環境 報告 環境技術開発 環境調和型社会の実現に貢献するため、スマートエネルギー関連技術など様々な分野で、 環境負荷低減に繋がる技術開発を推進しています。 スマートエネルギー関連技術の開発 Web 技術開発への 取り組み 電池 ※、蓄電池を設置し、創られる電気と熱を複数世帯で 再生可能エネルギーを活用するとともに、最新のICT(情 共用することで省エネルギー性を大幅に向上する実証試験 報通信技術)を利用して電気と熱を最適に利用すること に取り組んでいます。 で、省エネルギーとCO2削減を実現するスマートエネルギー ※ 固体酸化物形燃料電池(SOFC)と固体高分子形燃料電池(PEFC) ネットワークの実現に向けて、以下の関連技術の開発に取 ▶ 集合住宅でのエネルギー共同利用システムのイメージ 特 集 ガスコージェネレーションなどの分散型電源を核とし、 り組んでいます。 ■ エネルギーの共同利用 集合住宅などでは、複数世帯で燃料電池などのエネル ギー供給システムを共用・最適利用することにより、さらな る省エネルギーが期待できます。 環境報告 当社では、岐阜市内の一般向け賃貸集合住宅(4戸×2 棟)に1棟につき、太陽電池、特徴の異なる2タイプの燃料 お客さまソリューションに資する技術開発 お客さまの省エネニーズに応じて、最適なソリューション ■ 業務用厨房の温熱環境予測技術 を提案するため、以下の技術開発を実施しています。 飲食店や食堂などの大量調理を行う施設向けに、厨房内 ■ 家庭向け省エネ診断ソフト 「eごこち診断®」 の開発 の温熱環境(温度・流速)を可視化する熱流体シミュレー 2014年9月に、家庭の省エネ対策を提案する省エネ診 ション技術※2の高度化に取り組んでいます。シミュレーショ 断ソフト「eごこち診断 」を開発しました。お客さまの家 ンを活用した厨房設計の支援により、空調負荷の低減など、 族人数、使用機器の種類や利用状況等に基づき、水道光熱 お客さまの省エネルギーにつながる提案に活用しています。 費のシミュレーションや設備性能の診断を行うことで、お客 ※2 コンピュータにより、空間内の「温度分布」や「流速分布」を計算し、実際の状態を 再現・予測する技術 さま宅の省エネ・省CO2対策とその効果等の提案に活用し 社会報告 ※1 ▶ 温熱環境の改善例 ています。お客さまの多様化する住まい方に今後も対応し ていくため、適宜、改良を進めています。 ※1 西部ガス(株)および大日本印刷(株)と共同開発。2015年10月に環境省が推進す る「家庭エコ診断制度」の認定を取得 厨房レイアウト ▶「eごこち診断」システム 提案前(従来) 低 省エネ鑑定 じっくり診断 提案後(涼厨) ササッと診断 経営報告 高 回 転 釜・立体 炊 飯 器 を 涼厨 ®に変更することに より、厨 房 機 器 周 囲 の 温度分布が大きく改善 固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発 SOFCは燃料電池の中でも発電効率が高いことから、家 す。当社は、過去20年以上にわたって培ったSOFCのセル 庭用分野に加えて、飲食店、小規模物販店など、熱需要の スタック製造・設計技術やシステムの評価技術を活かし、5 小さい業務用分野のお客さまへの導入が期待されていま ∼10kW級の業務用SOFCシステムの開発を行っています。 東邦ガス株式会社 環境・社会報告書2016 24 環境報告 〉〉〉環境技術開発 水素エネルギー利用技術の開発 燃料電池自動車の普及に向けて、燃料となる水素を供給 みなとアクルス エコ・ステーション する水素ステーションの整備に取り組んでいます。2015年 5月の日進市および豊田市に続き、2016年4月には名古 屋市港区(港明用地再開発エリア)で「みなとアクルス水素 ステーション」※1の運営を開始しました。オフサイト方式 ※2 の各水素ステーション(日進およびみなとアクルス)の水素 は、2016年3月に完成した当社技術研究所(東海市)構内 の「水素サプライセンター」から供給します。当センターは 当社初の水素集中製造設備で、都市ガスを原料に水素を製 造します。 ※1「みなとアクルス エコ・ステーション」として、天然ガス・LPガススタンドと併設 ※2 水素ステーション内に水素製造設備を持たず、他箇所で製造した水素を搬送する方式 水素サプライセンター 高効率ガス利用技術の開発 ■ 高効率ガスコージェネレーションシステムの開発 でしたが、本製品の場合には1台で対応することが可能で エネルギー利用効率が高いガスコージェネは、省エネル す。廃温水を利用しないナチュラルチラー®と比較して、主 ギー、環境への貢献に大きな役割を果たしています。また、東 熱源の都市ガス消費量を冷房定格運転時に約25%削減 日本大震災以降は、事業継続計画(BCP)に関連した電力 できます。 セキュリティ確保や節電などの観点からも、お客さまの期 ※2 日立アプライアンス(株) ( 現 日立ジョンソンコントロールズ空調(株))との共同開発 待が高まっています。2015年4月には、高効率化、高出力 化、低NOx化を同時に実現した発電出力450kWのガスエ ンジンコージェネ※1を 各種ボイラの省エネルギー性向上のため、高効率化開 発を行っています。2015年9月には、高性能ガス焚き簡易 発売し、同等出力のガ 貫流熱媒ボイラ※3を開発しました。従来の熱媒ボイラは、 スコージェネでは世界 定格熱効率(出力100%時の運転効率)80%程度が一 最 高クラスの 発 電 効 般的でしたが、本製品は、高温の排ガスを利用して燃焼用 率42.0%、総合効率 空気を加熱するエアヒータを採用することで、従来機より 81.5%を達 成してい ます。 ■ ボイラの高効率化 高い定格熱効率90%を達成しました。また、出力100% 450kWガスエンジン(発電機セット) ※1 三菱重工業(株)との共同開発。2015年度「コージェネ大賞」技術開発部門 特別 賞を受賞 から25%の間でお客さまの使用負荷に応じて燃焼量を自 動で比例制御するシステムを採用しました。これにより、 ON/OFFの頻度が大幅に低減し、出力50%時の熱効率が ■ 2温水回収ジェネリンク※2の開発 温度帯や流量の異なる2種 類の廃温水(例えば、コー ジェネと空気圧縮機などの機械から発生する“2温水”) を熱源として利用できる廃熱投入型のガス吸収冷温水機 「ジェネリンク®」を開 発し、2014年5月から 22%向上するなど、エアヒータによる 効果と併せて、ボイラの運転効率を大 幅に向上しました。 ※3 (株)サムソン、東京ガス(株)、大阪ガス(株)との 共同開発。熱媒ボイラは、熱媒体に油を用いること で200∼300℃の高温の熱が得られることから、化 学・油脂・プラスチック・ゴム・石油・繊維・塗装工業 など幅広い産業分野で利用 販売しています。従来、 2系統の温水を空調用 の熱源に利用する場合 は、2台のジェネリンク を設置するのが一般的 25 東邦ガス株式会社 環境・社会報告書2016 2温水回収ジェネリンク 高性能ガス焚き簡易貫流熱媒ボイラ
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