第 89 回日本生化学会大会 バイオインダストリーセミナー 3BS04 New Direction of HLA Analysis HLA 解析技術 の 新展開 ジャポニカアレイ ® 解析結果からの HLA インピュテーション 日時 2016 年 9 月 27 日(火) 11:45 ∼ 12:35 会場 第 4 会場(仙台国際センター 会議棟 2F 桜 1) 座長 徳永 勝士 教授 東京大学 大学院医学系研究科人類遺伝学分野 Katsushi Tokunaga(Professor, The University of Tokyo) 演題 医療分野における HLA の多型性 Polymorphism of HLA in the medical field 演者 田中 秀則 所長 公益財団法人 HLA 研究所 Hidenori Tanaka(Director, HLA Foundation Laboratory) 本セミナーは 整理券制です 配布月日 : 2016 年 9 月 27 日(火) 配布場所 : 仙台国際センター展示棟 配布時間 : 8:00 – 10:30 ※大会事前登録者向けオンラインでのセミナー予約もご利用ください。 「ジャポニカアレイ ®」は、 国立大学法人東北大学の登録商標です。 株式会社東芝 アフィメトリクス・ジャパン株式会社 第 89 回日本生化学会大会 バイオインダストリーセミナー 医療分野における HLA の多型性 公益財団法人 HLA 研究所 所長 田中 秀則 HLA 分子の機能は、溝状構造に収納したペプチドを T 細胞受容体(T-cell Receptor:TCR)に提示 することであり、通常自己ペプチドを提示することで T 細胞は活性化しない状態であるが、非自己ペプチド が提示されると T 細胞が活性化する。移植医療では、移植片由来ペプチドを自己と認識される適合性が 重要となる反面、癌ペプチドワクチンなどの免疫療法では、 「癌ペプチド」を非自己として認識することで 治療が可能となる。このように、医療分野では HLA の機能である自己決定(自己と非自己の区別)を、 HLA の多様性に応じてコントロールすることが重要となる。 現在、造血幹細胞移植として骨髄移植、臍帯血移植、末梢血幹細胞移植等が行われており、患者と 提供者の HLA 型適合が図られている。HLA のタイプ(型)には「アリル」と「抗原型」があり、それぞれ 塩基配列および抗血清による区別でアミノ酸配列の違いを表現している。近年では、同じ「抗原型」でも HLA 分子の溝状構造のアミノ酸の違いにより提示されるペプチドに影響することが知られており、T 細胞 活性化という面では、 「アリル」での適合性評価が求められている。 一方、非自己認識が肝要となる免疫療法においては、 「樹状細胞ワクチン療法」、 「癌ペプチドワクチン 療法」、 「cytotoxic T lymphocyte(CTL)療法」等が、HLA との相関性が高い治療法になるが、最新 の免疫療法では CTL 表面の PD-1(Programmed cell death 1)と結合することで、癌免疫寛容状態 となることを防ぐ「PD-1 抗体」での治療法が脚光を浴びている。 「癌ペプチドワクチン療法」では、 白血病細胞や種々の固形癌細胞に特異的に存在するタンパクをペプチドに断片化し、効率よく HLA 分子 に提示させることが免疫誘導の可否となる。ペプチド断片は人工合成され、HLA 分子の溝状構造の違い によりワクチンが設計される。例えば、WT1(Wilms 腫瘍遺伝子)と HLA-A2 の場合、WT1 由来の 449 個のアミノ酸から、HLA-A2 分子の溝状構造に結合する 9 個のアミノ酸配列で、特に HLA-A2 との 結合能の強い 2 種類のペプチドがワクチンの候補として設計される。 HLA の多様性は医療分野において、今後も様々な観点からの利用が試みられており、免疫関連疾患 および治療に関わる知見を蓄積するためには、遺伝子解析によって HLA 型を知っておくことが非常に 重要であると考える。 略歴 昭和 55 年 3 月 東京薬科大学 卒業 昭和 55 年 4 月 山口県赤十字血液センター 入社 平成 6 年 4 月 日本赤十字社中央血液センター 勤務 平成 13 年 10 月 東京都赤十字血液センター 勤務 平成 20 年 4 月 日本赤十字社 血液事業本部 勤務 平成 27 年 1 月 公益財団法人 HLA 研究所 理事 副所長 平成 27 年 10 月 公益財団法人 HLA 研究所 理事 所長
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