みらいコンサルティンググループ ビジネスニュースレター 2016 年 9月号 日頃は「ビジネスニュースレター」をご愛読いただき、誠にありがとうございます。 毎号、ビジネスシーンで欠くことのできない法制度や海外進出などの最新動向、及び対応手法などを発信して おります。本書がビジネスの最新情報入手のための一助になれば幸いです。 事業承継で大切な「意識」 ~事業承継支援先の「社長の言葉」をもとに 会社と経営者、後継者にとって、事業承継は重要な経営課題です。 この重要な経営課題に、私たちは「今何を一番優先すべきか」を考え、同じ目線で、一緒に解決に向けてご支援させて いただいております。 私たちは、その中でも重要なのは事業承継に取り組む「意識」と考えています。 今回はその事業承継支援の過程で、実際に経営者の方からお伺いした言葉をもとに、「どういう意識」で事業承継に取り 組むべきか、考えてみたいと思います。 意識その1 「残すべきもの」と「変えるべきもの」を明確に区別する。 あるご支援先の社長は、「先代が決めた 3 割材料費、3 割人件費、3 割経費のバランスは何があっても絶対に崩さない」 「でも 1 年で 3 つは必ず見直すと決めている」とおっしゃっていました。 理由を尋ねると、「『残すべきもの』と『変えるべきもの』とを区別し、分かりやすく伝え、全体に浸透させることが大事でしょ う!」とのことでした。 「後継者は『残すべきもの』が分からず、経営者は『変えるべきもの』が分からない」という話はよく聞きますし、実際によく 私たちも感じることです。先代から絶対に「残すべきもの」をしっかりと聞き取るとともに、後継者から「変えるべきもの」を 尋ね、両者をすり合わせること、そして全てをいきなり変えずに段階的に変えていくこと、これが事業承継の第一歩かも しれません。 意識その2 「当たり前のことを当たり前にやること」が大事と意識する。 支援先の経営者の方から「社員にわが社の強みを聞くと、特にない、当たり前のことを当たり前にしているだけだっていう んだよね」とよく伺います。 ただ、よく話を聞くと、「挨拶や声かけ、整理整頓、納期遵守、品質向上」など、これまでの取組みで培い積み上げられた ことを「当たり前」と考えていて、世間一般と比べて「当たり前」どころか、優位性につながっているケースが多いのです。 私たちは、「当たり前のことを当たり前にやる」ことを「やりきる姿勢」と申し上げています。 これを先代・後継者がリードし、全社一丸で取り組むことを明確にすることが社員の安心と信頼を生み、事業承継を円滑 に進められると考えています。 意識その3 「幹部社員には求められる役割に応じた変化を促す」ことを意識する。 支援先の経営者の方から「幹部の成長が思ったより伸びない」「取締役にはしたけれど・・・」という話をよく耳にします。 その理由は、ある段階から「プレーヤー」としてではなく、「リーダーとしてチームとしての力を伸ばす」ことを求められている のに、幹部社員が「経営者からの指示待ちのままで、チームを自分が動かさなくてはいけないことに気がついていない」こ とにあると思います。 「それぞれの幹部社員の方に求められる役割を明確にし、きちんと伝える」意識こそ、幹部社員が成長し、事業承継を経 営者と一緒に行っていくうえで一番重要なことと考えています。 事業承継にあたって検討すること、解決しなくてはいけないことは沢山ありますが、「事業承継に取組む意識」が一番根 底にあり、最も重要なものと思います。とりわけ上記 3 つの意識は、事業承継の成否を分けるといっていいでしょう。 事業承継の課題に取り組まれている皆様にとって、参考になれば幸いです。 事業再生に不可欠な「事業デューデリジェンス」 みなさんは、「事業デューデリジェンス(DD)」という 連携やコミュニケーションといった「定性的な側面」 言葉を聞いたことがありますか? も含めて分析を行います。 一般的に「事業 DD」とは、一定の目的(事業再生 多面的にインタビューを実施していくことによって、 や M&A)のために、対象企業を「財務」「事業(戦 これまで社長が気付かなかった「経営幹部と一般 略やオペレーション)」「組織(意思決定や経営管 社員との認識のズレ」や「社長と経営幹部との認識 理 )」といった多 様な側面から統合的に分析 する のズレ」など、想定外の事実が認識されることもあり ことを意味します。 ます。そのため、中には「最初は、自分の会社のこと は全て理解しているつもりだったが、実際には想像 事業再生の現場で「事業 DD」を実施する際、社長 から「なぜウチの会社は、事業 DD が必要なのです 以上に自分の認識と実態が異なっていて驚いた。」 という感想を持たれる社長も少なくありません。 か?」という質問を受けることがあります。その際は、 「社長は、健康診断を定期的に受けていますよね。 事業再生の局面にある企業に限らず、どんな企業 第三者の専門家(医者)の視点から自分の体の健 であっても自社の現状を正しく認識することは意外 康状態をチェックしてもらうことで、現状を正しく知 と難しいものです。しかし、事業再生のような難しい るために受けているのではありませんか。簡単にい 経営課題を抱えている企業こそ、「事業 DD」を通じ うと今回の事業 DD も『会社の健康診断』のようなも て自社の経営実態を把握することは、最短期間で のなのですよ。」とお答えしています。 経営 課 題を解 決するために欠かせない、重 要 な プロセスなのです。 つまり、事業再生の現場における「事業 DD」の目的 は、下記の 2 点に集約されます。 ① 企 業を第 三者 (コンサルタント)の視点から調 査・分析することで、企業のありのままの現状を 把握(『見える化』)する。 ② 「企業のありのままの現状」から経営不振に陥っ た原因などを分析し、その原因に対する施策の 方向性を検討する。 企業のありのままの実態を分析・把握して『見える 化』するために、弊社「事業 DD」を行う際には、財 務資料や経営データの分析だけでなく、社長や経 営幹部、必要に応じて一般社員にまでインタビュー を行い、企業の経営体質や組織風土、組織間の ◆◆ ニュースレター編集委員会 ◆◆ 竹中/眞船/比留間/福田/祐川/本間/松本朋/小池/石井 この内容についてのお問い合わせはこちらへ Address:[email protected]
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