コンパクト熱交換器におけるフィンの伝熱促進に関する研究

SURE: Shizuoka University REpository
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/
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コンパクト熱交換器におけるフィンの伝熱促進に関する
研究
平松, 道雄
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2001-01-28
http://doi.org/10.11501/3052677
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灘灘難
゜°°2515252R
静岡大学博士論文
コンパクト熱交換器における
フィンの伝熱捉進に闘する研究
1重1
平成麓年1劉団
」tOP一一[「一一
平松道雄
目
次
頁
第1章序論 ・・・・・… ㊦・… ⑦・・。・・。②嚇・④・⑤雨。①
1
1−1 本研究の背景
1
1−−2 従来の研究
2
1−2−1 断続的なフィン形状に関する実験的研究
2
1−2−2 流れに傾斜した断続平板群(ルーバフィン)に関する
実験的研究
3
1−2−3 流れと熱伝達に関する数値解析
3
1−3 本研究の目的
4
1−4 本論文の概要
5
第2章コンパクト熱交換器の研究概要
第3章 ルーバフィンの数値解析方法 ・・・・…
7
e e e e o e e e e @ e ②
13
3−−1 緒言
13
3−2 数値解析モデル
14
3 一一 2−1 フィンの解析モデル
14
3−2−2 差分格子
15
3−3 基礎方程式および境界条件
15
3−3−1 流れおよびエネルギーの基礎方程式
15
3−3 一一2 境界条件
16
3−4 座標変換方法と差牙スキーム
18
3−4−1 傾斜座標系への変換方法
18
3−4−2 傾斜座標系の差分方程式
20
3−5 方程式の解法
23
3−一一5−−1 差分計算手順
23
3−5−2 壁面の境界値計算
24
3−6 斜交格子の誤差検討
24
3−7 結言
27
第4章 ルー一パフィンの流れの挙動と熱伝達特性 ・・… 。・・・・・… 28
4−1 流れの可視化 28
4−1−1 可視化実験装置
28
4−1 一一2 可視化の方法
29
4−1−3 色素流脈法による流線の観察結果
30
4−1−4 水素気泡法による速度分布の観察結果
30
4−2 流れの数値解析
34
4−2−1 可視化実験との比較
34
4−2−2 ルーバ間の流れに関する考察
35
4−3 熱伝達と圧力損失の解析
37
4−−3−1 局所および平均熱伝達率の定義
38
4−3−2 圧力損失および抵抗係数の定義
38
4−3−3 ルーバフィンのフローパターンと局所熱伝達特性
40
4−3−4 ルーバフィンの平均熱伝達特性
40
4−3−5 ルーバフィンの圧力損失特性
48
4−4 結言
49
第5章 ルーバフィンの最適形状の解析 ・… e・・・・・・… 。。。・
50
5−1 緒言
50
5−−2 ルーバ角度が流れと熱伝達におよぼす影響
50
5 一一 2−1 ルーバ角度およびフィンピッチに対するフィンの
性能特性
50
5−2−2 流れと局所熱伝達特性におよぼすルーバ角度の影響
52
5−3 ルーバ配列が流れと熱伝達におよぼす影響
55
5−3−−1
ルーバ配列パラメータ(流路比)の定義
55
5−3−2
5−3−3
5−3−4
流路比と速度分布の関係
57
流路比による性能特性の整理
57
圧力損失を考慮した最適フィン配列条件
60
5−4 結言
61
第6章断続壁面をもっ各種フィンの最適形状の解析 ・・・・・・・・…
・ 62
6−1 各種フインの解析モデルと配列パラメータの定義
62
64
64
66
67
6−2 流れに対して傾斜したフィンの特性
6−2−1 基本ルーバフィンおよび傾斜ルーバフィンの特性
6−2−2 圧力損失を考慮した最適フイン配列条件
6−2−−3 傾斜ルーバフインにおける最適フイン傾斜角度
6−3 流れに対して平行なフィンとの特性比較
69
6”−3−−1 平行ルーバフインおよびオフセットフインの特性
69
6−3−2 圧力損失を考慮した最適フィン配列条件
72
6−4 結言
73
第7章フィン後流に乱れを伴う場合の流れと熱伝達特性 ・・・・・・・… 74
7−1解析の背景 74
7−2 高レイノルズ数における伝熱促進の考え方 75
7−−3 解析方法 76
7−3一1解析モデル 76
7−3−2 基礎方程式 76
7−3 一一 3 境界条件 78
7 “一 3 一一4 計算方法 79
7−4 単一平板における流れと熱伝達 79
7−−5 複数列平板の流れと熱伝達 81
7−5−1 フィン後流の流れの挙動と局所熱伝達特性 81
7−5−−2 フィン間隔がおよぼす伝熱促進効果の考察 87
7−6 インタークーラ用インナーブインの最適化検討 90
7−7 結言 92
第8章総括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 93
8−1 数値解析手法 93
8−2 ルーバフインの流れの挙動と熱伝達特性 94
8−−3 ルーバブィンの最適条件 95
8−4 断続壁面をもつ各種フインの最適条件 95
8−−5 フィン後流に乱れを伴う場合の流れと熱伝達特性 96
8−6 まとめ 97
参考文献 ゜㊤eeee°°°㊤’°°°⑤゜°°°°e°eee㊥’°°°e° 99
記号 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 107
謝辞 ・・・・・・・・… 。・… ㊦一・・・… 。・・・・・… 110
iii
第1章
序
払
露隅
− 一一 X本硬究の背景
戦後の2度にわたる石油ショックを契機にした省資源、省エネルギー活動や、近
年の地球環境問題に端を発したエネルギー資源の有効利用、省エネ技術は、国際的
にも益i々重要な課題になってきている。ことに、本研究で取り上げる熱交換器の技
術開発は、自動車産業のみならず、多くの産業分野で共通するところが多い。
本研究の対象としたコンパクト熱交換器は、自動車用の空調機器やエンジンの冷
却、家庭用の空調機などに、幅広く用いられている。その生産台数もかなりの数に
のぼり、産業界への波及効果も大きいことから、小形、高性能化への要求が一段と
強まってきている。また一方では、車両や空調機に対するニーズも、人々の高級化
志向に伴い、より多様化し、より速く、より快適にという声が高まってきている。
したがって、それに用いられる熱交換器への要求は、より高度なものになり、熱
交換器の開発にたずさわっている研究者には、たえず高性能、小形、軽量化に対す
る限界設計の追求が要求されている。こうした申で、企業における研究者にとって
は、いかに効率よく、高い精度で、タイムリーに製品の開発研究を行うかが決め手
とも言える。
本研究においては、熱交換器のフィンの理論解析をテーマに取b上げるが、新製
品として生産が開始されるまでに進められてきた研究の経緯もあり、今回二つのア
プローチで検討する。それぞれの解析手法は、研究対象製品の解析目的を満足する
ものでもある。
さて、自動車用に代表されるコンパクト熱交換器では、従来より、ルーバ付のコ
ルゲートフィン形熱交換器が多く採用されている。この理由は、ルーバなど伝熱促
進のためのフィン加工がコルゲート成形と同時にでき、他のフィンに比べ生産性が
高いこと、および、偏平チューブとを組み合わせることによって、小形軽量化が容
易であること、などである。
このルーバフィンは、1950年代に米国で採用されたのに続いて、わが国でも広ま
り、姓能向上に関する基礎的研究をはじめ、いくつかの検討がなされてきた。しか
しながら、これらの報告醸、ある限られたブイン仕様での実験データであったり、
一1一
データそのものも仕様が古くなっているため、汎用性に欠けることが多い。また、
解析も細部にわたったものではなく、フィンの熱伝達性能に関する具体的鞍改良成
果や、数ある性能支配因子を含あた性能予測手法については、あまり、報告例をみ
ないのが実状である。
また近年、コンピュータの計算処理能力の飛躍的進歩に伴い、数値計算によるブ
イン性能検討のアプローチが多くみられるようになった。ことに、牲能支配因子ぶ
いくつもある暢合は、すべての評価を実験で行うことについて、時間や費用の面で
限度があり、計算による系統的な解析で得られる成果の方ぶ多い。こうした考えに
基づいて、本研究では主に、数値計算によるブインの性能検討を行う。
1−2従来の研究
1−2−1 断競鹸なフィン形状に関する実験的研究
コンパクト熱交換器に関する実験データとして、従来より広く知られているもの
に、Kays&LOitdOit “ 一 ”の膨大なフィン種類に関するものがある。また、ストリッ
プフインまたはオフセットフインと呼ばれる、流れに平行に置かれたフインについ
ての・Norrisらq−2)やLORd◎nら(1“3)の研究報告があるぶ、いずれも個々の実験デ
ータを収録しているのみであり、データそのものも既存の製品や過去のものであっ
たりして、そのまま製品設計に適用するには、今や陳腐なものとなっている。また、
性能因子に対する系統的な整理もされていないため、最適形状を模索するような製
品改良の手段には適さない。
その後の研甕では、轍etingら(1“4)やWebbら(1”5・1−6)は、オフセットフィンの
熱伝達率および圧力損尖についての実験にもとついて、性能因子を含めた相関式を
提唱しているが、適用範囲の狭いのが欠点である。また、Curら(1−7》やZelenkaら
(1 ”’ 8)は、流れに平行に置かれた2つの平板について、熱伝達におよぼすフィンの叛
厚とフィン間の距離の影響を検討している。これらの研究は、フィン前縁および後
縁部で剥離を伴うような流れの乱れも考慮しており、熱交換器の幅広い用途を考え
ている。しかし、実験から得られる情報には限度があり、最適設計などに汎用的に
適用するにはまだ不十分ともいえる。
いっぽう、国内での研究例では、家庭用空調機器に用いられる熱交換器のフィン
一2一
を対象にした研究で・細田らq哺9)千秋らq−1⑳は、オフセットフイン(スリットフ
インともいう)の熱伝達牲能が波形フインやストレートフインに比べて優乳ている
ことを、現物のフィンで実験して確かめている。また、申山ら“−11)は、オフセッ
トフインの熱伝達と圧力損失の実験相関式を求め、熱交換器の性能設計に役立てて
いる。宇佐見“}12・1’13・1−14・1”15)は、オフセットフインに関して、ブインのバリ
や叛厚の影響も考慮した検討を行い、フィンの板厚、ピッチ、長さを含めた各種の
実験式を求めている。さらに、望月ら(1”16)は、オフセットフィンよりも前方と後
方のフインの間隔を狭めたようなスロットフインと呼ばれるフインについて、実験
評価を行い、このフィンの間隔の影響を一般的なオフセットフィンと比較検討して
いる。
これらの研究は、流れの剥離を伴う乱れた流れを扱っていることが多く、最近で
は、こうしたオフセットタイプのフィンに関する流れの挙動を系統的に調べながら、
熱伝達と圧力損失の特性を検討した例が多くみられる。例えば、小林ら“−17・1−18
・1 “’ 19)は、拡大モデルでフィンまわりの剥離による乱れを流れの可視化で調査しな
がら、熱伝達や圧力損失の特性を検討している。また、このようなオフセットフィ
ンに関して、喜ら(1”29・1−2nは、局所熱伝達の測定を行い、フィン板厚の影響も含
めた伝熱促進効果も検討している。
1−2−2 流れに傾斜した断続平板群(ルーバフィン)に関する実験的研究
いっぽう、ルーバフィンに限定した実験的な研究では、フィンピッチおよびルー
バピッチをそれぞれ変化させてテストし、熱伝達と圧力損失の実験相関式を求めた
Davenportら(1”22)の報告、恥ngら(1”23)の拡大フィンモデルによる熱伝達測定とフ
ィン出口部分の速度分布の測定を行ったもの、Beaaxvais(i−24)のルーバ内の流れを
煙を使って可視化したものなどがある。
また、国内の例では、ルーバフィンの前縁効果など熱伝達に関する基本的な考え
方について説明した藤掛(1 ”2S)の報告をはじめ、藤掛ら(1−26,品川ら(1−27)や岩崎
らG−28)のルー一バブィンの熱伝達性能測定法とその測定結果に関するものなどがあ
るが、いずれも断片的な技術情報として使えるのみで、いくつかの形状パラメータ
を含めてフインの最適設計を行っていくには、さらに突っ込んだ解析が必要である。
異種形状のルーバフィンについては、田申らq一29)の傾斜ルーバフィンに関する
一3一
もの・姻田らq蝋3願・1−3Dや林ら“ 一一 32》の山形ルーバフィンに関するものなどがある。
傾斜ルー一パフィンは、フィンの向きをできるだけ流れに平行にして圧力損失の低滅
を狙ったものであり、山形ルーバフイン9*、流凱の麗乱作用で熱伝達率の促進を図
ったものである。とくに、傾斜ルーバフィンについては、本研究の解析でも比較の
対象として取り上げることにする。
1−2−3 流劇と熱伝達に関する数値解析
おわりに、数値解析による研究のアプロ・一一チについては、Sparrowら(1 ‘一 33)の熱伝
達と圧力損失に関する解析例や、平井ら(1’“34・1”35)三宅らq−36・1−37》林らく1”38)
およびs脇瞭iら(1−39)の自然一強髄共存対流下における局所熱伝達特性の解析を含
めた研究ぶあるが、いずれも流れに平行に配列されたオフセットフィンを対象にし
たものであり、ルーバフィンのように、流れに対して角度を有するフィンぶ対象で
はない。その理由は、格子分割がしにくいことと、それに伴う計算方法が複雑にな
ってしまうためである。たとえば、友田ら(1 “’49)の研究例では、格子分割には手を
加えずにフィン境界部の計算方法に補正を行っている。また、須賀ら(1 ’”41)は、重
合格子とよば翫る特別二な差分格子を採用することにより、解析上の問題を解決して
いる。しかしながら、これらの手法に基づいた計算では、壁面や格子の重合部分で、
値の近似的な補聞が必要であり、それに伴う誤差は避けられず、必ずしも理想的な
解析方法とはいえない。
1−3本研究の目的
本研究は、ルーバフィンをはじめとする各種のコンパクト熱交換器用フィンの熱
伝達特性を、流れの現象と関連づけて系統的かつ詳細に検討し、その最適設計思想
を理論的に確立することにある。そのためには、まずこれまでの研究から得られて
いる事実に基づいて、検討すべき技術課題を明らかにする必要がある。例えば、ル
ーバフィンの場合、ルーバを通る流馳と、通らない流れが存在し、当然ながら、熱
伝達率にも大き獄影響を与える。このような流れの挙動と熱伝達の関係は、いまま
で定量的に、かつ、理論的には、明らかにされていない。
また、ルーバフィンは、基本的には層流境界層に支配される熱伝達特性を有し、
一4一
境界層の発達に伴うフイン後流の影響が重要な役舗を撞っている。しかし、複数の
ルーバが所定の角度やピッチで配魂されているとき、それぞれの要因が流れや熱転
達にどのように影響し合うかは、いまだ明確にされていない。
これらの未解決の問題を解決するために、本観究は、流れの可視化実験と差分法
による数値解析を導入し、解析手段の妥当牲を証明しながら、ルーバフインのみ獄
らず、各種形状のフィンを評価できる汎用性の高い独自の数値解析法を確立し、さ
らに、各種フィンの最適配列条件に関する重要な指針を得ようとしたものである。
そして、その具体的な成果として、世界に先駆けた小形高牲能熱交換器{SRラジ
ェータ)(1“42・1−43)の製品化があげられる。
1−4本論文の概要
本研究は熱交換器を生産、販売している企業での製品の開発研究を通じて、進
めてきたものである。したがって、本論文の内容の主たる部分慮、既に昭憩59年度
日本機械学会技術賞を受賞した製品(SRラジエータ)(1}42・1−43)に関わる基礎研
究の内容を詳細に述べることにするが、さらに、その後の研究ニーズに基づき、別
のアプローチで解析を行ってきているので、その内容についても説明を加える。
本論文は、3部分の内容で構成されている。まずはじめに、第2章において、本
テーマの硬究対象であるコンパクト熱交換器について、その構造および代表的な製
晶の研究開発の概要を説明し、これまでに我々が評価してきた自動車用ラジエータ
などの製品レベルでの牲能試験結果に基づいて、この種の熱交換器の抱えている技
術的な要点について述べる。そして、本研究の成果としてのSRラジエータを紹介
する。
つぎに、第3章から6章にかけて、SRラジエータ開発に係わってきたフィンの
研究内容について具体的に述べていく。
最後に、第7章では、数値解析の熱交換器への幅広い適用を考えて、流れの非定
常を考慮した解析をインタークーラ用のインナーフインについて行った結果につい
て報告する。以下、第3章以降の各章の内容は次のとおりである。
まず、第3章では、本研究のベースとなる数値解析法について、フインの解析モ
デル、差公格子の分割のしかた、解を得るための基礎方程式系と境界条件、および
一5一
斜交格子の採用に伴う座標変換の方法を検討し、様々象フィン形状ぶ解析できる汎
用性の高いi数値解析法について述べる。
さらに第4章でぱ、その解析方法を用いて、流体が常にルー一バ角度に沿って流れ
るとは限らないというルーバフイン特有の現象を、流れの可視化と数値計算の両面
から考察し、従来からみら凱たルーバフィンに関する性能低下の原因を理論的に解
明していく。
第5章から6章にかけて、ルーパフィンをはじめとする各種のフィン形状に関す
る熱伝達の特性および圧力損失の特性について検討を行い、フィンの最適設計に係
わる重要な技術的指針を、流れの解析結果と関連づけて導く。そして、本研究で取
り上げた各種フィンの熱伝達率および圧力損失の特性を、ルーバ角度、ルー一バピッ
チ・フインピッチで定義される無次元のパラメータである流路比を用いて糊関づけ、
そのときの最適フィン配列条件を明らかにする。
第7章においては、熱交換器の輻広い用途を考慮して、それまでの章の解析とは
異なった流れの非定常盤を含めた検討を行う。
通常の使用条件において、コンパクト熱交換器の空気側のフィンは、醸とんど流
劇の安定獄層流状態におかれていると考えても差し支えない。しかし、熱交換器の
管内側は、単相流、二相流を問わず、流れが非定常になることが多い。この第7章
で取り上げるインタークーラの場合、過給空気の冷却を行う管内側に用いられるイ
ンナーフィンは、熱交換器の空気側のフィンに比べ、一桁大きい風速で使用される。
したがって、完全な乱流にはならなくとも、フィン後端部では非定常な流耽の剥離
を伴ったものとなるので、非定常状態の流れと伝熱の計算ぶ必要になる。
ここでは、フィン表面の境界層を乱流とは考えずに層流とみなして、非定常な流
れの解析を行い、フィン後流の乱れの影響を検討した。その後流の乱れは、レイノ
ルズ数と前後のフィンの距離聞隔に関連して発生することがわかり、この乱れによ
ってフィンの熱伝達が捉進されることを、理論的に明らかにした。
一6一
第2章
謹ンパクト熱交換器の研究概要
(2−4,2−5撃2・−6,2−・7,2−8}
現在、図2−1に示すような自動車用熱交換器に代表される各種のxeンパクト熱交換
器が工業的に広く使われている。即ち、エンジン冷却用のラジエータをはじめ、エ
ンジンやトルクコンバータのオイルを冷却する各種のオイルクーラ、車室内の空調
を目的としたヒータコア、コンデンサ、およびエバボレータなどの熱交換器、また、
過給機付エンジンに用いら劇るインタークーラなど、数多くの2!ンパクト熱交換器
がその例としてあげられる。
その多くは、ラジエータに代表されるように、空気側伝熱面として図2−2に示すよ
うなルーバ付きのコルゲートフィンを用いた熱交換器である。これらの熱交換器は、
水、フレオン獄どの冷媒が流れる偏平なチューブに、波形に折り曲げられたコルゲ
ートフィンが半田付やロー付で接合され、主要熱交換部分ぶ構成されており、小形
軽量かつ生産性の高いものとして、業界では広く普及している(2−1・2”2・2“3)。
賜\
EVAP◎露ATOR
旺閥G網EO既. COOLE魏
C◎M)E閥S旺縫
AUT◎MATgC了醜A麗S闘SS暫◎閥
◎IL CO◎LE瀦
図2−1各種自動車用熱交換器
一7一
この種の熱交換器は・以下説明するように空気側のフィンの伝熱が支配的な役割
を受け持っている。
ラジエータなど・コンパクト熱交換器の放熱量Qは以下の式で与えら翫る。
Q・=K,Fa∠STm
1
(2・−1》
1 δセ 1
= 十 一一一・一一一 十 一・…一一一
KaFa φaaFa λtFw di wFw
(2−2)
ここで、K。は熱交換器の水側から空気側への熱移動を表す熱通過率であり、 F,、
Fwはそれぞれ空気側と水側の放熱面積である。また、9a、伽は空気側と水側の熱
伝達率、姻まフィン効率、λtとδtはチューブの熱伝導率と板厚である。そして、
ZIT。は水と空気の両流体間の対数平均温度差である。
冷却水の流劇るチューブは、一般に黄銅やアルミニウムのような熱伝導率の良い
比較的薄い材料でできている。したがって、式(2−2)の右辺第2項δtノλtF、は、他
の項に比べ1/1001M下になるので、これを無視すると、上式は次式となる。
1
1
1
十
(2−3)
KaFa φ(駕aFa ec .F、
搬留
AgR
図2−2自動車用ラジエータとその構成
一&
遍常の熱交換器の使用条件下においては、空気の速農配∼10翻s、管内の冷鋼水
の速度は1聰ノs前後である。このときの空気側熱伝達率銑は100∼20翻バ飛2嘱》、水側
熱伝達率伽は鱒⑪O∼8000W/(簸2・K)程度の値になる。このように空気側熱伝達率の方
が1桁オーダーが低いために、通常は空気側の放熱面積の方を水側の10倍籔ど多く
とっている・しかし・それでも式(2−3)における空気側の熱抵抗1ノφdi、F、は、水
側の熱抵抗1ノα・F・の5∼10倍にもなる。言い換えればも熱交換器の放熱量に及ぼg
すフィンの影響は80∼90%もあり、熱通過率K・の増大を計るには空気側フィンの性
能改良がとくに重要である(2“4・2”5・2−6)。
このように熱交換器の性能に対する空気側フィンの寄与率が高いため、フィンの
伝熱捉進に関する工夫がこれまで訟されてきている。たとえば、図2−2に示したよう
に、フィンにはルーバと呼ば翫る多数の切り起こしが設けられており、フィン先端
の前縁効果を狙った伝熱促進が計られている(2”3・・2−4)。このルM−nパフインの場合、
図2°3に示すように・フィン内を空気ぶ流れる際に境界層が労断され、各ルーバで平
板先端のような比較的薄い境界層ぶ形成される。この境界層が薄いほど熱伝達率は
高くなるので、フィン下流に向かって連続的に境界層が発達して厚くなってしまう
プレートフィンに比べると、ルーバフィンの熱伝達率は高いレベルに維持される。
鎧
しe し EATアRハ FER
物ト
軽蚕
勇←みERAGE__S匪R
雌
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B◎U醐DARYしAY旺R
BOVND RYしAYER Lou ER
Al瞬噛
《a》し◎UV眠R霞1:)F網
《b》Pし酊EF屠N
図2−3ルーバフインの前縁効果
一9一
このように、ルーバフィンの効果は原理釣には説明できる渉、複数のフィン素子
ぶ流れの申に置かれた場合には相互の影響は必ず発生し、場合によってはル_バの
前縁効果が十分に得られず・期待される性能が得られないこともある。こうした現
実は、熱交換器の牲能をより高いレベルにまで改良しようとするときに、いっも直
面する技衛課題である。
たとえばルーバフィンの熱伝達特性を便宜的に表す関係式として、一様流申に
置か馳た平板の層流熱伝達に関するPohihausenの理論がある。ルーバピッチPeで
成形されたルーバフィンに対し、この理論をあてはめると、フィンの平均熱伝達率
窃は、次式で表される。
窃=0.664(U醗!wPの臼・5Prl・3λ
(2−4)
式(2−4)によれば、同一の速度と物性値のもとでは、ルーバピッチP乙が小さいほ
どフインの熱伝達率は高くなるはずである。しかし、これまでに我々が評価してき
た自動車用ラジエータなどの製品レベルでの性能試験結果によ恥ば、図2一哩に示した
ように・フインピッチP・が3・5虻一定のもとでのルーバフインの熱伝達率の測定
結果をみる限り、ルーバピッチPeの滅少に伴って、フィンの熱伝達率が単純に増
加するので砥なく、性能の限界値をもつことが確かめられている(2’−4・2−5・2”−6)。
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図2−4同一フインピッチにおけるルーバフインの性能限界
一10一
この理由は・同図右に示すよう癒ル・…sバを通る流体の流凱の挙動に関連しており、
偲々のルーバをそ凱それ狸立した平板と見なしてのPohlhauseRの理論が適用できな
いことを意味している。
したぶって・ルs…ntパフィンに関してまだ検討すべき課題ぶ残されており、とくに、
ルーバ内の流れそのものに着目して、その改良の具体的な方法や、性能支配因子を
考慮にいれた理論的な精度の高い性能予測技衛手法を確立していくことは重要なテ
ーマといえる。
このように・コンパクト熱交i換器において、ルーバフインの牲能的な位置づけが
高いため・現在に至るまで自動車用熱交換器では空気側ルーバフインの牲能改良が
主に行われてきている。ラジエータを例にとれば、ここ十数・年で製品の重量と体積
も1/2以下になるなど、大幅な改良がされている(2”2・2“5)。
とくに・198⑪年に開発したSRラジエータは(2−4・2{5・2−6・2−7)、以下の章で述べ
る解析手法を駆使して研究が進められたものであり、これまで基準にしてきた平板
境界層の伝熱理論では得られないような新たな知見を得つつ、製品のフィン仕様に
具体化していったものである。その基本構成を、図2−5および図2−6に示す。
図2−5は、SRラジエータ用に開発された高性能フィンを従来のフィンと比較して
示したものである。ルーバの微細化とフィンピッチPfの縮小化をあわせて行うこと
により、従来のフィンに比べ、同一圧力損失当りで約25%の熱伝達率向上が計られ
ている。
図2−・6e*、このブインと組み合わされたSRラジエータを、従来のラジエータと比
較して示したものである。SR(Single R。w Tube)という名前の由来が示すとおり、
チューブは1列構成である。また、フィンピッチPfは4.0/2mmから2。25/2mmと細か
くなっているが、フィンの寸法Lfも32皿皿から16㎜と小さくなっているため、空気側
の圧力損失は従来の2列チューブのラジエータと同等である。さらに、チューブ数
の半減による性能低下分を図2弓で示したフィンの高性能化で補っているので、ラジ
エータの体積が従来の半分であるにもかかわらず放熱量は同等以上ある。
一11一
麗薩A罫TRA髄SgeER
C◎麗ST腕UCTI◎閥
岩
瞠A臓%
:縦ここ協諺嬰
の
署羅 燭
翻
差岩
ll
窪繹 虚
m、\、、、、\)ノ111!1!pm・
へ、、、、、\\)!!!1!1!ノpa
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創
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工o
P2 :1.鴫 θ== 26°
蓋
裏◎
窪婁
_徽森\・,,...レ
へ\\\\\\\十ノ
Q
噂
\汀∼\\\\\\ lノ
ll
難
式
惹§ 創
図2−5高性能コルゲートフィン
C◎腫V眠閥Tl◎麗AL農ADIAτ◎R
《TW◎緯◎W TU麗》
SR RAD翻Ar◎R
《SINGLεR◎W脚8ε》
図2−6小形高性能ラジエv…一タ
一12一
論⑪
第3章ルーバフィンの数値解析方法
(3−8,3−9,3−1臼)
3−・・一一ユ. 緒 言
現在、自動車用の各種熱交換器や家庭用空調機などに用いられる熱交換器では、
ルーバフインやオフセットフインをはじめ、各種形状の高性能フインが使われてい
る。これらフィンに関する研究では、近年のコンピュータの計算処理能力の向上に
伴い、数値解析によるアプローチが多くみられるようになった。ことに、性能支配
因子が数多くある暢合は、すべての評価を実験で行うことに、時間や費用の面で無
理があるので、計算による系統的な解析で得られる成果の方が多い。この章では、
ルーバフィンを含め、各種形状のフィンの流れと熱伝達の解析ができるような数値
解析方法について、検討を加える。
今までの数値解析による検討例(3’ユ・3−2・3““3)では、計算の取扱いが容易な、オフ
セットフィンのように流れに平行なフィン配列をi扱った例が多い。しかし、ルーバ
ブィンのように流体の流入方向に対して傾斜した伝熱面をもつ場合、一般的な直交
格子を用いた差分法の解析渉そのまま適用できず、ある種の工夫が必要となる。
たとえば、友田ら(3”4)の報告のように、直交格子を用いた場合、フィン近傍の絡
子に対して特殊の条件を付加するなど、特別の考慮が必要である。また、重合格子
を使った場合でも(3−5)、格子の重なり合った接合部分で、計算値の補正が必要であ
る。
本解析では、こうした直交格子系の問題を解決するために、矩形構造をもつ通常
の直交格子ではなく、フィンの傾斜に沿った平行四辺形で構成されるような斜交格
子を採用した。そして、それぞれの斜交格子の傾きに応じた座標変換を行うことに
よって、基礎方程式の離散化方程式を導出し、任意の傾斜角度に対応できる差分ス
キームを確立した。
この解析手法は、ルーバフィンをはじめとして、任意の形状のフィン配列に対し
ても解析が可能であり、第4∼6章では、その代表的な計算結果について述べるこ
とにする。
一13一
3−2数値解析モデル
3−2一1 フィンの解析モデル
自動車用熱交換器に用いられている代表的なルー一パフィンを例にとり、解析の方
法を説明する・図3−1は、ルーバフィンの解析モデルである。フィン入ロからの流体
の流入方向にx座標を、それと直角方向にy座標を、それぞれとった。計算領域は
図3−1(a)の斜線部分であり、フインの上流と下流にそれぞれブインの無い部公を含
み、自然な状態の流れを計算できるようにした。上部および下部の境界は、フィン
が上下のy方向に等しい闇隔で無隈に配列されていると仮定し、フィンピッチPfの
幅で各ルーバの傾斜に沿ってとる。また、図3−1(b)に示すように、ルーバの成形加
工の際、ルーバピッチPcとそれぞれのルーバを平極とみなしたときの長さLとは
等しくなるので、便宜上、無次元化のための代表長さには、このルーバピッチPe
を用いた。なお、フィンの板厚δfは、今回一定の値δf=0。1Pcである。
1∼賦ここ乞ニニニニ=
A
脇
yA’
齢’
u◎e
しx−\\\\\一/////一
一一一N\\\\\)///!/1一四嘲
(ft)C⑪朧騨瞼輔⑪陥lD◎鵬翻調
(む)L◎購》㊧rGle⑪繭e量ry
図3−1ルーバフインの数値解析モデル
一14一
3−2−2 差公格子
図3−2は、計算に庵いた差公格子である。フィンが傾斜した部分では斜交格子を、
水平な部づ}には直交格子をあてはあ、フィン端部の特牲変化の急激なところでは絡
子労舗を細かくした。なお、今回の解析では、フィン端面で階段状にずれた境界を
採用しているので、格子接合部公の計算の扱いを配慮し、y方向の格子分翻幅∠iy
を等間隔にした。
y
\』
、4
図3−2格子分割図
3−3基礎方程式および境界条件
3−3−1 運動量およびエネルギーの基礎方程式
二次元非圧縮な定常流れを仮定し、流れ関数ψと渦度ωに関するψ一ω系の方程
式を解く。流れ関数、渦度は、それぞれ以下のように定義される。
δψ
m=:u ,
δy
δψ
一鵠wwV
δX
δu δv
ゆニ δy δx
(3−1)
(3−2)
一15一
解析を層流の範囲に隈定し、物盤値を一定と考えれ醸。蓮動量およびXネルギー
の基礎方程式慮以下のように与えられる。
▽2ψ=ω
《3−3)
D l
▽・(u,ω)=一一・一▽2ω
(3−4)
Re
→ 1
▽・(uT) mu ▽2T
(3−5)
RePr
式(3−3)は流れ関数に関するボアソン方程式、式(3−4)は渦度輸送方程式、また、
式(3−5)はエネルギbe−・fi程式であり、各基礎式は代表速度Ug、代表長さPeで無次
元化したもである。なお、差発の数値計算において、基礎方程式(3−3,3一傷3−5)に対
して直交座標系をそのまま当てはめるので砥なく、フィンの傾斜に応じた座標変換
を行う(3−4節で説明)。
3−・3−2 境界条件
図3・・1に示したルーバブィンの解析モデルの境界条件は以下のように与えら軌る。
(a)上流9A−A,
一様な速度Ugと温度T日を仮定し、無次元で表示すれば速度および温度の上流境
界条件は以下の式になる。
う
u=(1,0)g T=0 (3−6)
(b)下流:8−8’
x方向への流れの変化がないと仮定したとき、速度および温度は以下の式で与え
られる。
→ 一
δu δT
−一一:=⑪ p −=0 (3−7)
δx δx
一16一
(C)フイン表面霧
流体の速度濾ゼ∬であゆ、かつ、壁面温度を一定と仮定す翫ぼ,、フィン表面では
以下のように獄る。
u=O y T=1 (3−8)
(d)上部、および下部の断続的境界9
境界上部、下部には周期条件が適用できる。3−1節でも説明したように、フイ
ン群が上下のy方向に等ピッチ聞隔P,で無阪に配列されているものと考える。この
とき、フィンピッチPf間の質量流量は、各x座標値において常に保存され、一定値
となる。そして、各変i数(ψ,ω,u, v, T)慧Pfの周期で変動する。この周期
牲は、同じx座標上でPfの距離だけ離れた相対する任意の二点聞に成立するもので
ある。ここでは、基礎式をPeで無次元化しているので.こ耽を考慮すると以下の
関係が成立する(図3−3)。
ψ(x夢ン十Pず/Pる)=ψ(xジy)十Pf/P乙
ω(x,y+Pf/Pの識ω(x, y)
(3−9)
(3−10)
ゆ 聡(x,ン+Pf/Pの畿u(x, y)
(3−11)
T(x,y十Pf/Pの=T(Xsy)
(3−12)
Vlr電囎1騒rl翻
、
図3−3上下境界と仮想格子
一17一
捻お、フィンの不連続部分で格子がずれているところでは、図3−3に示したように、
仮想格子を考え、式(3−9,3−10,3−11,3−12)の周期条件を用いて、仮想格子上の値を
求める。この値を使い、解析モデル上で砿連続したものとして、不連競部分におけ
る差分討算を行うことぶできる。
3−4座標変換方法と差公スキーム
3−4−1 傾斜座標系への変換方法
差分法による数値解析をル・…一一パフィン
y,ゾ
に限定せず、その他いろいろなフィンへ
(x,y)
の適用を検討することが本研究の目的の
一っでもある。そのために、斜交格子の
導入を図ったわけであるが、この斜交格
y
子では直交座標系の差公式が使えないの
xft
ゾ
θ
で、傾斜したそれぞ劇の格子点に対して
X
x
座標変換を行う必要がある。この座標変
換は、基礎方程式(3−3,34,3−5)に対し
図3−4傾斜座標系
傾斜座標系(x’,yつを考えることによ
って、任意の傾斜角度に適用できる差分スキームぶ得られる。以下、その方法につ
いて説明する。図3−4のように、x軸に対してズのみが角度θだけ傾いた傾斜座標
系(ズ,y“)に関し、変数fの一次および二次の微分係数は以下のように導かれる。
まず、直交座標系(x,y)との聞に以下の関係が成立する。
X“=X/COSθ,
y喰=y−xtanθ
(3−13)
上式を用いることにより、以下の式が得られる。
δf δf δx“ δf δy°
一 : 一十
δX ∂X’δX ∂ジ∂X
δf 1
∂f
tanθ
δX’COSθ ∂y’
一18一
(3−14)
1讐÷(i誌θ一器伽1
1
δ2f
δ2f
δxPt 2 COS28
δf
δy
δ2f
taSt2θ一2
十
δye2
tan e
《3−15)
δX喀δジ¢OS・e
δf δズ δf δジ δf
一十
δx‘δy
δ2f
δ2f
δy2
δy“2
《3−−16)
δy事 δy δy穆
(3−17)
ここで、fは流れ関数速度、渦度、および温度などの変数を意味し、式(3−15,
3−17)を用いることによって、変i数fのラプラシアン▽2fはx’に関して次のように
変換できる。
▽2f=
02f
δ2f
十
δx2
δy2
一(9−i?ilif.、+罰誌θ一2δ2f
tait 8
(3−18)
δX°∂y“COSθ
対流項についても、式(3−14,3−16)を用いて傾斜座標への変換を行う。
→ δ(uf) δ(vf)
▽・(uf)= 十
δx
∂(uf) 1
δy
δ(uf)
δ(vf)
tanθ十
bxs COSθ
δy“
(3・・19)
δy“
ここで、直交座標系のvの代わりに傾斜座標系に対応する速度成分v’を以下のよ
うに定義する。
∂ψ
Vゆ=一
(3−20)
∂x“
一19一
したがって、
δψ
δψ δψ 1
V=}一一=:
一十一一tan 8
3X“C◎Sθ
δye
δx
=(VソCOS 8)+utan e
(3−2D
となるから、式(3−19)は以下のように表される。
▽e(tlf)一
B)+δ劉論,
(3−22)
3−4−2 傾斜塵標桑の差公方程式
座標変換を用いて、傾斜座標系における
1+唱,i+囎
差分スキ…一・ムを、以下導くことにする。
1,」+翌
傾斜角度8ぶ一定のとき、式(3−18)を格
1+喰,」
1一嘔,」+男
」+男
1.1
θi
子分割幅Ax、∠yで離散化すれば、差分・
式は得られる。しかし、解法の汎用性を考
4
θH
1+帽,卜噸
一踊
1,1一噛
えて、図3−5に示すように、格子点(i,j)の
,∫一壌
前後で傾斜角度θおよび分割幅∠lxが異な
Jxl
4Xl一順
る場合を検討する。格子点(i+1,j)および、
(i−1,」)について変数fをTaylor展開すれば
図3−5差分格子
次式のようになる。
fi+1,j:=fi,j+
bf AXi 1 δ2f AXi2
十一
δX“COSθi 2 δX’2COS2θi
fi−1,j= fi,j一
δf AXid 1δ2f
十一・
十e・。
dxト12
(3−23)
十㊦ o 醇 (3−24)
δx“cosθト1 2δx$2 cos2θi_1
式(3。23,3−24)の右辺第3項の二次微分を式(3−15)の関係式を用いて変換し直し、
整理すれば以下の式が得られる。
一20一
1δ2f δf 1δ2f Ax i siR2ff i
− ∠IXiCOS8ド=一 十一
2δx2 δx¢.2δジ2 c・s・ff・
δ2f AXisikei fi・1,j ・一・・ fi,j
− + (3−25)
δX“δジ COSθi AXi/COS酬
1δ2f δf 1δ2f ∠xlsiit2δト1
− AXi.icOS8ト1= +−
2∂x2 δx麟 2δゾ2 c。s8i.1
ft 2f AXi 一.isin ei 一一 i f卜1,j−fi,j
− + {3−26)
δX’δジ COS e i.1 ∠IXi−1/eOS e i.1
ここで、式(3−25,3−26)の右辺第3項を差分表示し両式を加えると、以下の式が導
かれる。
1δ2f
− (∠fi XiC。Sθi+∠IXi.1C。sei.1)
2δx2
−ege2{,(」瑠18i+∠モ欝1÷⇒
fl÷1,j−fi,j fi_1.j−fi,j
十 十
∠IXi/COSθi Ax卜!!COS eト1
fi+1,j+1−fi+1,j_1−fi,」+1+fi,j _,1
一一sinβ1
2∠ly
fi.j+1−fi,j_1−−fi_1,j+1+fト1,j_1
(3−27)
sinθi.・1
2Ay
したがって、式(3−17)と上式より、図3−5に示した差分格子点に関するラプラシア
ン▽2fは、以下のようにi導かれる。
−21一
▽2f :[Aifi.1,j+Ai−1fi.1,j+Bi(fi,j.1+fi,j−1)
−Ci(fi・1,j・1イi・Lj−1−f・,j.1+f、,j−1)
−C卜1(f・,j・1−f・,j−1 一一 fト1,j。1+fト1,」−1)
−Sifi,j]!Zi (3−28)
ここで、式(3−28)申の各係数は以下に与えられる。
Aドcosθi!AXi
Bi :(1/A,+1/Ai .1)ノ(2∠jy2)
Ci=sinθi/(2Ay) (3−29)
{
Si:=Ai+Aト1+2Bi l
Z・=(∠x・C・sθ・+Ax・ 一一 ic・sS・i−1)/2/
対流項には風上差分を用いる。このとき、図3・・6に示す差分格子について、座標変
換の関係式(3−22)より、以下の差分式が得られる。
▽e(tf)=∠1俘蓼lf…・j+“‘釜lu−f』・
−u÷→lfh・一趨lul弓1−〕
+∠計÷Jlf−+v㍉∼…f…
」÷月lf・・」上毫…f…抽)
一22一
』xl
81
1,1判
⑧
v*」
⑧
1一書,1
腿i 1
Ui
・1+嘔,」
⑧V*卜1
1,卜1
図3−6対流項の差分格子
3−5方程式の解法
3−5−・1 差分計’;算手・順
3−4節で導かれた差分スキームにより、基礎方程式(3−3,3−4,3−5)を解く。
式(3−3)の流れ関数に関するボアソン方程式には、SOR法を用いて収束計算を行っ
た。それ以外の方程式については、式(3−28,3− 29, 3−30)をもとに、格子点(i,j)につ
いて整理し直した関係式を使い、各i列ごとにTDMA法を適用して計算の収束安
定化をはかった。
SOR法による流れ関数ψの収束判定基準は、任意の格子点におけるk、 k−1
回目の値を比較し、以下の通りである。
1 ψk一ψk−1 1≦10−6 (3−31)
また、渦度ω、温度Tについては、式(3−30)の条件が成立した上で、以下の判定
基準が満たされるまで計算を行った。
1ωLω同1≦10−s (3−32)
lTk−Tk’11≦10−s (3−33)
一23一
3−5−12 壁面の境界健計算
渦度輸送方程式(3−4)を解くときに必要なフィン壁面の境界榔ま、壁面に垂直な方
向Rについて流れ関数ψをTay恥r展開す翫ば次のように与えら凱る。
δψ 1δ2ψ
ip w+i−ip w=一一一一∠重n十一一∠j n 2十・耐 (3・’34》
δlt 2δn2
壁面では速蔑がゼロであり、以下の関係が成立する。
δψ δ2ψ
一:::0 , 一一一一一・・一一=:ωw (3−35)
δn δn2
従って、壁面の渦度の境界値ωi,。は、An =Ayc◎s研とおけば、次式が得ら凱
る。
2(ψ;,岡一ψi,の
ωi,w= (3−36》
Ay2COS2θi
また、流れ関数ψに対して、温度Tはスタッガードメッシュを採用しているため、
フィン表面の格子幅Ay/2に対し、熱流束qiは以下のようになる。
2(Ti,い一Ti,w+1)
qi: (3−37)
Aycos e ;
3−6斜交格子の誤差検討
ルーバブィンの解析を始める前に、長さL=Pcの傾いた平板で、適切な格子分
割数の検討と、斜交格子の傾斜角度θに対する数値計算上の誤差の検討を行った。
平板の向かい合う距離Hを傾斜角度θと無関係に一定に保ち、かつ、Hを平板長さ
Lの2倍にとり、お互いの境界層の干渉ぶ少ないような条件で計算を行った。
図3−7∼3−9は、その検討結果である。なお、平均ヌセルト数N。は、式(3・−37)の熱
流束の定義に基づいて求められる熱流束とバルク平均温度より計算した。図3−7は、
レイノルズ数Reが500の場合を例にとり、格子分割数の影響について検討したもの
一24一
である。x方向の絡子分割数を26分割に固定し、 y方向の格子分罰数を12∼64分割
の範囲で検討した。この図からわかるように、スタッガ・・… Ptメッシュを用いた場合、
労割数が20を越えると平板の平均ヌセル駆数N、はほぼ一定の値を示し、分割数40以
上になるとN。の変化はほとんど認められない。したがって、本研究のようにレイノ
ルズ数が100∼50⑪程度まてを扱う場合は分・割数を40にとれぼ十分といえる。なお、
通常のメッシュで計算した場合を、比較のためにのせたぶ、分翻数を増さないと精
度が良くならないことがわかる。図3−8は、斜交格子において座標変換をした場合と
しない場合について検討したものである。格子分割数は26×40、レイノルズ数は50
0である。この図からわかるように、座標変換をしない場合は、傾斜角度ρの増加と
ともに本来一定となるべきN、の値が高くなってしまう。しかし、座標変換を行えば、
δ =0・v 35°の範囲でほぼ」定の値を示すようになる。さらに図3−9は、レイノルズ
数が異なる場合についても検討した例である。この図は計算誤差の程度をわかりや
すくするために、θ =0“たおける平均ヌセルト数との比率で示したものである。θ
・O∼SOe、Re=100∼500の範囲で、傾斜・座標を用いたときのN、の計算誤差は3%
以内であり、座標変換による解析の信頼性が得られた。
噛8
腕e=5◎0,H/L=窪
スタッガード
<bシュ
お
囎4
通常の
<cシュ
置
ね
鱒
0
関◎ 20 30 40 50 60 70
メッシュ分割数閥
図3−7格子分割数の影響
一25一
醜e畿5◎◎,
鱈
睡/む鵠窺
座標変換無
’
s6
’
ψ
一
唄尋
座標変換有
惚
唱◎
◎
ブイン傾斜角度0°
図3−8座標変換による計算精度
噛。⑪6
§
差鱒4
>
鳴
当嘔ゆ盤
調。⑪
0 噛0 20 3◎ 4⑪
e°
図3−9格子傾斜角度による計算誤差
一26一
50
以降の章では、本解析手法を使って、ルーバフィンをはじめとする各種フィンの
流れと伝熱の特性を明らかにし、熱交換器の高効率設計に十分に活用できるような
技衛的嶽知見を提唱していく。また、・図3−10のチヤートは、以上の解析方法を取り
入れたフイン汎用計算プログラムの概要を示したものである。
ヨ\、\\\)1!111ノ嘲一
へ\、、\\)1!ノ1!1翻一
一剛
ブイン形状、配列設定
−−NNNN NV−ノノノノt−‘”
L◎量』ve騰齪舗灘
(臨ge◎㎜e鞠, arvay)
≡ミミiミ彰拷… ete.
1㎞c購髄㊧姻1◎聰ver㊧di菅1漉
フィン配列ファクタt・・Pt
(F輪a騨ay蕾ac量◎の
座標変換係数
(C◎◎『dl醜融置{es量即a『奮s響◎『馴調a電1◎醜)
or奮seg爾翻
フイン配列
(gein aervay)
計算結果
各格子点に対する差分計算
(総㊧S醜S)
(Caloulati◎Stむy rDM ll◎r 971ds)
図形処理
(c◎騨鵬匿gr覇麟lcs)
図3−10フイン性能解析プログラムの構成
3−7 結 言
従来のブィン数値解析にみられる一般的な直交格子に対し、本章では、フィンの
傾斜面に応じた斜交格子を用いた。この斜交格子では一般座標系が適用できないた
め、傾斜角度に応じた座標変換を行った。この座標変換は格子点の前後で角度の異
なった格子配列について展開したものであり、今回確立した数値解析プログラムは、
以下に示す特徴をもっている。
(1)断続壁面または連続壁面で構成される各種のブィン(ルーバフィン、傾斜ル
ー一
pフィン、平行ルーバフィン、オフセットフィン、ウェーピィフィンなど)の流
れの解析と熱移動解析を一つのプログラムソースで行うことができ、汎用性がある。
(2)傾斜座標系への変換誤差は、角度が0∼50°に対して3%以内にあり、工業的
に用いられている各種ブインの解析が十分行える。
一27一
第4章ルーバフインの流れの挙動と
熱伝達特牲{4鳳3,4鱈4,4障5,4−6・4−7,4−8・4−9}
まず、自動車用のコンパクト形熱交換器に用いられている代表的なルーバフィン
にっいて、流劇と伝熱の解析を行い、その特緻を明らかにする。
ここでは、数値解析結果を、流Ptの可視化実験やこれまでに得られている熱伝達
率測定の結果などと比較することにより、本解析の方法ならびに計算結果の妥当性
の裏付けを行い、今までPohlhallseRの層流熱伝達理論など古典的な考え方では得ら
れなかったルーバフィン特有の現象を、理論的に解明する。
4−−流れの可視化
4−1−1 『可視化実験装置
図4−1は、可視化実験装置の概略図である。観察用のテストセクション部は、長さ
500服,高さ10伽孤,幅200mmの透明なアクリル製の水路となっている。この水路申にモ
デルを置き、流れの状態をモデルフィンの上部から写真撮影した。水路上流側にば
DY慶ヨ麗」εCTI◎醐
9NSTnvME賊丁
20◎WX 10◎H
◎眠FしEcnO腿 闇A暇
し◎UVE瞬 しOUV駐騰
PUMP FLOW M訂鴎
2200
眠四LARG臨D翻◎DEL F隅
図4−1可視化実験装置
一28一
整流用の金網を4∼5段設け、テストセクション部で、乱れの少ない一様な流馳が
得られるようにした。
4−1−2 可視化の方法
空気の代わりに水を流体として用い、1◎倍のフイン拡大モデルを使って、次の二
種類の方法で流れの可視化実験を行った。
(1)色素流脈法
色素液を観察部上流から流して、ルーバを通る流れを観察する。
(2)水素気泡法
間欠的に水素気泡を発生させて、ルーバまわりの速度分布を観察する。
流脈線を見る色素流脈法は、注封針のような細い注入管でモデルの上流より色素
液を注入し、流れに沿って色素液の軌跡ができるのを観察する方法である。色素に
は、ローダミンを使い、注入管の上部に液を入れる容器を設け、滋ックで注入量を
調節できるようにした。
水素気泡法は、水の電気分解を利用したものであり、一定時間間隔で帯状に発生
した水素の気泡(タイムライン)を観察することによって、速度分布を求める方法
である。図些1において、パルス発生器は水素気泡を間欠的に発生させるための電源
であり、水素発生用の陰極のワイヤーには線径40μmの白金線を用い、それを流れ方
向と直角に張った。また、陽極には銅板を用い、これを水申に設置した。
図4−1左に実験に使用した拡大モデルフィンを示す。ルーバフィンの断面の形状を
10倍に拡大したものである。水路側壁の影響を少なくするため、全長160mmのフィン
の列を10∼20段にとった。材質は、透明なアクリルで、板厚1.0㎜のものを用い、ル
ーバ角度θは25°に固定し、現製品で使用されているものと角度を同等の値にした。
なお、実験したレイノルズ数の範囲は100∼1000であり、実際のフィンの使用範囲
に対応させた。以下、第6章までの解析において、次式で定義されるレイノルズ数
を用いることにする。
Re=UePe/rw
(4−1)
一29一
4−1−3 色素流脈法による流線の観察鯖果
図4−2は、フィンピッチPfによるルーバフインの流れの変化を見たものである。
いず批も、レイノルズ数Re=25◎の結果であるぶ、図4−2(a),㈲のようにPf/Pe
が比較的小さい場合は、流体はほ嬉ルーバに沿って流れるのに対し、図4−2(c)p(d>
のようにPf!Pcが大きく象ってくると、流体はルーバ聞を通りにくくなる。
図4−3は、種々のレイノルズ数Reに対する影響をPf/Pc=1.0およびL5につい
て示したものである。図4−3(a)∼(d)にみられるように、フィンピッチPfが小さい
場合はRe数が1000で乱れを伴うものの、流線の様子はあまり変わらない。いっ嫌う、
図4−3(e)∼(h)に示すように、フィンピッチPfが大きくなると、低いレイノルズ数
ほどルーバ間を通りにくくなる。また、フインピッチPfにかかわらず、 Re=1⑪00
では、流為が乱れるようになる。
これら流れのパターンはルーバブィンの熱伝達率に密接に関連しており、とくに、
ルーバ聞を通りにくい流れになると熱伝達率が鱈下する。
4−1−4 水素気泡法による速度分布の観察結果
図4−4は、フィン入口部と申間部の流れを見たものである。図申の白い帯は一定時
聞聞隔で発生した水素の気泡であり、帯と帯の間隔から流体の速度の大きさが判断
できる。図4・・4(a)は、ブィン入ロ部の流れを示す。転向ルーバと呼ばれる入ロの折
れ曲ぶったフィンは、ルーバブィン全体の流れをスムーズにする働きがあり、フィ
ンの構成上において必要なものであるので、その部分の流れを観察してみた。図か
らわかるように、転向ルーバの背面側で速度が大きく、ちょうど翼列のような流れ
になっている。また、流れの剥離は、この転向ルーバの折れ曲がったところだけに
発生し、その後流側のル・ke“バには見られないことがわかる。また、図4−4(b)は、フ
ィンの大部分を占める申間ルーバ部における流れを見たものである。ルーバ壁面の
速度境界層、および、上流側ルーバの後流の影響で速度の減少したところが観察さ
れる。
このように、ルーバフィンの流れの状況は、単純な平板と異なり、各ルーバの位
置関係が相互に影響しあうので、フィン入口から出口まで含めた流れ全体の解析が
不可欠である。
一30一
o
)
翠
9
遅
一31一
t ;.、。 1酬町照娩〆zアー一
(a) Pf/Pe =1.0 ,θ:=25°, Re:=100 (e) Pf!Pc =1.5 ,θ=25°, Re=:100
(b) Pf/P乙 :=1.0 ,θ:=25°, Re:=250 (f) Pf/P乙 =1.5 ,θ=25°, Re=250
隷,
(c) Pf/Pe=1.0 ,θ=:25°, Re:=500 (g) Pf/Pc =1.5 ,θ=25°, Re=500
}、驕騨鮮醐隙
“」購7..灘翻剛一
『L・綴欝1.謬嘱_
灘謹1 ’㌦・.『’.,『,・一『’
鱗『鞭 @ 1・・蟹悪f,/聯 7−一
.輝 冠澱.
鷺・… 』 撰講灘、、
幣醗=i・、 L... .・.難 一’.・
(d) Pf1Pe=1.0 ,θ=25°, Re=1000 (h) Pf/P c =1.5 ,θ=25°, Re:=1000
図4−3色素流脈法による流れの可視化(レイノルズ数の影響)
一32一
8
嶋
lI
o
』
ll
o
・駕
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lll興
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o 山 L
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春
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噸
ll
曲
\
出
3
一33一
4−2流れの数値解析
第3章で述べた数値解析方法を用いてルーバフィンの流れのシミュレー一ション計
算を行う。ここでは、4−1節で検討した流れの可視化の結果とを比較しながら、
ルーバフインの流れのパターン、とくにルーバ間の流線に着目して、流れの現象の
特徴を明らかにする。
4−2−1 可視化実験との比較
図4−5は、Pf/Pe=1.0および1.5について、 Re=100∼10⑪0における計算結果
を、可視化実験の結果と比較したものである。図申の実線は計算で求めた流線であ
り、破線は可視化結果である。これらの図からわ寮るように、レイノルズ数Reが小
さく、フィンピッチPfが大きいほど、流体はルーバ間を流れにくくなり、ルーバの
一NN“NN“N)』ノ!ノ!ノc・・ ・・・・…
一FNNNSNrN)!!』ノノ!,・・ ======・
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一へ“NNN !ノノノfti===
(a)Pf/P2 =1.0 θ=:25° Re =100
(e)Pf/P2=1.5 θ臨25° Re=100
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(b)Pf/P2=壌.0 θ :25° Re=:250
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(c)Pf/P2=1.0 θx25° Re==500
c===…l」NN“NSNN.)』ノノ!!ノdf・一・’
(g)Pf/Pg:=1.5 θ=25° Re:=500
(d)Pt/Pε =1.0 θ=25° Re=1000 (h)Pf/P2=喧.5 θ==25° Re=looO
( Calculation, m−…m−・n・t−b・・e ExperimeRt)
図4−5可視化流線と計算結果
一34一
前縁効果が十分に得られず、フィンの熱伝達率の低下が予測さ凱る。
また、Re≦500で計算結果と実験結果とはよく一i致するが、 Re=1000になると、
図を3の可視化結果にも見られるように、フィンの後半部分で流れが乱れるため、今
回のような定常な層流域を仮定した計算では対応できていない。しかし、本研究の
対象であるコンパクト熱交換器の空気側に用いられるフィンの使用風速範囲はUe==
2・−10m/sであり、レイノルズ数Reの範囲は1⑪⑪∼500程度になる。したがって、これ
ら熱交換器用のフィンの実用域に対応した解析を行うには十分といえる。
4−2−2 ルーバ聞の流翫に関する考察
熱伝達率に影響を及ぼすルーバ間の流れの悪化について、簡単な仮説をもとに原
因を検討してみた。なお、検討にあたって、田申ら(A”’1>の報告を参考にした。
図型6は、上下左右のルーバの配列関孫を示したものである。まず、前提条件とし
て、次の二つを仮定する。
(1)各ルーバで同じように境界層が発達するものとすれば、そのときの排除厚さ
δ’は次式で与えられる。
δ’=
1.72Pe
(4−2)
漏
(2)各面を通る流量は、排除厚さδ’分を除く流路幅h,およびh2に比例する。
B
XPtew 2
図を6ルー一バの配列と速度
一35一
図4−6において、AC面の流量をMeとすれば、 AB面とEF面、およびBC面と
DE面のぞ翻それにおいて、各面を逓る流量Mi、酸2が等しくなり、それぞ凱次式
で示さ劇る。
AB面、 EF面3
Mi=:Me h 1/(h1十h2)
(4−3)
BC面、 DE面:
M2=Meh2/(hi+h2)
(4−4)
また、各面での平均速度u1,u2は、次のように与えられる。
AB面、 EF面x
MI Mehi
ロユニ =
(4−5)
PLtanθ(hi+h2)(P e tait・ff)
BC面、 DE面£
M2 M窃h2
な2 : ま
(Pf−Petanθ) (h1十h2)(Pf−Petanθ)
(4−6)
ここで、
h1:=PetaRθ一(δ7cos8)
(4−7)
h2=Pf−PetaRθ一(δ’/cosθ)
(4−8)
である。
図4−6において、GC面に入る流量とEF面を出る流量が等しくなるようなG点を
考え、GCの距離を9としたとき、以下の関係が得られる。
u29=u1PetaRθ
(4−9)
これより、流れがルーバ角度θに沿うかどうかの判断基準として次式が得られる。
−36一
9 ul
E コ ニ−
(4−10)
Petaitの u2
式(4−10)に式(4−5,4一嬉4−7,4。8)を代入することにより、次式が導かれる。
h1(Pf−Petait㊧)
E ==
h2Petaitθ
=1− rEik(pl完睾δ)
=1−
剥激ニ1−P,説簸β一δ)
(4−11)
式(4鴨u)で与えられる麟1錫合ノレーバに沿う漁となり、εが1よ舅、さく
なるほどルーバに沿わなくなる・この式より、P・が大きいほど、また、勧竃大きく
なるほどεが小さくなることぶわかる。
ここで・式(4隔11)申のδは無次元の排除厚さであり、次式で与えられる。
1。72 1
δ= 一
(4−12)
癒εcosθ
また、フィン板厚を含め合わせて考えると、次のようになる。
δ=
i超li濾,
(4−13)
4−3 熱伝達と圧力損失の解析
前節4−2で述べたように、ルーバフィンの流れの挙動を計算で求められること
が・可視化実験で裏付けら凝ので、フインピッチP,、レイノルズ数Reがそれぞ
れ変化したときの、熱伝達率および圧力損失を計算により評価した。あわせて、既
存の実験ヂーダ姻とも比較したところ澗者の聞で良い欄が得ら凝.そして、
。37一
第2童図2−4で示したルーバフインに特有の熱伝達挙動でもあるPohihausenの理論
との相違(ルーバの前縁効果ぶ十分に得られず、理論的に期待される熱伝達牲能が
得られない)について、数値計算でその理由を明らかにした。
4−3−1 局所および平均熱伝達率の定義
本解析で扱う熱伝達率を以下のように定義する。無次元で現した局所ヌセルト数
Nuxおよび平均ヌセルト数N、は、それぞれ、次式で与えられる。
Nux=
αxPe
λ
ecPe
q
(4−14)
1−TB(x)
1
Nu :
(4−15)
λ
LfAT。
ここで・Lfはフイン入ロから出ロまでの全長であり、 qは式(3−37)で計算される
熱流束である。また、式(些14)、(4−15)申のバルク温度TB、および対数平均温度差
」T。は、以下の式で与えられる。
一÷∫:1’P“Tudy
(4−16)
一・・一 ’TB(Lf)
」T。=
(4−17)
ln[1−TB(Lf)]
4−3−2 圧力損失および抵抗係数の定義
フィンの圧力損失APは、フィン表面の摩擦抵抗∠Pf,i。と、フィンの板厚がも
たらす形状抵抗∠Pf。rmの和として考える。すなわち、
∠P:=∠Pfric十∠IPf。rm
(4−18)
2Lf ωw 2Lf
APfric :τ一一=ρUe2−一一一一
Pf Re Pf
(4−19)
一38一
ここで・τはブインの表面摩擦であ}、式(3−36)で与えられる壁面の渦度蜘をフ
ィン全長Lfにわたって積分平均することにより求められる。
また、形状抵抗」Pf。rmは板厚δfをもつ個々のルーバそれぞれに働くものと仮定
し、フィンピッチPf聞に含まれるルーバ数NLに対して以下のようになる。
1
∠IPf。rm=一βU紐2CDδfNL/Pf
2
(4−20)
CDは形状抵抗係数であり、本解析では、機械工学便覧などを参考にしてCD=1
と仮定した。そこで、形状抵抗を含めたフィンの抵抗係数C,を相当直径de ・2Pf
をもとに、以下のように定義する。
AP de
Cf= 一=:
1 4Lf
一βUa2
2
∠ip
Pf
(4−21)
1 2Lf
−一
2
@PUe2
上式に式(4−18,4−19,4−20)を代入すれば、ブィンの抵抗係数qは、以下のように
計算から求めることができる。
2ωw δfNし
Cf :一十
(4−22)
Re 2Lf
一39一
4−3−−3 ルーバフィンのフ腿一パタ陀一ンと局所熱伝達塒牲
図4嚇7∼4−12はルーバフインにおける流線と局所ヌセルト数N、、の計算結果を示し
たものである・ルーバピッチに対するフィンピッチの比Pf/Peが1.⑪と2。0の場合
にっいて、レイノルズ数Re=100∼500の範囲で検討を行った。計算は、ルーバ角度
β=25°一定とした。なお、図申の右上には平均ヌセルト数の値も示しておいた。
図些7∼4−9のように、Pf/PLが小さい:場合は、レイノルズ数が異なっても流線
で示された流れの傾向にあまり変化がみられない。しかし、図4−10∼4−12のように、
Pf/Peが大きくなると、レイノルズ数が低くなるほど、ルーバに沿わない流れに
なってくる・したがって、この影響は局所ヌセルト数の分布特性にも現れ、ルーバ
に沿う流劇のときにはルーバ上面と下面の局所ヌセルト数の労布はほぼ類似したも
のとなり、かつ、各ルーバ前縁部では同程度に高い値を示し、ルーバの前縁効果が
十分得られていることがわかる。また、いずれのレイノルズ数でも局所ヌセルト数
が後縁においても少し高くなっている。これは、蛇行した流線にみられるように、
ルーバ後縁を通過する流れ渉、お互いにフィンの板厚申心の方向に引き寄せられる
ためである。
いっぽう・図4−10,4−11のように、ルーバに沿わない流れになると、各ルーバの局
所ヌセルト数の分布に変化がみられ、ルーバ前縁部のヌセルト数の低下と同時に、
全体的に低い値を示すように獄り、前縁効果が十分得られていない。このように、
ルーバフィンにおけるフィンピッチとルーバピッチの相対比率はルーバ聞の流れに
影響を与え、フィンの局所熱伝達特性そのものに影響を及ぼすことがわかる。
4−3−4 ルーバフィンの平均熱伝達特性
図4−13は、各フィンピッチにおけるルーバフィンの平均ヌセルト数N、を、レイノ
ルズReに対して計算した結果である。この図からわかるように、ヌセルト数のレイ
ノルズ数に対する傾きは、おおよそ0.4∼0.5乗の範囲にあり、品川ら(4”2}の実験デ
ータともほぼ一致する。しかし、図4−7∼4−12の結果からもわかるように、ルー一バピ
ッチに対してフィンピッチが大きくなっていくと、レイノルズ数の低いところでは
とくに、ヌセルトの低下が認められる。
図4−14は、図4−13の結果をもとに、この関係を図示しなおしたものであり、レイ
ノルズ数が小さいほどブインピッチ大による性能低下が顕著になることがわかる。
一40一
一\\\\\)/ノノ/ノ〆一一
一\\\\\)ノノノノノノー一
・ミミ\\\\\)ノ/ノ!//)E;i
r\\\\\)/ノ/ノノs、’ ・ =:
一\\\\\)ノ/ノノ/s ・・=・・・・・・・・・…
(a)流 線
160
一一一一
tpper Surface
L◎wer Surface
120
薯8・
40
aO 4.0 6.0 &0 10.0 12. O ldi⑪ 16. O
x
{一
`\\\\\)ノノノノ/.
(b)局所ヌセルト数
図4−7ルーバフインの流れと局所ヌセルト数(Re=100, Pf/P e =1,θ=25°)
一41一
r\\\\\)/ノ/ノノti_===
ミミミ\\\\\)/ノノ/z)EEi
r\\\\\)///ノ/cY ・一
(a)流 線
160
一一一一一一一
120
@ Upper S賦rface
Nu=12。53
…一… @Lo総r Surface
髪8・
40
0
髄
0 2・0 生0 6。0 &0 10。0 12。 0 1生0 16。0
…翰
ヨ\\\\\)ノノノノノ.
(b)局所ヌセルト数
図4−8ルーバフィンの流れと局所ヌセルト数(Re=250, Pf/P c =1, e =25°)
一42一
一一㍉\\\\\一ノ////ノー一
一\\\\\)ノ////,,’_・==
−EigssN\\\\一ノ/ノ/Z)6Eヨ
一===
m\\\\\這ン/ノ///〆一一
一\\\\\)ノノ!ノ!c,,_・”=:
(a)流 線
160
一Upper Surface
120
−一一一・−
Nu=15。66
k騨er Surface
薯80
1
40
0
0 2.O kO 6.0 &O lO.0 12.・O alO
巳こ\\N:\\壱ノノノ/Z
(b)局所ヌセルト数
図4−9ルーバフィンの流れと局所ヌセルト数(Re=500, Pf!Pc =1,θ =2se)
一43一
16。0
ミ…kSCN\\\\)ノ/ノ//〆一一
一\\\\\)ノ/ノノノグー一
(a)流 線
160
Upper Surface
120
Nu=5・17
Lower S種rface
1
薯8・
40
0
0 2◎0 400 6◎0 8。0 10。0 12。O l440 16. O
l
m\\\\\)/////f=−zre
==””−
ゴ
(b)局所ヌセルト数
図4−1◎ルーバブィンの流れと局所ヌセルト数(Re ・100, Pf/P c=2,θ=25°)
一44一
一\\\\\)////ノ〆一一
r\\\\\““lllll1s1;1;;1,°ノノノノ/β一
(a)流 線
160
Upper Surface
・一一・一・一卿一
120
N ax = 10.40
@ Lower S聰rface
薯8・
40
0
0 2.0 4。0 6。0 8。0 10。0 12。0 14、O
16。O
X
l
−’聖
鼇_\\\\\)ノノノ//.
(b)局所ヌセルト数
図4−11ルーバフィンの流れと局所ヌセルト数(Re ・250, Pf/P c=2,θ=25°)
一45一
l
一一m\\\\\)ノノノノ/s、_=・・’
一\\\\\)ノノノノノ’一
(a)流 線
160
馳per S腿rface
120
Nu”14。58
Lo騨er S覗rface
蚤 80
40
00
量
2。0 4。0 6.0 8.0 10.O l2。O l4LO 16。O
X
\\\\\)/////〆一_
(b)局所ヌセルト数
図4−12ルーバフインの流れと局所ヌセルト数(Re=500, Pf/P e =2,θ =25°)
一46一
噛0
8
6
4
902 2 尋 6 8GO3
飛e
図4−13ルーバフインの平均ヌセルト数
帽.0 噸25 調。5 噸。75 変。O
Pf/P2
図4−14フィンピッチによる影響
一47一
4−3−5 ルーバブィンの圧力損尖特牲
図4階15は・ルーバフインの抵抗係数Cfの計算結果を、実験結果(4−2}と比較した
ものである。抵抗係数Cfのレイノルズ数に対する傾きに、計算値と実験値で少しず
れが認められる。これは、4−−1節の水素気泡法による可視化結果にみら凱るよう
な流れの剥離などを伴った乱れの影響iが現れるためである。しかしながら、両者の
比較において、その差異は最大17%程度以内におさまっており、結果の妥当性はほ
ぼ裏付けられたものと判断できる。
このように、熱伝達特性も含めて十分な相関が得られたので、以降の章では、本
解析法を用いて、フィンの様々な配列状態における流れや熱伝達の特性を評価して
いくことにする。
0。6
0。5
6
◎2
103
lR㊧
図4−15ルーバフインの抵抗係数
一48一
4−4 結 言
第3章で確立した数値解析方法を用いた計算、ならびに流れの可視化より、ルー
バフィンの流劇と熱伝達の特性について、以下のことがわかった。
(1)ルーバフィンの場合、流体が常にルーバ角度に沿って流れるとは隈らない。
とくに、レイノルズ数Reが小さくなったリフィンピッチPfが大きくなると、ルー
バに沿った流れが得られなくなる。この現象は可視化とi数値計算の双方で確認でき、
境界層厚さをもとにした流れのメカニズムからも証明できた。
(2)このようなルーバフィンにおける流れの変化は、熱伝達率にも影響を与え、
ルーバに沿わない流劇になるほど、フィンの前縁効果が得られなくなり、熱伝達率
は低下する。
(3)数値計算で得られた平均熱伝達率および圧力損失特性を従来の実験値と比較
したところ、熱伝達率で3%、抵抗係数で17%以内で一致し、十分な相関を得た。
(4)フィンピッチに比してルーバピッチぶ小さくなると平板の熱伝達理論から逸
脱し牲能が低下するという、第2章図2−4で示したような現象は、(1)、(2)の結論か
ら推察できる。
一49一
第5章ルーバフインの最適形状の解析
(5−7}
5−1 緒 言
現在ルーバフインは泊動車用熱交換器をはじめ、各種のコンパクト熱交換器
に用いられており、高性能化を図るための研究課題も多い。このルー一…一パフィンの流
れと伝熱は層流境界層の影響下にある。しかし、その境界層がルーバの配列の違い
により・どのような影響を及ぼすかについて正確につかめていないのが実状である。
これまでのルーバフィンの研究では、実験に関するものとして文献(5”1,5−2・5”3
・5”4)が、また計算によるものとしては文献(5−5・5’6)などが報告されている。しか
し、製品の最適設計など実用的なレベルでの適用域には達していない。
前章では、第3章の数値解析法を用いて、ルーバフィンの流れと伝熱に関する基
本的な特性について検討してきた。ここでは、ルーバフィンの幾何学的配列による
伝熱性能への影響について、さらに詳細に検討を加えることにする。そして、フィ
ン最適設計に必要な各形状因子が、ルーバフィンの流れや熱伝達特性にどのような
影響を与えるかを、数値計算によって検討した。
その結果、フィンの配列状態を表す特定のパラメータ(流路比と名付ける)によ
って、フィンの熱伝達および圧力損失の特性が支配されることがわかり、熱伝達率
が最大になる最適パラメータ値が明らかになった。
5−2ルーバ角度が流れと熱伝達に
およ轟iヨぎす影響
5−2−1 ルーバ角度およびフィンピッチに対するフィンの性能特性
図5−1は、ルーバ角度θを5∼50°にi変化させたときの平均ヌセルト数N、と抵抗係
数Cfの計算結果である。パラメータにフィンピッチPf!Pcをとったものであるが、
角度θを増していくと、ヌセルト数は単調に増加していくのではなく、特定のルー
バ角度θにおいて二つの極大値および一一つの極小値をもつことがわかる。
例えば、平均ヌセルト数は、Pf/Pe=1.0のときθ=22°と35°でそれぞれ最大
一50一
になり・θ= 27cでは低下している。しかし、フインピッチが異なれば、これら角度
θの値も変化する。最初に極大値を与えるルーバ角度eの値は、Pf/Pc=L25の
ときδ=25°・Pf!Pc=1・5ではθ=3⑪゜となり、ブインピッチが大きくなるほど角
度も高くなっている。
いっぽう、i抵抗係数はヌセルト数のような二つの極大値が存在していないが、角
度θの増加とともに増大する傾向を示す。
このように、ヌセルト数と抵抗係数のルーバ角度に対する特性がフィンピッチに
も関連して現れるのは、フィンの特性を支配するルーバフィンの流れのパPt一ンが、
ルーバ角度・ブインピッチ、ルーバピッチなどの組合せで決まるブインの配列状態
に関わっていることに他なら獄い。
盤
δ
拶(°)
図5−1平均ヌセルト数と抵抗係数に及ぼすルーバ角度の影響
一51一
5−−2−2 流劇と局噺熱伝達特牲におよ醸すルーバ角度の影響
ルーバフインの熱伝達特性が図5−1のようになる理由を調べるため、ル・・…バ角度の
違いによる流れと局所ヌセルト数の変化を図5−2および図5−3に比較してみた。計算
条件は・図5−1の結果の一一一wrでも示したレイノルズ数Re=250、 Pf/P t ・1.Oであ
る・なお、局所ヌセルト数の労布図の右上に平均ヌセルト数の値も示しておいた。
図5。2(a)は平均ヌセルト数を極大にするルーバ角度δ =22°の場合の速度分布で
あり、前章4−1節の水素気泡法による可視化結果にも見られたようなルーバ通過
後の後流ぶ認められ、ルーバ間の流れも良好である。このときの局断ヌセルト数の
計算結果を図5−2(b)に示すが、前章4−3節でも説明したように、フィン上下面と
もほぼ似たような局所ヌセルト数の分布となり、各ルーバのヌセルト数は高いレベ
ルに維持されている。
また、図5−3(a)は、ff ”naと角度が低い場合であり、ルーバ聞の隙聞が小さく
なるために、その部労の流乳が遅くなっている。したがって、図5−3(b)に示す局所
ヌセルトi数の分布特性についてもこの流れの影響が現れ、ルーバ下面のヌセルト数
の低下が認められ、図5−1のように角度θが低いときに平均ヌセルト数N、が滅少す
る原因にもなっている。
一52一
蓼蓼謬謬蓼蓼塾簿塾
(a)速度分布の計算結果(Re=250,Pf/Pc:1.0,θ =22°)
160
UPP・⑭1r S賊rface
Low《きr S遷rfac樫
120
砦 80
40
0
2・0 10 6.0 8.0 10。0 12.0 1di・0 16. O
X
㎜一
ヨ\\\\\一ノノノ!ノ〆__
(b)局所ヌセルト数の計算結果(Re=250,Pf/P‘=1.0,θ =22°)
図5−2適正なルーバ角度における流れと局所ヌセルト数
一53一
(a)速度分布の計算結果(Re :250,Pf/Pc:1.0,θ=11°)
160
Upper Surface
Lo閣er SMrface
120
首 80
40
00
1_._
200 400 6。0 8。O lO。O l2●O l4LO 16。O
X
鴨へ、、、、、一多』多多r』グr』グr』一/・=71』グr−一
(b)局所ヌセルト数の計算結果(Re=250,Pf/Pc=1.0,θ=11°)
図5−3低いルーバ角度における流れと局所ヌセルト数
一54一
5−3ルーバ配列が流れと熱伝達に
およ番ます影響
前章4−1節の水素気泡法による可視化結果や、図5−2、図5−3のi数値計算結果に
も見られるように、各ルーバに形成される境界層によって、その後方側のルーバで
は後流の影響を受けることになる。それは、ルーバ角度θやフィンピッチPf、そし
てルーバピッチPeなどで決まる相互の位置関係が重要な支配因子ともいえる。そ
こで、これら形状因子を用いて、フィンの特性を系統的に評価できるような薪しい
パラメータを、ここでは導くことにする。
5−3−1 ルーバ配朔パラメータ(流路比)の定義
図5−4に示すような、四種類のルーバの幾何学的配置を考える。°図5−4(a),(c)はル
ーバ後流の影響を受けにくく、高い熱伝達率が期待できるような配列関係にある。
また、図5−4(b),(d)は後流の影響を受けやすいため、低い熱伝達率しか期待できな
い。この考え方は、さらに下流のルーバについてもいえるぶ、計算で予備検討した
ところ、後流の影響を受けるのは、せいぜいルーバ2個分程度離れたところまでで
あり、この後流の消滅を考えれば、図5−4に示したケースだけで十分である。
以上を踏まえて、ルーバ角度θ、ルーバピッチPc、フィンピッチPfなどのルー
バの配列因子を一つのブァクターで表すことのできるパラメタとして、以下のよう
な無次元パラメータを定義し、これを流路比と名付けた。
P乙
流路比霧22/2i=一一tanθ
Pf
(5−1)
ただし、21はフィンピッチ間の際間を、92はルーバ間の隙間をそれぞれ表し、
次式で与えられる。
21=:Pfcosθ、 22=Pesinθ
一55一
(5−2)
\\\ \\\、 (翻)
\N\\ 、 、 、
勉
@(o)
臨
\N\ 、、
@、 、 、 、 、
_\こ\
22/島暑抽拶
@(㎞)
(流路比)
図5−4ルーバの配列状態とパラメータ
図5−4に示したルーバ配列を、この新しいパラメータである流路比で表せば、次の
ようになる。
タイプ(a):92/2i=1/1.5・ ・O.7
タイプ(b):22/飢=1/2.O・・0.5
タイプ(c):22/21=1/2.5・・⑪.4
タイプ(d):22/21=1/3.0=・0.3
以下、ルーバの配列パターン(a)∼(d)で、流れおよび熱伝達にどのような変化が
現れるかを、数値計算で検討していくことにする。
一56一
5−3−2 流路」姥と速度分布の関係
ルーバフインの各配列パターン、図5−4(の∼(のの速度分布を図5−5(a)∼(d)に示
す。計算結果は、いずれもレイノルズi数Re=250、 Pf/Pe=1。Oの場合である。
図5−5(a)・(c)は、流路比飾/2i=O.7およびO。4のときのルーバ後流の影響を受け
ない場合であり、ルーバ前縁部分の流入速度が大きい。また、図5−5(b)は碗/飢
=⑪。5の場合であり、ルーバ前縁部分で速度が小さくなり、後流の影響をまともに受
けていることがわかる。いっぽう、図5−5(d)は(b)と同様、後流の影響を受けるよう
な配列であるが、影響を受けるはずのルーバが2個分も離れてしまうと、後流が消
滅してしまい、その影響が現れない。むしろ、前後するルーバ間の瞭聞が狭められ
たことによるルーバ間速度の減少の方が認められ、さらに隙聞が狭くなれば熱伝
達率低下の要因にもなる。 (流路比22/2iが小さいときは、先の図5−3に示したル
ーバ角度が低いときのように、この影響の方が顕著になる。)
5−3−3 流路比による性能特性の整理
以上に述べたように、ルーバフインの場合、流路比22/21によって境界層の影
響が特徴づけられる。以下では、このルーバフィンの熱伝達率と圧力損失について、
計算結果をもとに考察を行う。
図5。1の結果を式(5−1)で定義される流路比22/9iで整理すると、図5−6のように、
平均ヌセルト数と抵抗係数の特性が、この流路比によってうまく関係づけられるこ
とがわかる。たとえば、図5−5および図5−6からわかるように、ルーバ後流の影響を
受けないような22/2, =O.4および0.7付近でヌセルト数N、が高くなり、その反面、
後流の影響を直接うけてしまう22/飢=0.5付近ではヌセルト数の低下が認められ
る・また、抵抗係数Cfについても同様に流路比で整理でき、22/21=0。8付近ま
では22/9iが増していくにつれ、抵抗係数が増加する。この傾向はPf/Peが大
きいほど顕著になる。
以上述べたような熱伝達と圧力損失の特性の流路比による整理方法は、図5−7に示
すように、レイノルズ数が異なっていても同様な傾向で示される。
このように、ルーバフィンの幾何学的配列がもたらす性能特性の変化はただ一つ
のパラメータ流路比£2/2iにより特定づけられ、この22/2iの値によりフィン
の最適条件を一義的に決めることが可能である。
一57一
麹藝i塾
(a)Re=250,Pf/P‘=1.0,22/21灘0.7
蓼蓼 麹
讐曇暑鰹盤鰭婁
麹翁
麹藝籍ミ
(b)Re認250,Pf/P己=1.0,£2/2ユ=0。5
蓼謬謬嚢蓼馨 轟麹蓼蓼謬
塾黙灘
(c)Re=250,Pf/P e=1.0,22/91=0.4
(d)Re=250,Pf/Pe=1.0,92/91=0.3
図5−5速度分布の計算結果
一58一
e ロ tS m m 竪)鵡
麗癒
喰虚嘘葦
ll^\
ね ト
⇔ゐ
c;kム
醐ゆ
喰北麺
悶澗
螢舞
⇔頃
層幽 響廻 騨 響晒
一59一
5 一一 3−4 圧力損失を考慮した最適フイン配列条件
ルーバフィンの幌能を評価するために、圧力損失を考慮したときのフィンの最適
条件を検討する・ここでは、その評価方法の一つであるコルバーンのj因子jhと抵
抗係数Cfとの比である次式を用いて評価を行った。
jh/Cf=
Nu
(5−3)
RePr1/3Cf
図5−8は、図5−7の結果をjh/Cfで示しなおしたものである。図5−8からわかるよ
うに、いずれのレイノルズ数においても、流路tt 22/21=0.3付近でjh/Cfが最
大になる。ヌセルト数Nuの極大となる条件を含めて考えると、ルーバフィンの最適
値は、22/2i=0.3∼0.4の範囲になる。
0。3
δ
騨蕾/P£躍咽。⑪
◎2
、
営圃幽触
ふ
◎。囎
lh/C歪
0
醜e
o
噸50
⑳
盆5◎
㊤
500
0。5
£2/愈暑伽ρ
図5−8圧力損失を考慮した最適特性
一60一
1.o
5−4 結 言
この章では基本的なルM・一一パフィンについて数値計算を行い、ルー一一バの配列状態
が流れや熱伝達におよぼ』す影響を検討した。その結果、以下の成果を得た。
(1)ルーバの配列状態と前方ルーバの後流の影響を関連づけるパラメータとして、
フィンピッチ、ルーバピッチ、ルーバ角度で定義される流路比飾/島=(Pe!Pf)
tanθを用いることにより、ルーバフィンの熱伝達率と抵抗係数の特性を整理するこ
とができる。
(2)流路比22/9iの値が0.4と0.7のときに、熱伝達率が最大になる。その申間の
値O.5では、ルーバ後流の影響下に入るため熱伝達率が低下する。
(3)圧力損失当りの伝熱性能jh/Cfでみた場合、ルーバフィンの最適配列条件
は、流路比22/9i:O.3∼◎.4である。
一61一
第6章 断続壁面をもつ各種フインの
最適形状の解析(6囎5}
自動車用や家庭用空調機の熱交換器に代表されるよう癒コンパクト熱交i換器では、
ルーバフィンやオフセットフィンなどの各種形状のフィンが用いられている。
第4章および第5章では、基本的:なルーバフィンについて解析を行い、ルーバの
特性を明らかにした。ここでは、ルーバのバリエーションとして考えられる傾斜ル
ーバフィン、平行ルーバフィン、およびオフセットフィンについて、第3章で述べ
た数値解析方法を用いて各種フィン形状の流れと伝熱の解析を行い、ルーバフィン
との比較を検討した。
解析の結果、いままで実験的(6}1・6’−2)に確かめられているオフセットフィンの性
能特性や傾斜ルーバフィンの傾斜角度に対する熱伝達特性、および計SC (6”3・ 6“4)で
得られている熱伝達の特徴を十公説明できるものであり、これらフィンのような切
り起こしをもつフィンはすべて、第5章で導入した配列パラメータ(流路比)でそ
の性能特性が整理できることがわかった。そして、これらのフィンを熱交換器に適
用する際は、その配列パラメタを適切な範囲に設定する必要があることがわかった。
6−1各種フィンの解析モデルと
配列パラメータの定義
図6−1は、今回解析を行ったフィン形状である。数値解析を行う対象は図申の斜線
部分である。フィン入口の流れの方向に対して角度をもって配列されたフィンとし
て、図6−1(a)に示す基本ルーバフィン、および図6−1(b)の傾斜ルーバフィン、そし
て、流れの方向に平行なものとして、図6−1(c)に示す平行ルーバフィンと図6−1(d)
のオフセットフィンを取り上げる。フィンの形状要因として、たとえば、図6−1(b)
に示される傾斜ルーバフィンの場合、切り起こしされるフィン基盤からの切り起こ
し角度、すなわちルーバ角度をθ、流れに対するこのフィン基盤の傾斜角度をβ、
また、流れに対するフィンの迎え角をγとする。このとき、これから述べるように、
図6−1(d)のオフセットフィンを除く他のフィンは角度β、γの値を蒋定することに
よって与えられる
一62一
r、、\\、)ノノー!ノf==
(a)墓本ルーバフィン(iB :0°,γ=θ)
翫 β
2261 )ノノ∼
ノ〃『戸
u・・p ue 撚
t= =、 a /2ti==
(b)傾斜ルーバフィン(β≠O°,γX8 一一β)
β
u◎ゆ
口
::=::=コ ー
e :コ = :=富
(c)平行ルーバフィン(β≠0°,γ=0°)
P2
目 1 麟 鑑:調 閣 鑑謹
一::識 t−:1 駕腿鵠3 − s−:l ex:) 一
(d)オフセットフィン(β=0°,γ=0り
図6−1ブイン解析モデルと計算領域
一63一
また、図6−1において、いずれのフィンもすべてフィンの切り起こしピッチ、すな
わちルーバピッチPeは、切り起こされたフインの幅bに等しいので、このPcを
代表長さにとって、以下の解析を行った。そして、特性要因としてのパラメ・一一・ Ptに、
第5章で用いたのと同様に流路比恥/91を考えると、この流路比は、図6−1(a)∼
(d)に示した各フインに対し、以下の式(6−1,6−2,6−3,6−4)のように定義できる。
(1)基本ルーバブイン(β=0°yγ=θ)
Pt Pc
22/皇1=−tanγ=−tanθ (6−1)
Pf
Pf
(2)傾斜ルー・パフィン(β≠oe,γ=θ 一一β)
一÷㎝β+t㎝γ) (6−2)
(3)平行ルーバフィン(β≠0°yγ=0°)
Pc
92/21:=−ta恥β (6−3)
Pf
(4)オフセツトブイン(β=O°,γ=0°)
22
22/2i=一 (6−4)
Pf
6−2流れに対して傾斜したフィンの
特亜生
6−2−−1 墓本ルーバフインおよび傾斜ルーバフインの特性
基本ルーバフィンにっいては、第4章と第5章において、すでに述べてきたので、
ここでは、基本ルーバフィンを比較の対象として、傾斜ルーバフィンの評価を行う。
図6−2は、フィン傾斜角度βを0°∼20°に変化させたときの平均ヌセルト数と抵抗
一64一
係数の特性を示したものである。計算条件は、レイノルズ数Re=250、 Pf/P e=
1・◎である。P =O’の場合が基本ルーバフインに対応し、 fi ”:10°およびβ=20°は傾
斜ルーバフィンである。この図からわかるように、平均ヌセルト数N、の二つの極大
値は、フィン傾斜角度βの増加とともに、流路比飾/£iの小さい方へ多少移行す
る傾向にあるものの、その極小値}S 22/9i=O.5付近にあり、ブインの特性そのも
のは、ほぼ流路比£2/飢で整理できることがわかる。このように.フィン傾斜角
度が異なってもフィンの特性ぶ流路比で示される理由は、各ルーバでの境界層形成
に伴うフィン後流の影響が支配的なためと考えられる。
咽6
膳/P9 :: S.0 醜⑭霧豊50
鱗
◎。8
⑪。7
螺
惚
渥
◎。6
辱
調0
Vl
Sef
竃
1’
’
鋭倉
匿 8
鷲
幅
9
滋
’
盤鐸町亀.
4
2
0
や
o
◎4
、
3i
6
◎.5
0.3
◎.2
<<誓多
閥u
Cf
β
o
口
⑪゜
⑱
園
哩o°
⑳
翻
盤0°
0.噛
0。5 禰。0
22/息堰一
ッ伽β+胞髄γ)
図6−2傾斜ルーバフインの特性
一65一
いっぽう、i抵i抗係数Cfは、図6−2に示されるように、ヌセルト数の最初のピーク
をもつ流路比飾/2i :0・3を越えるあたりから、傾斜角度βの増加とともにわずか
に減少の傾向が認められる。このように、傾斜ルーバフィンでCfが低くなる理由は、
フィンに傾斜角度βをもたせることによって、同じルーバ角度eでもルー一バの迎え
角γ=θ一βを小さくできるためである。
6 一一 2−2 圧力損宍を考慮した最適フィン配列条件
コルバーンのj因子と抵抗係数の比であるjh/C,を用いて、傾斜ルーバフィン
の姓能比較を行ったのが図6−3である。この図にみられるように、基本ルーバフィン
(fi=0°)の場合を含め、フィン傾斜角度β=0°∼20°の範囲において、流路比22/
2iの最適値は0.3付近にあり、βが大きくなるほどjh/Cfは向上する。ちなみに、
fi =10°∼20°の傾斜ルーバブィンの場合、最大牲能を与える恥/21=0.3で、基本
ルーバフィンに対して牲能が約4%向上する。
025
δ麗◎
\
轟
0』5
O』0
22/£唱一
ン(始隔β+量鋤)
図6−3傾斜ルーバブィンの最適配列条件
一66一
6−2−3 傾斜ルーバフィンにおける最適フィン傾斜角度
図6・・4es、傾斜角度βに対する平均ヌセルト数N、と抵抗係数Cfの値を、前述の最
適流路比飾/2 i ・0・3の場合について評価したものである。この図からわかるよう
に、Nuがβの増加に対してほぼ直線的に上昇していくのに対し、 Cfはβに対して
二乗に近い傾向で急激に上昇する。したがって、jh/Cfでフィンの性能を評価す
る場合、βの最適値が存在するはずである。
式(6−2)で飾/飢=0.3の条件のもと、βを増していくと、ルーバの迎え角γが
fi ・16・7°で零になり、それ以上のβでは逆に負の迎え角になる。このことから、図
6−5に示すように、γ=⑪゜を満たすような関係にβがあるとき、jh/Cfが最も高く
なる。すなわち、流れに対して平行に置かれたフィン配列状態が最も良いことに:な
る。
なお、田申らの研究(6’2)によると、ブィン傾斜角度β=10°、Re=300のときに
ルーバ角度θ=β+γ瓢1q。38eで、 jh/Cfが最大になることが示されている。本
解析結果では、β=10°かっ92/21・0.3のとき、8 ・16.7°でjh/Cfが最大にな
り、両者の結果はほぼL一致している。
以上のことから、傾斜ルーバフィンの特徴として次のことがいえる。
(1)フィンに傾斜角度βをつけることによって、最適流路比におけるルーバの迎
え角γを小さくできるので、その分、従来の基本ルーバフィンよりも圧力損
失を低減できる。
(2)適正なルーバ間の隙閥をとるのに、もともとルーバに迎え角γをもたせてい
るので、フィン傾斜角度βはあまり大きくする必要はなく、せいぜい10°∼2
0°で十分である。
一67一
鱗
o。3◎
鱈
◎28
メ
匿
惣
〆
⑪26
δ
鯛
◎2瑠
簿
◎2盤
⑪ 噛0 20 30 4◎
β(°)
図6−4フィン傾斜角度の影響
P菅/翫認璽。⑪駐e溜窪50
026
22/21器α3
20
\ Sh/C蕾
0
恥◎24
0\
\
轟
022
γ
02◎
16.7°
0 噛0 2◎ 30 40
β(°)
図6−5フイン傾斜角度の最適条件
一68一
c
_2ゆト
ー−
S0
6−3流れに対して平行なフィンとの
特唾生止ヒ較
6−3 一一 1 平行ルーバフィンおよびオフセットフィンの蒋牲
傾斜ルーバフィンの特殊なケースとして、ルーバ迎え角γをO°に保ちつつ、フィ
ン傾斜角度βを変化させた場合を考える。これは、図6−1(c)の平行ルーバフィンに
相当し、各ルーバは流れに対してすべて平行に位置する。また、従来よりルーバフ
ィンとともに広く用いられているオフセットフィンも、流れに平行なフィンの例と
して比較の対象に加える。
図6−6は、基本ルーバフイン(β=0°,γ≠0°)、傾斜ルーバフイン(β=10°,γ≠
0°)、平行ルーバフイン(β≠0°,γ=O°)、オフセットフイン(β=0°,γ=0°)の4
種i類について、平均ヌセルトi数と抵抗係数の計算結果を、式(6−1,6−2,6−3,6−4)で定
義される流路比22/2iを用いて整理し、比較したものである。計算条件はいずれ
も、レイノルズ数Re=250、 Pf/Pc ・1.0の場合である。この図6−6の結果からわ
かるように、いずれのフィンもヌセルト数N、および抵抗係数Cfは流路比飾/2i
によって明確に関係づけられる。オブセットフィンを除く他のフィンは、基本ルー
バフィンと同じようにN、に二つの極大値をもつ。そして、平行ルーバフィンやオフ
セットフィンのように、流れに平行に配列されたフィンでは、22/2 i =O.5を申心
に左右対称の特性になっていることがわかる。これは、22/島畿0.5のとき、ちょ
うどフィンピッチの1/2のところに次のフィ≧が位置し、配列の構成が上下方向に対
称になるためである。このとき、平行ルーバフィンとオフセットフィンは、フィン
配列でみると同一になるので、N。およびCfの値も一致する。また、オフセットフ
ィンの場合、22/9iの全域にわたって他のいずれのフィンよりもN、、 Cfとも値
が低い。
この理由は、図6−7に示す速度分布の計算結果から説明できる。それぞれのフィン
でN、が極大となるような流路比における流れの状態を示したのが図6−7(a)∼(d)で
ある。基本ルー−m・一パフィン、傾斜ルーバフィン、平行ルーバフィンはいずれも、ルー
バ前縁部の流入速度力状きく、かつ、ルーバ間の速度も大きい。しかし、図6−7(d)
のオフセットフィンの場合、切り起こされたフィンが流れに対して一直線上に並ぶ
ため、常に前方ルーバの後流の影響を受けるので、最適な22/2iを選んだとして
一69一
も、ルーバ前縁部の流入速度ぶ低くなってしまうことが原因である。ことに、図6−
7(e)のように、22/飢が小さくなるとフイン上下の流れの配分が不均一一}Xなり、
流体の流れの方向に対して、広い流路と狭い流路が偏って存在するので、下流側へ
いくほど広い流路の方へ流れぶ偏ってしまい、狭い流路側のフィン表面では流速が
減少し、熱伝達率も低下する。
いっぽう、抵抗係i数Cfは、基本ルーバフィン、傾斜ルーバフィン、平行ルーバフ
イン、オフセットフインの順で低い値を示し、ルーバ迎え角γの低い方が有利であ
る。
お
縄
lqeq
稔
◎。6
鱒
0。5
も
匿
鷲
8
⑤ 彦
o。4
◎。3
軒堅曙
⑭。d⑭・⑭φ
4
022
2
◎.s
0
0。5
調。O
22/29
図6−6流れに平行なフィンとの特牲比較
一70一
(a)基本ルーバフィン(li =0°,7=θ=22°y 22/9i=0。4)
(b)傾斜ルーバフィン(β=10°,γ =10°,22/9i=O.35)
(c)平行ルーバフィン(β=19°,γ=:0°,22/21=0.35)
(d)オフセットフィン(β :0°,γ=0°,22/9i:0.5)
(e)オブセットフィン(β=oe,γ=0°,92/21=0.35)
図6−7各種フインの速度分布(Re=250sPf/Pc =1.0)
−71一
6 一一 3−2 圧力損失を考慮した最適フィン配列条件
以上の結果を、jh/Cfにより比較したのが図6−8である。オフセットフインを除
く他のフィンは、図6−3で示した結果と同様、流路比飾/21=O.3付近でjh/Cf
が最大になる。このとき、最適な流路比の条件で比較して、平行ルーバフインと傾
斜ルーバフインの場合は基本ルーバフインに対して約4%性能が高くなり、、また、
オブセットフインでは恥/91=0.5で最大になるが、基本ルーバフインに対して約
3%性能が低い。
geff/欝£畿謡調。◎ 蹴e霊盤50
025
嚇◎.2◎
\
よ
騒圃ag
n。帽5
\
躍h/C奮
0.噛0
晦馴蹴㎜
嘱脚陶臓鷹囚回繭
幽翻繭卿口鱒鷹隔既
0
β
γ
0°
(≒0°)
噛◎°
(≒0°)
(NO°)
σ<<{多
o°
◎器se量臨
⑪。5
窺/2s
図6−8各種フィンの最適配列条件
一72一
咽.o
6−4 結 言
フィンに切り起こしのある代表的な4種類のフィンとして、基本ルーバフィン、
傾斜ルーバブィン、平行ルーバフィン、およびオフセットフィンを選び、各フィン
の熱伝達と圧力損失の解析を数値計算を用いて行った。その結果、以下の成果を得
た。
(1)断続壁面をもった切り起こしのあるフィンの熱伝達と圧力損失の特性は、フ
ィンの配列状態を表す無次元のパラメータである流路比飾/2 i }:よって相関づけ
られる。
(2)フィンの配列が流れ方向に一直線上に並ぶオフセットフィンを除いた他のフ
インでは・22/飢が0・35∼0・4と0.7∼0.75の二つの領域で、それぞれ熱伝達率が
最大になる。
(3)オブセットブインは、上下のブイン配列が対称となる恥/島=0。5で、熱伝
達率が最大になる。
(4)圧力損失当りの熱伝達性能jh/Cfでみると、フィン配列の最適条件は、オ
フセットフィンで92/2i ”0.5、基本ルーバフィン、傾斜ルーバフィン、および平
行ルーバフィンでは22/2i≒0。3である。
(5)jh/Cfでみた場合、この章で解析したフィンの申では、平行ルーバフィン
と傾斜ルi・一パフィンが良好な牲能をもっている。だだし、22/9iの最適条件で比
較した場合、各フィンの性能差は、基本ルーバフィンに対して平行ルーバフィンと
傾斜ルーバフィンの場合は+4%、オフセットフィンでは一3%程度である。
一73一
第7章フィン後流に乱れを伴う場合の
流れと熱伝達特性(7“11Sアーi2)
7−1解析の背景
前章までは、流れの比較的遅い条件(風速で1∼10皿/s)で使われる熱交換器のフ
インを対象に、定常状態の層流熱伝達に限定し、その特性について解析を行ってき
た。しかし、場合によっては過給機付エンジンに用いられるインタークーラのよう
に、かなり高風速(40m/s相当)で用いられる熱交換器もある。このインタークーラ
とは、図7−1で示すように、過給機で圧縮され高温になった過給空気を冷却すること
によって、エンジン燃焼室の充堤効率を高め、エンジン出力の向上を図るための熱
交換器であり、近年、その生産台数も急激に伸びてきている。
このインタークーラの熱交換部分の構成は、図7−1右に示すとおりである。冷却空
気側には、前章まで解析してきたようなルーバフィンが用いられ、風速の範囲も低
いところで使われているため、これまで検討してきた定常状態の層流熱伝達解析が
そのまま適用できる。しかし、過給空気側に用いられるインナフイン慮、比較的高
い風速で用いられる。したがって、流れは完全な乱流ではなくとも、フィンの後流
に乱れを伴い、定常な層流状態の伝熱とは異なったものとなる。
この章では、これまでの解析方法とは異なり、基礎方程式に非定常項を含めた差
分数値解析方法を導入して、インナーフィンのフィン後流の乱れを考慮した解析を
Al『clea髄e『 Al『一鯛ow
me量e『 署”U『b◎cha『ge響
C㎞a粛e/4騨1諭9
Surge
ねnk
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l、、、、\、、、、
匿Fl
図7−1インタークーラのシステム構成とその熱交換部構造
一74一
行い、その後流の乱れが後方のフィンの熱伝達におよぼす影響を検討した。
その結果、レイノルズ数およびフィンの間隔によって、その伝熱捉進効果が異な
ることを明らかにした。
なお、ここで用いた数値解析の方法は、SOLA法(7陶1)とよ醸れる流れの計算手
法を、インナーフィンの熱伝達解析にも適用できるように検討を加えたものである。
7−−2高レイノルズ数における
伝熱促進の考え方
図7−2は、インタークーラに使われているインナーフィンの種類とその構造を示し
たものである。図7−2(a)はストレートブイン、同図(b)はオフセットフイン、そして、
同図(c)はスロットフィンと呼ばれるものである。いままで、この種のブィンについ
ては、(a)のストレートフィンから(b)のオフセットフィンに換えることによって、
フィン先端の前縁効果による伝熱促進を図ってきたが、フィン後流の乱凱が存在す
るような場合は、馳r(7一2)、Zelenka(7”3)、 Joshi(7“q)、望月(7”5}の報告にもある
ように、その乱れによって境界層の撹乱が生じ、後方のフィンの熱伝達は促進され
る。このような状況のもとでは、むしろ図7−2(c)のようにフィンの長さLに対して
フィンの間隔Sを小さくしたスロットフィンの方が、伝熱面積も大きくとれること
も考えあわせると、インタークーラ用のインナーブィンには適しているといえる。
、一一一 一一一一____r
晦
,一 一一 一”一一一 一一一一
亀隔檜一一一員一______
(a)ストレートフィン (b)オフセットフィン (c)スロットフィン
図7−2インナーフインの構造
一75一
7−3 解析方法
7−3 一一 X 解析モデル
図7・−3に解折モデルを示す。この図のように、フィンピッチPfの1/2のところに次
のフィンが千鳥配列されているものを考える。このモデルは、S=0のときにスト
レー一 5フィンを、S=Lのときにオフセットブィンを示すことになる。計算領域は
図申の斜線部分であり、第3章のルーバフインの解析モデルと同様に、フインの上
流と下流にそれぞれフィンの無い部分を含んでいる。流体の流入方向にx座標を、
それと直角方向にy座標をそれぞれとった。
δf
A
U。
A’
図7−3インナーフインの解析モデル
7−3−2 基礎方程式
フィン後端で生ずる非定常な乱れを扱うため、基礎式には前にも述べたように非
定常項を含める。式(7−1)∼(7−4)は、それぞれ連続の式、運動方程式、エネルギー
式である。また、式(7−5)で定義されるレイノルズi数Retは、前章までのフィンの解
析とは異なり、フィン板厚δfを基準にした。これは、ブィン後端部で生ずる乱れの
現象がフィン板厚に大きく依存しているためである。なお、それぞれの基礎式は、
代表長さδf、代表速度Ugで無次元化した。
∂u ∂u
{一一=0
δx δy
(7−1)
−一一
δu δu δu ∂P 1
¥U−一一十V−=一一十一▽2U
δt δx δy δx Ret
−一一
一76一
(7−2)
δv δv δv δP 1
+U−+V−一=一一+一一一▽2V
(7−3)
δt δx δy δy Ret
∂T δT δT 1
−十u−一十v−= ▽2T
(7−4)
Ret=U図δf/v
(7−5)
δt δx ∂y RetPr
初期条件
運動方程式
七=七十」も
速度:u,v
圧力補正
連続の式
発散=0
Gネルギー方程式
時刻七における流れと温度
図7−4SOLA法の計算ステップ
一77一
7−3−3 境界条件
解析モデル図7−3における境界条件は、以下の通りである。
(1)上流:A−A”
一様な流劇を仮定する。
u=1, v=0 (7−6)
T=0 (7−7)
(2)下流:B−B’
X方向への流れの変化がないと仮定する。
δu δv
−一一一一一:=0 , 一=:0 (7−8)
δx δx
δT
−=0 (7−9)
δx
(3)フィン表面:
流体は静止し、かつ、壁面温度は一淀と仮定すれば、
u=0,v=O (7−10)
T:=1 (7−11)
となる。
(4)上部、および下部の断続的境界:
第3章の場合と同じく、境界上部、下部には周期条件が適用できる。
u(x,Pf)=u(x,0) (7−12)
v(x,Pf)=v(x,0) (7−13)
T(x,Pf)=T(x,0) (7。14)
一78一
7−3−4 計算方法
数値計算手法として、今回用いるSOLA法の計算手順は、図7−4に示したとおり
である。時間差分は陽的差分、拡散項は中心差分、対流項には風上差分を用いた。
連続の式(7−1)が、各時聞ステップで満たされるように、圧力Pを補正しながら、速
度u,vを求め、そのときの速度の値を用いてエネルギー式(7−4)の計算を行った。
7−4単一平板における流れと熱伝達
本題の解析に入る前に、解析法を検証する意味で、図7−5に示すような一様流申に
置かれた単一一平板モデルについて流れの解析を行い、流れの可視化結果とを比較し
てみた。可視化の方法は、第3章4−1節で説明した色素流脈法である。
図7−6はL/δf=10における流れの速度場の計算結果であり、フィン後方の乱れ
など、図7−7に示す可視化の結果と、良い対応が得られていることがわかる。なお、
これらの結果はフィン板厚で定義したレイノルズ数でRet=200の場合である。
∂u
あ∼ニ0
∂v
ニ0
∂x
図7−5単一一平板の解析モデル
1馨羅藩羅llllililllll難iil
図7−6流れの計算結果(Ret=200,L/δf=10)
図7−7流れの可視化結果(Ret=200,L/δf=10)
一79一
いっぽう、図7−8はL/δ , :10に固定したときの平均熱伝達率を求めたものであ
るが、熱伝達率のレイノルズ数に対する特性は、定常な層流における平叛の熱伝達
特性と同様な傾向を示す。この理由については、後の解折結果でも説明するが、フ
ィン後流の乱乳は、その後方にあるフィンに対してのみ影響を与え、最初に一様流
で入ったフィンの熱伝達には関与していないためである。
嘔◎−1
8
6
C趨lc蟹瞼舗◎r魯:し/δず識・帽0
馬、
4
魁瓢魅
馬
ぬ
咽穐
魅㌔
@2
魅
、曳鮎
T論e◎『y:P◎h臨@麗se『徳
噸◎鱒2
鴨職b
趨
馬働』
6
魅、
尋×調◎蝋3
簿
2
4 68咽◎2 2
u◎δf
Ret =
図7−8単一一平板の熱伝達特牲(L/δ,=10)
一80一
4 6 8鶴3
7−5複数列平板の流れと熱伝達
7−5−1 フィン後流の流翫の挙動と局所熱伝達特牲
フィン後流の乱れが下流側フィンの熱伝達へ及ぼす影響を検討するため、流れの
方向に並んだ3佃の平板列における解析を行った。計算の範囲は、以下のとおりで
ある。
(1)Ret =50・−400(風速で10∼80評s相当)
(2) S/L=0∼LO
(3) L/δf=5∼20
図7−10∼7−13は、S/L竃1。0、L/δ,=10に固定してRetを変化させた場合
の流線、速度分布、局所ヌセルト数の計算結果である。図に示された局所ヌセルト
数の分布曲線で、実線はフィン上面を、破線は下面の分布をそれぞれ表している。
なお、今回のように流れが乱恥るとき局斯的には局所ヌセルト数も変動する。しか
し、図7−9に示すように計算の収束条件ぶ満たされるような無次元時間t=10以上で
は平均ヌセルト数の変動が±3%程度であるため、t=20∼50の時間区間内の平均
値をもって平均ヌセルト数の値とした。また、局所ヌセルト数の特性はt・=20にお
ける状態を代表として示すことにした。
まずはじめに、レイノルズ数の影響について検討する。Ret=50では、流れはほ
とんど安定しており、前方のブィンの境界層の影響を受けて、2番目、3番目のフ
インでは、局所ヌセルト数が低くなっている。Ret =100e:なると、最後のブインで
後流の乱れが確認されるが、各フィンの局所ヌセルト数には影響を与えていない。
しかし、Ret = 200になると、それぞれのフィンの後流が乱れるようになる。この乱
れに影響され、局所ヌセルト数はフィンの上下面で乱れた分布を示すようになり、
局所ヌセルト数の値そのものも2番目以降のフィンでは先のRet=100や200結果よ
り低下度合が少なくなっている。さらにRet=400になると、その傾向はより顕著に
なる。
また、図7−14∼7−16は、Ret =400、 L/δ , =:10において、ブィンの聞隔Sを小
さくしていったときの流れの変化と、それに伴う局所ヌセルト数の変化をみたもの
である。S/L=O.6および0。3の場合は、 S/L=1。0のときと同じようなフィン
一81一
後流の乱れが存在しているが、S/L ・0。2まで縮めると後流の乱れはもはや発生し
なくなる。しかも、境界層の漸続的な発達によるフィンの前縁効果もほとんど得ら
れず、局所ヌセルト数は低下し、あたかもフィンがつながっているかのような流れ
と局所ヌセルト数分布の状態を示すようになる。このように、フィンの間隔Sは.
境界層の分断作用のみならず、フィン後流の乱れによる流れの麗乱作用にも影響を
及蘇すことになる。
このように、高いレイノルズ数でフィン後流に発生する乱れは、下流側フィンの
ヌセルト数を向上させる働きぶある。この撹乱の効果が存在している条件下で、通
常のオフセットフィンの配列(S/L ・1.0)より聞隔Sを適度に縮めれば、各フィ
ン列の局所ヌセルト数を比較的高く維持したままフィンの表面積を増やせることに
なるので、熱交換器としてみれば、熱交換性能の向上を図れることになる。
匿
0 噛0 20 3⑪ 4⑪ 5◎
量
図7−9平板列の平均ヌセルト数の時間変動(Ret=400,S/L=1。0,L!δ,=10)
一82一
−− : 一3 一顎
1___一一…謎一一
の − ロ の−のね “コののロ (a)流線
藝韮襲嚢藝嚢垂巽垂垂萎嚢蓑菱韮妻藝妻藝妻塞蓑妻襲垂藝妻華塁垂藝菱i妻藝藝妻譲藝妻妻嚢襲巽萎藝妻嚢嚢§萎萎妻妻妻
珊韮ii擁器塞鍵ll難羅器ll羅難監器隷1認璽照鵬璽
萎巽韮蕪蒙嚢嚢巽≡i嚢嚢箋妻巽嚢襲垂嚢萎妻垂垂轟i垂藝藝垂董…i塁箋藝華i塁垂lli垂襲箋垂藝§i嚢垂垂美董嚢霧巽
(b)速度分布
6
4
彗
2
0
《C)局所ヌセルト数
図7−10平板列の流れと熱伝達特性(Ret=50,S/L=1。0,L/δf=10)
むリロ
(a)流線
萎藝妻藝嚢藝嚢藝妻妻藝妻藝垂巽嚢藝嚢藝藝嚢嚢巽藝華嚢嚢藝藝垂套萎塁妻藝嚢襲彗嚢垂妻藝妻嚢菱嚢嚢垂嚢妻霧巽
妻
蘂藝藝藝羅蘂嚢垂萎嚢謹嚢蘂莚藝藝萎藝難謹藝藝韮藝垂藝嚢騒藝蓼嚢
(b)速度分布
6
4
砦
2
0
(c)局断ヌセルト数
図7−11平板列の流れと熱伝達特性(Ret =100,S/L =1・0,L/δf=10)
一83一
(a)流線
(b)速度分布
6
4
×
2
0
(C)局所ヌセルト数
図7−12平板列の流れと熱伝達特性(Ret =200,S/L ・1.0,L!δf=10)
(a)流線
ll羅1羅lililll羅灘霧i灘聾lllll蓬
(b)速度分布
6
4
型
2
0
《c)局所ヌセルト数
図7−13平板列の流れと熱伝達特性(Ret = 400,S/L ・1.0,L/δ,=10)
一84一
(a)流線
難鐸鑛塾霧i灘謹1響鍵難ll難lli藝藝購li
(b)速度分布
6
4
之
2
0
(C)局所ヌセルト数
図7−14平板列の流れと熱伝達特性(Ret ・400,
S/L:=0。6 , L/δf :10)
(a)流線
藩1羅羅灘1羅蕪1諜諜轟霧1蕪轟lll蟻蕪騨
(b)速度分布
6
x
4
5
2
0
(c)局所ヌセルト数
図7−15平板列の流れと熱伝達特性(Ret = 400,
。85一
S/L==0。3 , L/δf:=10)
塞垂箋羅蕪蓬嚢一一嚢…謬蕪蒙箋馨奪嚢霧慧懇桑霧
一一ミーミ§愚蕪、、臨._、...___ 婁垂韮嚢糞嚢譲謬霧三諺聾織、i謬i華
(a)流線
塁葦壽蓬§憂塁§…≡ヨ…ヨ≡……議簑…諏…§遷…≡Pt :=Ut冒冒nt=冒冨=需Ut=冒===1=__b 一一_一一__一一__輔_膚一__
難1羅鍵ii糞;嚢轟羅華諜難liミ舞ilii藝li霧
鞘嶋一噛一一一一鳳一レr−一一鴨哺欄●一 ’ = 電署器=霜33呂譜3昌= 鳶 :ミ署=5 フ
(b)速度分:布
4
讐
2
0
(c)局所ヌセルト数
図7−16平板列の流れと熱伝達特性(Ret =400,S!L :0。2,Lノδf=10) ・
’
一86一
7−5−2 フィン闘隔がおよ醸す伝熱促進効果の考察
図7−17に、これまでの解析結果をまとめてみた。同図隠、流れの方向に置かれた
3列の平板について、その平均ヌセルト数を、最初に1飼だけ置かれた単一平叛の
ヌセルト数(7−4節にて検討したもの)に対する比率で示したものである。パラ
メータには、フィン板厚で定義したレイノルズ数Retを100∼400までとり、特性要
因に、フィン聞隔Sの無次元比S/Lをとった。この図からわかるように、S/L
がO。2以下では、フィンの後流の乱れもなく、前縁効果もほとんど得られないので、
平均ヌセルト数が低い。しかし、図7−12∼7−15で示したように、レイノルズ数が比
較的高いRet=20⑪,400では、 S/Lが0。3を越えるあたりから後流の乱れぶ発生す
るので、平均ヌセルト数は増加する。この平均ヌセルト数の増加割合は、レイノル
ズ数Retが高いほど、また、 S/Lが大きいほど、高くなっている。
図7−18は、後流の乱れる条件Ret=400において、フィンの長さLを変えたときの
影響をみたものである。前の図7−17とは異なり、必ずしも平均ヌセルト数の健進効
果渉S/Lで整i理できないことがわかる。いままで、このS/Lを用いてきたのは、
境界層分断によるフィンの前縁効果を考慮に入れたこと、および、フィンの伝熱面
積がS/Lに比例的に与えられるので放熱量への影響をみるのに都合がいいことな
どが理由である。しかし、フィンの前縁効果ではなく、乱れによる伝熱捉進という
観点からみれば、流れの剥離との関係で伝熱特性を整理したほうが良いこともある。
っまり、フィン後端部の葬定常な流れの剥離が、後流の乱わを引き起こしているも
のと考えれば、後流の乱れが発生し始めるフィン間隔Sを、S/Lでみるのではな
く、フィンの板厚δfも要因に含めたパラメータを考える必要がある。
以上を踏まえて、図7−18の結果をフィン板厚との無次元比S/δfで整理し直した
ところ、図7−19に示すように、良好な相関を得た。この結果からわかるように、フ
ィンの板厚の2倍までは伝熱促進効果がないが、3倍以上では、平均ヌセルト数が
向上している。また、3個の平板の平均ヌセルト数が単一平板の平均ヌセルト数の
値を越えないのは、剥離による後流の乱れがあっても、今回の解析では、フイン表
面の流れを層流として扱っているためである。
一87一
Nus器単一平板の平均ヌセルト数
ee㊧tt
層.◎
尋◎⑪
2⑪◎
霧o趨
署 鱒⑪
曇o㊨
L/δf=li⑪
04 U◎臨節∼4⑪鵬/s
O ◎2 ◎.4 ◎.6 ⑪㌧8 噸.◎
S/L
図7−17フイン聞隔と熱伝達(レイノルズ数の影響)
Nus器単一平板の平均ヌセルト数
醜㊧ド魂◎0
咽。0
o曜ダo
嘲画薙膳
岬面
炎I臨
幽⑫
匿
\
。/°
ユ
O.8
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●
⑪.6
L/δ新
血
O4
5
◎
10
魑
窒0
0 02 0。4 ◎。6 ◎。8 S.O
S/L
図7−18フィン聞隔と熱伝達(フィン長さLの影響)
−88一
Nus 9単一平板の平均業セルト数
飛㊧ド瑠◎⑪
④ノ切
噸9岬o
S⑳面幽㎝劇
θ
面⑳劇o伽⑲面
@6四幽⑳幽
苡「塑
霧o総
謬♂♂
セ
藁
菱06
o
L/δ響
0.4
血
5
◎
層o
翻
盤0
⑪ 2 4 6 8 簿
S/δ響
図7−19フィン聞隔と熱伝達(フィン長さLの影響)
一89一
7−6インタークーラ用インナーフイン
の最適イヒ検討
実際の熱交換器のフィンとして性能向上効果をみるために、7−3節、図7−3に示
した解析モデルで、計算を行った。但し、性能のパラメー.一一タには、熱交換器の放熱
特性をみるために、S/δfではなくS/Lを用いた。
図7−20はS/Lを変化させたときの平均熱伝達率の計算結果である。S/L=0
は連続したフィンを、S/L=1.0は通常のオフセットフィンをそれぞれ示してい
る。縦軸醸L/Pf ・1.0、 S/L=1.0を基準にしたときの平均熱伝達率の比であ
る。この図からわかるように、S/Lを1.0より小さくしていっても平均熱伝達率が
抵下しないようなS/Lの領域があり、その領域はLが大きいほど広い。なお、図
申のプロット点は参考までに示した実験値であり、計算とほぼ一致している。
これらの結果をもとに、インタークーラの同一体積当りの放熱量の増加割合を試
算し、実験値と比較してみたのが図7−21である。各L寸法に対し。放熱量増加割合
が最大となるS/Lが存在し、Lが小さいほど最適値はS/Lの大きいほうへ移動
する。また、図申に示した実験値とも良い一一致が得ら軌ている。
P蕾/δ董竃霊窒7
( 盤0
)
◎
CaSouga踊◎論
咽0⑪
L/P= S。0
醤
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①
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劇
劇
①
盟
鷹xper葭me髄驚
O O2 ⑪。4 0。6 0。8 咽。O
S/L
図7−20インナーフィンの熱伝達特性
一90一
舘wao
)
畠柵
臨
藍咽⑪0
碧
番
咽.0
霊 S/L
図7−21インナーフィンの放熱特性
一91一
7−7 結 言
この章では、二次元非圧縮流劇を仮定した差分数値解析モデルを用いて、流れの
非定常性を考慮したフィンの流れの挙動と熱伝達の解析を行った。その結果、以下
の成果を得た。
(1)フィンに有限な板厚がある場舎、レイノルズ数が増加していくと、ブィン後
流が乱れるようになる。こ劇は、フィン後縁部に生ずる非定常な流れの剥離による
ものである。ちなみに、板厚基準のレイノルズ数Retで200以上になると、後流が乱
れる。
(2)後方のフィンとの聞隔Sを縮めていくと、このフィン後流の乱れは発生しな
くなる。
(3)このようなフィン後流の乱れは、後方のフィンの局所ヌセルト数分布に変動
を与え、かつ、伝熱を捉進させる働きがある。
(4)したがって、乱れが存在するようなレイノルズ数の領域で、フィン間隔Sを
必要十分なだけとれば、後列のフィンを含めた平均ヌセルト数全体を高く維持でき
る。
(5)フィン後流の乱れによる伝熱促進は、板厚墓準のレイノルズ数Retとフィン
の聞隔Sに関係するが、フィンの長さLにはあまり依存しない。
(6)フィンの長さLに関係なくフィンの間隔Sをフィン板厚の3倍以上にしたと
き、フィン後流の乱れによる伝熱促進効果が得られる。
(7)これらの解析を熱交換器のインナーフィンに適用した場合、フィンの長さL
に対してSを0。2∼0。4倍にとったときに同一体積当りの放熱性能が最大になる。
一92一
第8章
総
括
ラジエータをはじめとする各種自動車用熱交換器、および家庭用空調機などに広
く用いられているコンパクト熱交換器屠のフィンについて、数植解析を主体にした
理論的な考察を行い、その熱伝達特牲を、流れの現象と関連づけて系統的かつ詳細
に調査検討してきた。本研究で得た成果および結論を総括すると、次のようになる。
8−1 ルーバフィンi数値解折手th e⑧・(第3章)
近年のコンビrz一タの計算処理能力の飛躍的進歩に伴い、数値計算によるフィン
性能検討のアプローチが多くみられるようになった。ことに、性能支配因子がいく
つもある場合は、すべての評価を実験で行うことについて、時聞や費用の面で阪度
ぶあり、計算による系統的な解析で得られる成果の方が多い。こうした考えに基づ
いて、本硯究での解析においては、計算対象とするフィンのバリエーションをでき
るだけ多くとれるように.差分格子や計算方法に工夫を施した。
すなわち、従来のフィン数値解析方法にみられる解析上の制約、たとえばフィン
形状がオフセットフィンのように平行なものに限定されたり、ルーバフィンのよう
に傾斜したものでは格子配列が込み入ってしまい、その部分での計算誤差は避けら
れない、などが考えられるので、本研究では、差分解析で普通用いられている直交
格子でななく、フィンの傾斜面に応じた斜交格子を用いた。この斜交格子では一般
座標系が適用できないため、傾斜角度に応じた座標変換を行った。この座標変換は
格子点の前後で角度の異なった格子配列について展開したものであり、今回確立し
た数値解析方法は、以下に示す特徴をもっている。
(1)断続壁面または連続壁面で構成される各種のフィン(ルーバフィン、傾斜ル
ーバフィン、平行ルー一パフィン、オフセットフィン、ウェービィ7インなど)の流
れの解析と熱移動解析を一一つの計算プログラムソースで行うことができ、汎用性が
ある。
(2)傾斜・座標系への変換誤差は、角度が0∼50°に対して3%以内にあり、工業的
に用いられている各種フィンの解析が十分行える。
一93一
8−−2 ルーバフインの流翫の挙動と熱伝達蒋牲・・⑳(第4章)
ルーバフィンは自動車用熱交換器を含めていろいろな熱交換器に使わ机ている。
にもかかわらず、オブセットブィンなどに比べると、性能に関する特徴や最適条件
などの技術資料が劇と少ないのが実状である。
ルーバフィンのように、断続したフィン漸面をもつブィンは、基本的には層流境
界層に支配される熱伝達特牲を有し、ル…’−tバによる境界層の分断により、ブインの
伝熱促進を図っている。しかし、掴々のルーバを単なる平叛群の集まりとして扱う
には無理渉ある。たとえば、今までのルーバフィンに関する性能測定において、平
板境界層理論から逸脱するような伝熱特性を示すこともあり得る。これは、ルーバ
聞における流線の挙動と、フィンの伝熱性能との因果関係にある。ルーバに沿うよ
うな流れの場合、平振に近い特性を示すが、そうでないときには、当然ながら、熱
伝達率は低下するようになる。今回確立した数値解析方法を用いた計算、ならびに
流れの可視化より、ルーバフィンの流れと熱伝達の特性について、以下のことがわ
かった。
(3)ルーバブィンの場合、流体が常にルーバ角度に沿って流れるとは限らない。
とくに、レイノルズ数Reが小さくなったりフィンピッチPfが大きくなると、ルー
バに沿った流れが得られなくなる。この現象は可視化と数値計算の双方で確認でき、
境界層厚さをもとにした流れのメカニズムからも証明できた。
(4)このようなルーバフインにおける流れの変化は、熱伝達率にも影響を与え、
ルt・・一一バに沿わ捻い流れになるほど、フィンの前縁効果が得られなくなり、熱伝達率
は低下する。
(5)数値計算で得られた平均熱伝達率および圧力損失特性を従来の実験値と比較
したところ、熱伝達率で3%、圧力損失で17%以内で一致し、十労な相関を得た。
(6)フィンピッチに比してルーバピッチが小さくなると平板の熱伝達理論から逸
脱し性能が低下するという、第2章図2−4で示したような現象は、(3)、(4)の結論か
ら推察できる。
一94一
8−−3 ルーバフィンの最適条件… (第5章)
ルーバフィン隠、基本的には層流境界層に支配される熱伝達特牲を有し、ルーバ
による境界層の分断により、フィンの伝熱捉進を図っている。し寮し、複数のルー
バがそれぞれ任意に、ある角度や聞隔で配列さ凱ているとき、境界層の形成に伴う
フィン後流の影響もフィンの性能に重要な係わりをもっている。これらフィン配列、
形状因子渉相互に変化したとき、流れや熱伝達におよぼす影響については、まだ不
明な点が多い。
まず手始めに、基本的なルーバフィンについて数値計算を行い、ルーバの配列状
態が流れや熱伝達におよぼす影響を検討した。その結果、以下の成果を得た。
(7)ルーバの配列状態と前方ルーバの後流の影響を関連づけるパラメータとして、
フィンピッチPf、ルーバピッチPc、ルーバ角度ffで定義さ凱る無次元のパラメー
タである流路比22!21=(Pc/]Pf)tanθを用いることにより、ルーバフィンの熱
伝達率と圧力損失の特性を整理することができる。
(8)流路比飾ノ9iの値がO。4と0。7のときに、熱伝達率が最大になる。その申間の
値0.5では、ルーバ後流の影響下に入るため熱伝達率が低下する。
(9)圧力損失当りの伝熱性能jh/Cfでみた場合、ルーバフィンの最適配列条件
は、流路比飾!91=0.3∼0.4である。
8−4 断競壁面をもつ各種ブインの最適条件… (第6章)
本研究で取り上げたルーバフィンやオブセットフィンなど各種のフィンは、自動
車や家庭用空調機用のコンパクト熱交換器に広く用いられているものである。
これらフィンの様々な熱交換器への適用を考えた場合、ルー一パフィンのように、
流れに対して角度をもって配列されたものとそうでないもの、また、ルー一バの寸法
や配列のピッチが異なるものの申から、最良なフィン構成を選択する必要がある。
フィンに切り起こしのある代表的な4種類のフィンとして、基本ルーバフィン、
傾斜ルーバフイン、平行ルーバフイン、およびオフセットフインを選び、各ブイン
の熱伝達と圧力損失の解析を数値計算を用いて行い、以下の成果を得た。
一95一
(1の断続壁面をもった切り起こしのあるフィンの熱伝達と圧力損失の特性は、フ
ィンの配列状態を表す無次元のパラメータである流路Sl 9,/島によって相関づけ
ら翫る。
(11)フインの配列が流れ方向に一直線上に並ぶオフセットフインを除いた他のフ
インでは・22/動ぶO・35∼⑪・4とO.7∼0。75の二つの領域で、それぞれ熱伝達率が
最大になる。
(12)オフセットフインは、上下のフイン配列が対称となる92/島=0。5で、熱
伝達率が最大になる。
(13)圧力損失当りの熱伝達性能jh/Cfでみると、フィン配列の最適条件は、オ
フセットフィンで22/2i =0。5、基本ルー一パフィン、傾斜ルーバフィン、および平
行ルーバフィンでは窟2/2i≒0.3である。
(14>jh/Cfでみた暢合、本研究で解析したフィンの申では、平行ルーバブイン
と傾斜ル・・−dbパフィンが良好な倥能をもっている。だだし、22/動の最適条件で比
較した場合、各フィンの性能差は、基本ルーバフィンに対して一3%∼+4%程度
である。
8−−5 ブィン後流に乱れを伴う場合の流れと熱伝達特性… (第7章)
最後に、熱交換器の幅広い用途を考慮して、流れの非定常性を含めた検討を行っ
た。通常の使用条件において、コンパクト熱交換器の空気側のフィンは、ほとんど
流れの安定な層流状態におかれていると考えても差し支えない。しかし、熱交換器
の管内側は、単相流、二相流を問わず、流れが非定常になることが多い。
とくに、熱交換器の管内側に用いられるインナ・…一フィンは、熱交換器の空気側の
フィンに比べ、一桁大きい風速で使用される。したがって、完全な乱流にはならな
くとも、フィン後端部では非定常な流れの剥離を伴ったものとなるので、非定常状
態の流れと伝熱の計算が必要になる。ここでの解析}ま、フィン表面の境界層を乱流
とは考えずに層流とみなして、フィン後流の乱れた流れが後方のフィンに及ぼす影
響について検討したものであり、その後流が乱れることによってフィンの熱伝達が
一96一
促進されることを、理論的に明らかにした。その結果、以下の成果を得た。
(15)フィンに有隈な叛厚がある場命、レイノルズ数が増加していくと、フィン後
流が乱劇るようになる。こ拠は、フィン後縁部に生ずる非定常な流れの剥離による
ものである。ちなみに、叛厚基準のレイノルズ数Retで200以上になると、後流が乱
馳る。
(16)後方のフィンとの聞隔Sを縮めていくと、このフィン後流の乱れは発生しな
くなる。
(17)このようなフイン後流の乱れは、後方のフインの局所熱伝達率に変動を与え、
かつ、伝熱を捉進させる働きがある。
(18)したがって、乱れが存在するようなレイノルズ数の領域で、フィン間隔Sを
必要十公なだけとれば後列のフィンを含めた平均熱伝達率全体を高く維持できる。
(19)フィン後流の乱れによる伝熱捉進は、板厚基準のレイノルズ数Retとフィン
の聞隔Sに関係するが、フィンの長さLにはあまり依存しない。
(2⑪)フインの長さLに関係なくブインの間隔Sをフイン板厚の3倍以上にしたと
き、フィン後流の乱れによる伝熱促進効果が得られる。
(21)これらの解析を熱交換器のインナーフィンに適用した場合、フィンの長さL
に対してSを0。2∼0。4倍にとったときに同一体積当りの放熱性能が最大になる。
8−6 まとめ
以上、本研究をまとめると、
(1)従来の矩形の差分格子の代わりに、フィンの傾きに沿った平行四辺形で構成
される斜交格子を用いることによって、任意のフィン形状(ルーバフィン、傾斜ル
ーバフィン、オフセットフィン、およびウェービィフィンなど)を扱うことのでき
る汎用数値解析法を確立した。
一97一
②流鋤轍こルーバ般に沿って漁るとは隈らないというルーノ9フィン鮪
の現象を、流凱の可視化と数値計算の両面から考察し、従来からみられたルーバフ
ィンに関する牲能低下の原因を理論的に解明した。
(3)ルーバフィンをはじめとする各種の断続壁面を有するフィンは、フィンの配
列状態を表す無次元のパラメータである流路比によって、熱伝達や圧力損失の特性
が関係づけら拠る。そして、このパラメータを用い、熱伝達が最大になる条件、お
よび、圧力損失当りの伝熱性能が最大になる条件を明らかにした。
(4)フィン後流に乱れを伴う場合は、この乱れが後方のフィンの熱伝達率を促進
させる働きがあり、乱れが存在する程度にフィンの間隔をとってやれば、後列のフ
ィンを含めた全体の熱伝達率を高く維持できることがわかった。
以上、本研究では、熱交換器の改良の主要な部分を占めるフィンについて、数値
解析をもとにした検討を行ってきた。本研究における具体的な成果としては、昭和
59年度日本機械学会技術賞を受賞するに至ったSRラジエータの開発に大きく貢献
したことである。その研究のポイントは、ルーバフィンにおける伝熱の問題を流れ
の現象と関連させて解析を行い、フィンの最適化を進めた点にある。解析方法には、
流れ関数と渦度を用いた手法が選ばれたが、計算処理時間を含めた研究効率と計算
精度と面でも硯究のニーズに十分応えることができた。しがしながら、研究対象の
製品が多岐に及ぶことも当然の成行きである。とくに、熱交換器の管内側に着目し
た研究では、乱れの影響も無視できず、解析の方法もそれに合わせたものが必要に
なる。したがって、本研究の終わりの部分では、二次元のナビエストー・・クスの方程
式をそのまま用いた非定常流れの解析を扱ってきた。このように、本研究では二通
りの解析手法を、それぞれの目的に合わせて適用してきたが、今後も新たな研究ニ
ーズに応えるべく、熱交換器の研究を進めていきたい。
一98一
参
第 1
(1−1)
考
文
献
章
Keys,W・M・and Lo曲馬A.Le, C。mpact Heat ExchaRgers,
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第 2 章
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一102一
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(2−8) 平松・・大原・須佐・神谷,自動車用コンパク築熱交換器,冷凍,Vel.65,
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第 3 章
(3−1) Sparrow,E.M。, Bali墓a,B。R。 a駐d Patankar,S.V., Heat Traitsfe]r a簸d
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(3−3) Suzuki,K。, Hirai,E。 and N【iyake,T., Numerical and Experimental
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(3−4)友田・鈴木,コンパクト型熱交換器の伝熱特性の数値解析(フィン形状の
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(3−6) 盈oache,PJ。,高橋亮一,訳,コンピュータによる流体力学〈上〉,
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(3−7)Roaehe,P.」.,高橋亮一,訳,コンピュータによる流体力学〈下〉,
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(3−8)平松・石丸,熱交換器フィンの伝熱解析(第2報 ルーバフィンにおける
熱伝達率の数値解析),第20回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1983−6),
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(3−9) 平松・石丸・松崎,空調機用熱交換器のフィンに関する研究(第1報 ルー
バフィンの伝熱数値解析法の検討),機論,55−519,B(1989−11),
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一103一
(3−10) ffiramatsu,遡.s Ishi翌naruジT。, 彊atsuzaki,蓋{.g Reseach ◎n Fi館s for 点ir
Conditioiting He&t Exchangers (1st Reportジ Nu鵬erical A譲alysis ◎f
Heat Tra髄sfer。n L。uverd Fi鷺s), JS鯉E htemaU。naユJ。umal
Series II, Vol.33ジ 四〇.4, (1990−11)P PP。749−756。
第 4 章
(4−1) 田申・伊藤・工藤■1富田,傾斜ルーバコルゲートフィン熱交換器の聡発y
機論ヲ 49−442, B(1983)y pp。1204−1213。 智
(4−2) 品川・青木・須賀,ブィン付き熱交換器の研究(第5報 ルーバの熱伝達率
測定法),第23回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1986−5),pp。340−342。
(4−3)平松・太田,熱交換器フィンの伝熱解析(第1報ルーバフィンのフローパ
ターンと熱伝達特性),第19回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1992−5),
pp。217−219。
(4−4) Kajino,M・ and Hiramat9,踵。s Researdh and 亘)evelopmeRt of Automotive
Heat Exchangers, 1985 U.S.−Japan Heat Transfer Joint Se血i ftar,
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(4−5)平松・梶野,ラジエータの改良・研as Pt内燃機関, VoL 25, No.315,
(1986), pp。21−28。
(4−6) 梶野・平松,自動車用熱交換・器の研究開発,機械の研究,VoL 39, No.1,
《1987), pp。175−180。
(4−7)平松・石丸・・松崎,空調機用熱交換器のブィンに関する研究(第1報 ルー
バフィンの伝熱数値解析法の検討),機論,55−519,B(1989−11),
pp。3449−3456。
(4−8) Hiramatsll,Mes Ishimaru,T。, 擁atsuzaki,K。, Reseach on Fins for Air
ConditioRing Heat Exchangers (1st Report, Nu皿erical Analysis of
Heat Transfer on Louverd Fins), JSME International Journal
Series II, Vo1.33, No e 4, (1990−11), pp.749−756。
(4−9)平松・大原・須佐・神谷,自動車用コンパクト熱交換器,冷凍,V。1.65,
No.758,(1990−12),掲載予定
一104一
第 5 章
(5−1) DavemportsC。J。, CorrelatioRs for 亘{eat Tramsfer a猛(量 Flow FrictioR
Characteristics of Louvered Fins 蕊IChE Symp《)siaxew Ser。, 》ol。79,
No。225,(1983), pp。19−27。
(5−2) 藤掛s自動車用熱交換器の最近の進歩,日本機械学会誌,Vol.81,
No.714,(1978)s pp。426−431。
(5−3)藤掛・青木・三井,フィン付き熱交換器の研究(第4報 非定常法による
フィン性能測定装置),第20回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1983−6),
PP。466−468。
(5−4) 品川・青木・須賀繋フィン付き熱交換器の研究(第5報 ル・一一一.Sバの熱伝達率
測定法),第23回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1986−5),PP。340−342。
(5−5)友田・鈴木,コンパクト型熱交換器の伝熱特性の数値解析(フィン形状の
影響),第25回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1988−6),pp。175−177.
(5−6)須賀・青木・品川,重合形格子によるルーバフィンの二次元熱流体数値解析
機論”55−509,B(1989), pp。221−226。
(5−7)平松・石丸・松崎,空調機用熱交換器のブィンに関する研究(第2報 ルー
バフィンの伝熱特性),機論撃55−519,B(1989−11)”pp.3457−3461。
第 6 章
(6−1) Norris,Reh。 and Spofford,秘。A。s High−Performance Fins for
Heat Transfer, Trans。 AS醒E, Vel.64,,(1942), 489。
(6−2) 田申・儘藤・工es e富田,傾斜ルーバコルゲートフィン熱交換器の開発,
機論,49−442,B(1983), pp。1204−1213。
(6−3)林・白石・・鈴木,平行ルーバフィン型熱交換器の伝熱特性,
第23回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1986−5),pp。343−345。
(6−4)友田・鈴木,コンパクト型熱交換器の伝熱特性の数値解析(フイン形状の
影響),第25回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1988−6),pp.175−177.
(6−5)平松・石丸・松崎,空調機用熱交換器のブィンに関する研究(第3報 ルー
バ形状の検討),機論,55・・519,B(1989−11)ypp.3462−3466.
一105一
第 7 章
(7−1)高橋亮一,コンピュータによる流体力学,構造計画観究駈,(1982)。
(7−2)Cur,N. and Sparr◎w,E.M., Experiments。n Heat Transfer aRd Pressure
Drop for a Pair of ColiRear Interrgpted Plates AXgaed with the
F]owy Iitt. J. Heat 腫ass TraRsfer, Vol。21,(1978), PP。1069−1080。
(7・−3) Zelenka,ReL。 aRd Loehr,R。1., Heat Traftsfer from Interrupted Plates,
Aduances in Enhansed Heat T]r“ansfer, AS闇E,(1979), pp。115−121。
(7−4) Joshi,H。賊。 and 騨ebb,R。L。, Heat Tra顯sfer and Fr iction in the Offset
Strip−Fin Heat Exchanger, Int. 」. Heat 踵ass Traftsfer, Vol.30, No。1,
(1987), pp.69−84、
(7−5) 望月・・八木,断続平板伝熱面群を通過する流れと熱伝達,日本冷凍協会
論文集sVoL4, No.2,(1987), pp。27−38。
(7−6)小林・熊谷・島田・武山,千鳥配列矩形平板への対流熱伝達,
第23回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1986−5),PP。325−327。
(7−7)小林e島田・熊谷・武山,冷却オフセツトフインへの対流熱伝達,
第24回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1987−5),pp。474−476。
(7・−8) 小林。島田・熊谷,千鳥配列矩形平板まわりの流れと熱伝達,
第26回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1989−5),PP.325−327。
(7−9)喜・村田・萩原・鈴木,申間レイノルズ数域におけるタンデム型平板列
まわりの熱伝達について,第25回日本伝熱シンポジウム講演論文集,
(1988−6)s pp.10−12。
(7−1の喜・鈴木・萩原・村田,オフセットフィンの伝熱特性に関する基礎的研究,
機論, 55−519, B(1989), pp.3507−3514。
(7−11)平松・石丸e大河内,空冷インタークーラ用オフセットフインの解析,
第27回日本伝熱シンポジウム講演論文集,(1990−5),PP.664−666。
(7−12)平松・石丸・大河内,インタークーラ用インナーフィンの数値解析,
機論,投稿申,No。90−1417。
一106一
記
号
Cf
:フインi抵抗係数
CD
9形状抵抗係数
de
9相当直径
Fa
:空気側放熱面積
Fり
:水側放熱面積
f
霧流れ熱などの変数
jh
:コルバーンの」因子
Ka
:熱通過率
L
:フィン、またはルーバの長さ(=P乙)
Lf
:ブインの全長
21
9フィン流路幅
92
竃ルーバ:流路幅
(22/2i:流路比)
M
9検査断面を通る流量
NL
:ルーバi数
Nu
:平均ヌセルト数
←ec Pe/λ)・・ルーバピッチ基準[第2∼6章]
(謬αδfノλ)・・フィン板厚基準[第7章]
Nus
9単一平叛の平均ヌセルト数
(=αδf!λ)・。フィン板厚基準[第7章]
Nux
9局所ヌセルト数
(=α、Pcノλ)・・ルーバピッチ基準[第2∼6章]
(雛α、δ,!λ)… ブィン板厚基準[第7章コ
IP f
:フィンピッチ
Pc
:ルーバピッチ
Pr
:プラントル数
AP
:圧力損失
一107一
Q 9敷熱量
q :熱流束
Re :レイノルズ数(=UgPe/w)・・ルーバピツチ基準[第2∼6章]
Ret :レイノルズ数(:Ueδf/v)・・フィン板厚基準[第7章]
S :ブイン聞隔
T :流体の温度{= (T”−Te)ノ(Tw−’−Te)}
TB :バルク温度
Te 9流体の入口温度 ”
T。 :フィン表面温度
ATm 9対数平均温度差
t :蒔聞
U囲 :流体の入口速度
言 :流体の速度べ外ル
U :X方向の速度成分(U == us/Ug)
V :y方向の速度成分(V=V!Ue)
x,y:流入方向と、それに垂直な方向の座標
x“ @:フイン傾斜方向の座標
α :フィンの熱伝達率
αa 竃空気側熱伝達率
αw :水側熱伝達率
αx :フィンの局所熱伝達率
β 窒フィン傾斜角度
γ :ルーバ迎え角度
δ :境界層排除厚さ
δf :フィンの板厚
δt :チx一ブの板厚
θ :ルーバ角度
λ :流体の熱伝導率
λt :チューブの熱伝導率
一108一
謬流体の動粘性係数
gcp
2流体の密度
φ
9ブイン効率
ψ
:流れ関数
ω
:渦度
添
,
字
:有次元の変数
:傾斜座標系
i,j
:差分方程式における変数および係数
一109一
謝
辞
本論文は、静岡大学工学部、児山仁 教授の懇切なる御指導を受けてまとめたも
のであり、論文の作成にあたっては、静岡大学工学部、清水孝 教授、荒木信幸
教授、内田重男 教授、申山顕 助教授の有益な御意見と御教示を賜り、ここに深
甚なる謝意を表します。
また、本研究を遂行するにあたり、名古屋大学工学部名誉教授、泉先生の御指導
と御助言を常日頃からいただき、心から御礼を串し上げます。
最後に、本研究の遂行を業務面で御助力いただいた日本電装株式会社、副社長、
石丸典生氏、ならびに常務取締役、太田和宏氏には、厚く感謝の意を表します。
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