第 2 回鹿児島 ICT ネットワーク介護・福祉向け感染対策セミナーまとめ

第 2 回鹿児島 ICT ネットワーク介護・福祉向け感染対策セミナーまとめ
2016 年 9 月 14 日(水)18:00~20:50
鹿児島県医師会館大ホール
1.
地域医療構想、地域包括ケアと感染制御
水間病院 ICT 兼 地域連携室 社会調査士 水間 喜美子 先生
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2025 年問題:団塊の世代が 2025 年までに後期高齢者(75 歳以上)に達すること
により、介護・医療費など社会保障費の急増が懸念される問題。
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地域包括ケアと地域医療構想が推進され、医療・介護・福祉の連携強化が進むこ
とにともない、感染制御の包括的な標準化とレベルアップが求められている。
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2.
感染対策の重要性- インフルエンザ対策事例を通して鹿児島市医師会病院 感染管理室
感染管理認定看護師 濵田亜弥 先生
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インフルエンザ対策は特別なものではなく、日ごろからの標準予防策が重要。
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高齢者のインフルエンザでは高熱でなく微熱が多い。
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臨床症状からインフルエンザが疑われる場合は、すぐに隔離する。
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鹿児島市でインフルエンザ警報が発令されたら、面会制限(病室への入室禁止)
を開始している。
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マスクのサイズは自分に合ったものを(女性では小型サイズがよい場合も多い)
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加湿器は使わない。使うならば水の管理を厳格に(水が緑色に変わったこともあ
るそうです。緑膿菌?)
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流行期は患者・職員の症候群サーベイランスが重要
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参考資料
インフルエンザ施設内感染予防の手引き
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/tebiki22.pdf
インフルエンザ病院内感染対策の考え方について(高齢者施設を含めて)
http://www.kansensho.or.jp/guidelines/1208_teigen.html
3.
感染対策の重要性- 感染性腸炎対策事例を通して
大勝病院 感染対策室
感染管理認定看護師 髙岡さと子先生
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職員による施設内への持ち込みに注意が必要
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調理室内への汚染源の持ち込みを防ぐため、汚染食器は別に回収する。
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嘔吐物の処理ではマスク・エプロンを着用し、ペーパータオルでふき取り、汚染
部位の周囲を含めて 0.1%次亜塩素酸ナトリウムを含ませたペーパータオルで清拭消毒
する。
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トイレ、ドアノブ、手すりなどの環境は、0.02~0.05%次亜塩素酸ナトリウムで消
毒。
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患者の隔離解除基準は、通常のごはんを喫食してから嘔吐・下痢症状消失 5 日後
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職員の就業制限解除は、通常の食事形態での喫食後 48 時間症状がない場合
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環境クロスの導入や布おむつの廃止が必要
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リハビリマットは容易に拭ける素材に変更する。
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おむつ廃棄容器は足踏みで開閉できるものに変更する。
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ブリストールスケールによる便の性状の確認を
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参考資料
高齢者介護施設における感染対策マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/
ノロウイルス対応マニュアル(施設編)鹿児島市
http://www.city.kagoshima.lg.jp/kenkofukushi/hokenjo/hoyobo-kan/kenko/kenko/ryuko/hiv/shisetsu.html
4.
高齢者施設における感染対策~多職種チームで取り組もう
医療法人永広会 島田病院
感染管理認定看護師 森下 幸子 先生
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注意する感染症:疥癬、感染性胃腸炎、インフルエンザ、結核など
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介護・福祉施設でも感染症対策委員会だけでなく感染対策チームが必要:介護感
染チーム、看護感染チーム、リハビリ感染チームなど。
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多職種対象の実践的な講習会を開催する。
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マニュアルの整備も重要
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耐性菌感染症のリスクは小さいが、持ち込まれることは多く、地域に拡大させて
はいけない
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内因性感染症はある一定の割合で起こるが、施設に外から持ち込まれる外因性感
染症はコントロール可能
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なぜ手洗いが必要か。医療従事者自身の手が汚染しているから。
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高齢者や認知症患者の感染対策は、その方の行動のレベルに応じて行うべきであ
り、それは担当の介護職員が一番よく知っている。看護師は介護職員によく尋ね
ること。
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めったに使わないアンビューバッグなど救急用具はディスポ製品にする。
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施設の汚物処理室でもベッドパンウォッシャーの導入は有用
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流行期には子どもの面会制限が必要
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食堂・談話室の隔離には工夫が必要。2m 程度離す。特別の隔離スペースを作る。
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医療機関の隔離方法を介護・福祉施設にあてはめてはいけない。隔離によって、
食事習慣の変化→食事をとらない→寝たきりという悪い経過をとることがある。
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下痢症患者排泄後のトイレの清掃・消毒は毎回行う。流行時は、夜間の清掃を 1
回追加する。
5.
感染対策 Q&A -あなたの施設の感染対策のお悩みにお答えします!-
後日別に記載します。
(文責
西 順一郎)