豪州:NSW 州政府 農業のために BHP の石炭探鉱権を

豪州:NSW 州政府 農業のために BHP の石炭探鉱権を買い戻し
2016 年 8 月 18 日掲載
8 月 12 日、NSW 州政府は、BHP Billiton が保有する Caroona 石炭プロジェクトの探鉱権
を買い戻すことに合意したと発表した。地元紙によれば、買い戻しの金額は 2 億 2,000 万豪
ドル。この鉱区は NSW 州の北東部の Liverpool 平野の中に位置しており、炭鉱の操業が開
始されれば 30 年間で 1,000 万 t/年の生産が見込まれていた。
NSW 州政府の発表によれば、今回の合意に関して Mike Baird 首相は、同州の最も生産性
が高く肥沃な Liverpool 平野の耕作地の将来が保証され、農家の投資に自信を与えることが
出来ると述べた。また、同首相は、今回の件は、肥沃な黒色土壌を持つ Liverpool 平野にお
いては鉱山開発を禁止すべきとする PAC(計画評価委員会)の勧告に従ったものであり、ま
た、耕作地と共に地下水にも大きな影響を与えるリスクがあった、と述べた。BHP Billiton
は 2006 年に 1 億豪ドルで同プロジェクトの探鉱権を取得したが、地元農家や緑の党等から
の抗議を受けて開発は遅延し、計画していた坑内掘り炭鉱の規模の縮小も余儀なくされてい
た。
地元紙は、今回の件は Caroona プロジェクトに隣接する中国の Shenhua 社の Watermark
石炭プロジェクトにも影響を及ぼすと見ている。同プロジェクトは露天掘り炭鉱の開発を計
画し、Shenhua 社が 2008 年に 3 億豪ドルで鉱区を取得した。同プロジェクトも地元農家等
からの抗議を受けていたが、2015 年に連邦政府の環境省は条件付きで環境認可を与えてい
た。同紙は、NSW 州政府が 3 億豪ドル以上で鉱区を買い戻すため、Shenhua 社との間での
協議を始めたと報じている。
(シドニー事務所
山下 宜範)
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