人権同和教育情報 人権に関するトピック ~同和問題,障害者の人権,女性の人権から~ 人権同和教育課 今年は,差別の解消に生涯をかけた松本治一郎氏 没後50年に当たります。松本氏は,部落解放運動の 父と敬愛され,大正12年(1923年)に結成された全 九 州 水 平 社 の 初 代 委 員 長 を 歴 任 し , 昭 和 11年 (1936年)から亡くなる昭和41年(1966年)まで, 国会議員としても差別解消を訴え続けました。 今回は,松本氏の部落差別をはじめとする様々な 差別と向き合った生き方(代表的な逸話から)にふ れながら,近年成立した人権課題に係る法律につい て紹介していきます。 松本治一郎氏没後50年に寄せて 「植えてみよ,花の育たぬ里じゃない」 松本氏は福岡市に生まれました。解放運動の必 要性について身をもって実感していきます。 後世,松本氏は,「12歳の時期が,社会に横たわ る部落差別意識に挑む出発点となった」 と語ってい ます。その時期にノートに記したのがこの言葉で す。当時の警察による不当な扱いや学校でのあか らさまな差別を前に,「同じ人間,同じ土地,草木 を植えれば花も咲き,実もなることを証明したい」 と いう熱い思いをたぎらせていたことが伝わってき ます。 「最後の血の一滴まで闘う」 社会に存在する強烈な差別意識と闘うための行 動を結集させるために,全九州水平社を結成し, 取組を全国的なものにしていきました。軍隊内の 差別糾弾闘争や水平社運動の妨害行為への抗議な ど,差別に対して一歩も引かない強靱な意志は, 被差別民衆や多くの人々の解放への願いに共鳴し ていきました。 日本国憲法制定に関わって 参議院議員を務めた際に,日本国憲法制定に関 わって, 第14条の条文への「門地」の挿入,第24 条の「婚姻は,両性の合意のみに基づいて」の「の み」の挿入 に尽力を注ぎました。部落差別意識の 介入の阻止を立憲の面からも取り組んだのです。 同和対策審議会答申(昭和40年:1965年)への思い 答申が出された年の12月,テレビ放送で「答申 は,われわれにとってまだ不十分ではあるが,歴 史の流れからみると,画期的なことである。 これ を完全に実施させる ことが,当面している解放運動 の課題であり,完全解放への一つのよりどころで もある。しかも,これは部落大衆のみならず,国 民全体の幸せに通じる。正当に評価して,積極的 に完全実施の運動を進めていきたい」と国民に訴 えました。 この翌年の昭和41年(1966年)11月,松本氏は, 部落解放に一生をかけた生涯に幕を閉じました。 「一切の差別からの解放」の遺志は,今日も部落 解放をめざす取組に引き継がれています。 障害者差別解消法(平成28年4月施行) 本法律には,不当な差別的取扱いの禁止,合理 的配慮の不提供の禁止などが定められています。 施行に至るまでには,「障害者の権利に関する条 約」に平成19年に署名し,平成26年に締結する間, 国内では関係法令の整備等が行われています。 「障害者の権利に関する条約」において,合理的 配慮については,「定義」第2条に,教育につい ては,「教育」第24条に規定されています。 文科省のWebサイトを利用して調べてみよう! ➊ 検索 文科省 障害者の権利 → 条約の条文を確認できます。 ➋ 検索 文科省 合理的配慮 → 合理的配慮の例や障害種別の学校における 「合理的配慮」の観点などを調べることがで きます。 女性活躍推進法(平成27年8月成立) 正式には,「女性の職業生活における活躍の推進 に関する法律」 です。本法律は,女性の職業生活 における活躍を推進し,豊かで活力ある社会の実 現を図ることを目的としています。 学校教育においては,本法律の具現化とともに, 男女平等を推進する教育 の充実が大切です。 男女平等を推進する教育については,「第2次県 男女共同参画基本計画(平成25年3月策定)」の 重点項目2に位置付けてあります。 鹿児島県のHPから検索してみましょう。 ➊ サイト内検索 女性活躍推進法 → 県内の行動計画等,具体的取組を知ること ができます。 ➋ サイト内検索 男女共同参画基本計画 → 県の男女共同参画基本計画の内容を確認で きます。 ➌ サイト内検索 男女平等教育 資料 → 県教育委員会発行「人権教育実践例集『仲 間づくり』 (平成21年度)」をダウンロードできます。 8月は,人権同和問題啓発強調月 間でした。人権啓発に関するイベン ト等が県内の様々な地域で開催され たと思います。学校からも人権意識 の高揚に向けた発信を積極的に行っ ていきましょう。
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