栄徳高等学校

平成 25 年度
姉妹校交流を終えて
総務部国際教育研究課
三浦郁夫
ニュージーランドのダニバーク高校と栄徳高校は 1993 年に姉妹校提携を行い、すでに 20 年が経過
したことになりますが、今年度も交流が行われたことを大変うれしく思います。毎年度交代でお互い
に学校訪問を行っていますが、本年度は英語科の教員である三浦が 5 人の生徒と共にダニバーク高校
を訪問しました。生徒たちと同じく私にとっても初めての姉妹校訪問であり、多くの点で日本の教育
と異なるニュージーランドの教育を目の当たりにできました。授業以外にもニュージーランドの家庭
でのホームステイ、農場訪問、マオリ族の文化体験などを行い、これらのことすべては生徒たちの視
野を広げるまたとない機会となったと感じています。この度の姉妹校訪問について写真とともに報告
します。
1. ダニバーク高校について
9 年生から 13 年生、つまり 13 歳から 18 歳までの約 500 名の生徒が通う公立校です。建物はほと
んどが平屋建てで、一番高い建物でも 2 階建てです。
職員は 30 名ほどで、朝の打ち合わせは職員室で行われますが、それ以外の時間は仕事をするのでは
なく、くつろぐ場所として使われています。休み時間に訪れると、持ち寄った軽食を食べながら職員
同士が雑談をしている様子が見られました。
ビリヤード台もありました。
日本の学校とは違い各教室が教員のオフィスとなっているため、教科や先生によって教室ごとに違
う雰囲気を持っています。
地理の教室
この後、日本文化の紹介として校外(校長先生の
自宅!)に盆栽を見に行きました。
コンピュータの授業
英語の授業
農業の授業
担当は以前栄徳に来た、Shane Story 先生(写
真一番左)です。
調理実習の風景
担当の Lalita Prasad 先生(写真一番右の女性)
も以前栄徳に来ました。
どの授業も比較的少人数で行われ、生徒たちがのびのびと学習していた様子がとても印象的でした。
3.マオリ式の歓迎式(Powhiri)
ダニバーク高校での学校生活はマオリ式の儀式から始まりました。私たち以外にもダニバーク高校
で生活を始める生徒もいて(なんと日本からの留学生も)
、一緒に儀式に参加しました。
Powhiri の始めに、ステージ
上でダニバークの生徒による
ハカが行われました。
Les Hoerara 副校長(去年栄
徳に来校)からの挨拶。マオ
リ語で行われました。
栄徳高校からは 3 年の南
健四郎君がスピーチをし
ました。
栄徳生は日本で練習した歌
(Queen の Let Us Cling
Together)を披露しました。
歌の後にはマオリ式の挨拶であ
るホンギ(Hong:鼻と鼻をくっ
つけ合う挨拶)を行いました。
ホンギは儀式の場だけでなく、
マオリ族同士が出会うときには
日常的に行われます。
4.表敬訪問
ダニバークはニュージーランドの行政区分の 1 つである Tararua District の主要な町です。そこに
は Tararua District 議会のオフィスがあり、District の長官がいます。滞在中に長官の Rolly Ellis さ
んを訪問しました。
ダニバークはバイキングの子孫であるデ
ンマークからの移民によって作られた町
で、町の入り口にはバイキングをデザイ
ンした看板があります。
右から 3 番目が Tararua の長
官の Ellis さんです。その左隣
は ダ ニ バ ー ク 校 長 の Dr. de
Villiers です。
生徒たちは一人ひとり、Ellis さんと握手をしてもらいま
した。
5.牧場体験
ダニバークの町を少し離れると見渡す限りの広大な牧場が広がります。生徒たちは牛の牧場と羊の
牧場を訪れました。
Brent Stewart さんの
牧場で牛の世話の体験
を行いました。
まず、放牧場の牛を搾乳場まで追い込む手伝
いをしました。
搾乳場では牛の乳房に搾乳のための装
置を取り付ける手伝いをしました。
搾乳の手伝いの後は子牛を見に行きました。
牧場体験が終わって、牧場主の
Stewart 夫妻と
別の日には羊の牧場にも行きました。あまりにも広大だったのでトラックの荷台に載って回りまし
た。
牧場主の Heald 夫妻と。奥さん
の Jane さんはダニバーク高校
の図書館員です。
6.マオリの文化体験
マオリの文化体験としてダニバーク高校の先生である Tamai Nicholson 先生とマオリの伝統料理で
あるハンギを作りました。
女の子たちが室内で食材の準
備をしている間、
男の子たちはかまどの準備をしました。
このかまどで火を炊いて、石や鉄を焼き
ます。ここで使った石は先祖代々受け継
がてきたそうです。
上の写真の一番右に移っているのが
Tamai 先生です。顔中入れ墨で迫力が
ありますが、とてもフレンドリーな人
でした。
左の写真に写っているのは一緒に作
業した Tom さんです。素朴でいい人
です。
かまどが焼け落ちたら、穴の中に焼けた石と鉄くずを入れてその上に食材を乗せます。
その上に湿らせた布や麻袋をかけ、最後に土をかけ蒸し焼きにします。3 時間ほど待ってできあがり
です。ここで調理したハンギは夕方の私たちのフェアウェルパーティーで提供されました。
ハンギができあがるまでの間、Tamai 先生の一族の Marae(マオリの集会所)を訪れました。
Tamai 先生は何百年も前に海を渡
ってきた先祖から現在に至るすべ
て先祖の名前を言えます。驚きまし
た。
7.フェアウェルパーティー
ダニバークでの最後の夜、高校の食堂でフェアウェルパーティーを開いてもらいました。
料理は昼間作ったハンギです。
栄徳生とダニバークのホスト生
徒そろっての食事
最後にはマオリの歌を歌っても
らい、
その後で栄徳生とホストの生徒全
員で歌を歌いました。
心に残る最後の夜になりました。
8.最後に
英語が流暢とはいえない生徒たちが、ダニバーク高校の生徒たちそしてホストファミリーにとけ込
めるか、出発する前は大変心配でした。しかし、いざ始まってみると生徒たちはつたない英語ながら
も、ホストの生徒たちと楽しくコミュニケーションをとっていました。休日に栄徳生とホストの生徒
たちが全員集まりスケートリンクで遊んでいる姿を見たのですが、その楽しそうな姿が今回の訪問で
一番印象に残っています。8 泊 9 日にわたるダニバークでの滞在で言葉の壁を越えたふれあいができ
たことが、今後の生徒たちの英語学習や進路にきっとよい影響を与えてくれるでしょう。来年度はダ
ニバーク高校の生徒たちが来校します。その生徒たちにも私たちと同じく忘れられない経験をしても
らうことができたらと考えています。
日曜日、パーマストンノースのスケートリンクにて
姉妹校交流を終えて
3年1組
松原大朗
私が姉妹校であるダニバーク高校の訪問に参加しようと思ったのには、2 つのきっかけがあります。
一つは昨年の夏、ニュージーランドの語学研修に参加したことで、もう一つは今年の1月にダニバーク
高校の生徒のホームステイを受け入れたことです。以前から海外には関心がありましたが、このような
経験をすることでその関心がさらに高まり、「もっと海外へ行ってみたい」と思うようになりました。
今回の姉妹校訪問で私が実感したことは、英語で会話するとき、つたない英語でも言いたいことが十
分に伝わると言うことです。正確な英語が使えなくても、ジェスチャーやその時の状況などで、相手は
こちらの言いたいことを汲み取ってくれます。
「自分の英語が伝わらなかったらどうしよう」と思って消
極的になるのではなく、いかに自分の言いたいことを伝えるかを考え、積極的にコミュニケーションを
図ることが大切であることを知りました。
私は今回の経験を通して、将来は海外で活躍できる仕事がしたいと考えるようになりました。そのた
め外国語学系の学部がある大学に進学したいと思っています。ニュージーランドに出発する前は、高校 3
年生の夏休みという受験生にとって重要な時期に参加してよいものかとも思いましたが、帰国した今、
勉強では得られないとても貴重な体験をしたと思っています。姉妹校交流は 10 日間という短い期間でし
たが、充実した生活を送ることができ、今の自分、そして将来の自分に大きな影響を与えるものとなり
ました。
3年6組
南健四郎
私はダニバーク高校の訪問で、日本とニュージーランドの間の生活や文化の違いに関して様々なこと
を学ぶことができました。また、農場で牛の世話の体験ができたり、マオリ式の料理を作ったり、ラグ
ビー部に入部し一緒に練習するなど、すばらしい体験ができました。土日はホストファミリーに色々な
所に連れて行ってもらいました。ラグビー博物館を訪れたり、ショッピングやスケートをしたり、とて
もいい思い出になりました。
学校生活では日本にはない授業も含め色々な授業を受けました。音楽の授業では自分の演奏したい楽
器を学び、ドラマのクラスでは演劇の練習をしました。また、マオリのクラスではマオリ語やマオリの
歌などを学びました。学校の雰囲気はとても自由な雰囲気で、休み時間にはみんなでビリヤードをした
り、お菓子を食べながらトランプをしたりしました。色々なイベントもあり、飲酒運転を警告するキャ
ンペーンで指定された生徒とは会話をしていけない日、生徒全員が私服で登校する代わりに 1 人 2 ドル
募金する日、小児ガンの子どものための募金をし、鼻に赤い玉をつけるレッド・ノーズ・デイなど、日
本の学校とは大きな違いを感じました。
私たちの歓迎会はマオリ式で行われ、自分の鼻と相手の鼻を合わせて握手をするというマオリ式のあ
いさつを教わりました。歓迎会ではハカも見せてもらい、本当にすばらしい体験をすることができまし
た。
3年8組
小島瑞生
私はニュージーランドには行ったことがなく、どんなところかも全く知りませんでした。ダニバーク
高校に着くと周りは英語だけの会話で、私の不安は増すばかりでした。しかし学校生活では、ダニバー
クの生徒は何もわからない私に話しかけてくれたり、親切に説明をしてくれたりと、色々と助けてくれ
ました。ホストファミリーはみんな本当に優しく、言葉が通じなかったときは言い直してくれ、1 日が
過ぎていくたびに不安が楽しみに変わっていきました。
ダニバークでは今までやったことのない農場体験も行いました。普段飲んでいる牛乳がどのようにで
きるのか、牛がどれだけ大切に育てられているのかなど、農場での苦労も知ることができました。ニュ
ージーランドの大自然は日本とはまた違った美しさが感じられ、私はそれを目で見るだけでなく、体全
体で味わえたと思います。
私にとってニュージーランドで体験したことすべてが初めてのことでした。そして行く前に想像して
いたこととは全く違っていました。暖かい家族、友達、自然など、ずっとここにいたいと思いました。
ニュージーランドで日本では体験できないことができ、たくさんのことを学ぶことができました。私
は将来の夢について悩みがありましたが、この交換留学を将来に生かしたいと思います。そしてこの経
験を忘れないようにしたいです。
1年A組
大網伶奈
不安で仕方がなかった初めてのホームステイは本当にあっという間に終わってしまいました。飛行機
が久しぶりだったのも不安の一つで、夜中にだいぶ揺れて怖かったことを覚えています。ニュージーラ
ンドで一番大きな都市であるオークランドを経由してパーマストンノースという町で飛行機を降りまし
たが、オークランドからパーマストンノースまでの飛行機はとても小さくびっくりしました。
姉妹校があるニュージーランドのダニバークという町はとても良い所です。フレンドリーで親切な人
ばかりで、私の不安と緊張をすぐに消し去ってくれました。学校では数学の授業を受けたり、マオリ語
を学んだりしました。学校内には生徒がくつろぐことができる部屋があり、休憩時間にはそこでビリヤ
ードやトランプをしました。また、牛や羊の農場の見学を行う日もありました。ホストファミリーはと
ても優しく、私のつたない英語をちゃんと聞いてくれ、私が質問を理解できないときはジェスチャーを
交えて繰り返し言ってくれました。私はこんなホストファミリーが大好きです。
放課後はほとんど毎日、一緒に姉妹校訪問に参加した栄徳高校の仲間やホストの生徒たちのみんなと
遊び、話し、歌い、笑い、そのうちに「もう帰りたくない!」と思うようになりました。英語で言いた
いことが言えずに悔しい思いをしたことも多かったですが、フレンドリーなみんなにつられて、私も自
分から話しかけられるようになっていきました。ダニバークでの最終日、ホストファミリーと別れた直
後、私の目から涙があふれました。それはダニバークを去ることの寂しさと英語で十分に言いたいこと
が言えなかったことの悔しさがつまった涙でした。
このように、私の人生初のホームステイはこれ以上ないほど楽しかったのと同時に少し悔しさの混じ
ったものとなりました。しかし、私はこの経験を通してますます英語と外国が好きになりました。
1 年A組
坂口玲実
今回のダニバーク高校訪問は私にとって初めての海外旅行で、とても楽しみにしていました。もちろ
ん英語が通じるか、言われたことが理解できるかという不安もありましたが、ホストファミリーを初め
とするニュージーランドの人たちは皆親切で、先生や一緒に訪問した仲間たちの助けもあり、困難を乗
り切ることができました。皆さまには大変感謝しています。
私がこの派遣を通して学んだことは 2 つあります。一つ目は相手の親切を受け入れるということです。
ニュージーランドの人はとても親切で温かい人柄を持っていました。いつもなら相手に申し訳なく思い、
自分自身でやっていただろうことも、ニュージーランドの人は色々と手伝ってくれました。そのような
体験から、相手が自分を助けようとしてくれるときには変な遠慮をせず、感謝して手伝ってもらうほう
がお互いに嬉しい気持ちになるのだと気づかされました。
2 つ目は英語でのコミュニケーションに関することです。英語でコミュニケーションをとることはや
はり難しく、簡単な言葉を言うことはできても、相手が何を言ったかを理解することは本当に大変でし
た。初めは電子辞書の翻訳機能に頼ることもありましたが、次第に相手もジェスチャーや顔の表情など
で、私がわからない単語の意味を伝えてくるようになり、
「こんな意味なんだ!」と理解できたときはと
ても嬉しく感じました。また「玲実は理解できているよ」と言ってくれたことも嬉しかったです。私は
このような経験から、英語が十分に話せなくても、ジェスチャーなどを使ってコミュニケーションがと
れることを学びました。
私は将来、国際関係の仕事に就きたいと思っています。そのためこれから苦手なヒアリングを鍛えて、
英語のコミュニケーション能力を高めていきたいです。そして、またいつかニュージーランドを訪れる
時には、英語を普通に話せるようになっていたいです。