伊那街道 足助の町並み愛知県豊田市

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街道を往く
足助川に沿う形で広がる足助の町並み 〆が家々の軒先に
つるされていた 足助中馬館。街道の資料を展示
伊那街道 足助の町並み 愛知県豊田市
中馬(ちゅうま) 街道(中馬とは
馬を乗り換えて物資を運ぶことをいう)
とも呼ばれていた伊那街道。足
助は尾張、
三河から信州飯田
(い
いだ)を結ぶ中継地にあたり、
商業の町として繁栄してきた。
交易品だった塩は足助で俵に詰
めなおされ、そのため塩問屋が
数多くあり、
この塩は「足助塩」
と名がついた。
安永4(1775)年の大火によっ
て町並みの大部分が焼失したも
のの、江戸時代後期から明治時
代に建てられた建物が今も数多
く残る足助町。さて真弓橋から
田町、新町方向へと歴史散歩を
始めよう。
を超える火縄銃の空包打ちが行
われます。そのとき、〆は火縄
銃の火の粉よけに使われます。
〆は祭りの後、縁 起物として軒
先に飾ります。お祭りは4台の山
車が町内を引き回され、祭りの
最後に屋台の上に飾られた梵天
が投げられ、みんなで取り合う
のです。梵天は家内安全のお守
りになります」と教えてくれた。
本町に入ると妻入家屋が連な
り、当時の様子を一層感じられ
る町並みが続く。加東家はもと
もと酒造業で、現在は和洋菓子
店となっている。西側の座敷の
床柱に残る傷あとは、天保7年
(1836)に加茂一揆の打ち壊し
でつけられたものと伝わる。
マンリン小路 手作りのタ
ル ト が お い し い︵ マ ン リ ン 書
店︶ 妻入家屋が連なる本町
12 電気と保安 2016.9・10
足助の町並みは重要伝統的建
造群保存地区となっている。真
弓橋から足助の町を眺めると、川
岸には石垣が築かれ、川にせり
出すような形で家が並んでいる。
田町にある「足助中馬館」は、
旧稲橋銀行の社屋として建てら
れたもの。その後、いくつかの
銀行の支店を経て、昭和 52 年
まで足助町農協として使われて
きた。現在は資料館として一般
公開されている。
歩いてきた街道の家々の軒先
に、杉玉のようなものがぶら下
が っ て い た の で、 資 料 館 の ス
タッフに尋ねた。
「それは〆
(し
め)といって足助まつりに使わ
れたものなん
で す。10 月 第
2 土、 日 曜 日
に足助八幡宮
さんのお祭り
があり、百丁
江戸時代後期から明治のころの建物が残る足助の町 田口家
に飾られていた当時の写真 お茶屋をしていた頃の壺が今も残
る︵田口家︶ 三州足助屋敷で。職人がサワラの木を使ってお
ひつを作っていた 農家の暮らしを再現した三州足助屋敷
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㊧ 足 助 城 の 井 戸 と 物 見 台︵ 高 櫓 は
月末までの予定で修繕される︶
萬屋(田口家住宅)は、
江戸時代後期に建てられ
た。 も と も と は お 茶 屋
だったのを、明治時代に
灯油やガソリン販売へ商
売 替 え を し た。 入 口 の
壁には、当時の写真がい
くつも飾られている。古
い町並みに、給油タンク
が乗せられたレトロなト
ラックの対比が面白い(家屋の
公開は不定期)
。
足助町には雰囲気の良い路地
がいくつもある。マンリン書店の
わきにあるマンリン小路は、重な
りあう4棟の蔵が歴史を感じさ
せる。町屋は間口が狭く、奥に
長い造り。それを利用して、陶
器などのギャラリーやおしゃれ
なカフェとなっていた。カフェで
は手 作りのおいしいタルトケー
キを出す。香り豊かなコーヒーを
いただいて街道歩きを小休止。
次 に、 紅 葉 で 有 名 な 香 嵐 渓
へ。渓谷内にある三州足助屋敷
では、
民具を実際に使いながら、
明治から昭和 30 年頃の農家の
暮らしを再現する。機織りや傘
張り、わら草履といった素朴な
9
品を手作りして販売もする。体
験実習もあり、家族連れが楽し
そうにわら草履を作っていた。
ここから車で 10 分ほどのと
ころに、真弓山の山頂に建てら
れた足助城がある。ここは戦国
時代に西三河の山間地域を治め
ていた「足助鈴木家」の居城。
発見された柱の跡に合わせて、
ほぼ同じ場所に山城を復元し
●足助観光協会 TEL0565-62-1272( 木曜定休 )
愛知県豊田市足助町宮平 34-1
http://www.asuke.info/
●足助城 TEL0565-62-0770
豊田市足助町須沢 39-2
入場料大人 300 円 小人 100 円 木曜定休・年末年始
●三州足助屋敷 TEL0565-62-1188 豊田市足助町飯盛 36 番地
http://asukeyashiki.jp/
入館料大人 300 円 小人 100 円 木曜定休・年末年始
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た。物見台や井戸、木を縛った
だけの柵など、戦国時代のまさ
に戦う城。復元での材料は竹の
釘や麻縄を使うなど、当時の工
法を推測し造られた。高櫓の2
階に上がると、先ほど歩いた足
助の町並みが一望できた。
実は、
ここは紅葉の隠れた名所。混雑
し た 香 嵐 渓 を 避 け て、11 月 の
紅葉時期に訪れる人も多い。
足助バイパス
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足助トンネル
足助の町並み
豊田市役所
足助八幡宮 足助支所
420 バス停
足助大橋
香嵐渓
P
足助小
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真弓山
豊田市
足助資料館
足助城
バス停 西町
香嵐渓一の谷
420
香嵐渓
三州足助屋敷
電気と保安 2016.9・10
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