所 信 表 明

所
信
表
明
本日、平成28年山田町議会第3回定例会 の開会にあたり、
町長としての所信の一端を申し上げ、今後4年間の町政運営に
向けて、議員各位をはじめ、町民の皆様の深いご理解とご協力
を賜りたいと存じます。
私は、去る7月10日に執行されました山田町 長選挙におい
て、2期目の立候補をさせていただき、多くの町民の皆様から
ご支持を得て、無投票当選の栄を賜りました。
引き続き町政の舵取りをさせていただくことになり、誠に光
栄であるとともに、果たすべき使命と責任の重大さを痛感し、
前任期以上に緊張感が湧き、 改めて身の引き締まる思いでござ
います。
初当選からの4年間は、被災して間もない混乱の中、
「震災か
らの復興」という大きな歴史の変革の ときであり、町の未来の
かたちを決する重要な決断と、難しい判断の連続でありました。
議会並びに町民の皆様のご理解とご協力のもと、この1期4
年間は「震災からの復旧・復興」を大命題として、全力で取り
組み、今、まさに町のかたちが大きく変わろうとしております。
生まれ育った故郷、山田町の復興を確実に果たすべく、常に
「民間感覚を行政に」の思いと、
「山田復活」への挑戦の心を持
ちながら走り続けてまいりましたが、これからの4年間は、 ま
さしく私の施策の真価が問われるときであり、さらに歴史ある
[1]
この町を、次の世代へ確実に繋ぐための重要な時期になると考
えております。
町の復興を成し遂げるということは、ハード面の整備の完了
のみで終わることではなく、そこに住む町民の皆様方一人ひと
りの思いと、心の復興を大切にしたものでなければなりません。
そういった意味で、私の今後の町政運営の基本的な考え方と
いたしまして、
「思いやりのある政治」を政治理念として掲げま
した。
2期目となるこの4年間は、昨年度策定いたしました、
「山田
町総合計画」の各種施策をベースにしながらも、刻々と変わる
情勢に、私自身の変わらぬ民間感覚と 臨機応変で柔軟な思考を
もとに、皆様のご理解・ご協力を賜りながら、まちづくりを進
めてまいる所存でございます。
[2]
さて、私は今回出馬するにあたって、次の公約を掲げさせて
いただきました。
○災害公営住宅への引っ越しの完遂
○復興工事の完遂
○住宅再建への支援
○新斎場の新築移転
○産業振興の支援
○医療福祉の向上
○学校給食センターの建設
以降、各項目について、具体的に述べさせていただきます。
○災害公営住宅への引っ越しの完遂
であります。
本町の災害公営住宅については、27年度までには豊間根、
大沢、柳沢、織笠、大浦の5地区、28年度は町内最大規模の
山田中央団地と整備を進めてまいりました。30年度には計画
戸数全てが完成する予定であります。
時間の経過とともに被災者の意向が変化することも十分あり
得ることから、今後とも意向調査等により必要戸数を把握しな
がら、引っ越しを完遂していただけるよう取り組んでまいりま
す。
町内6地区で進めている高台移転等の宅地造成工事は現在、
大詰めを迎えております。年内には山田地区を除く5地区で造
成が完了する予定で、織笠地区などではすでに住宅再建が目に
見えて進んでいる状況であります。
[3]
山田地区については用地取得の難航等で時間を要し ましたが、
29年度には高台団地と区画整理地内の嵩上げ工事の完成を見
込んでおります。
併せて、応急仮設住宅の集約化を進めていかなければなりま
せん。集約化については、復興事業・災害公営住宅建設・高台
移転等の事業の進捗状況が関わってまいりますので 、各種の調
整を行いながら、最終的には31年度にすべてを撤去する計画
で進めてまいります。
いずれにしましても、本業務の遂行に当たっては、そこにお
住まいの皆様の様々な状況と感情が絡むものでございます。
丁寧な配慮を心掛けることはもちろんではありますが、本設
のお住まいへの引っ越しの完遂は復興の大前提となるものであ
り、本件について覚悟をもって取り組んでまいります。
○復興工事の完遂
であります。
誰もが経験したことがない大災害から5年余。この間、本町
では、23年12月に策定した山田町復興計画に基づき、
『二度
と津波による犠牲者を出さない』ことを大命題として復興のま
ちづくりを進めてまいりました。
その中で、本年は26年度から始まった「再生期」の3年目
の年であり、新たな土地での住宅再建はピークを迎え、商工業
なりわい
者等の生業 再生に向けた活動も本格化 いたします。
陸中山田駅前には、まちなか再生計画に基づく共同店舗棟や
[4]
交流施設などの建設が進み、本年中には賑わいのある中心市街
地が徐々に姿を現します。
そして、30年度から32年度の「発展期」というステージ
では、町中心部の区画整理事業も完了し、居住区域はすべて引
き渡します。また、三陸鉄道による宮古~釜石間の鉄路 の運行
が開始されるなど、復興のまちづくりは最終段階を迎えてまい
ります。
今後は山田町復興計画の仕上げとともに、 住居と地域の再編
が進むことによる、新たなコミュニティの形成や公共交通の再
編など、町が持続的に発展していくための様々な取 り組みを進
めてまいります。
○住宅再建への支援
であります。
今後、各種事業の進行とともに、再建支援制度の啓発及び相
談業務体制の充実強化を図りながら、 住宅再建をしていただけ
るよう、これからも引き続き支援してまいります。
本町ではこれまで、被災者の住宅再建を後押しするため、各
種補助金制度を創設しておりますが、高齢化の進む中では資金
力やローン負担に不安を抱える方も多く、さらに昨今の建築費
の高騰により、住宅再建への決断を躊躇してしまう、 といった
実情があります。
このため、町として「山田型復興住宅」を提案し、地元業界
団体と連携して、被災者が低廉な価格で住宅を再建できるよう
施策を構築したところであります。
[5]
今年の6月末には柳沢地区にモデル住宅が完成 し、展示会を
開催するなど、今後さらに普及に力をいれてまいりたいと思い
ます。
○新斎場の新築移転
であります。
現在の山田町斎場は、昭和56年に建設してから35年が経
過し、施設がだいぶ古くなってきており ます。
斎場は、町民生活にとって必要不可欠な施設であり、 その機
能は絶えず維持しなければな らないものであります。
利便性が良く周辺環境との調和を図りながら、 故人を偲び人
生終焉の儀式にふさわしく、厳粛な中にも心の安らぎを感じ ら
れるような新たな斎場の建設を進めてまいります。
○産業振興の支援
であります。
地域活力の源は、何といっても地元産業が元気であることで
あり、山田町の屋台骨を支える各種の産業がより活性化するよ
う、今後も支援していく必要があります。
漁業は、これまでも、またこれからも、この町の大きな活力
の基礎であります。
つくり育てる漁業への取り組みとして、前任期中にアワビと
ナマコの種苗等の放流事業を始めました。これを今後も継続実
施してまいります。
[6]
農業については、農家の高齢化や担い手の不足と、これらに
伴う耕作放棄地の増加などが懸念されております 。
農業生産基盤の一層の整備と、新規就農者や担い手を確保し
やすい経営体制の構築など、足腰の強い農業づくりを進めてま
いります。
商工業については、震災直後から、山田町復興計画の策定と
並行して、町内の商工業者等の関係団体と議論を重ねるととも
に、中心市街地の再生について検討して まいりました。
27年3月には岩手県内では初となる「山田町まちなか再生
計画」が復興庁より認定され、コンパクトで利便性が高い施設
配置や賑わい創出に向けた中心市街地の再生・発展に向けた事
業を、商工業者等と連携しながら展開しているところであ りま
す。
10月下旬には、駅前地区にテナント10社による共同店舗
棟がオープンされます。今後は戸建の商店、飲食店、金融機関
等の店舗も順次再建される予定であり、町の商工業の復活に 弾
みがつくものと考えております。
観光については、体験型の観光を今後より強力に進めていく
ために、今年7月に山田町体験観光推進協議会を立ち上げたと
ころであります。今後はコーディネーターの育成や、オランダ
島の活用など、環境の整備を行いながら、エコツーリズム、体
験観光の推進に一層取り組んでまいります。
[7]
さらに「山田プライド」というブランド名を活用し、山田の
観光、物産等を緩やかに一体化させ、一元的に発信するよう、
取り組んでまいります。
○医療福祉の向上
であります。
長寿社会を迎えた今、長生きをするということと同時に、健
康な体で日常を過ごすことができる「健康寿命」が大切であり
ます。
住み慣れた地で健やかに過ごすことは、町民誰もの願いであ
り、その環境を整えることは、重要な責務であ ると認識してお
ります。
被災以降、町民が待ち望んでいた入院機能を持つ県立山田病
院が本日、再建し開院を迎えました。今後、地域医療の中核と
して、その機能を発揮していただくことを期待するものです。
老後の不安やご家族の介護の負担を軽減できるよう、地域と
行政が一体となって、必要とされる人に、より適切な支援が行
き届き、高齢者が住み慣れた地域で生活を継続でき るように、
地域包括ケアシステムの構築を目指します。
「子ども・子育て支援新制度」に基づき 、幼児期の教育や保
育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を進めていくこと
が必要です。
母子の健康づくりの支援や保育サービスの充実を図るほか、
地域の子育て支援活動の推進、仕事と育児を両立できる環境づ
[8]
くりなど、子育て支援の充実を図るほか、 児童生徒の医療費助
成の拡大や、不妊治療費の助成についても引き続き行ってまい
ります。
○学校給食センターの建設
であります。
震災による様々な要因から事業実施を凍結していた、学校給
食センターを建設いたします。建設場所は前回計画と同じく、
山田中学校敷地内であります。
町の将来を担う子どもたちが心身ともに健やかに育つことと、
食事に関する正しい知識の習得など、給食を生きた教材として
活用し、効果的で望ましい食育を推進してまいります。
建設に当たっては、今後、町民グランド仮設住宅の撤去等と
の調整を図りながら進めてまいります。
保護者の皆様からは給食費をご負担いただくことになります
が、その徴収方法の検討も必要です。
また、各学校の搬入口の改修など 給食実施に向けた周辺整備
を行いながら、任期の中で建設することをお約束いたします。
[9]
おわりに
震災から5年の節目を迎えたところであります。
町長室から見える町の光景は 今、あの混乱のときを越えて、
新しい防潮堤が姿を現し、災害公営住宅や自立再建による家屋
なりわい
の完成、そして商店街も日々の生業 を取り戻しつつあり、まさ
に目に見える形で復興が実感できるようになって まいりました。
しかし、復興の完遂はすなわちゴールではなく、ここからが
新たな山田町のスタートであります。そのための基礎となる種
まきを着実に果たし、復興後の町に大輪の華を咲かせていかな
ければならないと、今、意を強くしております。
あの未曾有の震災で、多くのものを失った我が 山田町が、復
興の困難なときを乗り越え、次の新たなるステージに立つとき
であります。
たくましく生まれ変わろうとするこの町のために、これから
の4年間、粉骨砕身、やり遂げるという強い決意を申し述べて、
所信表明といたします。
[10]