発表資料 - 新技術説明会

2016.8.30.新技術説明会
希少金属の選択的相分離技術を
用いたリサイクルプロセス
本研究は、総合科学技術・イノベーション会議により制度設計された
革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)により、科学技術振興機構を通して委託されたものです。
福井大学産学官連携本部
福井大学工学研究科
教授
〇特命助教
研究員
准教授
米沢 晋
岡田 敬志
許 章煉
金 在虎
研究の背景
革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)
「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」
高レベル放射性廃棄物から、長寿命核分裂生成物(LLFP)を回収
高レベル
廃液
原子力発電
使用済み燃料
再処理工場
ガラス
固化体
貯留施設等
分離
LLFP
白金族元素
アルカリ金属元素
アルカリ土類金属元素
希土類元素
分離
自動車
触媒等へ
リサイクル
核変換
安全な
廃棄物に
して処分
ImPACTプログラムにおける福井大学の研究テーマ
ガラス固化体からのLLFPの回収
Zr
Se
ホウケイ
酸ガラス
Pd Cs
Zr Se
ガラス固化体
新規分離
抽出技術
Cs
Pd
本発明で
回収対象としたもの
化学的に安定なガラスから
レアメタルを効率的に分離抽出する技術
先行技術とその問題点
化学抽出
プロセス
ガラスの溶解に
大量の薬剤が必要
➡ 薬剤コスト大
酸・アルカリ等の溶媒を用いて
ガラス中のレアメタルを抽出
アルカリ化合物(Na2CO3)
アルカリ
溶融法
Pd Cs
Se Zr
Pd Cs
Se Zr
可溶性
化合物
Pd
Cs
Se
Zr
ガラスの可溶化に
大量の薬剤が必要
➡ 薬剤コスト大
水に溶解
CsCl,SeCl4
塩化
揮発法
塩化剤
(CaCl2)
Pd Cs
Se Zr
大量の塩化剤を投入
➡ 設備の腐食
➡補修コスト大
着目した技術
~分相法~
ガラスから
分離した相
ガラス
ガラス
レアメタルを
濃縮
分相法の利点
~Csを含むガラスを例として~
+
Cs
Cs+
ガラス
Cs+
水処理
Cs+
Cs+
Cs+
Cs+
Cs+
ガラス
ガラス
ガラス
ガラス中をCsが移動(遅)
水処理
ガラス
Cs化合物
Csを相分離
させたもの
Cs+ +
Cs
Cs+
+
Cs
抽出効率UP
本発明のポイント:大量の分相組織を生成
電気炉
酸化物相
1000℃
700℃
粉砕
CO
CO
金属相
気相
との
界面
Na2O Cs
Se
Na2O
SiO2
Pd
M
B2O3
ガラス
内部
炭素
重金属ガラスの還元溶融
MO + CO → M + CO2 (M: Pb, Bi)
分相処理産物の例
LLFP分離技術のコンセプト
気液界面において
Cs,Seを分離濃縮
Na2O-K2O-Cs2O-SeO2相
Borosilicate
Glass
Pd Cs
Zr Se
酸化物融体(ホウケイ酸ガラス)
Pd- 重金属相
ガラス
固化体
重金属メタル相に
Pdを分離濃縮
還元雰囲気で熱処理
700-1000℃
8
本技術の特徴
分相物(Cs,Se含有)
①ガラス相に残留しやすいレアメタル
(Cs,Se)も分離することができる
*従来は貴金属のみの分離
Biメタル(Pd含有)
②分離したCs,Seを効率的に
水で抽出することができる
*ガラスを全溶解しなくてもよい
ホウケイ酸ビスマスガラスの処理例
29 SiO2-15 B2O3-17 Na2O-26 K2O-6.3 CaO-3.8 Bi2O3
9
9
本技術を用いた分離プロセスのフロー
Borosilicate
Glass
Pd Cs
Zr Se
ガラス
固化体
Na2O-K2O-Cs2O-SeO2相
冷却
Na2O-K2OCs2O-SeO2相
水処理
固相
(酸化物)
酸化物融体(ホウケイ酸ガラス)
Pd- 重金属相
Cs+, SeO42液相(水)
還元雰囲気で熱処理
700-1000℃
Pd- 重金属相
既存技術で
Pdと重金属を分離
既存技術で
CsとSeを分離
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実験結果の例
結果①:分相物の分析
Na2O-K2O-Cs2O-SeO2相
酸化物融体(ホウケイ酸ガラス)
結果②:メタルの分析
Pd- 重金属相
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H27上期成果:①フィージビリティスタディー
実験条件
ホウケイ酸ビスマスガラス(3種類)
下記組成の混合物を1000℃, 2hで溶融後、急冷して作成
SiO2
Glass
sample
0.5
H3BO3
Na2CO3
0.27
0.5
電気炉
1000℃、1 h
Bi2O3 K2CO3 CaCO3
0.5
1
0.179
単位:g
Cs2CO3
ZrO2
0.05
0.025
Pd
Se
0.05 0.01
電気炉
700℃、2 h
水
炭素 3g
アルミナ坩堝(100 ml)
リーチング試験の条件
・攪拌速度300rpm
・時間2hour
・室温
・イオン交換水150ml
・1µmペーパー濾紙でろ過
結果①
分相物の分析
~ホウケイ酸ビスマスガラスを熱処理した産物~
700
Si
600
Point analysis
Intensity (counts)
500
400
300
Cs
200
100
EDSによるポイント分析
0
0
SEMによる気液界面の観察
1
2
3
Energy (keV)
4
5
*Cs含有量の多いガラス試料で実験すると、
13
明瞭なCsのピークが現れることも別途確認済み
セシウムの抽出試験
分相物表面からのCs,Seリーチング実験
CO雰囲気
熱処理産物
本発明
空気雰囲気
(炭素なし)
水
120
120
100
100
Se抽出率(%)
Cs抽出率(%)
水
80
60
40
80
60
40
20
20
0
0
1
空気雰囲気
2
CO雰囲気
空気雰囲気
1
CO雰囲気
2
金属抽出率 =液中金属の量/投入物中金属の量 ×100
熱処理産物
比較対象とした手法
熱処理雰囲気による
Cs,Se抽出率の比較
本発明(CO雰囲気)の方が
Cs,Se抽出率が高い
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メタル相の分析
結果②
メタルの分析
7000
分析
6000
Pd
Point analysis
Intensity (counts)
5000
Bi
4000
Bi
3000
2000
Pd
C
Al Bi
1000
O
0
0
メタル相にPdが存在
1
2
3
Energy (keV)
4
5
本技術を用いたLLFP回収プロセス
Borosilicate
Glass
Pd Cs
Zr Se
ガラス
固化体
Na2O-K2O-Cs2O-SeO2相
冷却
Na2O-K2OCs2O-SeO2相
水処理
固相
(酸化物)
酸化物融体(ホウケイ酸ガラス)
Pd- 重金属相
Cs+, SeO42液相(水)
還元雰囲気で熱処理
700-1000℃
Pd- 重金属相
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本技術のまとめ
コスト面:既存技術との比較するための評価データを集積する予定
既存技術
本発明の特徴
化学抽出
酸やアルカリ等の化学溶媒を使用せず、
水でレアメタルを抽出することができる
アルカリ溶融
(ガラス可溶化・全溶解)
ガラスを全溶解することなく、
レアメタルを抽出回収することができる
塩化揮発
塩化物系の添加剤を使用しないため、
低腐食環境下で処理が可能
想定される用途
• 高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)から
LLFPを分離回収する。
• その他にも、希少金属を含む各種廃棄物か
ら貴金属のみならずレアメタルを効率的に
回収する。
実用化に向けた課題
• 実ガラス固化体の組成は複雑であるため
このようなガラスから、効果的にLLFPを
回収する条件を検討しなくてはならない。
企業への期待
• 乾式処理による金属リサイクル技術を持つ、
企業との共同研究を希望。
• 実用化においてクリアすべき技術的課題など
、現場視点の知見・情報が必要。
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称:レアメタル含有ガラスからの
レアメタルの回収方法
• 出願番号 :特願2016-039520
• 出願人
:国立大学法人福井大学
• 発明者
:岡田敬志、許 章煉、米沢晋、金 在虎
お問い合わせ先
福井大学 産学官連携本部
特命助教 岡田 敬志
専門職員 漆崎 行乃利
TEL : 0776-27-9756
FAX : 0776-27- 8955
e-mail : t-okada@u-fukui.ac.jp