HYPERION Series 赤 外 顕 微 鏡 シス テム Innovation with Integrity F T-IR HYPERIONは最先端の研究開発の 現場で必要とされる究極の感度と 空間分解能を実現した リサーチグレード赤外顕微鏡です。 妥協を許さない ブルカー・オプティクスの思想が 試料の目視解析から スペクトルの取得・解析まで 常に最高の性能を提供します。 HYPERIONは25年以上にわたる顕微赤外分光法の歴史の 光の回折のみに依存する高い空間分解能 集大成といえる赤外顕微鏡アクセサリです。 すべての光学系、 空間分解能を犠牲にすることなく実現した高い感度 機械系、電気・電子コンポーネントに関する高度な設計・製 作技術が究極の感度と空間分解能を実現し、再現性と信頼 性に優れる分析結果を提供します。主要なコンポーネント がモジュール化されているため、目的やアプリケーションに あわせてシステムをカスタマイズすることが可能で、その応 用分野は、高分子材料、各種化成品、法科学、 ライフサイエ ンス、美術品など多岐にわたります。専用設計された各種 対物鏡やケミカルイメージング機能など、 コントラストを向 上させるための数多くのツールを備えるHYPERIONシリーズ 赤外顕微鏡は、 特に高い分析能力を要求される微量分析を、 より簡単な操作で効率的に行うことを可能にしています。 狙ったポイントを確実に捉える位置精度と 接触圧力の再現性に優れるATR対物鏡 独自のデュアルパスデザインにより比類ない感度を実現した 高感度反射対物鏡(Grazing Angle Objective:GAO) 透過、反射、ATR、すべての測定モードに対応する 高精度マッピング測定機能 データ測定からレポート作成まで、強力にサポートする オールインワンソフトウェア OPUS 先進のFPA検出器によるFT-IRイメージング 試料の可視化 試料の目視解析 顕微FT-IRシステムを用いた分析に際して、試料上の測定対 コントラストの向上 a 象エリアを的確に捉えることが何よりも重要です。 しかしなが ら多くの試料において、目視観察では明瞭なコントラストが 得られないケースがあります。 このような問題を解決するた め、試料の観察像のコントラストを向上させる様々なツール がHYPERIONには用意されています。 微小な測定対象物あるいは測定エリアを確実に可視化させ るため、HYPERIONには様々な機能をもつ対物鏡が用意され ており、目的に応じて最大4個の対物鏡を同時に装着できる b 対物レボルバが備えられています。試料の目視観察において コントラストを向上させる一つ目の手法として、ケラーアパー チャ (開口絞り)があげられます。さらに回転型直線偏光子の 組み合わせによる偏光観察法を用いることで、複屈折をもつ 試料を見分けることが可能となります。照明光を散乱する特 性をもつ試料に対しては、暗視野照明を用いた観察が有効 です。試料自身が発する蛍光やラベル法による蛍光を観察で きるよう、HYPERIONには蛍光照明機能がオプションで用意 されています。また、物理的に複雑な構造をもつ試料にも対 地質試料の可視像 a) 偏光像(クロスニコル) b) 明視野像 応する高精度オートフォーカス機能も用意されています。 観察ツール CCDカメラによる試料像は、PC上のOPUSソフトウェアによ る表示に加えて、HYPERIONのフロントパネルに組み込ま れた液晶スクリーンでも観察することが可能で、測定部位 の特定と位置調整をさらに容易にしています(HYPERION 2000/3000)。試料の観察像はすべて赤外スペクトルデータ と共に保存されますので、実際に測定された部位を確実に 把握することが可能です。 またHYPERIONは標準で接眼鏡を 装備しており、CCDカメラと液晶スクリーンでは映しきれない コントラストの僅かな違いも明瞭に捉えることができ、試料 の測定部位を確実に識別することが可能です。 HYPERION 2000/3000 に搭載された液晶スクリーンが、 試料の測定部位の識別と位置調整を容易にします。 サンプリングの柔軟性 顕微FT-IRによる透過測定では、多くの場合、試料を光学的に 薄くする必要があり、通常は試料に前処理を加えて厚み5~ 15 µm程度の切片にします。解析対象物が平滑な金属表面に 薄く塗布されているような場合には、反射法による分析が 可能です。 しかしながら、赤外光を透過あるいは反射させる ことが困難な試料も多く、そのような試料に対してはATR法 を用いることで分析手順を簡略化することが可能で、ほとん どの試料について比較的容易に良質なスペクトルを得るこ とができます。金属表面に存在するナノメートルオーダーの 薄膜の分析には、高感度反射対物鏡(GAO: Grazing Angle Objective)が有効です。 HYPERION 1000/2000 の光路図 スペクトル領域の拡張 HYPERIONシリーズ赤外顕微鏡で測定可能なスペクトル領 域は標準的な中赤外域はもちろん、遠赤外、近赤外、さらに は可視域まで拡張が可能で、その範囲は最大で80cm -1から 25000 cm-1(125 ~ 0.4 µm)におよびます。数多くの検出器オ プションの中から同時に2台の検出器を搭載することが可能 で、その切り替えもソフトウェアコントロールで簡単に行うこ とができます。 試料ステージ HYPERIONシリーズ赤外顕微鏡のエントリーモデルである HYPERION 1000 には、手動式 XY ステージが付属します。上 位機種である HYPERION 2000 および 3000 には、高性能電 動式ステージが標準で装備されており、広いエリアのマッピ ング測定をおこなうことも可能です。 さらに、簡単操作で交換 が可能な回転式ステージをはじめ、加熱/冷却ステージ(温度 範囲: -196 ~ 600℃)や温度湿度コントロールステージなど、 多彩なオプションが用意されています。 共焦点光学デザイン HYPERIONは赤外顕微鏡の限界に迫る微小試料の測定に おいても、最高の感度が得られるよう設計されています。光 学系はコンフォーカル(共焦点)設計を採用しており、試料 上の測定部位を規定するアパーチャ (視野絞り)を、透過お よび反射いずれの測定モードにおいても、試料の前段およ び後段にそれぞれ配置することが可能な設計となっていま す。HYPERIONにおいて空間分解能は、光の回折限界のみに 依存します。 標準構成のHYPERIONでは、可視光透過型ナイフエッジブレ ードを用いた3軸アパーチャが試料の後段に装着されていま す。オプションで、金属製ナイフエッジアパーチャ、 アイリス型 アパーチャ、アパーチャホイール(多段式)が用意され、いず れのアパーチャも簡単に交換することができる構造となって います。 HYPERIONと加熱/冷却ステージを組み合わせる ことで、-196~600℃の温度環境下において試料 の赤外スペクトル測定が可能です。試料の結晶構 造の変化や熱硬化・熱劣化等の解析に有用です。 ステージの温度はOPUSソフトウェアから制御する ことができます。 ATR 対物鏡 高感度反射対物鏡(Grazing Angle Objective: GAO) HYPERIONシリーズ赤外顕微鏡に専用設計されたATR対物鏡 金属表面に存在する微量成分や薄膜成分の検出・解析に (倍率:20倍)は、 クリアな観察視野と微小領域における高感 は、試料の測定面に対して赤外光を大角度で入射させて 度ATR測定を両立させた強力な分析ツールです。HYPERION その反射光を観測する、いわゆる高感度反射赤外分光法 顕微鏡の光軸と同軸に設置された高精度プリズムスライド が有効です。ブルカー・オプティクスの高感度反射対物鏡 機構により、試料上の狙ったポイントにプリズム先端を確実 (GAO:Grazing Angle Objective)は、独自のフォールディン にコンタクトさせることができます。ATR対物鏡に内蔵され グミラーおよび デュアルパスデザインにより、非常に高い感 た高感度圧力センサがATRプリズムに掛かる圧力をモニタ 度を有しています(ブルカー特許技術)。 しているため、測定に際して試料との接触は常に最適な圧 さらに、他の高感度反射対物鏡と異なり偏光赤外光を用いた 力で再現性良く保たれます。試料との接触圧力は、試料の硬 スペクトル分析が可能です。通常、赤外顕微鏡での反射測定 さに合わせて設定することが可能です(5段階可変)。 さらに、 では、偏光子を用いても、カセグレン式対物鏡が入射赤外光 オプションの自動ステージエレベータ機構(Z-ドライブ)を電 の偏光成分をスクランブルしてしまい、偏光スペクトルが得 動X-Yステージと併用することで、広い測定エリアをカバーす られません。 これに対して、ブルカー・オプティクスの高感度 る、 自動ATRマッピング測定が可能となります。試料の種類や 反射対物鏡では、p-偏光あるいはs-偏光に切り替えて測定を 分析の目的に応じて、ゲルマニウムあるいはシリコンATRプ 行うことが可能で、試料の偏光特性の評価を行うことができ リズムをお選び頂けます。いずれの材質も高い屈折率を有 ます。 するため、ほとんどの試料に適応します。また、ATRプリズム は、顕微分析において一種の固浸レンズとしても機能するた め、透過法や外部反射法に比べて高い空間分解能を得るこ とができます。空間分解能の改善は、使用するプリズムの屈 折率に比例し、例えばゲルマニウム製プリズムを使用した場 合、透過法や反射法の約4倍の空間分解能が得られます。 a a b b HYPERIONのATR対物鏡は、 クリアな視野の観察モードと光学スルー プットに優れるスペクトル測定モードを、簡単に切り替えることがで きます。内蔵圧力センサがATRプリズムに掛かる圧力をモニタしてい るため、試料との接触は常に最適な圧力で保たれます。 高感度反射対物鏡 GAO(倍率:15倍)は、観察と測定の二つのモー ドを持ちます。観察モードでは、図 a) に示すように、平行に配置さ れた二枚の鏡により試料面を法線方向から観察することができ、ク リアな観察視野を確保しています。赤外スペクトル測定モードでは、 図 b) に示すように、観察モードの位置から移動する一枚目の平面鏡 により大きな角度で赤外光が試料面に入射されます。試料表面で反 射した光は二枚の鏡で折り返され、はじめの入射位置と同じスポッ トに集光します。同じスポットに赤外光が二回あたるため、従来の方 式に比べ二倍の検出感度が得られます。 FT-IR イメージング スペクトル イメージング HYPERION 3000は従来の単素子検出器による顕微分光分析 に加え、赤外分光の分野における最新技術のひとつである、 二次元アレイ (FPA:Focal Plane Array)検出器による FT-IR スペクトルイメージングを可能にしたリサーチ顕微鏡で す。FPA 検出器を用いたイメージング測定では、4,096本の赤 外スペクトルを含む、観測エリア 340 x 340 µm、ピクセル分 解能 2.7 µmのイメージを秒速で取得することができます。 さ らに電動XYステージを用いて連続して測定される複数のイ メージをタイル状に配列することで、 より広範囲のイメージ を得ることも可能で、 この場合の測定時間も通常分単位と、 こ れまでにない高速性能を実現しています。優れた光学性能を もつHYPERION 3000では、オプションで用意されるいずれの 対物鏡を用いた場合も、空間分解能は光の回折のみに依存 します。OPUSソフトウェアのもつ豊富なイメージデータ処理 機能も魅力の一つです。 HYPERION 3000 高性能 CCD カメラ 単素子 MCT 検出器 フロント 液晶スクリーン FPA 検出器 680 680 600 600 400 Z [Micron] Z [Micron] 顕微 FT-IR スペクトル イメージング 200 高精度 電動 XY 試料ステージ 400 200 0 0 0 200200 400 400 600 600 680 X [Micron] 0 200200 400 400 600 600 680 X [Micron] シリコン基板上に分散した高分子二成分混合物の顕微FT-IRスペク トルイメージングデータ。680 x 680 µm のエリアをピクセル分解能 2.7 µm、波数分解能4cm-1にて、 タイリング機能(2 x 2)を用いた測定。 イメージデータには、65,536本のスペクトルが含まれ、測定時間は およそ8分です。赤外スペクトルイメージから各成分の分散の様子 を把握することが可能です。 左図:測定エリアのCCDイメージ 右図:赤外スペクトルイメージ。 赤色が成分1、青色が成分2をそれぞれ示します。 顕微 FT-IR スペクトル イメージング: 波数による分解能の違い a b c HYPERION 3000によるテストターゲット (1951 USAF)の赤外反射イメージ。 64 x 64 FPA、36倍対物鏡(NA = 0.5)を使用。 このときのピクセル分解能は 1.1 µm。 a) CCDカメラによるターゲット像、b) 1650 cm-1 における赤外イメージ、c) 3200 cm-1 イメージ OPUS ソフトウェア HYPERIONは、豊富な解析機能と高い操作性が特徴のOPUS ソフトウェアにより制御されます。 スペクトル測定から各種デ ータ解析や評価、 レポート作成まで、OPUSひとつで処理する ことが可能なオールインワンソフトウェアです。 ソフトウェア のユーザーインターフェースをカスタマイズすることも可能 で、ルーチン分析から高度な研究開発まで、用途に合わせて 最適なオペレーション環境を作ることができます。 分析により得られるスペクトルデータ、試料画像、赤外イメー ジ、PCAやRGB処理によるイメージとプロット、テキスト情報 など、すべての結果を一つのデータファイルに統合させるこ とができますので、データ処理をスムースかつ確実に行うこ とが可能です。 バリデーション機能 今日の分析ラボやプロセス環境では、取り扱う試料等によっ ては各種規制の広範におよぶ要求事項に対して準拠しなけ ればならない場合があります。OPUSにはマルチユーザー管 理機能や電子履歴・電子署名機能、高レベルセキュリティ機 能など、各種の規制に対応するための機能が含まれていま す。OPUSは 21 CFR Part 11の要求事項に準拠する、認証を受 けたソフトウェアパッケージです。 顕微 ATR マッピング測定 a HYPERIONによる分析では、OPUSのユーザーフレンドリーな ウィザード機能がオペレータをサポートしますので、 どなた でも簡単に操作することが可能です。またOPUSがもつ豊富 な統計的解析アルゴリズムを用いることで、三次元データな ど膨大なスペクトル情報の中から重要な要素を短時間で抽 出することも可能です。最終的に得られる赤外イメージの二 次元あるいは三次元プロットを、試料の可視像と重ね合わせ たり並べて出力するなど、データプレゼンテーション能力に も優れるソフトウェアです。 分光器診断機能 OPUSには分光器の状態をリアルタイムでモニタする自己診 断機能が装備されており、常に信頼性の高いデータを提供す ることを保証しています。 さらに、 自動化された性能確認テス ト機能(OQ、PQ)を使うことで、日常の装置性能確認も簡単 に行うことが可能です。 b OPUS の持つ主な顕微分光測定用機能: 2D/3D 表示など豊富なプレゼンテーション機能 赤外イメージと可視イメージの重ね合わせ/整列表示機能 PCA(主成分分析)、3Dクラスター分析、ANN(人工神経 ネットワーク)等によるイメージデータ解析とRGB処理 による多成分イメージの重ね合わせ 赤外スペクトルイメージと単一スペクトルの相関解析 全自動マッピング測定およびイメージング測定 高機能スペクトル検索機能およびデータベース 2D/3Dデータに対するインタラクティブ処理機能 カスタマイズ可能なワークスペース 顕微 ATR マッピングによる塗料片の分析: HYPERIONとOPUS ソフトウェアの組み合わせにより、複数の測定ポイントを任意 に設定し、各ポイントのスペクトルを自動で測定することが可 能です。測定エリアを規制するアパーチャサイズも、OPUSに表 示される試料のCCDイメージ上で簡単に設定することができ ます。 この測定例では、三層構造をもつ塗料片の各層の成分の 違いを、各層に対応するスペクトルが明瞭に示しています。 Bruker Optics カスタマーサポート アプリケーション サポート ブルカー・オプティクスは、分析化学や分析機器に精通した 科学者とエンジニアを中心に組織されており、お客様の研究 目的に応じて最適な製品と解析手法を、最新の情報とともに 提供しています。さらに我々はお客様と協力して新たな分光 分析技術の開発にも取り組んでいます。 H Y P E R I O N の 測 定 領 域 は、可 視 から遠 赤 外ま で 拡 張 することが 可 能で す。このシステムで は HYPERIONに液体ヘリウム冷却ボロメータ検出器 を搭載することで、8000cm-1から80cm-1における 顕微分光測定を可能にしています。 ユーザー トレーニング 製品の操作方法やサンプリングテクニックなどについて、 ブ ルカー・オプティクスのプロダクトスペシャリストによるトレ ーニングを、お客様のご要望に合わせて実施しております。 サービス サポート ブルカー・オプティクスの製品は、長年にわたり安心してお使 い頂けるよう設計されていますが、万一トラブルが発生した 場合には熟練した専門スタッフによる技術サポートを提供し ています。装置の最高性能を引き出す据付調整や修理対応 はもちろん、様々なサポートプランとアップグレードプランを 提案しています。 SENTERRA 顕微ラマンシステム 全自動波数校正機能、オンデマンド共焦点光学系 など、ブルカー独自の機能を搭載する、高性能ラ マン顕微鏡システムです。拡張性に優れるオープ ン構造設計により、FT - Ramanとの組み合わせに よるハイブリッドシステムの構築等も可能です。 Bruker Optics is ISO 9001 certified. www.brukeroptics.com ブルカー・オプティクス株式会社 本社: 〒104-0033 東京都中央区新川 1-4-1 住友不動産六甲ビル Phone: 03-3523-6870 Fax: 03-3523-6871 大阪営業所: 〒532-0004 大阪市淀川区西宮原 1-8-29 テラサキ第2ビル Phone: 06-6394-8118 Fax: 06-6394-9003 製品の外観・仕様等については、改良のため予告なく変更する場合があります。 © 2013 Bruker Optics BOPT-091109-1
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