液相充填法による 高次ナノセラミックス構造体の創製

液相充填法による
高次ナノセラミックス構造体の創製
神戸大学大学院工学研究科
応用化学専攻
教 授 出来 成人
准教授 水畑 穣
1
液相析出法とは?
Liquid Phase Deposition method
(LPD)
溶液内反応により様々な酸化物薄膜を合成する手法
1
MFx(x-2n)- + nH2O = MOn + xF- + 2nH+
フッ素消費反応
H3BO3 + 4HF Æ BF4- + H3O+ + H2O
aqueous solution
BO33-
BF4-
MFx(x-2n)-+nH2O=MOn+HF
MOn film
substrate
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
H
Li
金属フッ化物溶液内平衡反応
2
18
He
Be
B
C
N
O
F
Ne
Na Mg
Al
Si
P
S
Cl
Ar
Zn Ga Ge As Se
Br
Kr
I
Xe
Po
At
Rn
Tm Yb
Lu
Fm Md No
Lr
K
Ca Sc
Ti
V
Cr
Mn Fe Co Ni
Cu
Rb Sr
Y
Zr
Nb Mo Tc Ru Rh Rd Ag Cd
In
Sn
Sb Te
Cs Ba
L
Hf
Ta
TI
Pb
Bi
Fr Ra
A
L
La Ce
A
Ac Th
W
Pr Nd
M
o
Pa U
Re Os
Ir
Pt
Au Hg
Pm Sm Eu Gd Tb
Dy Ho Er
Np Pu Am Cm Bk
Cf
Es
Oxide or Oxy-hydroxide
Multicomponents oxide
Graded oxide
Nanometal particleOxide composite
・高次構造を有するセラミックス構造体の合成が可能(液相充填法)
100nm
5 nm
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酸化物薄膜合成に関する
従来技術とその問題点
プロ
セス
手
法
所
短
所
析出速度・膜厚制御が容
易
高エネルギーを要する
高融点物質に適する
高エネルギーを要する
多様な化合物が生成可能
副生成物等,組成制御
が困難
特殊な装置が必要
電析法
低温プロセス
均一組成膜が形成可能
基板が導電性材料に
限定
ゾル-ゲル
法
操作や組成制御が容易
特殊な反応装置が不要
熱処理が必要
基板形状の追従が困難
蒸着法
物理的
手法
長
スパッタ法
乾式
CVD
化学的
手法
湿式
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液相析出法の特徴・従来技術との比較
LPD法の利点
合成の操作が容易
低エネルギー反応であり、反応槽も廉価ですむ。
薄膜組成を容易にコントロール可能。– 多層膜/ 傾斜組成膜 / 複合薄膜
大面積・複雑な界面形状においても薄膜形成が可能。
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高次構造セラミックス材料の利用
により期待されるデバイス
• フォトニクスバンドギャップを利用
した光デバイス
• ナノ空間を利用した物質分離や
ナノ反応デバイス
• 高比表面積を利用した触媒、
センシング材料への応用
5
エネ
ル
想定される用途
ギー
FCEV水素供給にお
ける流量モニタリング
及び水素漏れ防止
生活・医療
定置用燃料電池の
水素供給装置
微少水素流量測定
微細電極等への水素
供給の安定化に必要
な技術として開発。
水素リークチェッカー
水素利用の際の安全性
向上に欠かせないデバ
イス。微小流量を検知
する技術として開発。
ガス分別装置
NANO-TASの分子ふるい
機能を利用し、混合ガスを
分別回収する装置。
水素センサー
水素利用社会における
水素モニタリング・チェック
ドラッグ調合&
デリバリーシステム
ユ
トータル介護生
活医療ロボット
NANO-TAS
従来のμ-TASの概念を超える
分子認識の概念を取り入れた
新しい高度総合分析システム
携帯呼気
分析装置
スーパーキャパシタ
LPIによる電極設計・
高次構造化電極による
高密度容量のキャパシタ
LPI法による材料構築
LPIの用途開発
On-tip
低電圧電源
極短時間
充電電源
ビ
キ
タ
ス
長時間の充電
操作が不要な
パソコン・PDA
将来に向けたニーズ展開
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複合微細構造体およびその製造方法
ガラス基板
単分散ポリスチレン
(PS)自己集合体
PS テンプレート
SnO2 –LPD
反応溶液
PS-SnO2 コンポジット
500 nm
熱処理により
PS除去
SnO2 反転オパール構造体
ZrO2:Eu3+ LPD
反応溶液
ZrO2:Eu3+ 充填
SnO2 反転オパール構造
200 nm
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液相析出法により作成された周期性規則構造
を有する金属酸化物構造体の例
高分子溶液中において析出
した単分散酸化物ナノ粒子
(TiO2)
ポリスチレンコロイド結晶をテン
プレートとして調製した3D反転
オパール構造を有する酸化物 高アスペクト比を有するSi
基板トレンチ構造中に析
構造体(TiO2)
出させたTiO2 薄膜
(a)
(c)
(f)
(g)
500 nm
10nm
10-9
(b)
ミクロンオーダの構造周期
性を有するSi基板表面に
析出させたTiO2薄膜
1 μm
10-6
(d)
(e)
1 μm
2Dアレイ構造を有する金属
5 nm 酸化物構造体(TiO )
2
逆総ミセル中において生成し
た酸化物ナノ粒子(TiO2)
ガラス基板上に展開した酸化物
多層薄膜 (Fe/Ti/Fe)Ox
10-3 (m)
(h)
100 μm
マクロスケールにパターニン
グされたTiO2薄膜
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液相析出法に関する
共同研究・実用化への展開
微細加工・表面改質技術
(日本板硝子)
液相析出法による微細加工・表面改質技術
液相析出法による微細加工・表面改質技術
液相析出(L
液相析出(Liquid Phase Deposition)法は、溶液内から金属酸化物を析出させ、
eposition)法は、溶液内から金属酸化物を析出させ、
ナノサイズ構造の形成や表面改質を実現する技術です。
本研究は、神戸大学・出来教授との長年の共同研究によって成されたものです。
試作例
ストライプ構造
ピラー構造
ピッチ:500nm
ピッチ:500nm
5mm角領域
1.5μm
3μm
SnO2均一被覆
TiO2均一被覆
ピッチ:1μm
石英
マイクロ水素センサ開発
(新コスモス電機)
TiO2均一被覆
ピッチ:1μm
1.5μm
石英
1.5μm
核;シリカ球
8μm
TiO2均一被覆
ガラスビーズ
内壁の断面
1.3mm
TiO2
1.5μm
多孔質ガラスビーズ
■ オール無機のナノサイズ構造形成や、様々な機能付与を実現します!
■ 材料:SiO2、TiO2、SnO2、ZnO、MnO2、V2O5 など
■ 大面積の基板サイズに対応可能
■ 用途
■ 微細構造のプレス金型
■ 触媒担体
■ 微細空間内の表面改質
など
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高次構造セラミックス材料の
実用的利用に対する課題
• ナノ構造材料・光学デバイス利用に対する構
造周期性の精度の向上が必要。
• 周期構造の繰り返しがハンドリング可能な大
きさ(数mm程度~)まで拡大する必要がある。
• 安価なテンプレート作製プロセスと複製技術
の開発。
• 高次構造セラミックスの機能・用途開発(セン
サ、触媒担体等…)
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :複合微細構造体および
その製造方法
• 出願番号 :特願2007-075356
• 出願人
:神戸大学
• 発明者
:出来成人、水畑 穣
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お問い合わせ先
神戸大学連携創造本部
TEL 078-803-5945
FAX 078-803-5947
e-mail ccrd3@port.kobe-u.ac.jp
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