牛白血病の農場内感染拡大防止対策に取組みましょう!③

熊本県天草家畜保健衛生所
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牛白血病の農場内感染拡大防止対策に取組みましょう!③
~乳汁を介した感染防止について~
前回に引き続き、農場における牛白血病対策についてです。今月は、乳汁を介した感染
について説明します。
子牛にとって初乳は重要な栄養源となると共に、病気に対しての抵抗性を持たない新生子
牛に、母乳の血液中に含まれている免疫抗体を移行させる重要な働きを持っています。しか
し、牛白血病に感染した母牛の初乳(乳汁)の中には、感染リンパ球を含んでいます。
出生直後の子牛は消化酵素の作用が弱く、小腸上皮細胞が未熟なため、初乳に含まれるタ
ンパク質やリンパ球などの細胞が小腸上皮から取り込まれるため、感染リンパ球も同じく取
り込まれることで感染が成立すると考えられています。
牛白血病の感染経路として、垂直感染(胎盤感染、産道感染、乳汁感染)による感染が、
10%程度※あるといわれています。感染母牛から生まれた子牛は直ぐに分離飼育して、初
乳からの感染を防ぐために非感染牛由来の初乳や市販の初乳製剤などを給与させましょう。
※:初乳(乳汁)を飲んだ子牛が必ず感染するというものではありません。
牛白血病に感染した母牛
初乳(乳汁)の成分
 栄養源
 免疫抗体
 感染リンパ球
✕
 非感染牛由来の初乳
 市販の初乳製剤
 加温または凍結した初乳
牛白血病に感染した母牛
から生まれた子牛
分離飼育する
また、分娩に立ち会えず、牛舎に行った時には既に子牛が自力で初乳を飲んでいる場合
もありますが、子牛が感染する(感染した)とは限りません。感染母牛との同居期間が長い
ほど感染率が高くなるとの報告もあるので、感染リスクを軽減するために、出来るだけ早く
感染母牛から分離して飼育することが大事です。
牛白血病に感染した母牛
牛白血病に感染した母牛
から生まれた子牛
分離して飼育し、
子牛への感染リスクを下げる
感染した母牛から生まれた子牛に初乳(乳汁)を与えなかったとしても、胎盤感染や産
道感染で感染しているかもしれませんので、子牛の抗体検査で確認する必要があります。
アメリカで豚の水胞症例 情報提供
農林水産省消費・安全局動物衛生課から、以下について情報提供がありましたので、口蹄疫類似
疾病としてお知らせします。本病は日本を含むアジアではまだ報告は無いようです。
<仮訳>
●全米養豚獣医師協会公表資料(2016年7月20日付け)
2016年7月8日~17日でアイオワ州の2カ所のと畜場で、12例の水胞症例が確認されて
いる。検査の結果、全ての症例で口蹄疫の陰性が確認されているが、75%でSenecavirus A
(Seneca Valley Virus)陽性が確認された。
全ての症例において豚を出荷した際に臨床所見は報告されていないが、米国農務省食品安全検査
局(USDA FSIS)の獣医師による、と畜前・と畜検査時に、病変又は跛行が発見された。
この発表は、獣医師、養豚農家契約肥育農家、出荷に関連する従業員で、これらの臨床症状を見
つけるための啓発資料である 。
・鼻上又は口腔粘膜(粘液及び皮膚の結合部)内の水胞(完全なもの又は破裂したもの)
-図1:破裂した鼻水胞
・群の中での急性の跛行
-蹄壁上又は周囲の潰瘍性病変(図2:蹄冠帯の潰瘍病変)
-関連して豚の跛行がみられることがある
-蹄冠帯の発赤又は蒼白
-最終的な蹄壁の脱落
・食欲不振、元気消失及び/又は発熱
-症状の初期に40.6℃の発熱が報告されている
図1:破裂した鼻水胞
図2:蹄冠帯の潰瘍病変
海外悪性伝染病発生状況
病名
発生地
発生月日
畜種
型
口蹄疫
モンゴル
7月16日
牛
A型
高病原性
鳥インフルエンザ
台湾
6月23日~7月3日
地鶏・がちょう
H5N8
8月1日現在
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