理由書 (PDF形式, 119.11KB)

理
由
書
【地区計画の決定】
1.都市の将来像における位置づけ
ノリタケの森地区は、名古屋駅の北側の都心部に位置し、地区の大半が大規模工
場跡地であり、地区東部には産業観光施設である「ノリタケの森」があります。ま
た、地下鉄東山線亀島駅及び名古屋鉄道栄生駅から徒歩圏内にあり、都市計画道路
3・3・19広井町線及び都市計画道路3・3・114外堀町線に接するなど交通
利便性の高い地区です。
当地区は、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域の「名古屋駅周
辺・伏見・栄地域」に指定されており、地域整備方針において、大規模工場跡地等
の土地利用転換により、都心居住や商業など複合的な機能を有する都市拠点を形成
することとされています。加えて、「ノリタケの森」の一部は、大規模な地震が発
生した場合に都市再生緊急整備地域内の滞在者等の安全の確保を図るための「第2
次名古屋駅周辺地区都市再生安全確保計画」において、一時退避場所に位置づけら
れています。
また、当地区は、本市のまちづくりの基本方針である「名古屋市都市計画マスタ
ープラン」の将来都市構造において、拠点の1つである「都心域」に位置付けられ
ています。都心域においては、歴史的資源の保全に配慮しつつ、再開発や低未利用
地の活用など土地の高度利用及び適切な機能更新により、商業・業務、文化等の都
市機能のより一層の集積を図ることとされており、また、商業・業務等とあわせて
中高層住宅を誘導することにより、都市機能の集積による高い利便性と職住近接性
を生かした快適な都心居住を推進するとしています。さらに、都心域の内、特に名
古屋駅周辺の都心部では、名古屋大都市圏の中心としての中枢機能や国内外との広
域交流機能の一層の充実を図るとともに、都市景観や観光・交流拠点の整備などに
より、世界に開かれた魅力と風格ある都市空間の形成を図るとされています。
2.経緯と現状
当地区では、明治時代より窯業が営まれてきましたが、現在は、地区の多くを占
めていた工場の移転により、その工場跡地部分が未利用な状態にあります。大規模
な未利用地のため、道路密度が低く、都心域における新たな都市拠点の形成のため
には、道路や歩行者用の通路などの都市基盤施設が不足している状況となっていま
す。また、地区東部においては、業務機能が存続するとともに、都心に貴重な緑と
産業遺産が調和した「ノリタケの森」が開放され、近代窯業発展の地としての歴史
を紡ぐ緑豊かな空間として、産業観光の資源であるとともに、広く市民に親しまれ
る場となっています。産業遺産には「6本煙突」をはじめとする名古屋市都市景観
条例に基づく認定を受けた認定地域建造物資産が含まれています。
3.計画の必要性
当地区では、観光・交流拠点の形成を図るとともに、都心居住を促進し、名古屋
駅周辺の災害発生時の帰宅困難者等に対応した計画が求められています。
大規模な工場跡地を含む当地区において、新たに導入する商業、住宅等の都市機
能と都市基盤整備の一体的な整備にあわせて、「ノリタケの森」を継承した緑豊か
でにぎわいと交流のある災害に強いまちづくりを進めることにより、多様な機能が
融合する新たな都市拠点への土地利用転換を図るために必要となる都市計画の提
案が、平成28年2月に行われました。
本市としては、提案された計画は、上記の都市の将来像における位置付けに合致
し、当地区及びその周辺に必要とされる都市基盤の整備と土地利用誘導を一体的に
計画するものであるとともに、周辺と調和した良好な都市環境の形成に寄与しつつ、
土地の高度利用と都市機能の増進を図ることが可能な計画であると判断し、再開発
等促進区を定める地区計画の決定が必要であると考えます。
4.計画の妥当性
本計画は、将来の土地利用を見据え、地域に必要な都市基盤を整備し、建築物等
に関する必要な制限を一体的に定めることにより土地利用転換を図るものです。
都市基盤の整備については、地区内外の交通処理を円滑に行うため地区幹線道路
などを定めます。また、地区北西の拠点的な産業観光施設へと延びる産業観光ネッ
トワークを形成するため、歩行者用通路や煙突広場などを定めます。さらに、周辺
環境との調和及び良好な都市景観の形成を図るため、緑地を定めます。加えて、地
区への公共交通機関によるアクセス性向上のため、公共空地(バス乗降場)を定め
るとともに、地域住民及び来街者の憩いの場となる広場を定めます。
建築物等に関する制限については、用途の制限、建ぺい率の最高限度、敷地面積
の最低限度、壁面の位置の制限、高さの最高限度、形態又は色彩その他の意匠の制
限、緑化率の最低限度、垣又はさくの構造の制限を定めることで、周辺環境と調和
を図るとともに、緑豊かでゆとりある良好な都市環境の形成を図ります。
以上のことにより、多様な都市機能が適切に誘導され、周辺市街地へ配慮した良
好な都市環境の形成が図られることから、都市環境の整備と良好な地域社会の形成
に寄与しつつ都市機能の増進に大きく資する本計画は妥当であると考えます。