転校-毎日を思い出に

転校
私は、今、東海南中学校の2年生である。この地域
に引っ越して来て3年目を迎えている。今、私にはた
― 毎日を思い出に ―
海南市立東海南中学校 2年 森下 実紅
くさんの友だち、一緒にいて楽しく、何でも相談でき
る親友がいる。
また、私は1年生から陸上部に所属している。一緒
転校。それはすごく悲しく、辛い出来事である。し
かし、悪いことばかりではない。
私の父は警察官だ。私は父の仕事の都合で何度も転
校をしなくてはならなかった。そのたびにたくさんの
友人やお世話になった先生方、地域の方々と別れなく
てはならなかった。とても悲しい思い出である。
中でも一番心に残っている別れは、小学4年生の時
に転校した、下神野小学校で知り合った親友との別れ
である。その親友とは、たったの2年間の付き合いだ
ったが、どんな悩み事も打ち明けられる存在であり、
とても頼りにしていた。心から親友と思える存在だっ
た。しかし、5年生の3学期が終わる頃、父の転勤が
決まった。私は、親友になかなか転校のことを言い出
せなかった。でも、いつかは言わなくてはならないと
決心し、転校を親友に伝えると、親友は、「なんでよ、
なんでよ。」と泣きながら訴えてきた。私も「ごめん
よ、ごめんよ。」と泣きながら、2人で泣き崩れた。
たった2年間だった。短い間しか一緒に過ごすことが
出来なかったが、私のために泣いてくれる親友の姿を
見て、すごく嬉しかった。でも、その反面、その何倍
も辛かった。
私は、この別れを経験してから、毎日の出来事を日
記帳に記すようになった。「いつか転校するのだった
ら、転校するまでの日々を大切にして、毎日を思い出
にしよう。」そう強く決心したからだ。もし、いつか
転校が決まっても、たくさんの思い出が、私の悲しい
気持ちを、「ありがとう」の気持ちに変えてくれるの
ではないかと。
に練習し、共に頑張ってきた仲間がいる。私は、東海
南中学校が好きだ。だから私は、親友や陸上部の仲間
と最後まで一緒にいて、引退、卒業を迎えたい。
これが、今の私の願いだ。
私は、来年は転校するかもしれないという不安と常
に向き合いながら、今でも日記を書き続けている。日
記には、友人や先生とのやりとり、その時の気持ちな
どを書き留めている。陸上の大会があった日は、自分
の記録やこれからの課題点などを書いている。いつか
転校が決まった時に、日記を読み直し、「ありがとう」
の気持ちになればいいなと思う。
私は、転校を繰り返し、たくさんの友人ができた。
年始に届く年賀状も年々枚数が増え、とても嬉しく思
う。どこかでばったり、以前の親友やクラスメイトと
出会うことがある。そんな時には、声を掛け合い、最
近の話や思い出話で盛り上がる。また、以前に住んで
いた地域に行くと、周りの建物や風景全てが懐かしく
感じられる。また、その地域の運動会やイベントに参
加することで、当時の自分に戻れる気がする。たくさ
んの思い出がよみがえってくる。その思い出の全てが
私にとって宝物である。
転校。それはすごく悲しい出来事であるが、新しい
ステージへの扉でもある。私は、これからも、たくさ
んの友だちや仲間を大切にし、毎日の生活を笑顔であ
ふれる、楽しい思い出にしていきたい。そして、たく
さんの思い出をくれる出会った人々に感謝し続けたい
と思う。