国宝謙信公太刀収集事業について

配 布 資 料
資料№
4
担当課
文化行政課
国宝謙信公太刀収集事業について
1 太刀について
⑴ 概 要
た ち
む め い いちもん じ
ごう
さんちょうもう
・名称:太刀 無銘一文字(号 山 鳥 毛)
昭和 27 年 3 月 29 日 国宝指定
・寸法:刃長 79.0 ㎝、反り 3.2 ㎝、元幅 3.5 ㎝、先幅 2.2 ㎝
上杉謙信公及び景勝公の愛刀として上杉家に伝来したもの。
日光一文字と並ぶ作で、備前一文字派盛期の作風と力を存分に発揮した太刀である。
刃文が最も大模様に乱れて刃中の変化に富んだ作である。号は、一説にその刃文が
山鳥の羽毛に似ているからというが、他にも説があって明らかでない。
(文化庁国指定文化財等データベースより)
⑵ 価格評価額
3 億 2,000 万円
2 事業取組に至った経緯
・この太刀は現在、個人が所有し、岡山県立博物館に寄託されているが、昨年 6 月に新
潟県立歴史博物館を通じて当市教育委員会に対し、所有者が謙信公ゆかりの地に太刀
を譲渡する意向を持っておられるとの情報がもたらされた。
これを受け、教育委員会では県立歴史博物館などから情報を収集する中で、この太刀
さんじゅうごこし
が、福岡一文字派による備前刀の最高傑作であり、上杉景勝公が定めた「三十五腰」
の中でも一番の名刀であること、また、刀剣収集家として知られた所有者の祖父が購
入した経緯などを確認するとともに、昨年 9 月、教育委員会が担当者を所有者のもと
へ派遣した際には、
「上越市が希望するのであれば、太刀を謙信公の故郷へ戻したい」
との意向も直接確かめることができた。
・上杉家は、上杉景勝公の時代に国替となったことから、謙信公を始めとする同家ゆか
りの遺品は、当市内にはほとんど残されていない現状にある。
しかしながら、改めて申し上げるまでもなく、上杉謙信公が、戦国の世にあっても貫
いた「義の精神」は、私たち上越市民に広く受け継がれ、春日山城跡の保存整備を始
め、謙信公祭の開催など、行政と地域が手を携え、顕彰と次世代への伝承に向けた取
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組を進めているところである。
・こうしたことも踏まえ、教育委員会では、今後の対応について広く関係の皆様の考え
をお聴きするため、謙信公の顕彰活動に取り組んでいる春日山城跡保存整備促進協議
会及び謙信公「義の心」の会の意見を伺うこととし、その中で「謙信公を市民の誇り
として改めて認識してもらう良い機会となる。
」「謙信公への想いが市民の中で更に
一歩前へ進むためにも、太刀取得に向けた寄附を呼びかけるなど市民運動として協力
したい。
」
「是非、市で太刀を購入してほしい。
」など、いずれも強い熱意をお示しい
ただいた。
・あわせて、この 2 団体を中心に、太刀取得に向けた市民運動の母体となる団体を設立
されようとする動きも活発化したことから、これらの活動が広がりを持つものとなる
よう、上越商工会議所と上越観光コンベンション協会にも協力を要請し、いずれも快
諾を得た。このような経過の中、このたびこの 4 団体が中心となり、この太刀の取得
に向けた市民運動を展開するとともに、
「義の心」を全国に発信するための組織とし
て、
「国宝謙信公太刀(山鳥毛)収集市民会議」が設立される運びとなった。
・教育委員会では、この太刀を市民を挙げて「市民の宝」として迎えることの意義を捉
え、博物館協議会での審議なども経る中で検討を進め、平成 29 年度での太刀取得を
目指すとしたことから、市として市民活動費の一部を負担し市全体での取組を後押し
するとともに、市外からの寄附も得られるよう、ふるさと納税の受入に向けた準備を
進めるなど、市民会議の活動を下支えしながら、官民一体となった取組を進めること
とした。
3 太刀購入による効果
⑴ 歴史・文化を愛する人づくり・まちづくり
・太刀取得に向けた市民の機運の高まりとその取組活動を通じて、より多くの市民や企
業、団体などから上杉謙信公が残された「義の心」が再認識されるとともに、市民の
宝として思いを寄せてもらうことで、ふるさとへの愛着と誇りがさらに高まる。
・謙信公の遺品の中でも最上級のものである太刀が市にあることにより、今まで以上に
「謙信公の故郷上越市」を市内外に強くアピールできる。
・博物館を第五次観光振興計画の重点集客エリアとして位置づける“謙信公の居城・春
日山城周辺”や太刀を展示する博物館を地域再生計画で掲げる“高田の街なか回遊観
光”へと結びつけることで、交流人口の拡大による「まちの活性化」につながる。
・購入の市民運動が謙信公没後 450 年(平成 40 年)
、生誕 500 年(平成 42 年)に向けた
市民運動の契機となる。
⑵ 博物館のレベルアップ
・国宝を収蔵するということ、そして国宝を収蔵するため、保存・展示環境を整備する
ことで、上杉博物館や東京国立博物館などが所蔵している国宝、重要文化財の貸借が
行いやすくなり、質の高い企画展を開催することができ、集客力が向上する。
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4 今後のスケジュール
・平成 28 年 9 月 6 日
(予定)
国宝謙信公太刀(山鳥毛)収集市民会議の設立
以降、活動を開始
*募金(公共施設やイベント時での募金箱設置)
*寄附金(個人及び事業所からの寄附金募集)
・平成 28 年 9 月
ふるさと上越応援寄附金の募集を開始
・平成 29 年 4 月
企業版ふるさと納税の活用(予定)※
・平成 29 年度
太刀購入
※市外に本社を置く企業からの協力も得られるよう、寄附に伴う税負担軽減が通常より
拡大される企業版ふるさと納税の活用を予定しており、太刀購入事業を盛り込んだ地
域再生計画の認定申請を平成 29 年 1 月に行う。
企業版ふるさと納税
国が地方創生応援税制として平成 28 年度から創設した制度。
国から認定を受けた地域再生計画に記載された地方創生事業に対し、企業が寄附を
行った場合に、当該寄附について現行の損金算入措置(寄附額の約 3 割)に加え、
法人住民税、法人事業税、法人税の合計で寄附額の 3 割を税額控除する。
5 補正額
・ふるさと上越応援寄附金PR用チラシ印刷(800 枚)
280 千円
・国宝謙信公太刀収集市民会議負担金
100 千円
計
22
380 千円