null

進 路 指 導の
? に答えます
そ も そ も「 進 路 指 導 」
とは何を指す?
導するのは、クラス担任だ。進路
させる「学習指導」
、日常のルー
る指導はその一部だ。学力を向上
と呼ばれている。大学受験に関す
考えさせる指導全般が「進路指導」
高校卒業後の道筋、生き方を
導の高校では、学年ごとに指導方
団の協業体制は異なり、学年団主
高校によって進路指導部と学年
なる。
ス担任に伝えて指導を託すことに
し合われた方針を、各学年のクラ
指導部は、集めた情報や部内で話
ルを覚え行動を律するための「生
針が異なることも。また公立高校
どんな組織体制で
行 わ れ ているのか ?
A
Q
るため、進路指導部の教員も入れ
ほとんどの高校には、各学年
して継承することが課題となって
人の指導スキルを組織のスキルと
替わりが多い。そのため、教員個
の教員(学年団)が数人ずつ所属
いる。
織があり、高校全体の進路指導
方針を検討している。大学が行
う 高 校 訪 問 や 入 試 説 明 会 に は、
進路指導部の教員が対応すること
選びの「安・近・短」志向への憂
この背景には最近の生徒の大学
いのだ。
る力を学習を通じて養成してほし
つまり、生徒には社会で活躍でき
る」という価値観を持っている。
そのプロセスこそが自信をつけ
る。
「目標に向かって努力をする、
身に付けることを強く願ってい
て、勉強に取り組み、学習習慣を
程で目標達成に向けて計画を立
て教科学力を高めること、その過
逆に言うと、大学が偏差値の序
喜んで送り出すはずだ。
納得できる理由があれば、教員は
への進学を生徒が希望した場合、
2大学に合格し、低いほうの大学
している。仮に偏差値に差がある
く、また、生徒も進路観が多様化
ると単純に考えているわけではな
高い大学に行けば生徒は幸せにな
もちろん、高校教員も偏差値の
に参考にされている。
点から最終的な出願校を決める際
として使われるほか、現実的な観
高 校 教 員 は、生 徒 が 勉 強 し
慮がある。偏差値は、高い目標を
列を覆す教育力などの魅力を高校
→
掲げさせることによって学習への
や高校生にどこまで伝えきれてい
も出てきている。
に、統計的な調査をしている高校
は多い。今回紹介した事例のよう
魅力を講演させたりしている高校
き」に書いてもらったり、大学の
紹介を在校生向けの「進路の手引
業生に大学入学後の体験談や大学
ことが進路指導の「成果」だ。卒
業生が充実した生活を送っている
多くの高校では送り出した卒
高 校 は 何 を もって
進 路 指 導 の「 成 果 」
と し ているのか ?
が問われているともいえる。
るか、エビデンスを示せているか
動機づけを行うための目標の目安
が多い。
偏 差 値 に 基 づい た
大 学 選 びを さ せ て
いるので は?
する「進路指導部」などという組
A
の場合は教員が数年ごとに異動す
活指導」などとも深く関わる。
Q
FAQ
面談などを通じて生徒に直接指
ひと 昔 前 とは大 き く 異 なる高 校の進 路 指 導の実 態 。
大 学 関 係 者から 寄せら れ た 疑 問 を 高 校 関 係 者に聞いてみた 。
高校現場の
を知る
「今」
母校に遊びにきたついでに、恩
知って
おき たい
【 学年集会 】
はより日常的なテーマが扱われ、ガイダン
「ガイダンス」とほぼ同義だが、学年集会
スよりも頻繁に開かれる。定期テストに臨
む姿勢、夏休みの過ごし方、部活動と勉強
の両立など、教員が話す内容は進路指導に
限らない。
【 保護者会 】
による組織、または高校が保護者を対象に
生徒の高校生活支援を目的とした保護者
多い。入試の専門家が大学受験について解
選択に役立つ講演。外部講師を招くことが
高校が生徒や保護者を対象に行う、進路
【 文理選択 】
どがテーマになる。
専門家による入試動向や進学費用の解説な
の報告、家庭でできる学習サポートの紹介、
学年ごとに行われるのが普通で、学習状況
行う集会のこと。進路指導に関する集会は
説するもの、大学関係者が進学後の学びを
て語るものなどのほか、卒業生が受験体験
や大学生活を語る講演もある。
文系クラスと理系クラスに分かれる。どち
らに進級するかを選ぶ文理選択は、高1の
したものとなる。一般的にクラスの変更は
業科目は、文系・理系型の受験科目を想定
年内には最終希望を提出する。進級後の授
選択に関する注意、入試動向の解説、出願
できないため、選んだ方とは異なる型で受
1学期からガイダンスや希望調査が行われ、
校の選び方など、その時期に必要な情報を
験 す る 場 合(文 転・理 転 と 呼 ぶ)は、不 足
高校が企画するガイダンスは通常、学年
教員が提供する。また、企業が行う学校選
する科目を独学で勉強することも多い。
めたうえで、どの科目を履修するかを選ぶ
文系・理系どちらに進むかを1 年次に決
【 科目選択 】
入学者同士の交流や教育方針の説明を目
こ と。主 に、理 科 と 地 歴・公 民 で 選 ぶ 科 目
が焦点となる。2年次の冬に決定し、3 年
次からの時間割に反映されるケースが多い。
の面談時期が設定されているが、それとは
担任と生徒による面談のこと。年に数回
がある。
受験可能な科目を調べてから履修する必要
は2年生のうちに受験校をある程度想定し、
後は授業科目の変更ができないため、生徒
大学によって受験科目が異なる一方、進級
別に生徒から面談の希望が出ることもある。
【 学力分析会 】
内容は二者面談と変わらないが、特に3年
願 校 の 決 定 前 な ど に 行 わ れ る こ と が 多 い。
の1 学期中盤〜後半、および文理選択や出
される。
の授業運営や各生徒へのアドバイスに生か
われることが一般的。分析結果は、その後
進路指導部や担任らにより、学年ごとに行
を 分 析 し、指 導 方 針 を 検 討 す る 場 の こ と。
年全体、クラスごと、生徒ごとの学習状況
模試や実力テストなどの結果を基に、学
次の三者面談は、志望校を三者が合意する
的に学習するイベントのこと。予備校や私
学力分析会と同様の集まりだが、各生徒
のみ参加の場合がある。進路に関するガイ
高校によって、全員参加の場合と希望者
は公立高校も取り入れる例が増えてきた。
立高校では以前から行われていたが、近年
の志望校を吟味することに主眼が置かれる。
ダンスなどが組み込まれることもある。
ストより出題範囲が広い。実施の趣旨は模
日頃の学習成果を測るテストで、定期テ
【 実力テスト】
し合った結果は、後日、担任が生徒に伝える。
試と同じだが、実力テストは一般的に自校
生徒同士の話し合いなどが行われる場のこ
担 任 に よ る ク ラ ス 全 体 へ の 連 絡、指 導、
め、
「ス タ デ ィ ー サ ポ ー ト」
(ベ ネ ッ セ)と
えてより客観的な全国区での実力を測るた
ただし高校によっては、大学受験を見据
の教員が問題を作成する。
と。 〜 分程度の短いホームルーム
(HR、
【ホームルーム】
特に3年次には複数回行う高校が多い。
略、以降の学習などについて検討する。話
1志望校の妥当性、併願校を含めた受験戦
部活動の様子などさまざまな観点から、第
模試や実力テストの成績の推移、
授業態度、
【 志望校検討会 】
機会として重要な意味を持つ。
担 任、生 徒、保 護 者 に よ る 面 談。各 学 年
【三者面談 】
中心。
学習の進捗、進路の検討状況の確認などが
【二者面談 】
の紹介などを行う。
や3年間の進路指導の流れ、卒業生の進路
的とした行事。高校での学習のしかた指導
【 新入生オリエンテーション】
イダンスと呼ばれる。
びに関する進学関連イベントもしばしばガ
単位で年に数回行われる。文理選択や科目
【ガイダンス】
多くの高校は2年(一部は3年)進級時に、
紹介するもの、職業人が自身の人生につい
【 進路講演会 】
進路指導
用語
20
れる)と、授業時間を使った長いホームルー
て活用しているところもある。
いうアセスメントや模試を実力テストとし
成 績 の 向 上 を 目 的 と し て 行 わ れ る 指 導。
【 学習指導 】
習の時間」を使って、受験情報誌を使った
活指導」と区別する意図で用いられる。
生徒への指導の内容を「進路指導」や「生
導だけを指す。
に対し、教科指導は教科の内容に関する指
時間の使い方や取り組み姿勢なども含むの
「教科指導」とほぼ同義だが、学習指導は
主に担任が生徒に行う、どの大学に出願
【 合格体験記 】
学入学後の学生)が、受験を振り返って書
志望校合格を果たした生徒(もしくは大
ノウハウ、苦しい時期の乗り越え方、合格
くレポート。志望校の選び方、受験勉強の
えられる合格者に、高校が執筆を依頼する。
の喜びなどが報告される。ふさわしいと考
身近な先輩の努力の記録は、後輩生徒の意
2年次後半から3年次の1学期ごろに多
徒が第一志望の大学・学部・学科とその志
に欠かせない素材となっている。体験を文
欲に強い刺激を与えられるため、進路指導
会に卒業生自身から発表させる高校も多い。
章にするだけでなく、ガイダンスなどの機
望理由を用紙に記入し、教員や保護者に提
り切るためのモチベーションを高める狙い
がある。
2年次の3学期のこと。
トとして学習姿勢や意識を切り替えるよう
3年次の1学期には、受験学年のスター
えられる生徒は少ない。そこで3年次に進
指導が行われるが、実際には即座に切り替
の情報をまとめた冊子。例えばベネッセ・進
BOOK』など。高校では出願校の最終決
を始めるべきだとの意図を、生徒や教員に
級する前から徐々に受験生モードへの移行
に普及している。
浸透させるためにつくられた言葉。全国的
定に向けた指導に活用する。
宿泊施設等に滞在し、泊まりがけで集中
【 学習(勉強)合宿 】
研アド発行の『受験校決定PERFECT
大学の募集単位ごとの入試科目、配点など
【 入試科目一覧 】
【 受験生0学期 】
その大学をめざす自覚を持ち、受験を乗
出する。中には校内に掲示する高校も。
くの高校が行うようになった取り組み。生
【 第一志望宣言 】
力が大きくなっている。
るのは生徒だが、現在は教員の発言の影響
ションを通しても行われる。最終的に決め
者・三者面談のほか、日々のコミュニケー
するべきかのアドバイス。ガイダンスや二
【 出願指導 】
れることも多い。
大学調べ、職業調べなどの進路指導が行わ
このホームルームの時間や「総合的な学
ム(LHR=ロングホームルーム)がある。
SHR=ショートホームルームなどと略さ
10
Q&A
ある公立高校の進路指導資料
16
2016 8-9
2016 8-9
17
20
Q
A
Q
A
師に大学の話をしにいったり、近
→
特集●高校の 進 路 指 導 の「今」
文/児山雄介
特集●高校の 進 路 指 導 の「今」
進路指導の?に答えます
一般入試を希望する生徒が増加
2.2
2.1
年はSNSで卒業生と教員がつな
がっていたりもする。このように
卒業後も母校や教員とつながる生
徒が多い=高校の指導の成果とも
いえるだろう。
志 望 校 決 定 ま での
指 導の流 れ は?
4月
●進路調査
●オリエンテーション
1年生
●進路調査
●オリエンテーション
2年生
●職業研究
●保護者会
受験者数:49.1万人(2015年度)
総合学力テスト・7月
「全国」を意識させ、高校生と
しての学習習慣を定着させる
志望校を選ぶアプローチとし
受験者数:48.6万人(2015年度)
ては、
①将来やりたいことを探し、
国語/数学/英語
7/2
( 土)
5月
●文理選択
国語/数学/英語
6月
●学問研究
1年生後半時点の学力を
測定、新たな課題を発見
7月
Q
A
~2016年度進研模試(ベネッセ・駿台模試)の例
●進路講演会
総合学力テスト・11月
●オープンキャンパス
1年間の学習成果を測定
し、春休みの目標を設定
10/29
( 土)
8月
●夏期補習
総合学力テスト・1月
9月
●学問研究
1/21
( 土)
10月
②近づくための学問を見つけ、
③
11月
それが学べる学部・学科を探す、
12月
●文理選択
2015年
(2,009名) (2,986名) (3,417名) (3,688名)
1月
●進路調査
13.5
2月
④その学部・学科がある大学を選
基本的には、低学年のうちは
るには、高1生のうちに認知され
将来の夢や大学への憧れから第一
ぶという流れが一般的で、
①〜④
志望校決定を指導する一方、生徒
るようアピールを行っておく必要
高1生はあまり大学名を知らな
の学力を上げようと、その時点の
をおよそ高2の冬ごろまでに行う
いため、当初の志望校には地元の
実力より上の大学を勧める。
があるといえる。
大学か全国区の有名大が挙がるこ
また、少ない候補から安易に志
パターンが多い。ただし、近年は
とが多い。その後、目標探しや大
望校を決めている生徒に対して
なるべく早めに志望校を仮決めさ
学調べを進める過程で志望校は入
は、視野を広げるための指導を行
Q
大 学 選 びに 関 す る
教 員の指 導 方 針 は?
れ替わっていき、高3の夏〜秋に
せる高校が増えてきている。目標
は出願校がほぼ確定する。高3の
う。とはいえ教員もあらゆる大学
2006年
がないと、努力すべき方向性と量
月の模試に記入された私立大の
に精通しているわけではなく、ま
た評価がわからない大学には不安
うだ。
55以上
3月
●三者面談
2001年
22.8
26.3
A
進路指導の流れと模試の関係
55未満
24.9
の目安が見えないからだ。
% の生徒が出
志望校は、 〜
が伴うため、自校からの進学実績
願するというデータもある(進研
アド調べ)
。
多い。指定校推薦の安易な利用を
がある大学を勧めることが多いよ
私立大については、入試日程や
防ぐため、推薦枠の開示期間を限
大学広報の視点に立つと、志望
費用の都合さえつけば、合格可能
定する高校もある。
80
→
性が低くても受験させることが多
なおここ数年は、生徒も徐々に
校の候補としてリストアップされ
い。というのも、現役生の入試直
いるというデータもある一方で、
一般入試を希望するようになって
40
10
34.3 50以上
「できれば推薦入試やAO入試で」
と
回答した比率。ただし1996年は「で
きれば推薦で」、2001年は「できれば
推薦(AO)
で」
として尋ねた。
1996年
40
●進路ガイダンス
0
45.5
前期の実力の伸びが急激であるた
20.5
37.3
め、最後に受けた模試の判定が
34.1
45以上
50未満
入試における多面的・総合的評価
45.9
については肯定的という調査結果
53.7
20
10
62.5
例もあるからだ。
30
64.0
Q
A
もある(左の図表)
。
63.0
50
40
45未満
一 般・推薦・AO入試
の使い分 け 方 は?
60
66.0
70.4
Q
模試は進路指導で
ど う 使 わ れ ている ?
70
一般入試を勧める教員が多
高校の学校偏差値帯
んどの高校では志望校との距離を
80
(%)
A
模試は大学進学者のいるほと
~偏差値帯別 推薦・AO入試を希望する割合*2
50
い。目標に向けて努力する経験を
全偏差値帯で
推薦・AO入試希望者が減少
積ませるため、高3の最後まで勉
※高校生(大学進学希望者)
の回答
測るための目安として使用されて
1996年 2001年 2006年 2015年
(3,417名)
(3,688名)
(2,009名)(2,986名)
強する方式が好まれるからだ。
28.7
いる。進学を希望する高校生の数
40.4
教員はコツコツ勉強してきたタ
39.1
は、約 万人前後だが、数社の模
0
39.6
イプの生徒が推薦・AO入試を希
20
試のうち、なかでも進研模試は
できれば推薦入試や
AO入試で
40
望した場合は賛成するが、単に楽
69.2
万人以上が受験する模試も多いた
57.4
に合格したいという理由で希望す
58.2
60
め、統計的な信頼度が高いと言
54.7
できれば
一般入試で
80
る生徒に対しては反対することも
(%)
「D」や「E」でも合格を果たす
5.7
→
2.7
100
無回答・不明
~高校生の大学入試方式の希望 *1
国語/数学/英語
※高校生(大学進学希望者)
の回答
国語/数学①②/英語(筆記・リスニング)
/地歴・公民/理科①②
受験者数:23.1万人(2015年度)
受験学年に向けて、
2年間の学習成果を測定
受験生
0学期
受験者数:44.3万人(2015年度)
国語/数学/英語
高精度の合格可能性判定で、
志望校の「絞り込み」をする
国語/数学/英語
/地歴・公民/理科①②
国語/数学①②/英語(筆記・リスニング)
/地歴・公民/理科①②
受験者数:35.0万人(2015年度)
受験者数:42.4万人(2015年度)
7/2
( 土)
、3
(日)
総合学力記述模試・7月
志望校選択と、秋以降の
受験指導に役立てる
国語/数学/英語
/地歴・公民/理科①②
受験者数:38.1万人(2015年度)
6/4
( 土)
総合学力マーク模試・6月
本格的なセンター試験対策
と、夏休みに向けた課題発見
4/23
( 土)
、24
(日)
総合学力記述模試・4月
受験学年スタート時の学力
を測定し、課題を発見
国語/数学①②/英語(筆記・リスニング)
/地歴・公民/理科①②
国語/数学/英語
/地歴・公民/理科①②
受験者数:44.8万人(2016年度)
受験者数:14.5万人(2016年度)
●進路調査
第1回ベネッセ・駿台マーク模試
3年生・卒業生
9/17
( 土)
●保護者会
受験者数:30.5万人(2015年度)
志望校合格に必要な
記述力の測定と対策に活用
漠然とした憧れを、志望校
という
「目標」
に変える
●志望校検討会議
国語/数学①②/英語(筆記・リスニング)
/地歴・公民/理科①②
第2回ベネッセ・駿台記述模試
●夏期補習
センター試験に向けた
ラストスパートの指導に活用
10/15
( 土)
、16
(日)
●
第3回ベネッセ・駿台マーク模試
総合学力テスト・7月
受験者数:48.6万人(2015年度)
入試ガイダンス
11/5
( 土)
●センター試験出願
(2016年度)
受験者数:49.2万人(2015年度)
●
参加者数:443,487人
志望校検討会議
●冬期補習
*1、2 ともに ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」
(2015年6~7月実施)より
*3 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「高
校生活と進路に関する調査」(2015年3~4月実施)より データネット
センター試験の自己採点集計
結果を基に出した合格可能性
判定を出願校最終決定に活用
センター試験
47.3
「とてもそう思う」+
「まあそう思う」の%
国語/数学/英語
/地歴・公民/理科①②
国語/数学/英語
/地歴・公民/理科①②
54.6
5教科の総合力を測定し、
新たな課題を発見
●学部・学科研究
本番1年前に、
センター試験を体感
●大学調べ
72.6
推薦よりも一般入試で
自分の力を試したほうがよい
入試よりも高校での
活動を評価すべきだ
80
●保護者会
入試では学力だけでなく
多様な能力を評価すべきだ
70
●大学研究
60
7/2
( 土)
●進路講演会
50
総合学力テスト・11月
●オープンキャンパス
40
10/29
( 土)
●夏期補習
30
総合学力記述模試・1月
●進路ガイダンス
20
1/21
( 土)
受験者数:48.5万人(2015年度)
●科目選択
10
2/11
( 土)
センター試験早期対策模試・2月
●進路調査
0
(%)
●三者面談
~大学受験に対する高校3年生の考え*3
●入試ガイダンス
生徒は多面的・総合的評価、
一般入試を肯定
*日付は統一実施日です。受験者数は2016年7月26日現在の情報です。進路行事は目安です。内容や実施月は学校により異なります。
19
2016 8-9
2016 8-9
18
特集●高校の 進 路 指 導 の「今」
進路指導の?に答えます
学力観が変わる→テストが変わる→指導が変わる!
「新しい学力観」に対応したテスト
*文部科学省国立大学改革強化推進補助金「大学間連携による教員養成の高度化支援システムの構築ー教員養成ルネッサンス・HATOプロ
ジェクトー」特別プロジェクト教員の魅力プロジェクト
(実施主幹大学:愛知教育大学)
「 教員の仕事と意識に関する調査」
(2015年8~9月実施)
21
2016 8-9
目標得点
登録
A
1・2年生
目標設定
シミュレー
ション
生徒 志望校を検索・登録。
模試の合格目標点も確認できる。
教員 生徒が登録した志望校
を一覧形式で確認できる。
生徒 志望校の合格目標点を基に、
次回の模試の目標得点を登録。
教員 生徒が登録した目標得点を
一覧形式で確認できる。
目標の検討
シミュレーションを基に
めざすレベルを検討
生徒「あと○点伸ばせばどんな
学校をねらえるか」
を検討できる。
教員 生徒の向上心を喚起し、
学習姿勢の改善を促せる。
3年生
生徒 得点が伸びた場合、志望校を
判定・得点 変えた場合などの判定がわかる。
シミュレー 教員
生徒の向上心を喚起し、
ション
受験に向けたスパートを促せる。
自己
採点
進研模試
カルテ
/復習
C
える。
1.1
の演習問題など、復習を促進する個別の情報提供
が可能になった。目標設定、
自己採点、教員向けの
志望校
登録
平均点が一定範囲に収まるよう
56.5
の問題に関する手厚い解説や、理解を深めるため
D
に作問されているため、実施月が
22.5
は、
この課題の解決に役立つツールとして開発され
た。解答・解説をデジタル化することにより、不正解
より具体的な目標を
設定できるようになる
異なるテストの点数を比べること
26.1
8.5
17.2
生徒の活用例
果を基に生徒を行動させること」だ。
「 模試デジ」
P
により、生徒の実力のおよその推
30.6
16.7
~「模試デジ」を活用した
PDCAサイクルの例
模試について教員が抱える最大の課題は、
「結
目標設定
Q
移を把握することができる。
8.1
15.9
A
模試で得られた データ
はど う 使 わ れ る?
14.4
模試のデータはクラスや学年
14.0
33.6
などの「集団」に対しては、高校
30.5
4.8
ていなければ、その大学は進学先
3.2
24.3
として選ばれないはずだ。大学側
17.4
32.0
は、今後これまでとは異なる学び
31.2
6.9
15.4
をした生徒が受験してくることを
5.3
視野に入れて、その生徒のよさを
14.1
21.8
きちんと測れる入試を課したり、
24.7
大学での教育にうまく接続できる
8.4
11.0 2.8 17.2
よう初年次教育のデザインを変え
9.4
の現状把握と指導戦略の立案に使
15.0 2.2 2.0
29.0
われる。例えば、
「学年全体で見
11.6 2.5 3.9
ると英語が弱いため、英語の補講
57.7
を増やす」
「全体的に志望校が安
9.0 1.7 3.4
全志向になっているので、もっと
60.9
挑戦するように促す」といった例
6.0 2.1 2.2
が典型的だ。
0.7
3.6 1.1
31.3
52.7
たりする必要があるといえる。
63.3
学級定員の少人数化
37.0
外部人材の拡充
25.0
キャリア教育の充実
24.3
アクティブ・ラーニングの推進
14.7
66.1
ICTを活用した教育の推進
14.4
38.9
大学入試制度の改革
13.0
56.1
コミュニティ・スクールや学校支援地域本部の普及
11.7
42.5
教員養成期のインターンシップ実施
11.6
45.9
フリースクールの公認
10.1
38.1
小学校英語の教科化
8.8
30.0
道徳の教科化
8.0
39.3
高校段階での到達度テストの導入
6.9
29.3
校長の裁量権拡大
4.8
20.6
35.5
教員養成の修士レベル化
4.3
21.1
40.7
学制(6-3-3制 )の改革
2.8
16.7
31.8
教育委員会制度の改革
2.7 11.6
28.0
教員免許更新制度
(%)
個々の生徒に対しては、学習の
■賛成 ■どちらかと言えば賛成 ■どちらかと言えば反対 ■反対 ■内容がわからない・無回答・不明
PDCAサイクルを回すために使
~高校教員に聞いた、教育改革や取り組みへの賛否
めた高校も増えつつある。
キャリア教育の充実やアクティブ・ラーニングに8割以上が賛成
また、この半年〜1年の間に、
にしたアドバイスも提供できる。
進む進路指導のデジタル化
データ集計などの機能もデジタルならではだ。
左上のコラムにあるような新学力
このような汎用的な能力は、高校はもちろん、
観に基づくテストへの関心が急速
能だ。同時に、学生に対しては個人結果をもと
に高まっており、今後、現場の指
すテストだ。
導方針や内容が大きく変わる可能
果の指標となるデータを収集・蓄積することが可
性は十分にある。指導の転換が一
に受検することで、大学はIRにつながる学修成
評価を教科学習や進路の検討に生かすよう促
気に進んだ場合、大学で高校で行
動。思考スキルと教科学力との関連が示され、
われる以上の教育内容が用意され
る。このアセスメントを入学から卒業まで定期的
われる。得点や偏差値などの基本
学修成果の指標になりう
主に大学と高校での活用が想定され
ている。高校生向けの成績表は進研模試と連
データに加え、
「同じ志望校をめ
れるものであり、大学での
ざす受験生の数」
「1つ上の合格
が5段階で評価される。
可能性判定を得るために必要な得
大学の学びでこそ、育成さ
点」
「各科目の分野別の成績」と
り測定するアセスメントだ。各思考スキル
いったデータが教員・生徒双方に
論述式を含む筆記試験とアンケートによ
提供される。教員はこれらを基に、
創造的思考の3つの思考スキルを、記述
必要な行動を各生徒に指導する。
プが開発した批判的思考、協働的思考、
な お 進 研 模 試 で は、こ う し た
*問題は、同アセスメントの趣旨を伝える
ために作られたイメージであり、実際の出
題例ではありません。成績表は開発中の
ものであり、変更されることがあります。
データを「進研模試デジタルサー
「GPS-Academic」
は、ベネッセグルー
学の学びに対応するには、従来的
始まっている。
な学力だけでは不足だ」という切
力を測定するアセスメントの検討・導入が
迫感を、大学は高校に与えられて
合わせて高校でも、教科学力の測定を主
とする従来型の模試に加え、汎用的な能
いないとも言えよう。とはいえ、
な評価の実施を求めている。この動きに
ビス」
(以下、模試デジ)により、
文部科学省は高大接続システム改革
の一環として、各大学に多面的・総合的
パソコンやスマートフォンで確
Q
認、管理できる。
A
高大接続改革で検討
されたことは進路指導
にどう生かされる?
り、例えば「キャリア教育の充実」
追い込まれる可能性があるか。簡潔に説明せよ。
左下に示した調査結果にある通
(2)富士山の世界遺産登録が抹消されたとしたら,
世界遺産の目的に照らすと,
国際社会において日本はどのような立場に
高校では今のところ従来の教
ぜか。多様な観点から考え,
その理由を簡潔に説明せよ。
科学力を重視する価値観が根強
(1)世界各地の人々は,
地元の自然遺産あるいは文化遺産が世界遺産として登録されると,
一般に大喜びするが,
それはな
や「アクティブ・ラーニング」の
たりしなければなりません。充分な対策がとられなければ,
世界遺産の登録を抹消されてしまう可能性もあります。
(後略)
く、一部の先進的な高校を除いて
ればなりません。具体的には,
来訪する人や車の数を制限したり,
景観を損ねる施設を改善したり,
新たな観光開発を制限し
推進に賛成する教員の割合は8割
artistic inspiration)」として,
世界文化遺産に登録されました。ただし,
この登録には環境対策についての条件が付され
ており,
2016年2月までに,
来訪者の利便性と安全を図りつつ,
富士山の神聖さと美しさを維持するための方針を決めなけ
は、進路指導や学習指導が大きく
編集部注:協働的思考力を測定する問題
2013年6月,
日本の富士山が「富士山 ̶̶ 信仰の対象と芸術の源泉(Fujisan, sacred place and source of
を超えており、実際に取り組み始
次の文章を読み,
下の(1)
(2)の問いに答えよ。
変わるまでには至っていない。
「大
問題と成績表のイメージ例(GPS-Academic)
模試受験~自己採点
自己採点→復習の
流れを習慣化できる
生徒 各問題の自己採点結果を
入力すると、合計点が表示される。
教員 生徒に自己採点を
促しやすい。
*1
●自己採点が正確かを確認した。また、解け
なかった問 題の解 説を、時 間をかけて読ん
だ。
(現学習院大生)
●紙の成績表をもらう前に、成績や判定を
チェックした。
(現武蔵野大生)
●志望校を登録しておいて、高校の担任の
先 生や塾の先 生との面 談に成 績データを
使った。
(現順天堂大生)
●模試当日は記入しなかった大学の判定を
シミュレーションした。
(現立命館大生)
●実際の成績を基にして、本番までに何点
伸ばせば志望校に合格できるのかを調べた。
その結果を定期的に見てモチベーションを高
めた。
(現神奈川大生)
生徒 復習に適した問題が
提示される。
教員 生徒に復習を促しやすい。
復習問題を指定することも可能。
受験直後の振り返り
疑問点や弱点を把握し、
克服をめざす
進研模試
カルテ/
模試結果
生徒 紙の成績表が届く前に、
ネット上で成績を確認できる。
教員 成績の異なる生徒の答案を
比較し、誤答の傾向などを把握できる。
進研模試
カルテ/
復習
生徒 全国集計結果を基に選ばれた
オススメ復習問題に取り組める。
教員 生徒に復習を促しやすい。
復習状況を一覧形式で確認できる。
教員の活用例
●模試の数週間前に志望校を登録させる。
従来のように模試直前の20分間で書かせる
と、
その場で適当に選んだ大学を書く生徒が
いるが、
これならじっくり志望校を調べ考えさ
せることができる。
●試験後の自己採点を課題として与えてい
る。特に記述模試の場合、答案を見て解答
がどれだけ正答要件を満たしていたか確認す
ること自体が復習になる。
●答案を見比べて、各生徒の解答の傾向
や、生徒間の誤答の比較などを分析する。
●志望校登録、
自己採点、復習等、指示した
ことを生徒がきちんと実行したかを知り、指導
を徹底する。
*1 「Benesse マナビジョン特派員アンケート」(2016 年4月実施、対象:現役大学生)で寄せられた「高校時代の模試デジの活用例」回答より
※模試デジを活用した進路指導のPDCAサイクルの事例は、
「 Between情報サイト」でも紹介しています。
http://between.shinken-ad.co.jp/hs/2016/07/kiyota-hs.html
2016 8-9
20