家計調査における季節調整値の改定について(PDF:115KB)

(2016年8月30日更新)
家計調査における季節調整値の改定について
家計調査において作成している季節調整値は,毎年1月分結果公表時及び1∼3月
期結果公表時に,推計に用いる期間に前年の1年間を追加し,季節調整値の再計算を
行い,過去に遡って改定している。
(1) 二人以上の世帯
○ 月次系列については,推計期間を2000年1月から前年12月までとし,2000年1
月以降の数値について改定を行っている。
○ 前年まで用いていたARIMAモデル及び回帰変数は原則として変更せず,前々年1
月以降の直近2年間について,外れ値の追加を行う。
新たに追加する外れ値は,原則として直近2年間について季節調整プログラム
の自動検出機能により検出されたものを採用している。
※ 季節調整の方法は,センサス局法(X-12-ARIMA)を用いており,うるう年,月
末の曜日,休日などの変動の要因を含めている。
詳細は「家計調査の結果を見る際のポイントNo.12」を参照されたい。
※ 使用しているスペックファイル,ARIMAモデル及び回帰変数については,(参考
1)及び(参考2)を参照。
○ 二人以上の世帯の四半期系列については,月次系列の3か月単純平均としてい
る。
(2) 総世帯及び単身世帯
○ 推計期間を2000年1∼3月期から前年10∼12月期までとし,2000年1∼3月期
以降の数値について改定を行っている。
○ 総世帯及び単身世帯のうち,主要系列(10系列)については,前年まで用いて
いたARIMAモデル及び回帰変数は原則として変更せず,前々年1∼3月期以降の
直近2年間について,外れ値の追加を行う。
新たに追加する外れ値は,原則として直近2年間について季節調整したプログ
ラムの自動検出機能により検出されたものを採用する。
※ 主要系列(10系列)の季節調整の方法は,センサス局法(X-12-ARIMA)を用い
ている。使用しているスペックファイル,ARIMAモデル及び回帰変数については,
(参考3)及び(参考4)を参照。
※ 主要系列(10系列)を除く系列の季節調整の方法は,センサス局法(X-12-ARIMA
のX-11デフォルト(ただし,管理限界はσ(2 3)))を用いている。
1
(3) 消費水準指数
○ 月次系列については,推計期間を1981年1月から前年12月までとし,1981年1
月以降の数値について改定を行っている。
○ 四半期系列については,月次系列の3か月単純平均としている。
※ 季節調整の方法は,センサス局法(X-12-ARIMA)を用いている。なお,ARIMAモ
デル等は,2015年基準改定時から適用している。
※ 使用しているスペックファイル,ARIMAモデル及び回帰変数については,(参考
5)及び(参考6)を参照。
2
(参考1)二人以上の世帯の月次系列に使用したX-12-ARIMAのスペックファイルなど
(1) スペックファイル(Spec File)
(※サンプル)
series{
file="原系列ファイル名"
start=2000.1
span=(2000.1,2015.12)
period=12
}
transform{ function=log }
#原数値を対数に変換
regression{
variables = (
#参考2を参照
)
#月末の曜日などのユーザー変数の
UserType
は,
holiday
}
arima{
model=
#参考2を参照
}
estimate{
}
forecast{
maxBack=0
maxLead=0
#安定性を高めるため,デフォルトの12から0としている。
}
outlier{
span=(2014.1, 2015.12)
#外れ値の自動検出
#(自動検出された外れ値は
regression
に記述した。)
}
x11{
sigmaLim=(1.5 3)
#安定性を高めるため,管理限界の下限値を1.5としている。
#seasonalMa=x11default
#移動平均の項数は,デフォルトの自動としている。
appendFcst=yes
save=(d10 d11 d16)
}
3
としている。
(2) ユーザー変数
休日及び月末の曜日については,ユーザー変数を作成して回帰変数とした。
①
休日
月∼金曜日が国民の祝日又は振替休日になる場合の休日の日数をユーザー変数とした。
②
月末の曜日
月末の曜日により支出が増える月を「1」,支出が減る月を「−1」,増減のない月を「0」とした上で,
移動電話通信料など月末の曜日により影響を受ける品目の支出に占める割合の増加を考慮し,ロジステ
ィック曲線を使用して重みを付けた値をユーザー変数とした。
なお,各系列に使用したロジスティック曲線の「基準年」及び「係数」については,
(参考2)を参照の
こと。
月末の曜日の重み付けに使用したロジスティック曲線の概形(例)
1.0000
0.9000
0.8000
0.7000
0.6000
2000年
1.3
2001年
1.3
0.5000
0.4000
0.3000
0.2000
2002年
1.3
0.1000
0.0000
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年)
注)X 軸に年月,Y 軸に値をとる。値域は 0 から 1 までである。0.5 になる年を「基準年」とする。ま
た,グラフの傾きを決定する変数を「係数」とする。ロジスティック曲線は「基準年」と「係数」
で決定した。y = exp((x -基準年)×係数) / (1+exp((x -基準年)×係数))
4
(参考2)二人以上の世帯の月次系列に使用したARIMAモデル及び回帰変数一覧
費目
二人以上の世帯
(名目)
ARIMAモデル
曜日とうるう年
消費支出
(1 1 0)(0 1 2)
tdnolpyear lpyear
jholiday-m200113
食料
(0 1 1)(2 1 1)
td1coef
jholiday
住居
光熱・水道
家具・家事用品
被服及び履物
保健医療
交通・通信
(0
(1
(0
(0
(0
(0
1)
1)
2)
1)
1)
1)
td1coef
td
tdnolpyear
jholiday-m200213
教育
(0 1 1)(1 1 2)
tdnolpyear
m200113
教養娯楽
その他の消費支出
諸雑費
(0 1 1)(0 1 1)
(0 1 1)(0 1 1)
(2 1 2)(0 1 2)
td1nolpyear
td1nolpyear
m200013
m200013
消費支出(除く住居等)
(2 1 0)(0 1 1)
tdnolpyear lpyear
jholiday-m200113
消費支出
(0 1 2)(1 1 0)
tdnolpyear lpyear
jholiday-m200113
食料
住居
光熱・水道
家具・家事用品
被服及び履物
保健医療
交通・通信
教育
教養娯楽
諸雑費
(1
(0
(1
(0
(0
(0
(0
(0
(0
(2
td1coef
jholiday
m200113
m200113
1
1
1
1
1
1
1)(0
1)(0
1)(1
1)(0
2)(0
1)(0
1
1
1
1
1
1
休日と月末の曜日
m200113
m200113
二人以上の世帯
(実質)
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1)(0
1)(0
1)(0
1)(1
1)(0
2)(0
1)(0
2)(0
1)(2
2)(0
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1)
1)
1)
2)
1)
1)
2)
1)
1)
2)
消費支出(除く住居等)
(1 1 1)(0 1 1)
勤労者世帯
実収入
(0 1 1)(0 1 1)
(名目)
消費支出
(1 1 0)(0 1 1)
勤労者世帯
可処分所得
実収入
(0 1 2)(0 1 1)
(0 1 1)(0 1 1)
(実質)
消費支出
(1 1 1)(2 1 1)
可処分所得
(0 1 2)(0 1 1)
注)
jholiday
は休日、
myyyynn
td1coef
td
tdnolpyear
tdnolpyear
jholiday-m200213
m200113
td1nolpyear
m200013
tdnolpyear lpyear
jholiday-m200113
tdnolpyear lpyear
jholiday-m200113
tdnolpyear lpyear
jholiday-m200113
外れ値
LS2000.Dec LS2001.Apr AO2008.Jan
LS2010.Apr LS2011.Mar AO2014.Mar
LS2001.Mar AO2008.Nov LS2011.Mar
AO2014.Mar AO2014.Apr
AO2014.Mar
LS2015.Sep
AO2014.Feb AO2014.Mar
AO2014.Jan AO2014.Mar
AO2010.Aug AO2014.Mar
LS2011.Mar AO2014.Mar
LS2001.Apr LS2010.Apr AO2011.Sep
AO2011.Nov AO2013.Sep
AO2014.Mar
AO2000.Dec
AO2014.Mar
LS2001.Apr AO2008.Jul LS2010.Apr
LS2011.Mar LS2012.Jun AO2014.Mar
LS2000.Dec LS2001.Apr AO2008.Jan
LS2010.Apr LS2011.Mar AO2013.Mar
AO2014.Mar LS2014.Apr AO2015.Mar
AO2014.Apr
AO2014.Mar
AO2014.Mar LS2014.Apr
AO2014.Jan AO2014.Mar LS2015.Oct
AO2010.Aug AO2014.Mar
LS2011.Mar LS2012.Feb AO2014.Mar
LS2001.Apr AO2007.Apr AO2013.Sep
AO2014.Mar
AO2014.Mar
LS2001.Apr LS2010.Apr LS2011.Mar
AO2014.Mar LS2014.Apr
LS2006.Jul
LS2000.Dec LS2001.Apr AO2008.Jan
TC2010.Apr LS2011.Mar AO2014.Mar
LS2006.Jul
LS2006.Jul
LS2000.Dec LS2001.Apr AO2008.Jan
TC2010.Apr LS2011.Mar AO2014.Mar
LS2014.Apr
LS2006.Jul
は月末の曜日(yyyyは基準年、nnは係数(n.n))である。他の変数等につい
ては、X-12-ARIMA Reference Manual(U.S. Census Bureau)を参照されたい。
なお、休日変数値(2000年1月から2008年12月の休日日数の平均値で休日日数を減じた値)及び月末の曜
日変数値は、2000年1月から当年12月分まで作成している。
5
(参考3)総世帯及び単身世帯の主要系列(10系列)に使用したX-12-ARIMAの
スペックファイル
スペックファイル(Spec File)
(※サンプル)
series{
file="原系列ファイル名"
start=2000.1
span=(2000.1,2015.4)
period=4
}
transform{ function=log }
#原数値を対数に変換
regression{
variables = (
#参考4を参照
)
}
arima{
model=
#参考4を参照
}
estimate{
}
forecast{
maxBack=0
maxLead=0
}
outlier{
span=(2014.1, 2015.4)
#外れ値の自動検出
#(自動検出された外れ値は
}
x11{
sigmaLim=(1.5 3)
#seasonalMa=x11default
appendFcst=yes
save=(d10 d11 d16)
}
6
regression
に記述した。)
(参考4)総世帯及び単身世帯の主要系列(10系列)に使用したARIMAモデル及び
外れ値一覧
総世帯
費目
(名目) 消費支出
総世帯
消費支出(除く住居等)
(実質) 消費支出
消費支出(除く住居等)
(名目) 消費支出
勤労者世帯
(実質) 消費支出
ARIMAモデル
(0 1 1)(0 1 1)
(0 1 1)(0 1 1)
(1 1 1)(0 1 1)
(0 1 2)(2 1 1)
(1 1 1)(0 1 1)
(1 1 1)(0 1 1)
外れ値
AO2014.1
AO2014.1
AO2014.1 LS2014.2
AO2014.1 LS2014.2
AO2014.1
AO2014.1 LS2014.2
ARIMAモデル
(2 1 1)(0 1 1)
(1 1 1)(0 1 1)
(2 1 1)(0 1 1)
(1 1 1)(0 1 1)
AO2014.1
AO2014.1
AO2014.1
AO2014.1
単身世帯
費目
(名目) 消費支出
単身世帯
消費支出(除く住居等)
(実質) 消費支出
消費支出(除く住居等)
7
外れ値
(参考5)消費水準指数に使用したX-12-ARIMAのスペックファイル
スペックファイル(Spec File)
(※サンプル)
series{
file="原系列ファイル名"
start=1981.1
span=(1981.1,2015.12)
period=12
}
transform{ function=log }
#原数値を対数に変換
regression{
variables = (
#参考6を参照
)
}
arima{
model=
#参考6を参照
}
estimate{
}
forecast{
maxBack=0
maxLead=0
#安定性を高めるため,デフォルトの12から0としている。
}
outlier{
span=(1981.1, 2015.12)
#外れ値の自動検出
#(自動検出された外れ値は
regression
に記述した。)
types=all
}
x11{
sigmaLim=(1.5 3)
#安定性を高めるため,管理限界の下限値を1.5としている。
#seasonalMa=x11default
#移動平均の項数は,デフォルトの自動としている。
appendFcst=yes
save=(d10 d11 d16)
8
(参考6)消費水準指数に使用したARIMAモデル及び外れ値一覧
費目
ARIMAモデル
総
合
(0 1 1)(1 1 2)
食
料
(1 1 1)(2 1 2)
居
道
(0 1 1)(2 1 2)
(1 1 1)(2 1 2)
家 具 ・ 家 事 用 品
(0 1 1)(2 1 2)
被
保
交
教
教
諸
(0
(0
(0
(1
(0
(0
住
光
熱
・
水
服 及 び
健
医
通 ・ 通
養
娯
雑
履
療
信
育
楽
費
総合(除く住居等)
1
1
1
1
1
1
1)(1
1)(0
1)(1
2)(2
1)(1
2)(0
1
1
1
1
1
1
2)
1)
2)
2)
2)
1)
(0 1 1)(1 1 2)
外れ値
AO1997.Mar TC2011.Mar AO2014.Mar
TC2014.May
AO1989.Mar AO1997.Mar AO2014.Mar
LS2014.Apr
AO1989.Mar AO1997.Mar AO2014.Mar
LS2014.Apr
AO1997.Mar
AO2013.Sep
TC1995.Jan AO2010.Nov AO2014.Mar
AO1989.Mar AO1997.Mar TC2011.Mar
AO2014.Mar TC2014.Apr
9