名古屋市立大学薬学部大学院薬学研究科パンフレット

名古屋市立大学 薬学部
大学院薬学研究科
アドミッションポリシー
薬学研究科では、薬学領域の幅広い知識とそれに基づく
深い専門性を修得し、革新的研究を目指し生命薬学、創薬
科学、環境衛生薬学、医療薬学に携わる創造性豊な卓越し
た能力を有する研究者・技術者の養成を目指しています。ま
た、広い視野と高い倫理観を持ち教育、行政及び医療現場
等で活躍できる卓越した能力を有する人材の養成も目指し
ています。これらの多岐に亘る高度に専門的な人材を育成す
るために、研究科は次のような人を求め、入学を歓迎します。
○学修と研究に強い意欲を持ち、主体的な創造性と協調性に富ん
だ人を求めます。
○博士前期課程(創薬生命科学専攻)では、研究課題への取り組み
方のうち、主に問題解決能力を獲得することをめざして、特に研究
遂行に必要な物質科学・生命科学の基礎学力と語学力を有する人
C O NTE N TS
を求めます。
アドミッションポリシー
1
沿革
2
薬学研究科の概要
3・4
組織
5
名古屋工業大学との共同大学院
6
▼研究分野の紹介
挙げて学術論文として発表する過程を通じて、問題解決能力に加え
て課題設定能力を獲得することをめざして、関連する物質科学・生
命科学の先端的な知識と研究遂行のための基礎的技術を有する人
を求めます。
○博士後期課程(共同ナノメディシン科学専攻)では、最先端の研
究成果を挙げて学術論文として発表する過程を通じて、問題解決
7~9
能力に加えて課題設定能力の獲得に意欲を有する人、学際領域に
●
医薬化学
●
生命分子薬学
●
医療分子機能薬学
12~14
●
医療薬学
15~18
●
連携大学院
18~20
求めます。
附属研究施設の紹介
21・22
○多様な人材の育成の観点から、異なる学問的背景(薬学以外の
教育・研究関連事業
23・24
9~12
国際交流
25
進路
26
卒業生からのメッセージ
1
○博士後期課程(創薬生命科学専攻)では、最先端の研究成果を
26~28
キャンパスの紹介
29
大学院の入試案内
30
おける多様な人材の育成の観点から、様々な学問的背景を有し、新
たに薬工融合型研究を志す人(留学生、社会人を含む)を求めます。
○博士課程(医療機能薬学専攻)では、臨床研究ないし関連領域の
研究の遂行のための医療薬学の基礎的な知識と技術を有する人を
学部出身者)と研究遂行に必要な基礎学力を有し、新たに薬学研究
を志す人を求めます。
○国際的な人材の育成の観点から、研究遂行に必要な物質科学・
生命科学の基礎学力を有し、薬学研究を志す留学生を求めます。
○多様な人材の育成の観点から、研究遂行に必要な学力と経験を
有し、博士後期課程・博士課程での薬学研究を志す社会人を求めま
す。
沿 革
1884年
6月
名古屋薬学校開校(1890年4月 愛知薬学校に改称)
1931年 10月
愛知高等薬学校開校
1936年
4月
名古屋薬学専門学校開校
1946年
4月
名古屋市に移管、名古屋市立名古屋薬学専門学校に改称
1949年
4月
名古屋薬科大学(新制)開学
▲昭和13年実習
1949年 10月
名古屋市議会において名古屋薬科大学と名古屋女子医科大学を統合して、名古屋市立大学とする決議案
1950年
4月
名古屋市立大学設置(新薬学部入学定員80名)
1951年
6月
薬学部位置変更(鳴海町から市内瑞穂区田辺通3-1、および同区萩山1-11へ)
1951年
6月
医学部進学課程設置に伴い、同課程及び薬学一般教育系列の教育を行う教養部を設置
1958年
4月
薬学部に薬学専攻科設置(入学定員9名)
(1961年3月廃止)
1961年
4月
大学院薬学研究科(修士課程)設置
1965年
4月
教養部の一部および学生部を、山の畑キャンパスへ移転(田辺通キャンパスから)
1966年
3月
薬学部を田辺通キャンパスへ統合
1966年
4月
大学院薬学研究科博士課程設置
1968年
4月
薬学部薬学科入学定員を100名(従前80名)に増員
1970年
4月
薬学部製薬学科増設(入学定員 薬学科60名、製薬学科40名)
1975年
4月
大学院薬学研究科を前期(修士)課程と後期課程に区分した博士課程とする
1985年
4月
薬学部薬学科入学定員を50名(従前60名)に減員し、薬学部製薬学科入学定員を50名(従前40名)に増員
1990年
4月
大学院薬学研究科前期課程の入学定員を45名(従前26名)に増員
1992年
9月
南カリフォルニア大学薬学部と学術交流協定を締結
1995年
3月
薬学部先端薬学研究施設、共同利用研究施設完成
1996年
3月
教養部廃止
2001年
4月
大学院薬学研究科の専攻を再編し、入学定員を前期課程72名(従前45名)、後期課程を18名(従前13名)に増員
2002年
1月
シドニー大学健康科学カレッジと学術交流協定を締結
2002年
4月
大学院薬学研究科の部局化
2002年 11月
南京医科大学と学術交流協定を締結
2006年
4月
名古屋市立大学の独立行政法人化
2006年
4月
薬学部に6年制課程の薬学科(定員60名)と4年制課程の生命薬科学科(定員40名)を導入
2008年
3月
薬学部実習棟完成
2009年
8月
薬学部研究棟完成
2010年
4月
生命薬科学科の大学院薬学研究科博士前期課程(定員36名)を設置
2010年
8月
瀋陽薬科大学と学術交流協定を締結
2012年
4月
大学院薬学研究科博士課程(定員6名)および大学院薬学研究科博士後期課程(定員8名)を設置
2013年
4月
名古屋工業大学との共同大学院(共同ナノメディシン科学専攻の定員4名)を設置
2013年 10月
黒竜江中医薬大学(中国)と学術交流協定を締結
2014年 10月
ハジェテペ大学(トルコ)と学術交流協定を締結
2014年 10月
秋入学(10月入学)を開始
2015年
ミシガン大学薬学部(アメリカ合衆国)と学術交流協定を締結
6月
▲昭和33年校舎全景
▲昭和35年校舎
2
薬 学 研 究 科 の 概 要
薬学研究科は高度な先端的知識・技能を習得し、独創的先端研究に従事する人材、臨床で問題を独自に発見し、解決す
る高い研究能力をもつ自己開発型の人材、および教育・研究における指導者の育成を目標としています。また、地域医療を
担う指導的薬剤師、国内外の医薬品開発や保健・衛生行政の分野で社会に貢献する人材の育成を目標としています。
歴史
特色
大学院薬学研究科(修士課程)が名古屋市立大学に設置さ
本研究科では4年制学科の修学の後に薬学研究に必要な
れたのは1961年です。博士課程は1966年に設置されました。
基礎的知識や技術の習得を目的とした博士前期課程(2年
1975年に博士(前期・後期)課程への改組を行い、2001年
制)、さらに、創薬や薬学の進歩につながる生命科学について、
には大学院部局化に伴う大規模改組を行いました。さらに、
先端的な知識や技術の習得と高度な研究を目的とした博士
2004年から在職者の方に修学の門戸を開くために社会人特
後期課程(3年制)を設置しています。一方、6年制の薬学科
別選抜制度を設置しています。2006年から薬学部の新制度
の修学後に医療薬学、および医薬品の臨床開発について先端
が施行されたことに伴い、薬学科(6年制)と生命薬科学科
的知識・技術修得に裏付けられた高度な臨床研究能力の獲
(4年制)を併設しました。4年制学科に対応した博士前期課
得を目的とした博士課程(4年制)を設置しています。
程(2年制)の改組を2010年に行い、1専攻(創薬生命科学
名古屋市立大学大学院医学研究科や看護学研究科を始め、
専攻)としました。2012年から博士後期課程(3年制)の改組
当大学の他の学部、研究科との共同研究や連携教育も盛んに
と6年制学科に対応した博士課程(4年制、医療機能薬学専
行われています。さらに、教育・研究の一層の充実と多様化を
攻)を設置しました。さらに、2013年から名古屋工業大学と
図る目的で、これまでに、愛知県がんセンター研究所、国立長
の間で共同大学院を開設し、共同ナノメディシン科学専攻(博
寿医療研究センター、国立医薬品食品衛生研究所、岡崎統合
士後期課程)を設置しました。現在まで50有余年の間に、製
バイオサイエンスセンター、医薬品医療機器総合機構(PMD
薬企業を始めとする企
A)との連携協定に基づき、それぞれ、腫瘍制御学分野、加齢
業や大学・国公立研究
病態制御学分野、医薬品質保証学分野、生体システム制御学
所等への研究者・技術
分野、医薬品医療機器審査科学分野を新たに設置しました。
者、東 海 地 区を中心と
する地域拠点病院への
昭和35年校舎
薬剤師を数多く輩出し
ています。
3つの専攻
本研究科では3つの専攻を設置し、薬学分野の進歩に貢献すべく研究、教育を行っています。
創薬生命科学専攻
医療機能薬学専攻
共同ナノメディシン科学専攻
多様化した疾病の治療に対応できる
医療現場での医薬品を含む診断・治
名古屋市立大学薬学研究科と名古屋
最新の医薬品研究開発の知識と技術、
療の高度化ならびに複雑化に十分対応
工業大学が共同で設置する大学院です。
ならびに生命科学の急速な進歩に呼応
し、医薬品の適正使用、薬害の未然予
薬 学の強みである先 進 創 薬と薬 物送
した生体分子機能解析の最先端の知識
防、薬学的見地からの患者への的確な
達・動態科学、工学の強みであるナノテ
と技術を習得します。関連学問分野を
配慮、治験薬管理における高度の専門
クノロジーとナノバイオロジーそしてプ
有機的につなぎ、最新の生命科学や創
知識と技能の基盤となる基礎研究と臨
ロセス工学とを併せ持った、薬・工両方
薬科学の知識と技術を習熟し、医薬品
床研究を行い、医療機能薬学の基礎及
に精通した薬工融合型の人材育成と研
開発研究と生命科学の推進・展開につ
び臨床における医療薬学の実践、薬剤
究を行います。
いての教育・研究を行います。
師活動の推進・展開について教育・研究
(
2年制博士前期課程
3年制博士後期課程
)
(4年制博士課程)
を行います。
3
(3年制博士後期課程)
名古屋市立大学 大学院薬学研究科で、あなたの夢を追ってみませんか?
大学院薬学研究科には大学
大 学 院 博 士 前 期 課 程 で は、 大 学 院 博 士 後 期 課 程 では 、 大学院博士課程では、臨床
院博士前期(2年制)および
薬学研究に必要な基礎的知
創薬や薬学の進歩につなが
薬学、医薬品の臨床開発に
後期
(3年制)
課程と、博士課
識や技術を身につけます。
る生命科学について薬学の
ついて先端的な知識や技術
先端的な知識や技術の習得
の習得と高度な研究をしま
と高度な研究をします。
す。
程
(4年制)
があります。
博士 3年
大学院博士後期課程
大学院博士後期課程
大学院博士後期課程
博士 2年
博士 1年
大学院博士前期(修士)課程
大学院博士前期(修士)課程
卒業研究
卒業研究
薬学
専門科目
修士 2年
修士 1年
4年生
薬学専門科目
薬学専門科目
(4年制課程)
3年生
2年生
教養教育科目
生命薬科学科
1年生
二つの学科の
教育課程と大学院
創薬生命科学専攻
共同ナノメディシン
科学専攻
博士 3年
博士 4年
大学院博士課程
大学院博士課程
大学院博士課程
大学院博士課程
卒業研究
卒業研究
卒業研究
事前学習
博士 2年
博士 1年
対策科目
病院実習
薬局実習
6年生 国家試験
5年生
薬学専門科目
薬学専門科目
4年生
3年生
薬学
専門科目
薬学専門科目
教養教育科目
(6年制課程)
2年生
1年生
薬学科
医療機能薬学専攻
山崎川両岸の桜と薬学部研究棟を望む
4
研 究 科 の 組 織
名古屋市立大学大学院薬学研究科
創薬生命科学専攻
医薬化学
生命分子薬学
●薬化学
●生体超分子システム解析学
●精密有機反応学
●コロイド・高分子物性学
●薬品合成化学
●生命分子構造学
●機能分子構造学
●分子生物薬学
●薬物送達学
●マイクロRNAゲノム創薬学
医療分子機能薬学
●生薬学
医療薬学
●薬物動態制御学
●病態解析学
●衛生化学
●細胞情報学
●遺伝情報学
●細胞分子薬効解析学
●病態生化学
●神経薬理学
●レギュラトリーサイエンス
●病院薬剤学
●臨床薬学
医療機能薬学専攻
●コミュニティファーマシー学
●漢方薬物治療学
●臨床病態治療学
●個人差・オーダーメイド医療薬学
●分子機能薬理学
●ストレス応答制御学
●病院臨床薬剤学
●分子神経科学
●疼痛緩和医療薬学
●医薬品安全性評価学
●臨床薬物動態学
共同ナノメディシン科学専攻
●機能医薬創成学部門
●薬物送達・動態科学部門
名古屋工業大学
大学院工学研究科
●医薬支援ナノ工学部門
連携大学院
●腫瘍制御学(愛知県がんセンター研究所)
●加齢病態制御学(国立長寿医療研究センター)
●医薬品質保証学(国立医薬品食品衛生研究所)
外部の研究所
センター・機構
●生体システム制御学(岡崎統合バイオサイエンスセンター)
●医薬品医療機器審査科学(医薬品医療機器総合機構)
※創薬生命科学専攻、医療機能薬学専攻の学生はいずれの分野においても研究、教育指導を受けることができます。
5
名古屋工業大学との共同大学院 「共同ナノメディシン科学専攻」
設置の趣旨
薬学は医薬品の創成、また、工学は材料・デバイスなどの創
名古屋工業大学
成に関わる学問分野で、両者には「ものづくり」という大きな
薬学を基盤とする先進創薬科学
研究分野:ナノバイオ・先進創薬・生体機能工学
研究分野:創薬科学・病態解析・薬物送達
共通理念があります。しかし、ターゲットである「もの」の違
いから、両者はこれまで独自の専門性を持って発展しており、
名古屋市立大学
工学を基盤とする最先端ナノテク
生命倫理学
知的財産学
国際インターンシップ
研究・教育ともに連携の機会が必ずしも多くありませんでし
国際プレゼンテーションカ
共同ナノメディシン科学専攻(共同大学院(博士後期課程))
た。薬学分野においては、創薬や生命科学に関する新規知見
学位(博士(ナノメディシン科学))
が年々集積されています。また、工学の諸分野では、新規機
能性物質・材料の開発研究、特にナノテクノロジー研究がます
機能性分子と
デバイス化
機能医薬創成学部門
ます活発ですが、その中には医薬応用を指向したものも少な
・生体分析工学
くなく、両分野の融合による創薬の機会とその重要性は、今
・新規機能性創薬材料
薬と生体輸送
高度精密創薬
● ナノメディシン工学
● バイオテクノロジー
●
・ナノ薬品・センサー
・創成医薬の評価
・動物モデル評価
・新規有効成分の発掘
後さらに増すものと予想されます。そこで、薬学の強みである
薬物送達・動態科学部門
医薬支援ナノ工学部門
先進創薬と薬物送達・動態科学、工学の強みであるナノテクノ
生体機能工学
ナノバイオ工学
● バイオメカニクス
ロジーとナノバイオロジー、そしてプロセス工学とを併せもっ
●
生体応答デバイス
●
た、薬・工両方に精通した薬工融合型人材を育成するために、
・医薬、生体分子の
静的・動的挙動の解明
薬物送達科学
薬物動態科学
● 人工蛋白質工学
●
●
・新規機能の発掘
両大学による共同教育課程として、共同ナノメディシン科学専
攻を平成25年4月に設置しました。
教育指導体制
本共同専攻の教育・研究は、先進薬学と先進ナノ工学を駆使し、薬を「つくる(創薬)」、
「輸送する
(送達・動態)」、そして「評価する(薬効評価)」の3つの部門から構成されています。
○機能医薬創成学部門
○薬物送達・動態科学部門
○医薬支援ナノ工学部門
機能性医薬品を開発するため、
薬品の先進的合成法とナノデバイ
ス化の融合を目指した部門
生体内での薬物動態を調べると
同時に、新規のドラッグデリバ
リーの手法等を開発する部門
投与された医薬品がいかにして効
果を発揮するか、組織・細胞・ナノ
分子レベルで解析・評価する部門
教育課程の特色
本共同専攻のプログラムは、授業科目の受講
学教員を必ず含む副指導教員2名以上を決め、3年間指導する体制を整え
と特別研究の両方で段階的にステップアップさ
ています。コースワーク、研究指導、論文作成指導、学位論文審査等の各段
せるシステムです。まず、授業科目は、ナノメディ
階で有機的かつ横断的なつながりをもって博士学位授与へと導く教育研
シン科学専攻の基 礎的導入科目である専攻基
究プロセスを行います。
軸科目として薬工両方に精通する双頭俯瞰型基
カリキュラムツリー
盤教育を修得し、次にその展開として、研究指導
1年次
を含む部門の専門知識を深く享受する双 頭俯
瞰型薬工融合展開教育を修得します。そして、グ
ローバルな研究者に必要な知識を享受する薬工
の専攻共通科目を設定し、幅広く先端融合教育
を実施します。この中には、学術的な専門性だけ
攻
基
軸
科
部
門
共
な特別研究に従事します。そして、中間報告の
科
終研究報告・審査を実施します。
研究指導は1年目に主指導教員1名、相手大
薬物送達・
動態科学概論
医薬支援ナノ
工学概論
高精密
有機合
成化学
(名工大)
製剤設計・ 生体関
連物質
薬物送達
設計学
制御学
(名市大) (名工大)
医薬支援 マイクロ・
ソフトマター ナノバイオ
物性論 メカニクス
(名市大) (名工大)
目
通
目
士
論
論
文
文
審
作
査
成
論
文
薬工連携
特別演習
同研究を探索して、研究計画発表の後、実質的
後、博士の学位取得のための論文作成指導、最
博
次世代
専 医薬品
門 開発学
(名市大)
科
目
薬品産業の現状や展開に関する科目も開設して
て、薬工連携特別演習を実施することにより共
3年次
機能医薬
創成学概論
専
ではなく、生命倫理や知的財産に関する科目、医
います。これらと並行して、研究力養成教育とし
2年次
特
別
研
究
触媒ナノテクノロジー特論
メディカルナノテクノロジー特論
ナノ薬工学材料評価学特論
先進薬科学特論
センサーデバイス開発学特論
薬物動態・超分子解析学特論
遺伝情報発現制御学特論
先端機能薬理学特論
生命倫理特論
医薬品産業特論
発
表
学
会
位
最
得
取
終
試
現代知的財産権特論
験
テクノロジーインターンシップ
グローバルプレゼンテーション
博士論文研究計画発表会 博士論文中間報告会
6
研 究 分 野の紹 介
Graduate School of Pharmaceutical Sciences
http://www.nagoya-cu.ac.jp/phar/department
Organic and Medicinal Chemistry
薬 化 学 分野
「くすり」
を視る・知る・創る有機化学
有機化学を基盤として、生命科学や物
生体機能に重要な情報伝達物質である
理化学の知識も利用しながら、意図した
NOを光化学の技術を利用して制御する
薬 効を 発 揮する化合 物を創 造する「創
化合物を開発し、NOの機能解明や新た
薬」に取り組むのが創薬化学・医薬品化
な光線力学療法剤の開発を行っています。
学です。薬化学分野では有機合成化学・
教 授 中川 秀彦
反応化学・生物科学・計算科学などの幅
助 教 川口 充康
広い知識や技術を活用し創薬化学研究に
助 教 家田 直弥
取り組んでいます。また、医薬品の作用や
病気に関わる生体機能の仕組みを有機化
学を利用して調べる技術を開発して、有
効な医薬品の開発に生かす研究も行って
います。
例えば、細胞のがん化や老化に関わる
重要な酵素であるHDACやPin1の阻害剤
を開発して、疾患の原因解明を行うとと
もに治療薬開発を目指しています。また、
7
一酸化窒素(NO)の光制御化合物と
光により細胞に発生させたNOの様子
●
創薬化学
●
生物有機化学
●
光線力学療法
●
光化学
●
酵素阻害剤
Bioorganic-inorganic Chemistry
精 密 有 機 反 応 学 分野
これまでなかった優れた機能を持つ分子を創造し、
医療や生命科学に貢献する
当研究室では、化学をベースとしなが
ています。また、生体に数多くある未知の
ら、化学と生物の境界領域を研究する学
仕組みを調べるために、その構造をモデ
際的な生体関連化学研究を中心に行って
ル化した優れたモデル分子や、それを発
います。今までこの世界になかった新しく、
展させた次世代型触媒、生体機能探索の
優れた機能を持つ分子を自らの手で生み
ためのプローブ等を開発しています。また、
出していく、薬学の中でも最も創造的な
その過程で「化合物を合成する」基本ス
研究分野の一つといえます。独自のアイデ
キルの習得もできます。以上、新しい科学
アを込めた、独創性の高い設計・合成し
を切り開く研究をめざしています。
教 授 樋口 恒彦
准教授 梅澤 直樹
助 教 (選考中)
た分子が、医療や生命科学の発展
に大きく貢献することを目指して
います。 創薬研究では、精密有機
反応学では、抗アルツハイマーや
●
創薬化学
●
消去、抗オートファジー活性を有す
酵素モデル
●
生体プローブ
る治 療 薬 につな が るも の を、ユ
●
ペプチド
●
生物有機無機化学
抗マラリア、抗ガン活性、活性酸素
ニークな戦略に基づき開発を進め
Synthetic Organic Chemistry
薬 品 合 成 化 学 分野
創薬を志向した生物活性化合物の合成
創薬を行う上で、薬およびそのリード化
手法の開発やコンピューターの活用を行
合物となる生物活性物質の創製に寄与す
いながら生物活性天然物の全合成研究
る有機合成化学は不可欠です。自然界か
を進めています。また、多種多様な官能基
ら見出された化合物の中には、顕著な活
群を備え、特異な構造様式を持つ化合物
性を示すものの、量的な供給が難しいも
を効率よく合成するため、新たな骨格構
のも少なくありません。また、開発の過程
築法や合成反応の開発にも取り組んでい
で構造修飾を要する場合もあります。しか
ます。
教 授 中村 精一
准教授 近藤 和弘
助 教 山越 博幸
し、有機合成化学の発展に伴って
これらの課題は徐々に克服され
つつあり、近年ではきわめて複雑
な構造を持つ化合物でも医薬品
として供されるようになってきて
います。このような背景のもと、
●
生物活性物質
●
私たちは誘導体合成による構造
化学合成
●
骨格構築法
活性相関研究への展開を念頭に
●
新反応開発
置き、必要に応じて新たな合成
8
Synthetic Supramolecular Chemistry
機 能 分 子 構 造 学 分野
既存の反応・合成法を刷新しうる新反応の開発を目指して
我々を取り巻く“もの”の多くが有機
は、有用な有 機 化合 物を効率的に合成
化合物からできています。それらを効率
できる新反応の開発を主眼におき、遷移
的に“つくる”ことを可能とする新しい
金属触媒を用いた一段階多成分連結反
手法、すなわち、新しい反応を開発する
応(ドミノ反応)の検討を行っています。
ことは,既存 の 合成法や反 応手法を刷
また、その 複雑な反 応 機構を実 験化学
新し、ひいては我々の生活をも一新する
的な手法はもとより、非 経 験的 分 子軌
可能性を秘めています。我々の研究室で
道法計算による理論的な知見からも解
准教授 池田 慎一
析を進めています。
●
遷移金属錯体
●
触媒反応
● ドミノ反応
●
生 体 超 分 子システム 解 析 学 分野
多成分連結反応
Cellular Biophysics
免疫系と神経系の生体超分子システムの
解析・構築から創薬へ
免疫系と神経系は、生体に見られる最
機構解明を行い、さらに抗アレルギー薬
も高度かつ精緻な超 分 子システムです。
のスクリーニングを目指して、人工分泌
我々は免疫 系の破綻であるアレルギー
細胞系の開発とそれを用いた創薬への
と、神経細胞のネットワークの形成機構
応用研究も行っています。
について研究しています。
2.
神経細胞分化および神経回路形成の分
1.
マスト細胞の刺激-分泌連関の研究およ
子機構の研究
び人工分泌細胞系の構築と創薬への展開
脳において神経細胞は樹状突起と軸
花粉症などのアレルギー疾患は、マス
索という二種類の神経突起を伸ばし、そ
ト細胞からの開口放出(エクソサイトー
れら突 起 上のシナプスを 介して結 合し
シス)によるヒスタミン等の分泌によっ
て神経回路を形成し、ネットワークとし
て惹起されます。我々はこのマスト細胞
て機能して高度な情報 処理を行います。
の刺激から分泌までのシグナル伝達の
このような 神経 突 起 形成・神経回路 形
マスト細胞における刺激・分泌連関
分泌小胞
刺激
(花粉など)
9
ヒスタミン
等の分泌
成の分子メカニズムを解明するとともに、
教 授 平嶋 尚英
准教授 田中 正彦
講 師 鈴木 亮
● アレルギー
●
その異常による神経疾 患発症のメカニ
開口放出
●
人工細胞
ズムの理解と創薬への応用を目指しま
●
神経回路
す。
●
樹状突起
コ ロ イド・高 分 子 物 性 学 分 野 Physical Chemistry of Colloid and Polymer
やわらかい構造形成をコントロールする
共同ナノメディシン科学専攻
【医薬支援ナノ工学部門】
コロイド、高分子、ゲルなどの「やわら
広く、さまざまな新規構造を形成する手
かい物質」
(ソフトマター)は自発的に組
法も発見しています。このような「ソフト
織化・集合して、さまざまな秩序構造を形
系」の構造体は、新規な診断薬や医療用
成します。私たちはコロイド系の規則配
センシング材料などとしても活用が期待
列構造(コロイド結晶:写真)をはじめと
されます。
する、やわらかい体系の秩序構造形成メ
教 授 山中 淳平
准教授 奥薗 透
講 師 豊玉 彰子
カニズムの解明と、構造体の材料領域・
医薬領域への応用をめざした研究を行っ
ています。具体的には、ゲル固定荷電コロ
イド結晶の構築、チューナブル光学材料
への応用、コロイド系の相分離などを主
な研究課題とし、物理化学、コロイド・界
● コロイド
面化学、高分子科学、非平衡統計物理学
● ソフトマター
にもとづ いて実 験および 計算 機シミュ
●
レーションによる研究を行っています。研
●
究内容は基礎的原理から応用展開まで幅
生 命 分 子 構 造 学 分野
自己組織化
● シミュレーション
相転移
Structural Biology and Biomolecular Engineering
生命システムの構築・動作原理の統合的理解を目指す
タンパク質や糖鎖をはじめとする生命
れに基づく創薬を目指した研究を行って
分子は、様々な時空間スケールでのダイ
います。そのために、NMR分光法および
ナミズムを発揮しており、特異的な分子
X線結晶構造解析を主体とする構造生物
間相互作用を介した超分子装置を構築す
学に加えて、分子設計・ナノケミストリー
ることを通じて、精緻な生体機能を発動
から分子・細胞・個体レベルでの機能解
しています。今世紀にはいり、生命素子と
析に至るまで、多面的なアプローチを展
してのタンパク質の3次元構造情報は爆
開しています。
教 授 加藤 晃一
准教授 佐藤 匡史
講 師 矢木 宏和
発的な勢いで蓄積されてきました。私た
ちは、このような分子集団の原子レベル
でのミクロな振る舞いが、一定の秩序の
もとに自己組織化して細胞の活動を制御
し、精神活動をはじめとする高次生体機
●
統合生命科学
●
ことを模索しています。さらに、神経変性
構造生物学
●
分子神経科学
疾患のように生命システムの秩序の破綻
●
糖鎖生物学
●
動的秩序と機能
能を発動する仕組みを統合的に理解する
がもたらす病気のメカニズムの解明と、そ
10
Molecular Biology
分 子 生 物 薬 学 分野
生活習慣病発症の分子機構の解明から
生命現象の理解へ
日本人の死亡原 因の常に上位は、が
トマウスを樹立・解析した結果、ある遺伝
ん・心疾患・脳疾患であり、これらは全て
子は脂肪細胞分化だけではなく、肺形成
環境要因に大きく影響を受ける「生活習
や骨分化にも重要な役割を担うことを明
慣病」です。その病態解明には、環境要因
らかにしました(図)。現在はこれらの遺
による影響の解明に加えて、細胞内にお
伝子の細胞内における機能解析に加え、
ける出来事を様々な面から明らかにする
病態との関連性を探っています。また、発
必要があります。私達は、分子生物学的
がん過程において発現変化するクロマチ
な手法を駆使して、遺伝子やタンパク質の
ン関連因子の同定・解析も行い、細胞が
機能や変化の本体を探ることにより、生
ん化の分子機構の解明も行っています。
活習慣病の分子機構の解明を目
指し、それを生命現象理解、創薬
野生型
ホモ欠損
野生型細胞
私達の研究室では脂肪細胞分
伝子を数多く単離しています。こ
れらの遺伝子についてノックアウ
遺伝子X欠損マウスは、肺形
成が未熟であり、出生直後に
死亡する
脂肪細胞分化
生活習慣病
●
肥満
●
脂肪細胞分化
●
遺伝子発現
●
発がん
1. 新しい標的化DDSの創製
(Novel Targeted Therapeutic Nanosized, Micro-sized Particles)
送達し、医薬品を最も有効で、副作用が
2. 機能性ナノ粒子の製剤設計
与の最適化を目的としたもので、現在の
●
共同ナノメディシン科学専攻
【薬物送達・動態科学部門】
部位」へ、
「必要な量」で、
「必要な時間」
少なく、患者に優しい製剤として、薬物投
講 師 西塚 誠
Drug Delivery and Nano Pharmaceutics
新しい機能性Drug Delivery System
の創製
送達システム)とは、薬物を「必要とする
骨細胞分化
野生型の細胞をマウス皮下に移植すると、脂肪
細胞
(↗)
へ分化するが、遺伝子X欠損細胞は脂
肪細胞に分化せず、骨細胞
(↗)
へ分化する
薬 物 送 達 学 分野
Drug Delivery System (DDS、薬物
准教授 長田 茂宏
ホモ欠損細胞
基盤研究に役立てます。
化初期過程で発現が上昇する遺
教 授 今川 正良
(Functional Engineered Nano-sized
Particles)
教 授 尾関 哲也
講 師 田上 辰秋
薬物治療のみならず、今後発展が期待さ
れる遺伝子治療や再生治療においても不
可欠な技術です。 薬物送達学分野は、合理的なDDS製剤を
創製する創薬の総仕上げを行う研究分野
です。私達は、ナノサイズの粒子設計によ
る新しい機能を付与したDDS製剤を創る
(造る・作る)研究を行います。
我々が作ったナノ粒子を取り込んだ
ラット肺胞マイクロファージ
11
●
DDS
●
粒子設計
●
ナノテクノロジー
●
ナノメディシン
Pharmaco-MicroRNA Genomics
マ イクロ R N A ゲノム 創 薬 学 分野
MicroRNA geneはヒトオーケストラのマイスター
Human microRNA geneとHIV-1の
動がオーケストレーションされています。
研 究に 取り組む分 野 です。20 0 0 年に、
つまり、病気の多くは、RNA geneの情報
Human Retroelement (HIV-1と同類)
エラーが原因です。RNA geneの情報と
microRNA geneとの関係を解明する事
Retroelementを研究して治療・予防薬
から研究はスタートしました。理由は、ヒ
等を皆さんで、自由に創薬しましょう。
准教授 藤井ロバート陽一
トゲノム情報の約98%を、非
コード領域・RNA遺伝子が占
めるというRNA
wave仮説
を 作成したからです。R N A
geneは「動く遺伝子」で、遺
伝情報を細胞から細胞へ、親
より子供へ伝えます。 そして、
RNA geneは転写・翻訳を細
胞質・核内でチューンしてい
ます。RNA情報で、ヒトは分
化・発生、代謝、免疫、精神活
2.植物・微生物由来有用二次代謝産
医薬品の基となる天然資源を薬という観
物の生合成工学と天然物化学
点から捉える総合科学です。
植物や微生物由来の生理活性成分の
1.臨床生薬学・臨床漢方薬理学
多くは、生物体内において生合成される
生薬や天然素材は、漢方薬や機能性
天然有機化合物であり、医薬品や機能性
食 品の原料として利 用されていますが、
分子として応用されています。生物からは、
その有用性に関するエビデンス、有効成
今後も新たな医薬リードとなる未知の化
分、作用機序、副作用や薬物相互作用など、
合物が発見される可能性に満ち溢れてお
多くの課題があります。また、バラツキ
り、私たちは有用天然物の探索とその生
が必須な天然素材を薬物として利用する
合成・蓄積機構を理解し物質生産へと展
ためには、品質の確保が重要です。私た
開する研究を行っています。
分析化学、天 然 物化学、情 報科 学、薬
史学的な考証など多方面からアプローチ
し、研究成果を医薬品情報として現場へ
●
microRNA
医療機能薬学専攻
【漢方薬物治療学】
生 薬学は、生 薬や漢 方薬、天 然由来
ちはそれら課題を薬 理学、薬 物動態学、
HIV-1
Pharmacognosy
生 薬 学 分野
伝統薬物を科学する
●
教 授 牧野 利明
講 師 寺坂 和祥
助 教 石内勘一郎
●
生薬・漢方薬
●
機能性食品
●
生物活性天然物
●
遺伝子工学
●
生合成工学
提供しています。
12
Molecular and Cellular Health Science
衛 生 化 学 分野
免疫・炎症反応を理解し、
疾患の治療へ
アレルゲンや病原体に対して、生体は
る菌体を用いて免疫システムを応用した
免疫応答を変化させ的確に応答し、健康
慢性疾患の新しい予防法や治療法の開発
を維持しています。しかしながら、感染や
を目指しています。
生体内のストレスなどの多種多様な環境
教 授 肥田 重明
因子によって、免疫応答はその相互作用
准教授 伊藤佐生智
のバランスが崩れた場合、炎症が起こり、
アレルギー、自己免疫疾患、癌などの慢
性疾患になると考えられます。
私たちの研究室では免疫反応の方向性
を規定する環境因子と炎症について、疾
患モデルマウスによる解析から、さらに細
胞内シグナル伝達経路などの分子機構ま
●
免疫
●
性の慢性疾患の発症メカニズムを解明す
サイトカイン
●
細菌
るだけではなく、環境因子や生体内共生
● シグナル伝達
で明らかにしていきます。これにより難治
菌など生体の健康と恒常性維持に貢献す
Biological Chemistry
遺 伝 情 報 学 分野
RNA代謝研究を通して生命現象の謎を解明する
遺伝情報であるRNAの研究は、ヒトゲ
疾患発症の原因遺伝子としても多数同定
ノム解読以降ますますその重要性を増し
されており、当研究室においては特に癌、
ており、いまや分子生物学・生命科学の
プリオン病、トリプレットリピート病、脊
中心的位置を占めるようになってきてい
髄小脳変性症、統合失調症などの疾患原
ます。私達は2007年に、mRNA分解開始
因遺伝子を扱うことで、病態形成の分子
の分子機構(右下図参照)を世界に先駆
メカニズムの解明および疾患治療への応
けて解明し、特にmRNA分解を標的とし
用に繋がる研究成果が期待されます。
教 授 星野 真一
講 師 細田 直
た新しい遺伝子発現調節のメカニズムに
ついて研究を行なっています。RNAの代
謝、遺伝子発現はあらゆる生命現象にお
いて根本的に重要な役割を担っているた
め、細胞の分化・増殖や老化・癌化・アポ
トーシス、体内時計から学習・記憶といっ
遺伝子発現
●
たさまざまな生命現象が研究の対象にな
翻訳制御
●
遺伝子疾患
ります。また、このような生命活動におい
●
ストレス応答
●
細胞周期制御
て必須なはたらきをする因子 の多くは、
13
●
細 胞 分 子 薬 効 解 析 学 分野
イオンチャネルを標的とした創薬
Molecular and Cellular Pharmacology
医療機能薬学専攻
【分子機能薬理学】
私たちは新規イオンチャネルの同定・
Ca 2+ 透過チャネルとCa 2+ 濃度により活
クローニング及び既知チャネル分子の生
性が制御されるイオンチャネルが挙げら
理機能・調節機構・疾患との関連の解明
れます。例えば、Ca2+ 活性化K+ チャネ ル
を、
1分子から遺伝子操作マウスや疾患モ
(BKC a チャネルなど)の発現変化や遺伝
デル動物を利用した個体動物までの多階
子変異体の異常機能と、高血圧・頻尿・
層レベルで統合的に行っています。現在
癲癇・炎症・免疫過敏など多様な疾患と
は、特に種類が多く、臓器・組織依存的に
の関連を探求し、探索技術開発を含めた
発現しているK+ チャネルを中心としたタ
イオンチャネル標 的 治療 薬 の 開 発( 創
ンパク複合体の特定疾患での機能変化・
薬)を目指しています。
教 授 今泉 祐治
准教授 山村 寿男
助 教 鈴木 良明
発現変化の解析、そのチャネルを標的と
する創薬(リード化合物探索)及び作用機
序解明に重点を置いています。多くの重
● イオンチャネル
要な細胞機能発現でのシグナル伝達では
Ca
2+
●
濃度上昇が鍵となるステップであり、
創薬
● カルシウム動態
幾重ものCa 2+ 濃度調節機構が存在しま
す。そ の 調 節 機 構 の 中心 的 分 子として
●
平滑筋
●
スクリーニング
Biomedical Science
病 態 生 化 学 分野
脳の形成と機能を遺伝子レベルで探り、
神経精神疾患に挑む
医療機能薬学専攻
【分子神経科学】
人間の脳は無数の神経細胞が整然と配
ています。我々の研究室では、遺伝子改
置されネットワークを形成することで正し
変技術、タンパク質解析技術、イメージン
く機能します。よって、脳の形成における
グ技術などを駆使し、
「なぜ、単一の遺伝
わずかな異常でも、精神神経疾患や発達
子のわずかな異常が精神神経疾患を引き
障害の原因やリスクになります。しかし、
起こすのか」という謎に挑んでいます。
教 授 服部 光治
これらのメカニズムにはまだわからない
講 師 築地 仁美
ことが数多くあり、脳の疾患を理解・克服
助 教 河野 孝夫
するための障害になっています。
我々は、脳の形成や機能における遺伝子
の機能を解明し、様々な疾患に対する画
期的治療法の開発につなげることを最終
目的に研究を行っています。遺伝子変異
マウスやヒトゲノム解析の研究から精神
●
脳
●
遺伝子
神経疾患や難読症(読字障害)に関わる
● タンパク質
遺伝子群が明らかになってきてはいます
●
精神神経疾患
●
発達障害
が、これらの具体的な機能の解明は遅れ
14
Biopharmaceutics
薬 物 動 態 制 御 学 分野
トランスポーターの機能を探り、
創薬・薬物療法に役立てる
医療機能薬学専攻
【臨床薬物動態学】
体内での薬物動態(吸収、分布、代謝、
考慮した投薬計画(用法・用量)の最適
排泄)は、薬物の作用部位への到達性を
化等に役立つものと期待される。この他、
決定付け、薬効発現に影響する他、副作
トランスポーター機能評価試験法や薬物
用発現にも影響する。これを踏まえ、細胞
動態予測法に関する研究、トランスポー
膜を介する薬物の流出入を制御する各種
ターの創薬標的としての利用可能性の探
トランスポーター(膜内在性輸送タンパ
索等にも取り組んでいる。
教 授 湯浅 博昭
助 教 保嶋 智也
ク質)に注目し、それらの機能及び薬物動
態との関わり等に関する研究に取り組ん
でいる。葉酸類の腸管吸収を担うPCFT
を一例として紹介すると、葉酸拮抗薬で
あるMTXもPCFTの働きで良く吸収され
るが(70%程度)、PCFTの存在しない腸
●
管下部では吸収されない。トランスポー
ターに関する基礎情報の集積は、体内な
● ドラッグデリバリー
いし特定臓器へのドラッグデリバリーへ
のトランスポーターの利用、個人差等を
医療現場の疑問を研究にいかす
-病気を知って、
病気を治す-
という多忙な医療現場の思いを、薬学研
克服できないさまざまな疾患の未知な部
究の成果によって現実のものにしたいと
分を解明し、医療現場に還元する研究を
日々研究を重ねています。
確立)ことを目標にしています。
薬物速度論
●
投薬計画
医療機能薬学専攻
【臨床病態治療学】
私たちの研究室では、現在医療現場で
と(病態解析)で、病気を治す(治療法の
●
Pathobiology
病 態 解 析 学 分野
目指しています。すなわち、病気を知るこ
薬物動態
● トランスポーター
新しい研究室の礎となる、元気で協調
性のある若き研究者をさがしています。
教 授 青山 峰芳
講 師 岩城壮一郎
現在取り組んでいるテーマは、エリスロ
ポエチンを利用した新規の脳保護治療法
の確立、動脈硬化悪化予防を目指した発
症初期バイオマーカーの探索、骨粗鬆症
予防のための破骨細胞分化制御、ヒトiPS
細胞由来神経細胞を用いた神経疾患病
態 解 析といった幅 広い 内 容です。研 究
脳保護
●
テーマの多くは、名古屋市立大学病院を
グリア
●
動脈硬化
はじめとする医師との共同研究です。目
●
破骨細胞
●
iPS細胞
の前で疾患に苦しむ患者を何とかしたい
15
●
Cell Signaling
細 胞 情 報 学 分野
医療機能薬学専攻
【ストレス応答制御学】
共同ナノメディシン科学専攻
【機能医薬創成学部門】
細胞内外の環境変化による
ストレス応答を科学する
糖尿病や高脂血症、がんなどの生活習
に働くばかりではなく、時に細胞の増殖
慣病の発症や進行において、酸化ストレ
や分化、あるいはその機能に重要な働き
スや小胞体ストレス、炎症・感染、DNA障
をしていることが分かってきました。当研
害といった様々な細胞が受けるストレス
究室では特に細胞の増殖や細胞死、ある
が深く関与していると考えられています。
いは分化にストレスがどのように関わって
当研究室では様々なストレスに重要な役
いるかを研究しています。
割を果たしている転写因子
ヒト乳癌細胞
(NMuMG)
がんの発生や進行・悪性化
(上皮間葉移行(EMT))、
炎症前
炎症後
(+ TGFβ)
位相差像
あるいは糖・脂質代謝異常
などの生活習慣病へのスト
レスの関与についての研究
を行っています。また、細胞
が受ける様々なストレスは
准教授 井上 靖道
助 教 伊藤 友香
炎症によりがん細胞は転移しやすい性質に変化する
やその標的分子に注目して、
教 授 林 秀敏
細胞接着
関連タンパク
(E-カドヘリン)
必ずしも細胞にとって不利
「心」の科学の時代の創薬を目指す
DNA障害
●
p53
●
TRB3
●
TGFβ
医療機能薬学専攻
【疼痛緩和医療薬学】
近年、開発が進んでいる新薬の多くが、
これらの研究活動から、
「心」が生まれる
精神神経系に作用する薬です。癌や生活
メカニズムを分子レベルから解き明かし、
習慣病の研究が、20世紀に急速に発展し
現在の医療では予防や治療が困難である
た中で、遅れていた「心」の科学の時代が、
「心」の変調による病気への優れた治療
ようやく始まりました。
薬を生み出すことを目指しています。
ル動物を用いた基礎研究を中心に、
「心」
小胞体ストレス
●
Neuropharmacology
神 経 薬 理 学 分野
私たちの研究室では、さまざまなモデ
●
教 授 粂 和彦
准教授 大澤 匡弘
講 師 冨田 淳
を生み出す高次脳機能の解明を目指して
います。特に、意識・睡眠覚醒・生活リズ
ム・痛み・記憶などの現象に興味を持ち、
その生物学的基盤を、個体レベルの行動
薬理学解析、in vivo, in vitro 電気生理
学解析、さらに分子細胞生物学解析など
●
高次脳機能
●
を駆使して調べています。また、ヒトの睡
睡眠
●
生物時計
眠障害を対象にした臨床科学・疫学的な
●
慢性疼痛
●
代謝疾患
研究開発も進めています。
16
Regulatory Science
レ ギュラトリ ー サ イ エ ン ス 分 野
副作用の発生を可能な限り少なくしたい!
医療機能薬学専攻
【医薬品安全性評価学】
レギュラトリーサイエンス分野は平成
副作用の
リスク評価をする
23年度に新設された研究分野です。レ
ギュラトリーサイエンスの観点から、医薬
副作用の発症を
予測する
品の有効性と安全性に関する教育と研究
教 授 頭金 正博
を行っています。下記のような研究課題に
取り組んでいます。
◇大規模医療情報を用いた副作用発生の
実態調査と薬剤疫学的研究
◇医薬品の国際共同開発及び臨床データ
副作用の少ない医薬品の開発
助 教 長部 誠
患者ごとに
最も副作用の発生リスクが少ない
処方(個別化処方)
特任助教 桶本 和男
共有の推進に向けた東アジアにおける
民族的要因に関する研究
副作用の発生を
最小限にすることが可能に
◇特異体質性副作用の発症機構の解明と
バイオ・マーカーの探索研究
サイエンス
◇薬物動態が関与する副作用に関する研
より安全な
薬物療法・医療の確立への貢献
究
臨床にフィードバックする研究を
院薬剤学分野に加え、医学研究科 臨床薬
剤学分野および名古屋市立大学病院 薬
剤部の3つの分野において、教育・研究を
展開しています。そのため、基礎研究およ
び臨床研究の両方に取り組めることが当
研究室の強みです。この特徴を活かし、当
研究室では、臨床現場に直結する研究を
●
副作用
●
医療情報
●
臨床試験
Hospital Pharmacy
病 院 薬 剤 学 分野
当研究室では、大学院薬学研究科 病
● レギュラトリー
医療機能薬学専攻
【病院臨床薬剤学】
◆下部尿路機能障害の発症機序と薬物療
法の検討
◆腎疾患に対するバイオマーカーの探索
と有用性の検討
◆先天代謝異常症患者におけるアシルカ
ルニチン代謝
教 授 木村 和哲
講 師 前田 康博
助 教 堀田 祐志
特任准教授 川出 義浩
進めることを柱にしています。基礎研究と
臨床研究の両方に重点を置くことで、将
来、臨床現場において専門性を持って医
療に貢献できる臨床薬剤師の育成を目指
しています。
男性性機能障害
●
<研究テーマ>
下部尿路機能障害
●
腎臓病
◆男性性機能障害に関する基礎的および
●
先天性代謝異常症
●
臨床研究
臨床的研究
17
●
Clinical Pharmacy
臨 床 薬 学 分野
臨床に密接に関連した研究を
やってみたいと思いませんか
医療機能薬学専攻
【コミュニティファーマシー学】
【個人差・オーダーメイド医療薬学】
臨床薬学は、臨床薬物動態学、薬物代
序の解明と治療法を目指した疾患モデル
謝学、臨床薬理遺伝学、中毒学、医療経
の構築、糖尿病による血管障害の機序と
済学、医療心理学など幅広い学問からな
薬物療法に関する研究、臨床現場に対応
る応用学問であり、医療現場の薬に関す
する実践的な薬剤師教育プログラムの開
る全ての事が研究の対象となります。私た
発(地域連携・リカレント教育部門)等幅
ちは、薬を有効かつ安全に用いるために、
広い研究に取り組んでいます。
教 授 松永 民秀
細胞や実験動物を用いた研究だ
けでなく、病院や薬局の先生方と
の共同研究で健常者や患者の協
教 授 鈴木 匡
力を得て、薬の有効性・安全性に
准教授 岩尾 岳洋
講 師 菊池 千草
講 師 坡下 真大
係る因子や要因の解明を行って
います。ヒトiPS細胞から肝細胞
及び小腸上皮細胞への分化誘導
● ヒトiPS細胞
と臨床薬物動態研究及び安全性
個別化医療
糖尿病
● 代謝遺伝疾患
● 薬剤師教育プログラム
●
評価への利用、患者からiPS細胞
●
を樹立し代謝遺伝疾患の発症機
Oncology
腫 瘍 制 御 学 分 野(連携大学院)
がんの発生・進展・転移の分子メカニズムを明らかにします
近年、がん化の原因となる遺伝子が数多
生じにくい治療法の開発が急務となってい
く同定され、それらが指令するタンパクは
ます。腫瘍制御学分野では、がんの発生か
細胞の増殖や生存などを制御するシグナル
ら転移に至る悪性化進展について、1)固形
伝達系に関与することが分かってきました
がんの浸潤・転移機構、がん悪液質の病態
。そしてそのようなタンパクを攻撃する分子
生理(青木)、シグナル分子の時空間制御
標的治療薬や抗体医薬が開発されていま
とその破綻によるがん進展メカニズム(小
すが、それらが適応となる症例は決して多
根山)、3)細胞周期・チェックポイントの
くなく、薬剤耐性の獲得や副作用などから
制御異常(笠原)を中心に研究を展開して、
も、さらなる治療標的の同定や薬剤耐性を
新機軸の治療法開発を目指しています。
大腸がんの進展と「がん微小環境」
正常な腸管上皮
腸内細菌
細胞のがん化・増殖
浸潤
細菌
細胞障害
血管
炎症反応
間質
血管新生
肝臓
肺
転移
他臓器へ侵入し
転移巣を形成
がん細胞の周辺には多彩な
細胞が存在し、いわゆる
「がん微小環境」を形成し
線維芽細胞 ています(左図)。
免疫細胞 腫瘍制御学講座では、がん
細胞の細胞周期やシグナル
伝達経路に生じる変化の詳
細、がん細胞と「がん微小
環境」との相互作用の役割
などを解明し、新しいがん
治療法の開発につなげるこ
血管
とを目指しています。
客員教授 青木 正博
客員教授 小根山千歳
客員准教授 笠原 広介
●
●
●
●
●
がん
転移
微小環境
マウスモデル
細胞周期
18
Experimental Gerontology
加 齢 病 態 制 御 学 分 野(連携大学院)
老年性認知症最大の原因であるアルツハイマー病の発症機序解明と
治療法の開発、及び老化現象の理解と克服を目指します
日本をはじめ世界の多くの国が、急速に
高齢化に向かっており、老年病対策や老化
現象の理解が益々重要になっています。
客員准教授 飯島 浩一
加齢病態制御学分野では、健康長寿社
会の構築に貢献するために、加齢性疾患
の病態解明と予防・治療法の開発、および
老化カニズムに関する研究を行っています。
飯島研究室では、分子生物学、システム
生物学、合成生物学等の方法論を融合し、
患者脳から得た情報と、様々な病態モデ
統合生物学的手法によるアルツハイマー病発症機序の解明
正常状態
老化した神経細胞
ル動物を駆使して、アルツハイマー病の新
● 神経変性疾患
規創薬ターゲットの同定を目指しています。
木村研究室ではヒトに近縁なカニクイザ
ルや培養神経細胞を用いて、老化が脳に
及ぼす影響を、主に細胞内輸送系の変化
に着目して研究活動を行っています。
客員准教授 木村 展之
● 蛋白質品質管理
老化によって低下する輸送機能を回復させることが
できれば、アルツハイマー病を含む老年性神経変性疾
患の発症や進行を食い止めることができるかも知れ
ません。
医 薬 品 質 保 証 学 分 野(連携大学院)
● システム生物学
● 脳神経系の老化
● 実験用サル類
● 細胞内輸送系
Pharmaceutical Quality Science
先端的医薬品のレギュラトリーサイエンスの構築を目指して
医薬品の品質保証は医薬品の有効性
再生医療の素材として注目を浴びている
や安全性の基盤です。いかに優れた医薬
ヒトiPS細胞に関しては、腫瘍形成能のあ
品も期待する品質の一定性が保たれなけ
る未分化細胞の最終製品への混入を防止
れば、医療現場では安心して用いること
することが必須であり、我々は未分化iPS
はできません。そのためには、有効性・安
細胞の高感度検出法の開発に成功するな
全性に直接関連する重要な品質特性とは
ど、実用化に向けたレギュラトリーサイエ
何かを研究し、その特性の評価・管理手
ンスを研究しています。
客員教授 合田 幸広
法を明らかにすることが求められます。医
薬品質保証学研究室では急速に開発が
進みつつある高分子ミセル製剤や次世代
客員教授 佐藤 陽治
の医薬として注目を浴びている遺伝子・
細胞医薬などに関するレギュラトリーサイ
●
品質保証
●
す。例えば高分子ミセル製剤では細胞内
遺伝子・細胞医薬
●
高分子ミセル製剤
動態を研究し、品質や薬理作用・安全性
● ヒトiPS細胞
エンスを推進するための研究をしていま
との関連について研究をしています。また、
19
Integrative Bioscience
生 体 シ ス テ ム 制 御 学 分 野(連携大学院)
生体の環境感知と適応・不適応の仕組みを理解する
生物は環境からの影響を大きく受けて
を標的とする創薬応用も展開しています。
います。環境中の様々な化学物質や、温度、
また、環境変化への抵抗に関しては、温
日照、重力などの環境要因を、生物がどの
度変化やウイルス感染からの防御に関与
ように感知し、これに適応あるいは不適応
するRNA顆粒の分子制御機構を研究する
するかを分子レベルで理解することは、ヒ
と共に、RNA顆粒の正常な脳機能におけ
トがもつストレス抵抗力(レジリエンス)
る役割についてもマウスでの研究を展開
や疾患リスクを予測する上で非常に有益
しています。
客員教授 西田 基宏
な情報となります。私たちは、
「心循環筋
組織のストレス抵抗性獲得とその破綻に
よる病態形成の分子制御機構」と「RNA
顆粒によるストレス応答や脳機能制御」に
ついての研究を行っています。
客員准教授 椎名 伸之
環境要因の感知・適応に関しては、
マウ
ス・ラットを用いた心血管機能および組織
形態変化(リモデリング)を制御する細胞
膜タンパク質に着目した研究を行い、これ
様々な病態モデル動物を用いた非侵襲的機能評価
●
環境感知・適応
●
心臓レジリエンス
●
RNA顆粒
Regulatory Science for Evaluation of
医 薬 品 医 療 機 器 審 査 科 学 分 野(連携大学院)Pharmaceuticals and Medical Devices
最新の科学知識を医薬品・医療機器の審査に活かす
我が国では、医薬品・医療機器の審査は、
リーサイエンスをベースとしている。本講
ほとんどがPMDA(独立行政法人医薬品
座では、PMDAの他の業務も含めて日本
医療機器総合機構)で行われている。
における薬事行政を紹介すると共に、特
PMDAの他の業務は、健康被害救済業務
と安全対策業務であり、それらは図で示す
に医薬品・医療機器の審査の考え方やそ
の方法を概説したい。
客員教授 中村 高敏
とおりセーフティ・トライアングルとして機
能している。これは、医薬品や医療機器の
承 認申請から使 用までの全 般にわたり、
国民の健康に主眼をおいた日本独自の仕
組みである。
近年においては、日本発のシーズを革新
的医療の実用化につなげるべく「薬事戦
●
PMDA
●
PMDAの業務に反映させるべく「科学委
医薬品承認審査
●
医療機器承認審査
員会」を設立したりしている。
● セーフティ
・
略相談」に取り組んだり、最新の科学を
医薬品・医療機器の審査は、レギュラト
トライアングル
20
附 属 研究施設の紹介
総合情報センター田辺通分館(図書館)
過去から現在、
そして未来へと様々な情報に出会える場所
総合情報センターは情報システム部門(滝子キャンパス)と、学術情報部門
(各キャンパスの図書館)の2部門から構成されています。薬学部/薬学研
究科で学び、研究する方々のために専門学術書(薬学、化学、生物学、生化学、
分子生物学などの幅広い資料)や学術雑誌を所蔵し、学習の場を提供する図
書館が「総合情報センター田辺通分館」です。総合情報センター田辺通分館
は、薬学部キャンパスの全面建替えに伴って新校舎に引越し、生まれ変わり
ました。平成25年1月から、新しい図書館を皆さんに利用していただいてい
ます。
近年、専門学術誌はコンピュータ上で閲覧できる電子ジャーナルが増えてい
情報ネットワークでつながる図書館(文献検索サービス):希望の文献について、全国の
大学図書館の蔵書や、海外の図書館の蔵書を探して、資料を借りたりコピーを取り寄せた
りすることができます。
『My Library』
:図書館サービスをインターネット上で利用できます。ご自宅のパソコンから
総合情報センターのポータル画面を通じて、希望図書のリクエスト、相互貸借の申込み、貸
出期限の延長手続きなどができます。
16台のパソコンと自習スペース:閲覧室の座席やグループ研究室など、館内には自習ス
ペースが用意されています。特に試験の時期にはフル活用されています。学生向けにパソ
コンが16台設置されており、研究室に所属される前の学生は、ここでスキャナやプリンタ
を利用することができます。レポート作成や講義に必要な情報検索に活躍します。
ます。本学でも、図書館に直接足を運ばなくても学内のパソコンから閲覧で
きる電子ジャーナルの種類が充実しつつあります。また、最新の情報はもち
ろんのこと、大学図書館の大切な機能の一つである「資料の蓄積保存」にも
力をいれています。新しい図書館に引っ越しましたが、古い情報まで遡って入
手することができます。是非田辺通分館の書庫内を探索してみてください。
薬用植物園
貴重な学習の場であり、
キャンパスのオアシスでもある
薬用植物園には、日本薬局方収載の生薬の原料となる植物を中心に、漢方
薬用植物資源の収集、保存にも取り組んでいます。
薬の原料となる植物、西洋ハーブなど、代表的な薬用植物(草本植物約300
薬用植物園はキャンパス内に3,460㎡の面積を占め、展示目的に合わせて
種、木本植物約70種)が栽培・展示されています。これらの植物展示は、薬
いくつかの区画に分かれています。様々な標本植物が展示植栽されている標
学部生に対する生薬
本園、遊歩道の周囲に自然状態で植物を植えている自然植生区、水辺や湿地
学、漢方薬物治療学
に生育する植物をまとめた水生・湿生植物区などがあり、温室も2棟設置さ
な どの 講 義 を 補 い 、
れています。薬用植物園は、住宅やビルが建ち並ぶ大都市に位置する本キャ
薬用植物や生薬につ
ンパスにおいて、緑豊かなオアシスの役割も果たしており、野鳥やタヌキもし
いての生きた知識を
ばしば訪れます。
学ぶために非常に重
原則として一般公開はしていませんが、毎年春と秋に各2日間ずつ、市民公
要な施設となってい
開講座を開催して植物園を見学できる機会を設けており、毎回、多くの名古
ます。また、遺 伝 子
屋市民の方に見学に来ていただいています。最近では、近隣の市立小学校の
資源保護と開発とい
授業の一環としても薬用植物園見学が取り入れられ、名古屋市立大学と地域
う立場から、貴重な
住民との接点としての機能も果たしています。
秋の一般公開
創薬基盤科学研究所
文部科学省共同利用・共同研究拠点として、
大学発の
創薬
(新しい薬の開発)
を目指し、
多くの研究者が集う
創薬基盤科学研究所は、薬学研究科の創薬関連の技術を結集し、大学発
の創薬を目指す研究所として、平成23年に田辺通キャンパスの共同利用研
究施設内に設立されました。その後、医学研究科やシステム自然科学研究
科、附属病院の協力を得て、名市大の全学的な共同利用研究施設として人
的および設備の面で拡充・強化を行なってきました。その結果平成28年に
は、「創薬基盤科学技術開発研究拠点」として、文部科学省から「共同利
用・共同研究拠点」の認定をうけました。この認定は、我が国全体の学術
研究の更なる発展のために、施設の共同利用や共同研究を促進するための
もので、創薬基盤科学研究所は全国初の創薬の入口から出口までをカバー
する特色ある拠点として、主にがんと神経疾患に的をしぼり全国レベルで
共同利用・共同研究を進めています。
Colu m n
名古屋市立大学で生まれた薬:オキサリプラチン
オキサリプラチンは、シスプラチンなどと同じ白金系抗がん剤の1つで、名古屋
市立大学の研究から誕生した薬です。様々な白金錯体に関する抗がん作用研究か
ら、当時の喜谷教授らによってされました。特に大腸がんの治療に効果が高い抗が
ん剤として、欧米や日本で使用されています。
21
先端薬学研究施設・共同利用研究施設
最新の機器・充実の設備で、
最先端の研究に挑む
先端薬学研究施設は、大学院薬学研究科の各研究室が共同で利用できる、
様々な高度解析装置を設置し、常に最先端の研究が効率よく推進できる環
境を整えています。これらの装置の一部は学外の研究者にも解放されていま
す。共同利用施設には、遺伝子組換え・放射線・実験動物を用いた研究が行
える高度な研究施設が整っています。
これらの施設は、大学院薬学研究科・薬学部における生命科学研究を強力
先端薬学研究施設・共同利用研究施設に設置されている機器(一部)
・DNAシーケンサー(DNA塩基配列を決定する装置)
・リアルタイムPCRシステム(RNA発現量の定量を行う装置)
・質量分析装置(化合物やタンパク質の質量を正確に求めて構造を解析する装置)
・フローサイトメーター/セルソーター(特定の種類の細胞だけを解析・分離する装置)
・共焦点レーザー蛍光顕微鏡システム(細胞・組織の蛍光断層画像を撮影する装置)
に推進するだけでなく、研究を通して健康科学の発展に貢献できる人材を育
成する目的にも活用されています。
DNAシーケンサー
共焦点レーザー顕微鏡システム
MALDI-TOF質量分析計
レーザービームを用いた共焦点方式の走査型蛍光顕微鏡で、光軸(z軸)方向の分解能
がすぐれているため、厚みのあるサンプルの断層像から3次元的構造を構築することが
できる。
(写真右:アレルギー疾患の原因となるマスト細胞と神経細胞が、シナプス様の
接着を介して相互作用することを初めて明らかにした画像)
HPLC-MS/MS
遺伝子実験施設
遺伝子組換え実験を安全に行うことができる実験施設
本施設には、全国の大学の中でも有数の設備が整っており、生物種や実験
の用途に幅広く応じて利用できます。ウイルス・細菌などの微生物から、マウ
ス・ヒトなど真核生物の試料まで、取り扱う生物試料の種類や組換える遺伝
子の安全性に応じて、適切な管理を行
える実験施設(BSL2、BSL3実験室)で
す。遺伝子実験施設は、癌、心・脳血管
疾患、感染症、痴呆、糖尿病、肥満、ア
レルギーなど発症原因や薬の薬効発
現・制御に関係する遺伝子の研究に利
用されています。
放射線管理施設
放射性物質を使った実験を安全・確実に行い、
管理することができる実験施設
本施設は、放射性同位元素(RI)実験を安全に行うための専用施設です。
えられており、多様なニーズに対応可能な研究支援体制が整っています。 RIは、基礎科学から医療など様々な分野で幅広く利用されており、薬学領域
一方、本施設では、全てのRIが厳しい法規制の下、適正に管理されており、そ
における基礎研究や医薬品の開発等においても有用な研究手法となっていま
の利用者には、毎年、健康診断の受診と教育訓練の受講が義務付けられてい
す。施設内には、放射線核種に対応した実験室やP2レベル遺伝子実験室、RI
ます。
の放射活性の定量測定やイメージングによる画像解析を行う機器などが備
実験動物飼育施設
実験動物を利用した実験を適切に行うための施設
実験動物飼育施設は、全国の大学の中でも有数な
充実度を誇っています。
施設内はSPF(Specific Pathogen Free)区域と
コンベンショナル区域とに別れており、それぞれ研究
の用途に応じて利用されています。
エアシャワーを浴びてSPF区域へ
SPF区域における動物飼育と管理
22
教 育・研 究 関 連 事 業
名古屋市立大学東海薬剤師生涯学習センター
薬剤師に期待される社会のニーズは劇的に変化してきてい
心にした、課題解決型学習(PBL)を採り入れた新しい研修
ます。薬剤師業務がチーム医療や在宅医療に広がり、薬物療
を実施してきました。医学部・看護学部・附属病院を有する本
法をより有効により経済的にそしてより安全に実施すること
学の特長を活かし、本研修においても医療系学部と附属病院
が薬剤師の重要な責務となっています。それに対応するため
が連携して研修を行ってきました。薬剤師以外の医療職と一
薬学部は6年制となり、薬学部に新しい施設や教材そして教
緒に研修を行うことそのものがチーム医療を推進する大きな
員が整備されました。新しい薬剤師の職能拡大に向けて研修
機会ともなっています。またこれらの研修を通して、薬剤師の
が必要なのは、すでに薬学部や薬学研究科を卒業して現場で
臨床研究も推進しています。
活躍する薬剤師も同じです。本学では、6年制薬学部のために
平成25年度に採択された『なごやかモデル』の事業とも連
整備された施設や教材・教員を有効に活用して、薬剤師生涯研
携し、今後はさらに医療現場に直結した薬剤師生涯学習の開
鑽に必要な研修や情報を提供する機関として「名古屋市立大
拓を目指します。地域医療・チーム医療に貢献できる優秀な
学東海薬剤師生涯学習センター」を設置・運営しています。
薬剤師の養成も本学の大切な業務であると考えています。
本センターでは、平成20年度から始まった「三公立連携薬
剤師生涯学習支援講座」、平成23年から始まった「チーム医
療に貢献する薬局薬剤師の養成」等 文部科学省より支援を
受けて開発・実施してきた多くの研修を継続して地域の薬剤
師の方々に提 供して「公立 連 携 薬 剤師生 涯学習支 援講座 」、
年間の講義コースをTV会議システム利用により大学同時講
義配信を行っています。本講義コースは大学から最新の学術
的情報を発信することを目指しており、大学の特色ある講師
薬剤師による学術発表会
陣による講 義 を提 供しています。本 講 座 では少人 数による
「 問 診 の 話 法 」な どの 実 践 的 な 実 習 も 実 施してきました 。
「チーム医療に貢献する薬局薬剤師の養成」では、講義だけ
では身に付けられない技術を修得するため、実習・演習を中
「チーム医療に貢献する
薬局薬剤師の養成」研修
東海薬学教育コンソーシアム
医療に貢献できる優れた学生を輩出することをめざして
文部科学省「戦略的大学連携支援事業」に名古屋市立大学が代表校となり東海地区11大学で申請した事業「6年制薬学教育を
主軸とする薬系・医系・看護系大学による広域総合教育連携」が平成20年度に採択され、平成22年度まで連携事業を行ってまい
りました。文部科学省の支援が終了した平成23年度以降も、東海4県の薬系7大学を中心に連携体制を維持し、各部会等におけ
る人的交流(大学・県薬剤師会・県病院薬剤師会など)の成果および開発した教育プログラムを有効利用し、地域全体として薬学
教育水準を高め、医療に貢献できる優れた学生を輩出できることを目指しています。
取組目的と組織体制
優れた医療人の養成には、医学・薬学・看護学等の連携が
重要です。本コンソーシアムでは、東海地区全ての薬系大学及
び医学部と看護学部をもつ大学が参画し、また、東海4県の
各薬剤師会、病院薬剤師会の協力もいただき、医・薬・看の総
合教育連携を図り、医療薬学・薬剤師教育プログラムを共同
で推進することを目的としています。
プロジェクト代表校の名古屋市立大学大学院薬学研究科で
は、事務局として東 海臨床 薬 学教育連 携センターを設 置し、
運営委員会等の会議や各種講演会の開催、開発した臨床薬
学教育プログラムの運用などを行っています。
23
文部 科 学省未来医療研究人材養成拠点形成 事 業
地域と育む未来医療人「なごやかモデル」
https://nagoyaka-model.jp/
文部科学省未来医療研究人材養成拠点形成事業は、急速
ヘルスケア卒前教育教育プログラムコース」として各学部 1
に進展する高齢化等に伴う医療課題の解決に貢献し、国内外
年生から高学年まで連続して本格的な地域医療を学ぶプロ
の医学・医 療 の発展を強 力に推 進するため、新規性・独 創
グラムを、さらに大学院で学ぶ「コミュニティ・ヘルスケア
性の高い特色ある取組にチャレンジする大学の事業を選定し
指導者養成コース」を開設いたします。本コースは講義だけ
支援するというものです。名古屋市立大学が提唱した「地域
でなく、名古屋市 緑 区の鳴 子団地内に設 置されるコミュニ
と育む未来医療人『なごやかモデル』」が平成 25 年度の本
ティ・ヘルスケア教育研究センター(CHC センター)を中
事 業 対 象として採択されました。本プロジェクトの目的は、
心に実際の臨床 現場での実習・演習を行います。これらの
住み慣れた土地で、豊かに老いを迎え、その人らしく暮らす
試みは複数大学と地域が連携して本格的な地域医療・チー
ことのできる社会づくり ( エイジング・イン・プレイス、Aging-in-
ム医療を推進する新しいプロジェクトとして全国から注目さ
Place、AIP) を支える医療人材の育成です。今後予想され
れています。
る病院から在宅への医療ニーズの急速なシフトを、単なる高
齢化対策ではなく、未来医療への新しいトレンドとして位置
づけ、AIP の実現と発展、質の保証を担う総合診療医、薬剤師、
看護師、理学療法士、ICT 医工学者、そしてさらに広い職種
を含む多職種連携チームで活躍できる医療人材の育成を目標
としています。
本事業では、本学医療 系学部と名古屋工業大学、名古屋
学院大学が連携して医療人材育成のプログラムを実施します。
特に本学では医学部・薬学部・看護学部連携の「コミュニティ・
『なごやかモデル』ロゴマーク
コミュニティ・ヘルスケア指導者養成コース
AIPを実践できる医療人材の指導者育成を目標として医療系学部連携で実施される大学院コース。 総合認知症学、
緩和・終末期ケア学、地域包括ケアシステム学、未来医療デザイン等の専門授業と、それを活用するコミュニティ・ヘルス
ケア実習等の実習、臨床研究論文作成を目指す臨床マスタープログラムなどの単位を修得して認定される大学院プログ
ラムです。
薬学部ならびに薬学研究科では、CHCセンターに「地域療養薬学」を教育する専任教員を置き、
『なごやかモデル』で実施され
るこれらの授業や研修を薬学実務実習・薬学臨床研究・薬剤師生涯研鑽とも連携させて、これからの地域医療を担う薬学領域の
医療人材養成を推進していきます。
地域と育む未来医療人「なごやかモデル」のフレームと薬学部・薬学研究科との関わり
24
国 際 交流
国際交流協定締結校での研究研修
名古屋市立大学は、南カリフォルニア大学薬学部(米国)、
ミシガン大学薬学部(米国)、瀋陽薬科大学(中国)、黒竜江
中医薬大学(中国)、香港浸会大学中医薬学部(香港)、ハジェテ
ペ大学(トルコ)、サントトーマス大学(フィリピン)と、大学間ま
たは薬学部間で学術交流協定を締結しており、教員が相互に行
き来して研究の交流をしています。大学院生も短期間の研究研
修が出来る機会があります。
博士課程修了
福重 香 さん
(薬物送達学分野)
生命薬科学研修プログ
ラムにより、シドニー大学
薬学部のHak Kim Chan
教授の研究室である
Advanced Drug Delivery
Group(ADDG)において、
約5週間の研究研修をさせていただきました。
ADDGは、私の所属する研究室と同様に薬物送達システ
ム
(DDS)の研究をメインとしており、その中でも特に経肺投
与製剤の研究において権威のある研究室で、
このラボでディ
スカッション、実験を行えたことは非常に勉強になりました。ま
南カリフォルニア大学薬学部
瀋陽薬科大学
た、
ここでたくさんの方々と出会え、つながりができたことの
も感謝しています。今回のシドニー滞在で、海外との研究環
境の違いや、さまざまな物の見方、考え方があることを学び、
より広い視野をもつことができるようになりました。これは、
日本の外に出たからこそ得ることができたもので、大学院の
早い段階で海外のラボでの研究を経験できたことは、今後の
研究生活に大きくプラスに働くと思います。また機会があれ
ば海外のラボで研究したいと強く感じました。
サントトーマス大学
ハジェテペ大学
※シドニー大学とは、2014年に交流協定が終了しました。
国際学会発表支援制度
本学では、大学院生を対象に「国際学会発表支援制度」を充
実させています。海外の国際学会で自ら発表する学生には、旅
費および滞在費が支援されます。世界の研究者の前で、みなさ
んの研究成果を発表してみませんか!
博士課程修了
中村 友紀 さん
(コロイド・高分子物性学分野)
私は国際学会発表支
援制度を利用して、DAE
-Solid State Physics
Symposium(Mumbai,
India)およびConference of the European Colloid and Interface Society(Sofia, Bulgaria) にて口頭発表・ポスター発表をする機会をいただきました。
外国の学会に参加して、特に印象的だったのは外国の学生
の積極性です。誰の発表に対しても臆すること無く質問する
姿に刺激を受けました。発表後でも個別に議論展開できる場
と雰囲気があり、研究について有意義な情報交換を行うこと
ができました。また、現地で知り合った学生と食事や観光に行
くことで、学会開催地域の文化だけでなく、様々な文化や考
え方に触れることができました。同時に、様々な研究に対する
意見はもちろんのこと、
日本文化についての知識や考え方を
しっかりと持つことが必要であると痛感しました。
25
進路
平成25~27年度
その他
進路決定率
製薬関連
研究・研究開発
平成23~27年度
博士後期課程修了者(博士学位取得者)の進路
薬剤師
その他
博士前期(修士)課程修了者(新制度)の進路
99.0%
進路決定率
製薬関連
研究・開発
100%
大学院進学
製薬関連
開発
公務員・教員
化学化粧品
など研究・
開発
大 学 院 修 了 者 のうち
企業への就職を希望
する学生の大半が製
CRO製薬関連
その他
大学
教員・研究職
化学化粧品関連
研究・開発
など
公務員
薬関連企業の研究職
博 士 号 取 得 者 の 多くは、
大学や公的機関、製薬関
連企業などで研究や教育
に従事します。省庁や病
または開発職などに就
院でも博士号を活かせる
職します。
職は数多くあります。
製薬関連企業・研究職
京都薬品、健栄製薬、興和、佐藤製薬、三和化学
塩野義製薬、 積水メディカル、大日本住友製薬、
田辺三菱製薬、テバ製薬、久光製薬、藤本製薬、
扶桑薬品、マルホ、Meiji Seika ファルマ
製薬関連企業・研究職
アステラス製薬、アピ、上野製薬、大鵬薬品、
科研製薬、興和、第一三共、大日本住友製薬、
武田薬品、田辺三菱製薬、ツキオカフィルム製薬、
持田製薬
製薬関連企業・開発職
アステラス ファーマテック、MSD、大塚製薬、
小野薬品、興和、三和化学、JRCファーマ、田辺三菱、
中外製薬、日本たばこ産業、ヤンセンファーマ、
日本ベーリンガーインゲルハイム、ファイザー
化学化粧品関連企業
研究・開発
ダイヤキ環境ソリューション、
日本ロレアル、ホーユー
公務員
厚生労働省, 三重県, 愛媛県
三重県警 科学捜査研究所
CRO
製薬関連企業 その他
化学関連企業 研究・開発職
公務員・教員
アークレイ、アスクレップ、アストラゼネカ、
イーピーエス、シミック、三和化学、生晃栄養薬品、
積水メディカル、大鵬薬品、田辺三菱、
中外臨床研究センター、中部CIC研究所、
日本イーライリリー、マルホ、陽進堂、リニカル
大学 教員・研究職
アサヒ飲料、カネボウ化粧品、キッセイコムテック
JSR、帝人、日華化学、日本たばこ、日本メナード
ハイテック、ヤクルト、ライオン、和光純薬工業
名古屋立大学大学院薬学研究科・医学研究科、
岐阜薬科大学、東京大学医科学研究所、 京都薬科大学薬学部、浜松医科大学、
鳥取大学医学部、武蔵野大学、昭和大学
医薬品医療機器総合機構(PMDA)、名古屋市
卒業生からのメッセージ
卒業生からのメッセージ
Bayer Pharma AG
Pharmaceuticals Development,
Regulatory Affairs
小野薬品工業株式会社
理事・前薬物動態研究所 所長
昭和59年博士前期修了
平成4年博士前期修了
小川 幹男
1984年に薬学研究科博士前期課程を修了し、現製薬
会社で勤務し30年近くになります。その間、科学の進歩
には目を見張るものがあり、数々の革新的な創薬技術が
開発されました。しかしながら、昨今の医療環境変化は
極めて大きく、未だ満たされぬ医療ニーズを充足させる
新薬創製の難易度が高くなってきています。将来、医薬
品業界に携われる可能性を持つ皆さんに対し、次のよう
なメッセージを送ります。「境界(組織)の内側を管理し
て守る」という内向きのリーダーシップではなく、
「独り
よがりにならず、垣根を越えて異分野と連携し、新たな可
能性・方向性を見出す」といった外向きのリーダーシップ
を発揮できるようになってください。医薬品創製におい
ては、自身の専門分野のみならず、多岐に渡る分野の知
識・経験・技術を統合させて成果に導くことが求められま
す。そのような能力の養う場の一つとして、大学・大学院
での研究活動を有意義なものにしてください。
藪内 文惠
製 薬 会 社に勤 務し10 年が 過ぎようとした頃、ドイツ
Berlinにある本社へ2年間出向する機会を得ました。すぐ
に戻る筈が気付けばもう9年になります。長く新薬開発に
携わり、ラボ で薬 理試 験を担 当してきました。
“Global
“という空間の中心にある本社で世界の関連会社を動か
す面白さに魅了され、そのまま正社員として残る道を選
択した ので す。ところが 2 年 前 、突 然 部 署 が 閉 鎖 さ れ 、
Wuppertalという町にある薬事部門に異動しました。ラ
ボを離れ全く異なる分野で、しかも異国でのチャレンジ
に戸惑いもありましたが、各国の当局への対応を議論し
たり、初めて聞く様な国と連絡を取り合ったりと、世界地
図を眺めながら本当に世界は広いと実感している毎日で
す。もちろんそれなりの苦労もありますが、自分に出来る
事を見付ければよいのだと、敢て苦労を受け入れ楽しん
でいます。どうぞ常に広い視野を持ち、何事にもチャレン
ジしてみてください。世界は皆さんの前に広がっていくこ
とでしょう。
26
卒業生からのメッセージ
卒業生からのメッセージ
名古屋市立大学
名古屋市立大学
大学院薬学研究科
衛生化学分野 教授
平成6年博士前期修了
大学院薬学研究科 臨床薬学分野 准教授
平成17年博士後期修了
肥田 重明
私は薬学研究科博士前期課程を修了後に製薬会社に
就職しましたが、その後、医学部への出向を機に再び大学
で教育と基礎研究をすることになりました。名市大では
物理・化学・生物・統計学などを網羅した薬学の幅広い
知識を習得でき、物事を様々な角度から捉える柔軟な思
考力が養われました。そして、企業では薬の開発業務から、
大学の基礎研究とは異なる価値観が得られ、医学部では
疾患研究や医師との連携など、これまで薬学・医学そして
企業と幅広く医療について経験と勉強する機会に恵まれ
ました。幸運なことに平成27年より衛生化学分野で再び
薬学教育と研究に従事することになりました。研究や教
育を通じて、その意味するところを考え、応用力を養い、
問 題 点を順 番に解 決で きる、名市大 生を育 てるために、
必要な連携やコミュニケーションについて、先輩として・
教員として学生を指導したいと考えています。大学では自
分の能力を磨きながら、有意義で楽しい学生生活を送っ
てください。そして、医療人としての倫理観を持った社会
人として名市大で 培った 知 識と経 験を 生 かして 次のス
テップに進んで下さい。
卒業生からのメッセージ
岩尾 岳洋
薬学研究科博士後期課程を修了し、大学病院で薬剤師と
して勤務した後、現在は臨床系教員として名古屋市立大学で
臨床教育と研究を行っています。卒業後、臨床の現場では病
院薬剤師として薬を扱い、他の医療スタッフと協働し、そして
薬を使う患者さんと向き合ってきました。そういったなかで、
まだ分かっていないことに対して薬剤師の視点から研究を
行い、エビデンスを自ら構築していくことの重要性をより知
ることができました。今は薬剤師としての経験を踏まえ、あ
らためて薬学研究の目指すところや、臨床教育の大切さ、そ
してこれらをどのようにしてつなげていけば最終的に医療に
貢献することができるかということを常に考えながら、学生
時代に培ったことも活かしつつ、教育・研究に取り組むこと
ができるようになったと思います。名古屋市立大学では薬を
創ることと薬を育てることのどちらも十分に学ぶことができ、
そして基礎・臨床を問わずさまざまな領域の研究ができる環
境にあります。熱意と興味を持って取り組み、ここで得たこと
を糧にいろいろなところで活躍していってほしいと思います。
卒業生からのメッセージ
名古屋大学 ヤンセンファーマ株式会社
大学院工学研究科 准教授
平成20年博士後期修了
クリニカルサイエンス統括部
平成20年博士前期修了
神谷由紀子
赤木浩士郎
私は4年生から博士課程前期修了ま
で病 態 生化学教 室で脳の 発 生につい
て研究しました。この研究室を志望し
薬学部では‘薬をつくる’ということを学び、将来製薬
会社に就職することを漠然とイメージしていました。とこ
ろが所属したラボで研究を進めるうちに、新しい発見を
する事(それは、もしかしたら世界で最初の発見かもしれ
ない)に魅力を感じるようになり、アカデミックにて研究
を続けています。
これまで、糖鎖・タンパク質の生化学および構造生物学
の研究を経て、現在はDNAやRNAといった核酸の物質
的特徴を利用した高機能材料の開発と、それを用いたケ
ミカルバイオロジーの研究を行っています。研究では一つ
の事を深く掘り下げて集中して取り組みますが、いろい
ろな立場からの視点で物事をとらえることも研究の発展
のための大事な要素だと思っています。薬学部は有機合
成、生物学、薬理学、臨床といった様々な分野を取り扱う
学部です。このような環境の中、学際的な観点を培うこと
は、研究の分野ではもちろん、創薬・医療の現場において
活躍するために大いに役立つものと思います。
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た理由は、先生が非常にわかりやすく
丁寧に研究内容を紹介してくださる様子を拝見して、研究への情熱に
触れてしっかりと学びたいと思ったからでした。
私は研究が好きなほうだったので、研究室で時間を費やすことに抵
抗はなく、学生時代は日が変わるまで研究室に残ることがよくありま
した。運がよかったことに卒業直前で新しいデータが出て、自分で仮
説を立てて実験で証明するまでの貴重な経験をすることができまし
た。もともときちんとした研究成果を残したいという目標があったの
で、これを達成することができたことは今でも自分の自信となってい
ます。私はたまたま研究に力を入れましたが、研究に限らず、学生時代
に自分の興味があるものをしっかりやっていた人は社会人として考え
方が面白く魅力的な方が多い気がします。後輩のみなさんも学生生活
に何か目標を立てて過ごされることを私から強くお薦めします。
後輩のみなさんはこれから学業や就職活動で困難なことに直面して
精神的な負担がかかることがあると思いますが、目先の成果や失敗に
とらわれずしっかりと自分の目標や目的に向き合って、そこに到達する
までのプロセスを構築することに集中してほしいと思います。困難に
ぶつかって悩んだときに、自分で解決策を考え、友人や先生方に相談し
て協力を仰ぎながら、解決策を実際に行動に移していく一連のプロセ
スを何度も繰りかえすことで問題を解決する能力が身についていきま
す。どんなときも前向きさを忘れず謙虚にがんばってください。
卒業生からのメッセージ
卒業生からのメッセージ
エーザイ株式会社
厚生労働省
分析研究部
平成21年博士後期修了
医薬食品局
平成21年博士前期修了
鴨東 美絵
加藤 革己
「たくさんの患者さんを救うことができる薬の研究者
元々、多くの人に貢献できる仕事ということで公務員を
になりたい」その思いで、薬学部に入学し、博士号取得ま
志しており、縁があって厚生労働省に入省して働くように
での9年間を名古屋市立大学で学びました。研究分野は、
なり、この春で7年間勤めました。どのような仕事をして
有機化学。大学院では、病気の原因や生命現象を明らか
いるのかといえば、皆様のご意見を伺い、全体のバラン
にするために、生体内で働くタンパク質を光らせる蛍光プ
スを見ながら国の制度を作り、変えることによって、皆様
ローブの開発に取り組んでいました。大学院の魅力は、自
の生活の質の向上などに貢献しています。
分が興味を持った研究をとことん追求できることだと思
「 薬 」に関する行 政の 関 心 は 非 常に高く、最 近では、
います。そして学会発表や論文投稿を通じて、国内外の
危険ドラッグの氾濫が問題視され、また、医薬分業の在
研究者たちと研究について熱く語り合うことができます。
り方やかかりつけ薬剤師の普及など、薬剤師の職能の在
同じ志を持つ多くの仲間と交流できたことは、学生時代
り方についての問題がトピックとなっています。また、大
のとても貴重な経験です。
学で学んだ知識はもちろんのこと、それに加え、コミュニ
私は、現在、製薬会社で研究員として働いていますが、
ケーション力・法律読解力・バランス感・体力が求められ
創薬研究は薬の種になる化合物の発見から、最終的に薬
る職場です。また、医療機器・化学物質・食品・労働衛生・
になるまで、研究期間が13年から15年と長期間であるこ
環境衛生など、薬とは違う分野にまたがる仕事もします。
とが一般的です。その間、多くの研究者が1つの化合物を
ぜひ薬学部で薬の知識を身につけるだけでなく、キャン
より良いものとするべく研究に取り組みます。私もそのう
パスライフの中で学業以外の能力を向上させて、国家公
ちの一人として、日夜研究に励んでいます。
務員にチャレンジする方が出てくることを願っています。
卒業生からのメッセージ
卒業生からのメッセージ
東京大学医学部付属病院
横浜市立大学附属病院
病理部 特任助教
平成21年 博士前期修了
薬剤部 薬剤師
平成22年博士前期修了
宮川 隆
江頭 聡美(旧姓:阿部)
バイオ系の研究をしたくて薬学部に入学しました。講義
を受けているうちに有機化学から臨床医学まで幅広くカ
バーする薬学の魅力の虜になっていきました。一学年の
人数が少ないのでほぼ全員と仲良くなれる環境も居心地
よかったです。夜遅くまで実習という環境の中で、合間に
クラスメートとレンタカーで弾丸旅行へ行ったことが良
い思い出です。
博士前期課程までは本学でお世話なり、その間に、米
国南カリフォルニア大学での国際臨床薬学研修も経験で
きました。基礎研究の最高峰で自分の力を試してみたい
と感じるようになり、博士後期課程は東京大学大学院理
学系研究科に進学しました。その後、東京大学医学部に
着任して現在に至っています。
現在はがんを専門としており、文部科学省研究支援プ
ロジェクトの日本を代表するがん研究者にも最年少で選
んでいただきました。
本学で学んだ基礎力が原動力だと感じています。「受
験生の時よりも勉強した」。こう言えるような学生生活を
送ってください。
大学に入学したときには研究 職を目指していましたが、
薬剤師免許取得後、大学院時代に始めたアルバイトでの薬
剤師の仕事に魅力を感じ、進路を変更しました。現在は病
院薬剤師として働き、調剤担当と小児科の服薬指導担当を
兼務しています。大学病院ということもあり、重度の疾患
やまれな疾患を担当することも多く、薬剤師にも専門的な
知識が求められます。大学院の研究室で一つのテーマを掘
り下げて研究することは、薬剤師として働く今でも必要な
経験であったと感じます。また、薬剤部内で自分の勉強の
成果を報告したり、学会で研究結果を発表したりすること
があり、研究室で毎週行っていた文献紹介や、学会でポス
ター発 表をしたことが活かせていると思うことも多いです。
薬剤師という職業は、薬学部で学んだことがそのまま使え
る職 業です。さらに大学院で専門的な研究をすることで、
薬剤師としての幅は広がります。まだまだわからないこと
も多く大変なこともありますが、患者さんの笑顔にはげま
されながら、やりがいを持って仕事 をしています。
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薬学研究科
キ ャン パ ス の 紹 介
本学では、田辺通キャンパスの全面的な建て替えが平成19年
度末から行われ、実習棟、研究棟、講義棟、図書・厚生棟が順次
建設され、平成25年7月にキャンパス広場や駐車・駐輪場を含め
全て完成しました。
設備の特徴
(1)高度な教育・研究に対応できる施設及び環境を整備
(2)周辺環境を考慮して、住宅地・薬草園側は低層建物とし、外構計画や建物デ
ザインについて景観的に配慮
(3)薬剤師養成の教育を充実するため、新たに必要となる模擬薬局等の実習室、
演習室等の施設を整備
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● キャンパスモール
キャンパスモールは2層吹き抜けとし、キャンパス広場に面して全
面ガラス張りとして、広がりのある明るく快適な空間となってい
ます。断熱性に優れたペアガラスの採用、外気と地中の温度差を
活用するアースチューブの設置、自然換気システムの導入など省
エネルギー化を図っています。
● 講義棟・大講義室
キャンパスモールからガラス扉越しに講義風景が垣間見える解放
的なつくりになっています。LEDダウンライトおよび天井間接照
明による柔らかい光により、授業に必要な明るさを確保していま
す。また、前列席およびステージへアクセスするスロープが設置
され、車いすの方にも利用しやすいつくりになっています。
● 研究棟
北館と南館それぞれ6階建ての2棟からなり、現在約20ある薬学
研究科の研究室がはいっています。各研究室には最新の研究機器
が導入され、より高度な研究が可能です。また、P2実験室、共用機
器室、NMR室などの共同利用の研究施設もおかれ、充実した研究
環境となっています。さらに、研究スペースの柔軟的な活用を行う
ために、各階に競争的研究スペースが配置されるなどの工夫もさ
れています。そのほか、ピロティ、ロビー、中庭や各階に設けられた
ラウンジなども斬新なデザイン、設計が施されています。
● 実習棟
3階建ての実習棟は、基礎薬学の実習室(化学系実習室、物理・
生物 系 実習室)のほか、6年制 薬 学 教 育に対応した模 擬 薬 局、
OSCE室、CBT室からなります。各種実習のための最新機器に加
え、効率的に実習をすすめるためのAV設備、各実習室を映像録
画できるネットワークカメラシステムを完備しています。また、1
階ホールは2層吹き抜け、全面ガラス張りとなっており、明るく開
放的な空間となっています。
大学院の入試案内
博士前期課程入学者選抜の概要
1)推薦入試
学内外の優れた資質を持つ学生の受け入れを目的として、一般
選抜の筆記試験に替え、志願理由書・口頭試問(自然科学の基礎
知識)・小論文等で適性を評価する制度です。合格後の入学を確
約できることを要します。
出願資格を有する者であれば、特に制限はありません
推 薦
(日本国の薬学系学部を卒業または卒業見込みの方
を対象に含みます)。
日本国の薬学系学部を卒業または卒業見込みでない
特別推薦 者を対象(他学部卒業または卒業 見込み、外国大学
卒業または卒業見込みの方など)
●入試日程 6月下旬出願、7月中旬試験予定
2)一般入試
専門科目の筆記試験により学力を評価し、面接試験により適性
評価を行い合否を判定します。
●入試日程 6月下旬出願、8月上旬試験予定
博士課程・博士後期課程入学者選抜の概要
専門科目の筆記または口述試験および卒業論文・修士論文ま
たはそれらに代わる研究等経過報告書の審査により学力を評価
し、また面接試験により学力および適性評価を行い、合否を判定
します。
なお、社会人を対象に「社会人特別選抜」を実施します。
●入試日程 第1回 7月出願、8月試験予定
第2回 12月出願、2月試験予定
注 意 事 項
・上記事項は概要を記したもので、詳細は募集要項、大学HP等で確認
してください。
・入学試験等の予定は、変更になることがあります。
薬学研究科では、平成26年度より大学院博士前期課程・博士
後期課程・博士課程において秋入学を実施しています。詳しく
は名古屋市立大学HP(http://www.nagoya-cu.ac.jp/)で
入試情報をご確認下さい。
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http://www.nagoya-cu.ac.jp/phar/
発行/2016年5月