) 〈研究者、実務家〉 最優秀論文賞 賞状+研究奨励金50万円 優秀論文賞 賞状+研究奨励金30万円 日本 FP 学会奨励賞 賞状+研究奨励金10万円 日本 FP 協会奨励賞 賞状+研究奨励金10万円 〈大学生〉 学生奨励賞 賞状+図書カード10万円 ■スケジュール 応募締切:平成 29 年 5 月 8 日 結果発表:平成 29 年 9 月、日本 FP 学会大会 ■選考方法 一次選考:応募論文について専門分野の委員により独創性、論理の展開力、実務への応用性等に着目しつつ評価し、二次選考に推 すべき論文を受賞候補として推薦。 二次選考:一次選考によって推薦された受賞候補論文について二次選考委員により各賞を決定。 ■選考委員 ☆は委員長 〈二次選考委員〉 ☆貝塚啓明(日本 FP 学会会長、東京大学名誉教授、財務省財務総合政策研究所名誉所長) 小島明 (政策研究大学院大学理事・客員教授、日本経済研究センター参与) 吉野直行(日本 FP 学会専務理事、慶應義塾大学名誉教授、アジア開発銀行研究所所長) 伊藤宏一(日本 FP 協会専務理事、千葉商科大学人間社会学部教授、CFP®) 〈一次選考委員〉 ☆吉野直行 他、パーソナルファイナンスに関連する分野の学識経験者 ■応募資格 パーソナルファイナンスを研究する研究者、実務家、大学生を対象とします。 〈研究者(大学院生を含む)、実務家〉 共同執筆による応募、本学会会員以外の方も応募できます。団体名による応募はできません。 〈大学生(短大生を含む)〉 大学学部生のチーム(数名のグループやゼミのグループ)による団体名の応募のみを対象とします。指導教員の推薦を応募の要件と しますが、指導教員が本学会会員でなくても応募できます。 (注)応募者の年齢制限はありません。 日本FP学会賞とは 日本 FP 学会賞は、日本 FP 学会が主催し、日本 FP 協会は共催団体となっています。パーソナルファイナンスに関する8分野(ライ フプラン、金融資産運用設計、 リスクマネジメント、不動産、税務、法律、金融経済教育、その他)について、独創的で優れた研究 を表彰するもので、 「最優秀論文賞」、「優秀論文賞」のほか、研究者を奨励する「日本 FP 学会奨励賞」、実務家を奨励する 「日本 FP 協会奨励賞」、大学生を奨励する「学生奨励賞」を設けています。 日本FP学会とは 日本FP学会は、平成12年3月、グローバリゼーションのもとにおけるパーソナルファイナンスの研究及びその教育・普及によって、 わが国の金融システムの安定・発展を図り、個人の資産管理に関する教育及び研究を行う人材の育成を目的として設立されました。 日本FP学会は、研究者と実務家との相互交流による実社会に対応した研究の水準アップにより、広い意味での日本人に適した個人の 資産設計、資産管理のノウハウが生活科学という学問的裏打ちをされることにより個人投資家・預金者の利益に資することを目指しています。 3
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